Muv-Luv Unlimited Base Shielders   作:しゅーがく

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お久しぶりです。しゅーがくです。

とてつもなく投稿が遅れて申し訳無いです。まぁ、不定期更新ですのでそんなもんですよね(焦)。
最近忙しすぎて、家帰ったらすぐ寝てしまっていたので、こんな休日にしか書くことができませんでした。携帯で原稿を書けばいいのですが、移動中には殆ど触らないので書くことも出来ず、1ヶ月位放置してました、すみません。

今回から、主人公たちはBETAと闘っていきます!それでは。


episode 4 前線補給基地防衛

『全機起動。』

 

圭吾は87式機械化歩兵装甲を身に纏っていた。しかも、待機していた格納庫は敦煌基地みたく真新しいものでは無く、ところどころ中国語で書かれた誘導用標識などがあった。

 

『主脚にて移動開始。地下通路A区画8地区に向かう。それ以外の区画・通路は全て硬化剤にて固められている為、敵が壁を壊しながら進まない限りこの8地区とその他、4地区・6地区・2地区以外に小型種が流れ込むと思え。』

 

戦域データリンクを開始して、周辺の戦域状況を取り入れたところだった。四角に地図が囲まれていて、そこにHQのアイコン、中隊識別アイコン、他中隊識別アイコン、それと、BETAの先頭集団と乱戦を繰り広げている戦術機4個中隊が表示された。戦術機を取り巻いている赤い地域のように見えるところは全て、BETAの個体アイコンが集合している結果だった。

 

『HQより機械化歩兵部隊へ。敵小型種先頭集団が基地のおよそ4km手前まで接近。地上部隊交戦開始。流入該当区画は、4地区。』

 

耳元でそこCP将校の声がした瞬間、冷や汗が出た。自分の喉下までBETAが接近してきたからだ。

 

「4地区って......。」

 

『私たちの8地区の反対側です。』

 

民兵に警戒しながら進んだ、成都から敦煌までの道のりの時に見せた一代の表情と全く変わらない表情で一代はそう言った。

言われて圭吾は戦域データリンクにて表示されているBETAのアイコンはマップ上の下から上がってきている様に見えた。

 

『HQより第13機械化歩兵中隊に通達。現時点を以って8地区の防衛任務を放棄。至急、4地区へ移動を開始。』

 

素っ気無く、音のトーンが一定の声でCP将校が圭吾らにそれを伝えた。

 

『13C了解。中央を抜け、4地区の味方の背後に出る。急げ!』

 

第13機械化歩兵中隊を表す13Cを言い、急かす様な号令を皐が出したかと思うと、01と肩に書かれた機械化歩兵装甲が駆け足で移動を始めた。それに付いていくかの様に次々と機械化歩兵装甲が走りだし、それを圭吾は無心に駆け足で追いかけていった。体の芯に伝わる自分の走る度に鳴る鉄と鉄とがぶつかる音と揺れが少し圭吾には心地よく思えた。

______________________________

 

『13C、司令部脇の通路を通過。4地区到着まで、2分。』

 

圭吾達は機械化歩兵装甲が1機ギリギリ通れるだろう幅の通路を走って進んでいた。4地区防衛の他部隊への増援として向かっている最中だ。

 

『こちら4地区48C!増援早くしてくれっ!前衛が全滅してるんだっ!!』

 

『HQより48C。現在13Cが4地区まで200mまで前進!持ちこたえろ!!』

 

若い男の声で確かにそう聞こえた。きっと、増援を急いでいるが為、通信先を周辺の部隊やHQにしているのだろう。

圭吾たちは今、隔壁の開放を待っていた。いつもなら自分からロックを解除し、開けることができるのだが、この補給基地はそうはいかないようだ。HQからしか操作ができず、自分らから開放要請をしなければ開くことは無いものだった。

 

『48Cより13Cへっ!まだ来れないのかっ!?』

 

『ただ今隔壁の開放中だっ!開き次第、短距離跳躍で前衛に出る!』

 

皐が声を張ってそう言うと、納得したのか、48Cの中隊長らしき人は静かになった。

 

『......なるべく急いでくれ。』

 

『了解した。』

 

皐がそう言った瞬間、隔壁の開放は済み、前進できるようになった。通路の奥ではマズルフラッシュで明るくなっているのか、チカチカと光っているのがよく見えた。

 

『全機、短距離跳躍!!』

 

皐の号令で一斉に飛び上がった87式機械化歩兵装甲は跳躍ユニットから青い光を発しながら飛んだ。

______________________________

 

圭吾たちの第13機械化歩兵中隊が4地区についた時、4地区は地獄と化していた。周辺には赤い水溜りが出来、BETA小型種の蜂の巣になった残骸、機械化歩兵装甲に見える赤色の塊......。

見てるだけで吐き気を催すような光景だった。

 

『増援感謝する。48Cのリーだ。』

 

目の前に立ったのは米国製機械化歩兵装甲の外見だが、あちこちボコボコしている機械化歩兵装甲だった。

 

『ここに来た私たち以外の増援はありましたか?』

 

『13Cの到着する2分前に、27Cが到着しました。現在前線を押し上げています。』

 

そういうと目の前の機械化歩兵装甲は出口に向かう隔壁を指差した。

その指の先では、機械化歩兵装甲が2列横隊で20mm機関砲を続け様に射撃している様子が伺えた。きっと、狭い通路で進行の遅いBETAを七面鳥撃ちをしているんではないか、そう思わせるような事をしていた。

 

『成る程。了解しました。では、我々は持ち場の8地区に戻らせていただきます。』

 

そう言って皐は機体の方向を変えて、来た道を歩き始めた。

 

『――――コード991っ!繰り返すっ!コード991!』

 

第13機械化歩兵中隊が退路に着き、4地区の48Cのリーからのコールだった。味方の取りこぼしが基地内に侵入し、4地区の前衛に捕捉されたのだろう。

 

『HQより48C。12.7mmと7.62mmを掃射だ。4地区には入れてはならないっ!』

 

コード991を聞き取ったHQのオペレーターがすぐさまに48Cのリーに指示を出した。それは、弾薬の消費が著しく早い攻撃方法だった。肩部にある7.62mm機関銃は弾薬の量は積めるものの発射速度が速い為、死骸に無駄弾を当ててしまう為、狭い通路での戦闘では十分に効果は発揮されるが、開けた4地区のような場所では埋め尽くす程のBETAが居ない限り、約半分が壁や床、天井に当たってしまうものだった。

 

『13Cも援護に向かいます。全機反転!』

 

皐の甲高い声によって歩行していた機械化歩兵は全機、進行方向を反対にし、走り出した。

 

(敵の増援か......。中隊規模のBETA群じゃなかったのかよ。)

 

圭吾はそのことしか考えられなかった。

 

『48Cより13Cへ。増援助かるっ!小物共が行き成り現れたもんで、2機喰われちまったんだ。現在3機で通路にて交戦中。多目的擲弾もゼロだかた到着次第、通路に躊躇無く撃ち込んでくれっ!』

 

 

それを言って、すぐに通信を切っられてしまった。

 

『全機反転!全速力っ!』

 

その号令を聞き、圭吾は機体を反転させ、あまり屋内では使わない跳躍ユニットに火を入れた。

 

『味方機械化歩兵、通路に前進!』

 

繰り返される4地区の戦闘状況は詳しいものではなく、曖昧なものが多かった。

どの部隊、どの機体が何機動いたかという詳細な情報を発信するのがHQだが、ざっくりとした戦闘状況を知らせているだけだった。

 

「御宮大尉!HQは何故あんな曖昧な情報しか出さないんですか!?」

 

圭吾は短距離跳躍しながら、後方を飛んでいる皐に聞いた。訳も分からず、先ほどの『味方機械化歩兵、通路に前進!』を最後に交信が途絶えていたのだ。

 

『4地区に到着すれば分かるさ。黙って飛べ。』

 

そう言って皐は一方的に交信を絶った。

(4地区に着けば分かるってどういう事だよ・・・。HQオペレーターがそんな曖昧な交信をするってどんな状況だ。)

 

圭吾は4地区まで短距離跳躍している間、そのことしか考えられなかった。

______________________________

 

HQオペレーターの曖昧な交信に関して皐に聞いてからすぐ、4地区隔壁の目の前に到着していた。HQからの操作で隔壁の開放が行われるのを待っていたが、一向に隔壁の重厚な鉄板が上がりだす時に動く、電動モーターの駆動音も全然聞こえない状態だった。

 

 

『鉄無、そういう事だ。』

 

突然、コールがあったかと思うとそれは皐だった。

 

(そういう事ってどういうことだよ。)

 

「そういう事とは?」

 

『モーターによって開閉がなされる隔壁が、開閉されない。どういう事だろうな。』

 

網膜投影に写し出されている皐の顔は、とてもこれまで見てきた冷めた表情では無く、少し焦燥感を感じさせる様な顔だった。

 

「地上戦術機部隊の相手でもしてるから開閉操作ができないとかですか?」

 

圭吾はつい最近、座学で習った模範解答を答えた。

 

『新兵ならそう思うだろうな。だが、実際は違う。4地区の48Cと先に来ていた増援部隊が全滅して、蹂躙されているか、HQの将校やCP将校、大隊以上の指揮官、この基地の司令官、全員『喰われた』んだよ。』

 

それを皐から聞いた瞬間、圭吾の脳に電気が走ったかの様に思える程の衝撃が走った。

これまで信じていた座学で学んだ事、それが覆された瞬間だった。

 

「今、この隔壁の向こうでは少なくとも、4門以上の機関銃・機関砲の射撃音は聞こえています!ここが突破されない限り敵は司令部に近づけないんでは無かったんですか!?」

 

圭吾はこれまでにない程、取り乱していた。戦闘が始まる前、司令部に繋がる地下通路は全部硬化剤で固めたと聞いていたからだ。4個機械化歩兵中隊が守る通路を突破されない限り、司令部には入られない様になっていると聞かされていたからだ。

 

『ここの守りはどうなっていた。答えてみろ。』

 

「確か、4個機械化歩兵中隊の守る地下通路以外は全て硬化剤で・・・・・・。』

 

『『地下通路』はだろ?』

 

皐はそう言った。その瞬間、圭吾の目の前に現在居る補給基地の全体見取り図が表示された。

 

『これはここの基地の見取り図だ。現在我々が足止めを食らっているのは、司令部南側A-12通路。そして今から表示する赤く塗られている所は硬化剤によって固めた通路だ。』

 

皐がそう言った瞬間、見取り図のアリの巣状に張り巡らされた通路が一瞬にして赤くなった。

現在通れる通路は圭吾らの居る司令部真横のA系統通路、そして司令部横から伸びるA系統通路より8、4、2、6地区に通じる通路はそれぞれ1本。そして、その地区から地上に伸びている通路も1本だった。そして................

 

「通気シャフトっ!ここに入られたって事ですか!?」

 

圭吾は地下に設置されているが為の落とし穴に気づかなかった。通気シャフトに硬化剤を流すと、中に居る人間は全員窒息してしまうのだ。更に、小屋程度の地下空間だったならまだしも、補給基地として使う地下空間に十分な酸素を取り入れる為には、かなり大きな通気口が設置されているはずだった。そこから進入されたと考えてもよかった。だが、そこに入られた時の状況を踏まえた対策を圭吾らの守る基地の司令部は行わなかったのだ。

 

『そうだ。鉄無、そこに見えるガラス張りになっている壁を見ろ。』

 

皐にそう言われて圭吾が覗いたのは、司令部と通路の間にある緊急用に作られた出入り口だ。

 

「はい。・・・・・・・・・・・・・・・うっ・・・・・・・・・・・・」

 

圭吾の覗いたガラスから見えたのは、司令部を蹂躙する戦車級だった。

 




はぁ、お疲れ様です。後半2000字は投稿2時間前から書き始めたものです。少し指がつりそう(笑)
作中の『13C』や『48C』という表記は『13中隊』、『48中隊』という意味です。英語の中隊と意味を成す『Company』の頭文字を頂きました。
鬱展開は盛ってくつもりですが、今回のはどうでしたでしょうか?書いてる本人的には鬱な気がしているんですがね。

ご意見・ご感想お待ちしております!!

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