Muv-Luv Unlimited Base Shielders   作:しゅーがく

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どうも、しゅーがくです。

こちらは久々?の投稿になります。ネタが思いつかなかったんですよ(泣)。
一応タグに不定期更新にしてあるので、大丈夫ですが。流石に、1ヶ月は放置できませんよねー。
ということで、episode 2です。


episode 2 接敵

圭吾はあの日、大陸派遣軍編成に含まれた事を聞いた1991年9月7日以来、出発までの1週間は事務的にやることはこなし、訓練にもそれなりにやってはいたが、考えている事はBETAについてだけだった。

今まで他人事のように世界情勢、主にBETA大戦の意向について語っていたが、もうそんなこともできない状況に変わってしまった。自分もそのBETAと戦う事になったのだ。元より、帝国軍に志願した以上、そのような事象に物事が向かっていくのも可能性としてあったが、それをどこか自分の中で否定していた。『きっと、中国でBETAの進軍は停滞するだろう。』や、『日本帝国から派遣されたとしても、機械化歩兵は移動無しだろう。』と考えていた。それをあの9月7日に見てはいたが目の前で見たくなかったBETAとの、自分の恐れていた事になってしまった事を永遠と考えていた。どうしてこんな事態になってしまったかの証明、証明終了を繰り返し、その証明は間違っていると仮定し、その証明を否定する証明を立てる。そんな事を1週間繰り返していた。ブリーフィングの時も、機械化歩兵での戦闘訓練でも、整備でも、就寝前の自由時間や食事でもそんな事を考えていた。

だが、そんなことをも考えてられない大陸出発のその日なのだから......。

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輸送機内は静寂に包まれていた。圭吾の乗っている輸送機には搭乗員用のシートも用意されていて、中隊と整備兵込みでも席が余る程だった。輸送機に乗り込み着席した後、日本帝国を飛び立った後、搭乗員室を見渡したが、どの人間も表情が良いとは言えない程になっていた。

何かに絶望したかのような表情、諦めた表情、何かに思い更けている表情、無心、放心......そんな表情ばかりだった。それはいきなり伝えられた自分の入ることが無いだろうと考えていた大陸派遣軍に入ってしまったという事に関して、何か人それぞれに思う事があるのだろう。何故か、中隊長の皐は大陸派遣軍に転属したというのに何も思うところが無いような表情だ。他の隊員や整備兵の様に思いつめてるようにも見えない。そんな皐を圭吾は少し、気味が悪いと思った。

 

「ねぇ、圭吾君。」

 

周りを見渡した後の圭吾に話しかけたのは、遥音だった。どこか不安気な様子で圭吾の横に座っている。

 

「ん?どうした?」

 

「これから行く敦煌基地って何処にあるの?」

 

「中国北西部で、嘗てシルクロードの分岐点として栄えた都市だよ。今じゃそうでも無いが。」

 

「そう...。」

 

そう言って遥音は前を向いてしまった。圭吾は敢て最前線からどれくらいの距離にある基地かを言わなかった。知ったらもっと絶望すると思ったからだ。

敦煌基地は現在の東アジア戦線最前線で新疆ウイグル自治区・オリジナルハイヴの目と鼻の先にある青海省だ。つい最近東進が確認されたから、そこまで入り込まれてないが、中国中部や東部まで進行するのは時間の問題だと誰もが思っている。そんな中、敦煌基地は一応前線だがBETAの来襲が確認されていない地域だ。

こんな事を遥音に言いでもしたら、不安が増長してしまう。そう考えたのだ。

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圭吾はいつの間にか寝ており、気付いたら中国中部の都市四川省の国連軍成都補給基地に降り立っていた。

滑走路付近では慌しく貨物の荷卸が行われていた。どのコンテナも大きく、貨物の降ろされている大型機から察するに国連軍所属の輸送機と中国軍所属の輸送機だというのは目に見えてわかった。きっとコンテナの中身は戦術機の部品か合成たんぱく質、官給品、嗜好品しか入っていないのだ。歩兵用携帯火器は小さいので陸路から輸送も可能なので、空輸する必要は無いという。

輸送機から荷降ろしているコンテナを眺めていた圭吾に、遥音は話しかけた。

 

「圭吾君。そろそろ降りて、機械化歩兵装甲を着用してでの周囲警戒しながら敦煌基地に行くから早く着替えて行くよ。」

 

遥音は圭吾の方を揺らしながら言った。どうやら圭吾が寝ているのだと勘違いしているらしい。

 

「おう、貨物室で着替えるんだっけ?」

 

そう言って圭吾は立ち上がった。

国連軍成都基地の基地内部に入る訳でなく、滑走路から直ぐに向かうという事になっていた。圭吾たちの乗ってきた輸送機には、全員分の機械化歩兵装甲と武器、弾薬、中隊全員の私物や整備兵の私物しか入ってなかったので、それを丸々トラックに載せかえれば直ぐに出発出来るのだ。圭吾がずっと外を見ながら考え事をしていた間に、トラックに詰め込む物や機械化歩兵装甲に積む兵器や弾薬、推進剤が既に補給が終わっているらしく、補給トラックもそのまま荷物を載せたトラックに随伴して敦厚基地に向かうことになっている。貨物室での着替えの命令が下ったということは、既に一連の作業が終わっていて、出発しなくてはいけないらしい。そんな事を遥音が言った一言で読み取った。

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『各機、位置に着いたか?これより、敦煌基地に向けて出発する。今回、何故機械化歩兵装甲を纏っての移動なのかと言うと、軍の車両を狙った賊が居る危険がある為である。我々の移動は只の移動ではない。各小隊にてトラックを護衛しつつ敦煌に向かう。』

 

耳元で皐の声が聞こえていた。圭吾は今、日本帝国配備の87式機械化歩兵装甲を身に纏っている。装備も取り付けれる物を全て取り付けてある見たいで、網膜投影されている映像のステータスには全てのスロットに武器名と残弾が表示されていた。

 

(12.7mm重機関砲、7.62mm機関銃、爆発反応装甲、多目的擲弾筒......フル装備じゃねぇか。民兵相手にどんなけ本気なんだよ......。)

 

圭吾や新入りの5人の誰しもがそんな事を思っていた。だが、圭吾たちは民兵を甘く見ていた様だった。

 

『大尉。何故民兵相手にフル装備なのですか?』

 

圭吾に見えていた視界内に表示されている皐だけが表示されているウィンドウに遥音も表示された。

遥音がそれを疑問に思うのは普通だ。

 

『それは、奴等民兵は度々国連軍補給部隊を襲って兵器や食料を奪い、奪った兵器でまた補給部隊を襲うからだ。私らの部隊も傍から見れば補給部隊に見えるだろう?その為だ。』

 

皐の言葉にウィンドウを開いていた新入り全員が開いた口が閉じなかった。それほどの驚きだったのだ。

補給部隊を襲う賊がいるというのは世界各地で確認されているが、その手口は公表されていなかった。

 

『御宮大尉、そろそろ時間です。』

 

開いているウィンドウの中の一人が皐に言った。

 

『そうか、出発する。』

 

そう言って、肩部装甲に01と書いてある機械化歩兵は跳躍ユニットから火が吹き出たと思うと短距離跳躍で100m先に着地していた。それに続くかのように皐が指揮する第1小隊の他の3機が同じ用に短距離跳躍した。それに続くかのように第2、第3、第4小隊も跳躍して行った。ちなみに圭吾は第2小隊だ。

戦術機機甲部隊みたく1個分隊2機、2個分隊で1個小隊、3個小隊で1個中隊、3個中隊で1個大隊というような編成では無く、1個小隊4機、4個小隊で1個中隊、3個中隊で1個大隊という編成が行われている。

第221機械化歩兵中隊は独立1個中隊なので、上に大隊は臨時にしか編成されず、基本は独立している。その中隊は16機編成でトラックの全周囲に付いて護衛を始めた。

 

『編成が発表されてから挨拶がまだでしたね。第2小隊の佐鳶一代少尉です。ここの中隊では各小隊毎に役割がありますので、ご理解お願いします。我が、第2小隊は主に前衛。戦術機中隊で言うと突撃前衛・強襲前衛の配置になります。和弥さん、自己紹介を。』

 

そう言ってウィンドウに表示されている知らない顔の人間は佐鳶一代と名乗った。雰囲気は落ち着いていて天然にも見える。そんな一代は和弥と呼ばれた兵士に自己紹介の順番を回した。

 

『第2小隊の九条和弥少尉だ。』

 

『えっ......終わりですか?』

 

『終わりだ。』

 

そんな素っ気無い挨拶をしたのは、九条和弥と自分の名を名乗って黙ってしまった。

 

『はははっ。私は先日こちらに配属されました、和泉佳奈です。よろしくお願いします。』

 

第2小隊には遥音の友である佳奈も一緒だった。どうやら、結構アクティヴな性格なのか?と圭吾は考えてしまった。

 

「同じくこちらに配属されました、鉄無圭吾です。よろしくお願いします。」

 

圭吾は跳躍ユニットを吹かせながら言った。

 

『皆さん、よろしくお願いしますね。』

 

そう言って一代はウィンドウを閉じた。それに連れて、和弥もウィンドウを閉じてしまった。

 

『圭吾、よろしく。』

 

「はい。......って、いきなり名前ですか?」

 

『ふふっ、遥音みたいに圭吾君って呼ばれたいのかな?』

 

佳奈はニヤニヤしながら言った。どうやら、少し楽しんでいるようだった。

 

「じゃあ、佳奈ちゃんって呼びますよ?」

 

『いいよ。』

 

「うぐっ......普通に呼んでください。」

 

圭吾は佳奈の回答の想像の180°反対の回答に少し動揺したが、ペースに流されまいと普通に受け答えた。

 

『じゃあ、圭吾でいいよね?鉄無なんて2人居るし。』

 

「はい。」

 

圭吾と会話しているとウィンドウに一代と和弥も入ってきた。

 

『じゃあ私も圭吾さんと呼びますね。』

 

『圭吾と呼ぼう。』

 

「2人もですか......。」

 

『まぁ、いいじゃん。』

 

圭吾はそれ以降、爆発音が鳴るまでは楽しく小隊別ウィンドウで談笑していた。

口頭でしか説明をされなかった民兵を圭吾が自分の目で見るまでは。

______________________________

 

『前衛第3小隊より、中隊各機へ。unknown出現。繰り返す。unknown出現!』

 

談笑をしていた圭吾たちの表情を一発で引き締めた。

トラック護衛のトラック前衛100m先を移動していた第3小隊が未確認反応を捕らえたのだ。

 

『各小隊迎撃体勢。第2小隊前進。第2小隊のポジションは第4小隊でカバーしろ!』

 

いつも冷たい表情をしていた皐だが、ウィンドウに映った彼女の表情は普段見なかった表情だった。それは、敵に怯えている表情なのか、それとも、正義感?義務感?。色々な場合が考えられたが、そんなことを考えている暇が無いのだ。第2小隊は前進して、unknownと交戦する命が下ったのだ。

 

『第2小隊、私に続いて下さい。陣形は楔型隊形!』

 

『『「了解!」』』

 

圭吾らは、即、跳躍ユニットの跳躍時に噴射する噴射量を引き上げて、長距離跳躍にて、前衛に向かった。その長距離跳躍は長距離跳躍を実戦で初めて使った圭吾には身体前面にかかるGに潰されそうになる程のものだった。

そして、着地し。姿勢補正を終えた後、圭吾の見渡した先には、いつの時代のものだろうか。古風な形状をした戦車とトラック、私服だが色が統一されている民兵の手にはカラシニコフが握られている。その前には、機械化歩兵装甲が2機、立っていた。

 

「これが民兵...?機械化歩兵を使う民兵かっ!?」

 

圭吾は眼下に広がる状況を叫んだ。見るまで信じられなかった状況に戦慄した。




いやぁ、夏に入ったかな?と考えされられる程に暑くなってきましたね。
私は夏が嫌いだから、年中「四季じゃなくて、三季にならんかな?春冬秋冬とか最高じゃん。」とか思って、夏になると「シベリアいきてぇ。」とか言う季節です(笑)。
今の話、全然本編と関係なかったですね。すみません。

ご意見ご感想お待ちしております!!

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