インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

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振り切る白

side一夏

「うっ・・・?」

俺は妙な寝苦しさに目を覚ました。

 

現在、午前5時30分、いつもよりかなり早くに目が覚めた事になる。

しかし妙だな、頭はすっきりしてんのに、

身体があちこちスゴく痛い。

 

昨日何してたっけ・・・、

そう思って横を見ると、とても幸せそうな寝顔をした、

全裸のシャルがいた。

 

「・・・。」

お、も、い、だ、し、た。

俺は・・・、シャルを・・・、女にしたんだ・・・。

 

そうだ、シャルがあまりにも可愛いから、同意の上で、

俺はシャルを抱いたんだ。

 

だからか、シーツが血やら愛液やらで汚れてたり、

俺の肩にシャルの歯形がくっきりと残ってるのも、

俺が加減せずにシャルを抱いた結果か!!

 

そういや、シャル泣いてたな、

多分、すげぇ痛かったんだろうな・・・。

 

あ、でも三回目は、シャルが俺の上に跨がって、腰を振ってたような・・・?

でも・・・、すげぇ可愛いかったし、

気持ちよかったな・・・。

 

「シャル・・・。」

俺は最愛の恋人の名を呼びながら、

その美しい金髪を撫でる。

 

シャルの髪はさらさらで、撫でていて気持ちがよかった。

 

「一夏・・・。」

「ん?」

シャルが俺を呼んだ気がしたので、聞き返すが、

彼女は寝息をたてていた。

どうやら寝言らしい。

 

「大好き・・・。」

「っ!!」

うおぉ、マジかよ、夢の中でも俺の事を想っていてくれてるのか?

俺はなんて幸せ者なんだよ!

 

「何処にもいかないで・・・、

僕を・・・、一人にしないで・・・。」

幸せそうだったシャルの表情が、哀しみに歪む。

「っ!!」

そうだ、俺がいなくなれば、シャルの家族はいなくなる。

それだけは、絶対にさせない、

「大丈夫だ・・・、俺は何処にも行かねぇ、

ずっとシャルの傍にいるよ。」

俺は彼女を安心させるため、その華奢な身体を抱き締める、

 

(俺はシャルと共に生きる、シャルが悲しまなくてすむように!)

そう思っていると・・・、

 

「ありがとう、一夏。」

「え?」

 

シャルの声に、驚きながらも、彼女の方を見ると、

彼女はいつもと同じ、優しい笑みを浮かべていた。

 

「起きてたのか?」

「うん、一夏が起きるちょっと前だけどね。」

 

まったく、シャルには敵わねぇな、

まあ、退屈しなくてすむがな。

 

「嬉しいなぁ、何処にも行かねぇ・・・、か。」

「当たり前だ、シャルを独りになんてしたくねぇからな。

それに、俺達は恋人だろ?」

 

俺はシャルの目を見て、そう言う。

彼女の瞳は、アメジストのように美しく、

引き込まれそうになる魅了があった。

 

「えへへ、そうだね♪」

ああぁっ、笑顔が、笑顔が眩しい!!

なんでこんなに可愛いんだよ、

朝からサカッちまうぞ?

 

しかしそこは我慢、処女を喪ったばかりのシャルに、

その行為は少し酷だからな。

 

「シャル、俺から離れるなよ?」

「うん!ずっと一緒にいてあげるんだから♪」

「ソイツは嬉しいな。」

 

やべぇな、マジでシャルが可愛すぎて、

テンション駄々上がりだぜコンチクショウメ!!

 

「一夏、大好きだよ!」

「俺もだよ、シャル、大好きだ。」

 

俺達は顔を近づけ、唇を重ねた。

 

sideout

 

 

noside

その日の放課後、

一夏とシャルロットは第1アリーナにいた。

 

その理由として、調整を施した白式の調子を見るためである。

何故そのような事をしなければならないかと言うと、

 

今回白式に施された調整は、ピーキーと呼べるもので、

雪羅の荷電粒子砲と、シールドに回すエネルギーを、

ほぼカットし、ビームソードを形成するエネルギー以外を、

すべて制動や、機動面に回した。

 

つまり、防御や牽制をかなぐり捨てた白式は、

完全な強襲用の機体となっていた。

 

「そんな調整って・・・、大丈夫なの?」

先ほど、一夏から説明を聞いたシャルロットは、

頬をひきつらせていた。

 

「わかんねぇ、けど燃費はかなり良くなってんだ。

あの燃費劣悪な物よりはましだと思う。」

一夏は彼女の質問に、肩をすくめながら答えた。

 

「まあ、なんにしてもやってみねぇとわかんねぇからな、

少し相手をしてくれよ、シャル。」

「うん、手加減はしないよ?」

「勿論だ、いくぜ!!」

 

一夏は白式のスラスターに火を入れ、飛翔する。

その速度は今までよりも速く、一瞬で上空高く飛び上がった。

 

(けど、速度が上がった分、制動が少し難しくなってるな。

だが、大分エネルギーの減りが少ない。)

空中ディスプレイに表示された情報を見て、感心したような表情を見せる。

 

「余所見は禁物だよ!」

シャルロットが、マシンガン、デザートイーグルを乱射しながら、

上昇してくる。

 

それに即座に反応した一夏は、白式のスラスターを吹かして、

身体をひねり、弾丸を全て回避する。

 

「いきなりだな!けど、そんな所も好きだぜ!」

「ふふっ、ありがと!!」

白式の機動を活かし、一夏は弾丸を避ける。

 

シャルロットはラピッドスイッチを駆使し、

デザートイーグルから、アサルトライフルを呼び出す。

狙いを定め、白式を撃つ。

 

「見える!!」

一夏はスラスターを駆使し、それらを少ない動きで全弾回避する。

「っ!!前より速いね!!」

シャルロットは、一夏の以前より鋭い動きに驚きの表情を浮かべる。

 

「今度はこっちから行くぜ!!」

白式はトップスピードを保ったまま、方向を変え、

雪片弐型を呼び出し、シャルロットのリヴァイヴに接近する。

 

「突っ込んで来るだけだと、いい的だよ!!」

(そう、だから・・・、ただ突っ込むんじゃねぇんだ!!)

彼が操縦する白式は、遠距離兵装が一切装備されていない、

つまり、ただまっすぐ突っ込むだけでは、

ただ速く動く的でしかない。

 

それは一夏も承知の上だ、

ならば・・・、

(突っ込む隙を作ればいい!!)

「おおおぉぉぉっ!!」

 

雄叫びをあげながら、一夏は零落白夜を発動させた雪片弐型を、

なんと回転させながら投擲した。

 

「嘘っ!?」

意表を突かれたシャルロットは慌てて機体を反らして、

飛んできた雪片弐型を回避するが・・・。

 

「もらったぞ!!」

目の前に雪羅のビームソードを展開した一夏の白式が迫っていた。

 

理屈は簡単、雪片弐型をぶん投げたその瞬間、

彼は連続瞬間加速<リボルバー・イグニッション・ブースト>

による、四連加速をぶっつけ本番で成功させ、

一気に間合いを詰めたのだ。

 

懐に入れば、白式は無敵に等しい。

よって・・・。

 

「ハアァァッ!!」

左腕に展開したビームソードを降り下ろす。

シャルロットはとっさにシールドをかざすが、

純正エネルギーの塊であるビームソードを防げず、

溶断され、リヴァイヴの本体への直撃を許してしまう。

 

BT兵器の威力はそのエネルギーの量に比例して大きくなる。

だから、純正なエネルギーを使う雪羅は、現行する全兵装の中でも、

高威力を誇る。

 

よって、その攻撃を受けたリヴァイヴは、絶対防御を発動させ、

一気にシールドエネルギーを減らし、ついに0になった。

 

sideout

 

side一夏

「あちゃ~、負けちゃったよ。」

地上に降りたシャルは悔しそうに呟いていた。

それもそうか、今まで手玉に取れていた奴に負けたんだ、

例えそれが恋人だったとしても、負けは悔しいだろう。

 

「まぁ、勝てたつっても、ほんとにギリギリだったよ。」

確かにさっきの勝負は俺が勝った、それは事実だ。

けど、それは多分に運が俺に味方していたからもある。

 

現に連続瞬間加速<リボルバー・イグニッション・ブースト>、

これだって、成功する確率だって、十回に一回成功するかどうかわからないぐらいなのだ。

それに失敗すれば、墜落しておじゃんだ。

 

正直、今回勝てたのも、運が良かったからだ、

まだまだ俺も甘い、甘いなりにも、強くなって行きたい。

そう、彼女と共に強くなって、一緒に生きたい。

 

「でも、俺はこれから更に強くなるぜ?

今までの迷いを振り切らせてもらったんだ。」

「そうなんだ・・・、でも、僕だってまだまだ強くなるんだよ?

僕は貴方と歩くために、強くなりたいんだ。」

「シャル、勿論だ。」

 

迷いを降りきっても、仁と愛は絶対に捨てない。

それを捨てれば、俺はただの修羅になってしまう。

 

シャルは俺を愛してくれている、俺に欠けていたモノを与えてくれた。

彼女に愛される事は誇らしい。

ならば俺は彼女と生きる事だけを考えて、

その未来を守るために力をつけよう。

 

「さてと、そろそろアリーナもしまっちまうし、

帰ろうぜ、シャル。」

「うん♪」

シャルは俺が差し出した手を、いや、腕に抱き付く。

 

まぁようするに腕組みの状態なわけで・・・、

この体勢だと、シャルの美乳が腕にモロに当たってるんだよね~・・・。

 

まあ、嬉しいからいいんだけどさ!

 

sideout

 

 

side鈴

一夏にフラレてからもう二日たった・・・。

長いこと想ってた男にフラれたのよ?

そりゃショックだったわよ、

その日の内に、そりゃ泣いたわよ、

もうこれ以上泣けないんじゃないかと思う程泣いたわ。

 

でもね、くよくよしてても仕方無い、

フラレたのはアタシの女としての魅力が、

一夏にとってはシャルロットより劣っているように見えたのだから、

これはもうしょうがない。

 

これからは別の男を振り向かせるために、

自分の魅力を磨いていけばいいのよ。

 

「さーてっと、自分磨きでもしますか!」

 

まだ未練はあるけど、これからがある、

アイツにアタシをフッたことを後悔させてやるわよ!!

 

sideout

 

 

sideセシリア

一夏さんに交際を断られてから、二日が経ちました。

はじめて好きになった殿方にフラれましたもの、

悲しくないわけがありませんわ。

 

ですが、負けは負け、悔しいですが認めるしかありませんわ。

わたくしの女としての魅力が、シャルロットさんに負けていたから、

わたくしは一夏さんにフラれたのです。

 

ならば、一夏さんが、惜しいことをしたと悔しがるような女になればいいのですわ。

 

「さてと・・・、チェルシーにアドバイスをもらいましょうか?」

イギリスにいる幼馴染みの顔を思いだし、ちょっと笑ってしまいました。

 

sideout

 

sideラウラ

さて、一夏にフラレてからもう二日か・・・。

さすがに悔しいな、例え相手がシャルロットだとしても・・・。

 

だが、例え今フラレていても、いつか別の男を振り向かせればいい。

だから、私はこれからも色々学べる。

 

どうすれば、男を振り向かせる事が出来るか、

どうすればいい女になれるのか、

 

答はまだ出ないが、いつかわかるだろう。

 

「もしもし、クラリッサか?私だ。

いい女になる方法を教えてほしい。」

 

いつか、お前達を見返してやるぞ?シャルロット、一夏。

 

sideout

 

 

side箒

何故・・・?

何故・・・?

一夏は何故私を見ない?

 

私はシャルロットよりも魅力があるはずだ、

なのに何故?

 

何故アイツは・・・。

 

sideout

 

 

 




どうも~。
ちょっと一夏を強くしました。
でもあれ十回に一回なんですよ・・・。
今回は何モゲロ来るかな~?

次回予告
付き合いはじめて一ヶ月たった二人に
あるイベントがやって来た。

次回インフィニット・ストラトス光の彼方
クリスマス来る
お楽しみに!

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