インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

7 / 44
想いの強さ

side一夏

心地よい日の光に、俺は目を覚ました。

 

本日は快晴、絶好の洗濯日和・・・、つっても特に何もすること無いな。

それに、今日は日曜で、アリーナも開いていない。

さてと・・・、どうしましょうかね・・・。

 

隣を見れば、とても穏やかな寝顔で寝息をたてている、シャルがいた。

一緒のベッドで寝ている為に、彼女の身体が密着して、興奮のあまり、

よく眠れていないが、それがどうした、可愛い彼女の寝顔をたっぷり見れることに比べたら、

そんな些細な事なんて気にしないぜ!

 

っと、そんな事より・・・、

ちょっと早く起きてしまったので、これからどうしようか悩むな・・・。

 

そうだ!海斗兄にもらった模造刀があるから、屋上辺りで素振りでもするか!

よし、善は急げだ、さっさと着替えてやりますかね。

 

俺はシャルを起こさないようにベッドから降り、さっさと着替える。

 

「・・・、シャル、ちょっと行ってくる。」

そう言って、彼女のおでこにキスをしたあと、模造刀を持って部屋を出る。

 

(って・・・?うおぉぉぉ!!俺は何やってんだ!?

シャルのおでこに・・・!?)

ヤバイぞ、マジでヤバイ、

無駄に顔が熱い、どうする、どうする?

 

悩んだ結果、身体動かして落ち着けようという事になりました・・・。

 

・・・、でもって、屋上に到着、

この時間帯、屋上に来る人は殆どおらず、刀を振るには絶好の場所なのだ、

 

早速竹刀袋から模造刀をとりだし、腰に据える。

 

「・・・。」

瞑想するが如く、目を閉じ、心を落ち着かせる。

 

それと同時に、高みにいる人物の姿、

千冬姉、海斗兄、深夏姉の姿を目の前に思い浮かべる。

今の俺じゃあ、届かない、けど、最後に活きるのは単純な力なんかではない。

 

届かせるという心が、勝負の決め手だ。

 

「・・・、ふっ!!」

息を吐き出すと同時に、抜刀、何度か振った後に納刀する。

 

速く、それでいて鋭く、刀を振る。

 

暫くの間、抜刀しては納刀するという事を繰り返したのち、

もう一度目を閉じる。

 

「・・・。」

息を吐き出し、無我の境地へと己を誘う。

 

感覚を研ぎ澄ませ、己を高める。

 

そして・・・、

 

「・・・、はあっ!!」

短い気合いと共に一気に抜刀、空間を斬る。

この抜刀は、兄貴、姉貴達のどの抜刀術とは全く違う、

俺の考え出した技だ。

 

けど、やっぱり甘いな、そりゃそうか、

これは正直海斗兄や千冬姉が使う技よりも高度な技だ。

 

それが簡単に完成してしまったら、それこそあの人達に対する冒涜行為だ。

だから俺は、自分なりにこの技を極めたい。

 

「さてと・・・、そろそろ帰りますかね。」

そう言いながら、校舎に取り付けられている時計を見てみると、

部屋を出て、だいたい一時間程たっていた。

 

そろそろシャルも起きているだろう、

 

俺は竹刀袋に模造刀をしまって、屋上を後にした。

 

sideout

 

side一夏

鍛練を終えて、部屋に戻ると・・・、

「あ、おかえり一夏。」

「おう、ただいまシャル。」

 

私服に着替えたシャルが俺を出迎えてくれた、

 

「もう、どこに行ってたの?朝起きたらいなかったからビックリしたよ。」

頬をちょっと膨らませて、可愛らしく抗議するシャル。

ヤバイなぁ・・・、マジで可愛いじゃねぇか。

「悪い、あまりに早く目が覚めたから、屋上で刀振ってたんだ。

起こすのも悪いと思ったから、そのまま出て行ったんだよ。」

肩をすくめて説明するが、内心彼女を抱き締めたい衝動に駆られている。

 

「もう、せめて置き紙ぐらいはしていってよ、心配しちゃうじゃない。」

「悪かったよ、っと、汗だくだから、シャワー浴びてくるな。」

「あ、うん、わかった。」

 

俺はシャルにそう言ってシャワールームへと入った。

 

sideout

 

 

 

sideシャルロット

一夏がシャワールームに入った直後から、僕はあることで頭を悩ませていた。

 

「・・・。」

チラッと横目で一夏のベッドの上を見ると、さっき一夏が脱いだ上着があった。

 

うぅ・・・、一夏ってば、僕の事をからかってるの?

なんでこんな目につくところに、こんなお宝・・・、もといシャツを置いていくのかな・・・?

できる事なら、シャツに顔を埋めて、一夏の匂いを感じたい。

 

「あぁ、でも、そんな事したら、一夏に引かれちゃうかも・・・。」

 

あぁぁ!!何この葛藤!?

好きな人の匂いを感じたいけど、嫌われたくないこの気持ち!!

これは・・・、ある意味拷問だよ・・・。

 

(どうする、どうするんだ!?シャルロット・デュノア!?)

それから、暫くの間唸ったあと、

 

「ちょ、ちょっとくらいなら・・・、良いよね・・・?」

結局、欲望には勝てず、匂いを嗅がせてもらう事にしました・・・。

 

そっと一夏のシャツを掴んで、ちょっとだけ匂いを嗅ぐ。

 

「ふあっ・・・。」

その瞬間、鼻孔いっぱいに一夏の匂いが広がっていく。

 

運動後だからだろうか、ちょっと汗の臭いもするけど、

それがまた一夏の匂いを一際強くさせている。

 

ダメだ・・・、頭がクラクラしてくるよ・・・。

あぁ、でも、良いかも・・・。

 

「何やってんだ、シャル?」

「ッ!?」

一瞬、全身の体温が下がったような気がした。

 

ギギギッ、という音がしそうな感じで後ろを振り向くと、

そこには上半身裸で、首にタオルをかけた一夏が立っていた。

 

「い、一夏・・・?こ、これは・・・。」

どうしよう・・・、これはもう言い逃れができない・・・。

 

「俺のシャツの匂いを嗅いでたのか?」

「ッ!・・・、うん・・・。」

 

ううっ・・・、やっぱりばれてる・・・。

どうしよう・・・。

 

「シャル。」

ぎゅっと一夏に抱き締められる。

彼の匂いを、熱を、直に感じる。

 

「まったく、そんなことするぐらいなら、俺が抱き締めてやるからな、

あ、でも、その代わり、シャルの匂いも嗅がせてもらうからな?」

そう言いながらも、一夏は僕の首筋に顔を近づけてくる。

「一夏!?ちょっ、くすぐったいよぉ・・・!」

 

彼の鼻息が当たって、くすぐったいのに、もっとしてほしいと思ってしまう。

 

あぁ、これいいなぁ・・・。

 

「ん~、シャルっていい匂いがするな・・・、なんか落ち着くな・・・。」

「いちかぁ・・・。」

 

ダメだ・・・、ここから動きたく無いよ、

気がついたら、僕も一夏に抱き付いてるし・・・、

あ・・・、でも、良いかも・・・。

 

それから暫くの間、僕と一夏は抱き合ったまま、じっとしていた・・・。

 

sideout

 

 

noside

その後、一頻り互いを感じ合ったのち、

一夏とシャルロットは少し遅めの朝食を摂りに、食堂に向かった、

 

「やっべ、もうすぐ終わっちまう、急げシャル!」

「待ってよ一夏~!」

 

時間が危ないという事が分かり、一夏はシャルロットの手をとり、

小走りで廊下を走っていた。

 

「な、何とか間に合ったな・・・。」

「そ、そうだね・・・。」

 

先程まで自分達がしていた事を思い出し、顔を見合わせて苦笑する。

それのせいで、朝食をとりそこねるところだったのだ。

 

それは置いといて・・・、

 

一夏は珍しくパン食の朝食を頼み、シャルロットは焼き魚の朝食を注文した。

 

席につき、二人は向かい合って食事をはじめる。

 

「シャル、今日何か予定あるか?」

「ん~、特に無いかな、でもどうして?」

「いや、今日一日どういう風に過ごすか、考えてたんだよ、

何処か行きたいところあったら、付き合うぜ?」

「ほ、本当?」

 

一夏の提案に、シャルロットは少し驚く。

 

「あぁ、本当だ、付き合って初めてのデートみたいなもんだよ。」

「うん!じゃあ、ちょっと買いたい物があるから、出掛けよ?」

「勿論だとも、よし、飯食べ終わったら、外出届出しに行こうぜ。」

「うん!」

 

二人は食事を終えたあと、職員室に向かった。

 

sideout

 

 

side一夏

さてさて、俺はシャルと一旦部屋に戻って、

外出用の私服に着替えた。

 

シャルはまだ着替えているため、まだ部屋の中にいる。

いや、流石に付き合ってるからと言っても、

女の子の着替えを見るのは、マナー違反だからな、

 

「お待たせ、一夏♪」

暫くして、シャルが部屋の中から出てきた。

 

「おう、待ってたぜシャル・・・、!」

・・・、俺は幻覚でも見ているのだろうか?

目の前に、天使がいる。

 

シャツの上に、クリーム色のセーターを着て、

ワインレッドのミニスカートを履いて、見事な脚線美を強調し、

いつも結っている髪をおろした、超美少女がそこにいた。

 

「えへへ、どうかな一夏?」

うん、その上目遣いは、反則だぜ?

 

「あぁ、すげぇ似合ってるぜ!

一瞬見惚れちまったよ!」

「本当?よかった。」

うっ!その笑顔は強烈過ぎだって!!

 

「あ、あぁ、取り敢えず行こうぜ。」

「うん!」

やっぱりあれだよな?

恋人同士なら、手を繋ぐとか、腕を組むとかしてやるべきなのか!?

 

ちょっと照れ臭いけど、シャルが喜んでくれるなら、別に気にする事でもないな。

なので・・・、

 

「シャル。」

「ん?」

「手、繋がねぇか?」

「!うん!」

シャルは一瞬驚いたが、差し出した手を掴んでくれた。

 

「ふふっ♪」

うーん、すげぇ嬉しそうだな、勇気を出して言ってみた甲斐があるな。

 

「よし、じゃあ改めて、行くか?」

「うん!行こっ!」

 

俺とシャルは、初めてのデートに繰り出した。

 

sideout

 

 

 




今回は何モゲロくるかな~(笑)
モゲロと思ったら感想までどうぞ!
現在の個人最高は、4モゲロです(笑)

次回予告
激甘な一夏とシャルロット
しかしそれを妬む女がいた。

次回インフィニット・ストラトス光の彼方
届かぬ想い

お楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。