インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

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結ばれた想い

side一夏

俺とシャルは、千冬姉に報告をした後、

他愛のない話をしながら食堂までの道を歩いていた。

 

「ねぇ一夏。」

「どうしたシャル?」

「ううん、呼んでみただけ。」

「なんだそれ。」

 

うおっ、なんだこれ、メチャクチャ嬉しいじゃねぇか。

好きな女の子が、俺の隣で嬉しそうに笑ってる。

これはいいモノだな・・・。

 

「なあシャル、晩飯何にする?」

「ん~、一夏と同じのでいいかな♪」

俺を見てニッコリと笑ってくれるシャル、マジで可愛い。

やべぇな、シャルってこんなに可愛いかったっけ?

今までよりずっと可愛く見えて仕方ない、これが俗に言う恋愛補正か!!

 

(ヤバイ、このままじゃあ、俺いつかシャルを襲っちまいそうだ!

せめて、初体験位はだな・・・!)

せめて、初体験位はちゃんとした雰囲気の中でヤりたい。

シャルもそれを望むはずだし、そもそも相手の意思を無視した行為は、

それこそ強姦と何ら変わりはない。

だから・・・、俺はシャルを大切にした上で、そう言う行為を重ねていきたい。

 

そんだこんだしている内に、俺達は食堂に着いた。

ちょっと遅い時間だったので、人もまばらだった。

 

俺は気分的にカツ綴じが食べたかったので、カツ綴じ定食を注文。

シャルも、同じモノを注文していた。

 

「さてと、どっかに空いてる席はあるかなっと・・・。」

「あ、一夏、あそこ空いてるよ。」

「おし、じゃあいくか?」

「うん♪」

俺とシャルはトレーを持って、席に着いた。

 

「それじゃあ、いただきますか、」

「うん、いただきます。」

 

そう言って食事を始める。

 

「そういえばさ、千冬姉が俺らを同室にしてくれる的なこと言ってたけど、

後で荷物の運び出し手伝おうか?」

「いいの?でも、なんだか悪いな・・・。」

「いいって、そんな事より、シャルと一緒に暮らせるって思ったらさ、

なんかスゲー嬉しくてさ。」

「もう、一夏ってば・・・。」

 

うおっ、照れてるシャルもすげぇ可愛い!

ヤバイ、ヤバイぞ、本格的にヤバイ。

 

「な、なあシャル、本当に俺なんかで良かったのか?」

気を紛らわす為に、そう聞いてみた。

 

「もう!付き合ってまだ一日もたってないのに、

その質問は失礼だよ?」

「す、済まん!?」

ヤベ、怒らせちまったか・・・?

 

「僕は一夏が好きだから一夏の告白を受けたんだよ?

だから・・・、今、本当に嬉しいんだ。」

「シャル・・・。」

いつもと変わらない笑顔で、それでも眼は真剣そのもので、

想いを伝えてくれるシャルの言葉に、胸が熱くなる。

 

「シャル、俺もだよ、今まで気付いてやれなかったのに、

シャルはずっと俺を見ていてくれた、だから・・・、

俺は嬉しいよ、ありがとう、シャル。」

「うん!」

 

その後、食事を終えた俺達は、トレーを片付けて部屋に戻ろうとしたところ、

あの四人がテーブルに突っ伏していた。

 

そういえば、アイツらに謝ってなかった・・・、

シャルとの事で頭がいっぱいで、完全に忘れてた。

 

思い出したからには、一応謝っておくか、

 

「おーい、お前ら~?」

『!?』

おっ、反応した、生きてるな。

 

「あ~、なんだ、悪かったな、俺も大人気なかったよ。」

 

俺が頭を下げた事に、セシリア、鈴、ラウラは、

「い、一夏さん!?」

「な、なんであんたが謝るのよ!?」

「そうだぞ!!悪いのは私達だ!!」

 

うおっ!?そんなに慌てんでも・・・。

「申し訳ありませんでした!!」

「ごめん!!」

「すまなかった!!」

 

三人とも、わざわざ立ち上がって頭を下げてくれた、

そうだよな、これなら許そうと言う気になるわな。

 

「やっと謝る気になったか。」

 

・・・は?

 

俺達はその声がした方に目を向けた。

 

そこには、箒がいた。

 

「箒!!アンタ何言ってんのよ!?」

「そうだぞ!!悪いのは私達だ、一夏が謝る事など何もない!!」

 

鈴とラウラが箒に向かって非難の声をあげる。

 

しかし、それに構わず箒は言葉を続ける。

「何を言っているのだ?勝手に意地を張って謝らなかった一夏に全ての責任があるのだぞ?

一夏から謝って当然だろう?」

 

何を言ってやがんだこのアホは?

確かに俺にも非はあるだろうが、全部って訳じゃない。

 

それでも自分達が悪いと謝ってくれた、シャル、セシリア、鈴、ラウラは、

本当に有り難いと思っている。

 

しかし、こいつは何様のつもりだ?

 

「一夏さん、放って置きましょう。」

「あぁ、そうするよ。」

頭にきかけたので、セシリアの言葉に従い、俺達はその場を離れようとする。

 

「なっ!?ま、待て一夏!!まだ話は終わってないぞ!!」

お前にあっても俺にはない。

 

いまだに引き留めようとしてくる箒を無視し、俺達はその場を離れた。

 

とりあえず、シャルとラウラの部屋に行き、俺達は話し合いの場を持った。

 

「それにしても、なんなのよアイツは!」

「うむ、いつも自分勝手な奴だとは思っていたが、

流石に今回ばかりは目に余る。」

部屋に着くなり、鈴とラウラは憤りの声をあげる。

 

「おそらく、彼女は一夏さんは自分の気持ちをわかっていらっしゃると思っていたのでしょう。」

「そんなの独りよがりだよ、彼女は一夏を自分の物だと思ってるんだよ!」

その言葉をうけ、セシリアとシャルも声をあげる。

 

確かにその通りだ、アイツは俺と幼馴染みという事に託つけて、

なにかと自分に合わせろ的なことを言ってくる。

 

幼馴染みといえば鈴もそうだが、彼女はまだマシだ。

それに鈴は、自分が悪いと謝ってくれた、そこがアイツとは大きな違いだ。

 

鈴、ラウラ、そしてセシリア、俺の大切な仲間にして友人。

彼女たちが俺の周りに居てくれることは、本当に有り難いと思っている。

しかし、もう以前のような関係ではいられない。

 

だから・・・、

「鈴、ラウラ、セシリア、少し話がある、これからの事だ。」

俺はこの事を話す事にした。

 

「お前たちが俺の事を好いていてくれた事を、やっと気付けた。」

俺のその発言に、三人とも驚いているようだった。

まぁ仕方ないわな、俺って、鈍すぎたんだからな。

でも、それは罪だ。

 

「その事については純粋に嬉しい、でも、付き合う事はできない。

俺はシャルと付き合う事にしたんだ。」

三人は、一瞬驚いたような表情を浮かべたが、直ぐに下を向いてしまった。

当然だろう、惚れていた男にフラれたんだ、ショックをうけないハズがない。

 

「今までさんざん待たせた挙げ句、こんな事しか言ってやれなくて、

済まない、これからは、友人として付き合ってくれ。」

俺は三人に向け、頭を下げる。

これは俺の罪だ、散々待たせて、そして振ったのだ。

殴られても、罵られても文句は言えない、それだけの事を俺はしたのだ。

 

「・・・、そこまで言われちゃ、怒れないじゃないのよ・・・。」

「えっ・・・?」

「そうだな、ここはまだ、相手がシャルロットなだけマシと思うしかないな。」

「怒らないのか・・・?」

鈴にしろ、ラウラにしろ、普通は怒っても当然の処だ、なのになんで・・・?

 

「一夏さん、わたくしたちは、気付かれないまま、付き合われるより、

ちゃんと気付いた上で断られたのであれば、もう何も言いませんわ。」

「セシリア、鈴、ラウラ・・・。」

「シャルロット、一夏をよろしくね。」

「だが、油断すれば、私達の内の誰かがお前のその立場を奪うぞ?」

「鈴、ラウラ・・・。」

「ありがとう・・・。」

 

俺とシャルは三人に礼を言った後、荷物を持って俺の部屋に戻った。

 

sideout

 

 

side箒

納得いかない。

今回の件は完全に一夏がわるい。

なのにアイツの態度はなんなのだ!!

 

他の四人も、まるで私が悪いと言わんばかりの目で私を見てくる。

 

納得いかない、悪いのは一夏なのだ、私は悪くない!

問い質そうと思い、アイツらの後を付ける、

 

着いたのは、シャルロットとラウラの部屋だ。

 

私はタイミングを見計らい、部屋に入ろうとドアノブに手を掛けたら。

その瞬間・・・、

『・・・、俺はシャルと付き合う事にしたんだ。』

 

なん・・・だと・・・?

 

今のはいったいなんなのだ?

一夏とシャルロットが付き合うだと・・・!?

 

これは何かの間違いだ、そう、幻聴だ!

 

『そう言われたら、怒れないじゃないのよ・・・。』

『そうだな、ここはまだ、シャルロットだっただけマシだと思うしかないな。』

何故なのだ・・・、何故鈴もラウラも、何も言わないのだ!?

 

一夏にふさわしいのは、幼馴染みであるこの私なのに・・・!

 

気が付けば、私は部屋の前から逃げ出していた、

 

認めん・・・、認めんぞ・・・!!

一夏は・・・、私の・・・、私の・・・!

 

sideout

 

 

sideシャルロット

三人に報告したあと、僕と一夏は一夏の部屋に戻った。

 

一時期、一緒に暮らして居た、この部屋に戻ってこれた。

それはとても嬉しい反面、皆に少し申し訳なくも思う。

 

でも・・・、それでも僕は彼の事を愛している。

一夏が僕を撰んでくれたんだ、胸を張って、一夏の彼女って立場を誇れるようになりたい。

 

一夏の部屋は、前に僕と暮らしていた時と殆ど変わってなかった、

それがちょっと嬉しくて、少しだけ笑ってしまった。

 

「シャル、おかえり。」

 

一夏が僕を後ろから抱き締めてくれた、

彼の温もり、匂い、全てを感じられるようで、

胸が高鳴った。

 

「ただいま、一夏。」

彼の手に、僕は自分の手を重ねた。

一夏の手は大きくて、それでいて温かかった。

 

振り向けば、一夏の顔がすぐ近くにあった。

その気になれば、直ぐにキスができる距離。

彼の優しい表情が、すぐ目の前にある、

今までだったら考えられない距離、

 

小さな・・・、それでも確かな幸せがここにある。

 

「一夏。」

「ん?」

「大好きだよ♪」

「俺も大好きだぜ、シャル。」

 

一夏は目を閉じて、顔を近づけてくる、

僕も目を閉じて、彼を受け入れる。

そして・・・、

 

彼の唇が、僕の唇に触れる、柔らかく、それでいて温かい・・・、

ずっと触れたかった、彼の特別・・・。

 

数瞬ののち、一夏と僕はどちらともなく、唇を離した。

 

「えへへ♪」

「はははっ。」

 

照れくさくて、それでも嬉しくて、僕と一夏は見つめあったまま笑った。

 

「これからもよろしくな、シャル。」

「うん、こちらこそ、よろしくね、一夏。」

 

sideout

 

 




どうもこんにちは、

さてさて・・・、今回は何モゲロくるかな~。
モゲロと思ったら、感想までどうぞ。

次回予告
シャルロットと結ばれた一夏
これまで以上に訓練に熱が入る

次回インフィニット・ストラトス光の彼方
想いの強さ

お楽しみに!

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