インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

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番外編 バレンタインの恋人達

noside

バレンタインデー

 

愛する人への気持ちを込め、チョコレートを贈る特別な日。

それはどの世界情勢であっても変わる事は無い。

 

そして今、ある一つの物語が語られようとしていた。

 

sideout

 

sideシャルロット

2月13日、バレンタインデー前日に、

僕とセシリア、そして楯無さんは調理室に籠り、

各々の恋人の為にチョコを作る事にしたんだ。

 

因みに一夏とリク、それと雅人さんには何処かに行って貰ってる、

だって当日のお楽しみにしていて欲しいからね。

 

「さてと、これより男子禁制!バレンタインチョコ制作会を始めます!!」

「「オー(ですわ)!!」」

 

楯無さんの掛け声に、僕とセシリアは応える。

 

今年は何を作ろうかな?

去年はハート型のデコレーションチョコと、

ぼ、僕の身体だったしね・・・。

 

な、なんだか思い出すだけで照れちゃうよ。

 

「さて、ここに板チョコが一キロあります、

これを使って三人それぞれチョコを作っちゃうわよ!!」

 

一キロって・・・、

流石に多くないかな・・・?

 

いくらなんでも糖尿病になる量だよね?

 

取り敢えず、僕が作るのは程々の量にしておこう、

一夏には健康でいて欲しいし。

 

「セシリアは何を作るの?」

「私はトリュフチョコを作ろうかと思いますわ、

なるべく失敗しないようにしたいですわ。」

 

セシリアは去年の終わりごろ、リクに手料理を振る舞ったんだけど、

味が壊滅的だったからリクが卒倒して、

騒ぎを聞き付けた僕と一夏が踏み込んで事実を突き付けたんだ・・・。

 

その後、セシリアは罪悪感から二日ほど寝込んじゃったんだよね・・・、

でも復活したリクが・・・。

 

『誰だって最初は失敗しますよ、だから、これから一緒に料理をしましょう?

それならセシリアさんの料理もきっと美味しくなります!』

ってセシリアの手を握って言ってから、セシリアの料理が見違える程上達したんだよね。

 

まあ・・・、その時のノロケは凄かったけどね・・・。

 

楯無さんはチョコケーキを作るみたいだし、

僕は何を作ろうかな?

 

そうだ、良いこと思いついちゃった♪

 

楽しみに待っててね一夏♪

 

sideout

 

side一夏

シャル達が調理室に籠っている頃、

俺はリクと雅人さんとでレゾナンスにやって来ていた。

 

土曜日だったからやることも特に無かったので暇潰しにな。

 

「一夏、こんな所に来て何をする気なんだよ?」

「確かに、でもIS学園にいてもやることも無いですしね、

暇潰しにはなりますね。」

「まあそうですけどね、でもIS学園には雅人さんは入れないですし、

積もる話もあるでしょうから外の方が良いですよね?」

「確かにな。」

 

はははと軽妙に笑う雅人さんは、何処か兄貴っぽく見えてくる。

 

雑談をしながらレゾナンス内を散策していると・・・。

 

「一夏さん、雅人さん、あれを見てください!」

「「ん?」」

 

リクが指さした方を見ると、

そこには『自主制作アクセサリーショップ』なる店が合った。

 

「へぇ?」

「良いな。」

「ですよね。」

 

俺達は頷きあった後、その店に入って行った。

自分達の恋人の為に、何かしようという気持ちを込めて・・・。

 

sideout

 

side楯無

2月14日、バレンタインデー当日、

私は実家に戻って、久し振りに雅人との二人きりの時間を過ごしていた。

 

勿論、昨日作ったチョコケーキも持って来てる。

よし、このまま渡しちゃうわよ!

 

「雅人、ハッピーバレンタイン!」

「うぉっ!デケェ箱だな、何作ったんだ?」

「にゅふふ~♪開けてみて?」

「おう。」

 

雅人はその端整な顔に微笑みを浮かべながら、

今朝、私が必死にラッピングした箱を開けていく。

 

「ほぉ、チョコケーキか、しかもデコレーション付きとはな、

有難うな神楽、最高のバレンタインケーキだ。」

「うん♪」

 

ケーキを箱から出し、

食べやすい大きさに切り分けていく。

 

「はい雅人、あーん♪」

「おう、・・・、旨い、さすがだな神楽。」

 

ふふっ、やっぱり幸せねぇ♪

好きな男性に尽くすのって♪

 

「そうだ、神楽、ちょいと目を瞑っててくれないか?」

「うん?良いけど、何をするつもりなの?」

 

そう言いつつ、私は彼に言われた通りに目を閉じる。

 

すると、手首に何かをつけられた様な感触を覚える。

 

「えっ?」

思わず目を開けると、私の右手首に水色を基調としたブレスレットが着けられていた。

 

「別にバレンタインデーは男が渡してはいけないなんて誰も言ってねぇだろ?

俺からもプレゼントさせて貰うぜ、ハッピーバレンタイン、神楽。」

「雅人~♪」

 

私はつい嬉しくて雅人に抱き着いた。

彼の温もりが直に伝わってくる、

この時が至福なのよ。

 

「雅人、大好き♪」

「俺もだよ神楽、愛してる。」

 

私は、雅人と唇を重ね、

彼と熱い一夜を過ごした・・・。

 

sideout

 

sideセシリア

バレンタインの夜、

私はリクの部屋にお邪魔して、二人きりの時間を過ごしていました。

 

「リク、ハッピーバレンタインですわ♪」

「ありがとうございます!」

「ふふっ♪開けてみてくださいな。」

「はい!」

 

リクは私が渡した小包を開けていく。

その顔には、とても嬉しそうな色が見てとれました。

 

「うわぁ!トリュフチョコですか?美味しそうですね!」

「ふふっ♪頑張りましたのよ?さっ、食べてみてくださいな♪」

「はい、頂きます。」

 

リクはチョコを一粒取り、口へと放り込みました。

失敗はしてないつもりですが、前科が沢山ありましたから、

かなりの不安に襲われますわ。

 

「美味しいですね!スゴいですよ!」

「ほ、本当ですの!?」

「はい、今まで食べてきたどんなチョコよりも美味しいです、

ありがとうございますセシリアさん。」

 

そう言いつつ、リクは私の手をそっと握ってくださいました。

 

「ふふっ♪喜んでくださって嬉しいですわ、こちらこそ、

ありがとうございますわ、リク。」

 

暫くの間、私とリクは見詰めあったまま何も言わずにいました。

 

「あ、そうだ、セシリアさん、少しの間だけで良いんで目を瞑っててくないですか?」

「はぁ、分かりましたわ。」

 

彼に言われた通りに目を閉じ、何かされるのを期待しながら待っておりますと、

 

―チャリッ―

 

何か金属の擦れる様な音を聞き、

何事かと思いながら目を開けると、私の掌に光るリングがありました。

 

それは銀と蒼のコントラストが非常に美しい物でした。

 

「リク・・・、これは・・・?」

「チョコの御返しです、気に入ってくれると嬉しいです。」

 

御返しって・・・、これでは私のチョコがリクの指輪に釣り合いませんわ!

 

「ま、まさか・・・、気に入りませんでしたか・・・?」

「い、いえ!とんでもありませんわ!ただ・・・、申し訳ないと思いまして・・・。」

「セシリアさん。」

 

リクがもう一度私の手を握って、私の目をじっと見詰めてきました。

 

「俺の感謝の気持ちです、婚約指輪にもならないと思いますけど、

俺は貴女と生きて行きたいんです。」

「リク・・・、なら・・・、指輪を嵌めてくださいますか?」

「はい!喜んで。」

 

リクはパッと明るい表情をして、私の掌から指輪を取り、

私の左手の薬指に指輪を嵌めてくださりました。

 

「リク、愛しておりますわ。」

「俺も、愛しています、セシリアさん。」

 

私達は愛の言葉を交わし、唇を重ねました・・・。

 

sideout

 

sideシャルロット

バレンタインの夜、僕は一夏と二人で甘い一時を過ごしていた。

 

「はい!ハッピーバレンタイン、一夏♪」

「おっ!ありがとうなシャル、嬉しいよ。」

 

僕が包みを手渡すと、一夏は優しい笑みを浮かべながら僕の唇を奪う。

 

「ん~♪んぅ・・・♪」

一夏って、本当にキスが上手だから、感じちゃうよ・・・。

 

「はぁっ・・・、一夏のえっちぃ・・・、急にキスしないでよ・・・♪」

「とか言って、いきなりされるのも好きだろ?」

「もう・・・、一夏ってば・・・。」

 

まあ・・・、否定はしないけど・・・。

 

「さてと、じゃあ開けていいか?」

「あ、うん、開けてみて♪」

 

一夏はカッコいい顔に笑みを浮かべて箱を開けていく。

ふふっ♪今年も頑張ったんだよ?

 

「おっ!これは・・・!」

中身を見た一夏が驚いた様な表情を浮かべる。

 

そこにあるのは、ホワイトチョコでコーティングされたチョコと、

オレンジソースを中に入れたチョコだ。

 

ホワイトチョコはまだかけるだけだから楽だったけど、

オレンジソースを中に入れるのは苦労したよ。

 

「旨そうだ!一粒いただくよ。」

一夏はそう言ってオレンジソース入りのチョコをつまみ、

口に放り込んだ。

 

「おっ!オレンジソースが口の中で広がっていい味を出してるな!

流石だなシャル、白式とプルトーネに掛けてるな!」

「ふふっ♪喜んでくれたみたいで嬉しいな♪」

 

一夏に喜んで貰う事が僕の一番の幸せだから、

彼が本当に嬉しそうにしてくれれば、僕はそれだけで十分だ。

 

「一夏、ホワイトチョコも食べて?」

「あぁ、いただくよ。」

 

そう言いつつ、一夏はホワイトチョコをつまみ、

唇で挟んだまま、また僕の唇を奪う。

 

それと同時に舌を僕の口の中に入れて、

お互いの舌でチョコを溶かして味わう。

 

ディープキスだから唾液の味まで分かっちゃうよ・・・。

 

その時、僕の首元に何かひんやりとした感触がした。

 

なんだろう?

確認したいところだけど、一夏が口を離してくれないからまったく分からない。

 

それから暫くして、漸く一夏がキスをやめてくれた。

 

本当に長い間舌を絡めてたから、唾液のアーチが出来上がってた・・・、

うぅ・・・、生々しいよぅ・・・。

 

落ち着いたところで首元を触って見ると、

なんだか懐かしい感触がした。

 

「あっ・・・、まさか、リヴァイヴ・・・?」

ペンダントの部分を手に取り見てみると、

それは嘗ての僕の機体、リヴァイヴカスタムⅡの待機形態によく似ていた。

 

でも、あれはもうプルトーネにコアを移植したはずだし、

なんでこれがこんなところにあるんだろ?

 

あれ?よく見れば色が違う・・・?

リヴァイヴはオレンジ主体の色彩だったけど、

このペンダントは白い色が混ざってる・・・。

 

「一夏・・・、これって・・・?」

「昨日三人でレゾナンスに行ってな、そこでアクセサリーを作ってくれる店が有ってな、

シャルにプレゼントしたいと思ってさ。」

「そんな・・・、なんだか申し訳ないよ・・・。

僕はチョコしか作って無いのに・・・。」

 

どう考えてもお金がかかってる筈だよね・・・。

 

「シャル、そんなの関係ねぇよ、俺はシャルにバレンタインのプレゼントをしたいだけだ、

この世界で一番大切なシャルに贈るんだ、これでも足りない位だ。」

「一夏・・・。」

 

彼は僕の手を握って、そう言ってくれた。

その言葉には彼の気持ちが十分詰まっていて、

僕の心を暖かくしてくれた。

 

「一夏ぁ・・・、ありがとう!」

「ああ、喜んでくれてるか?」

「うん!」

 

一夏からのプレゼントなんだ、嬉しくない訳がないよ!

 

「嬉しいよシャル、愛してるぜ。」

「僕もだよ一夏、愛してる♪」

 

僕と一夏は、もう一度唇を重ね、お互いの愛を確かめる。

この時が永遠に続けば良いと思いながら、

僕は目を閉じた。

 

 

一夏・・・、大好き♪

 

sideout




はいどーもです!

久方振りに光の彼方を書きました。
いや~、イチャコラの書き方忘れてる!!

イマイチ甘さが足りない気がしてなりませんが、
アストレイの方で補充出来たら補充したいです。

今回で光の彼方を書くのは本当に最後になると思います、
お付き合いありがとうございました!

別作のアストレイをよろしくお願いいたします!

それではまたの機会に!!

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