インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

42 / 44
エピローグ、そして、プロローグへ。

noside

一夏とシャルロットが結婚して、十年の歳月が流れた・・・。

 

一夏の手により、日本より世界中にコアの情報が開示され、

ISの量産が可能となり、技術は一気に向上、

それに伴い、レスキュー組織等にも武装を一切装備しない、

救助用ISも配備され、これまで困難とされてきた海難救助や、

山岳救助の救助率が大幅に上がり、助かる命が増えたのだ。

 

また、宇宙へ進出するための余裕が生まれ、各国はチームを組み、

宇宙進出用ISの開発にようやく着手した。

 

形は幾らか歪めど、束が望んだ無限の成層圏への挑戦が、

ようやく果たされつつあった。

 

世界は変わり、女尊男卑は撤回され、

真の男女平等な世界が形成されかけていた。

 

だが、何時の時代にも、変化を嫌い、

反抗する者達が現れることは必然であった。

主に女尊男卑の時代に、男達をこき使い、

威張り散らしていた女性達が異論を唱え、テロ組織を結成したのだ。

 

だが、その者達の横行やテロを鎮圧する者が現れるのも、また必然であった。

 

 

日本軍第七特務基地のIS試験場では、

女尊男卑の復活を目論む新興テロ組織殲滅のために結成された、

IS特務隊、<ホワイト・ラファール>の訓練が行われていた。

 

ホワイト・ラファール。

対IS犯罪、対テロ組織用に組織された、日本軍最強の部隊。

専用機を含め、八機のISが配備されている。

少数精鋭ながらも、隊員一人一人の錬度は非常に高く、

今や世界屈指の実力を誇る。

無論、それ以外にも災害時にはレスキュー部隊としても機能する。

 

男三名、女三名の隊員達は、それぞれ白式弐型とプルトーネの簡易量産機、

百式と、リヴァイヴ・ジャッジメントを使用し、

隊長である織斑一夏大佐と、副隊長である織斑・D・シャルロット中佐との模擬戦を挑んでいた。

 

「おらどうした!?まだまだだぞ!?」

「ぐあぁぁっ!!」

「きゃあぁぉぁっ!!」

 

一夏のあまりにも美しい斬撃が、百式を操る女性隊員と、

リヴァイヴ・ジャッジメントを操る男性隊員を容赦なく墜とす。

 

「そこっ!反応が遅い!!」

「うわぁぁぁっ!!」

「うそぉぉぉぉっ!!」

 

シャルロットのラピッド・スイッチによる、テクニカルな攻撃が、

二機を瞬く間に撃墜した・・・。

 

余談だが、隊長である一夏は、結婚した翌年に開催された、

第四回モンド・グロッソにて格闘部門及び、総合部門で優勝し、

ジークフリートの称号を獲ている。

 

その後千冬に決闘を申し込んだが、千冬は年齢を理由に辞退した・・・。

 

だが、とある番組に置いて、千冬の現役時代のデータと、

一夏の最新データを仮想空間で戦わせた所、

僅かな差で一夏が勝利を獲たとされている。

 

第五回大会では、先輩である更識楯無を決勝で破り、

千冬すら成し遂げられなかった大会弐連覇を達成した。

 

そんな彼が隊長であるならば、必然的に訓練の濃度は上がる。

今だ十代後半~二十三の隊員達に、

歴戦の猛者である一夏とシャルロットを相手どるのはかなり厳しい。

 

「お前ら!若いのにだらしねぇぞ!!」

全員を整列させ、一夏は一喝する。

その覇気は尋常ではなく、隊員達は肩を震わせる。

 

「俺達に一撃すら入れられねぇとはな・・・、

よし、全員ペナルティとして飛行場の周り百周してこい!!」

『うぇぇぇぇぇっ!!?』

あまりのスパルタに隊員達は悲鳴をあげ、地面にへたりこみそうになる。

 

「っと言いたいところだが、煮詰め過ぎるのも良くないからな、

今日のところはこれで解散する、なお、次回の訓練は一週間後だ、

身体を鈍らせるんじゃねぇぞ、いいな?」

『サー!!イェッサー!!』

「よし、それでは解散、影山、後は頼む。」

「はっ!!全員、隊長、副隊長に敬礼!!」

 

影山と呼ばれた隊員は一夏とシャルロットに向け敬礼し、

他の隊員達も彼に倣い敬礼する。

 

一夏とシャルロットはそれを見たのち、試験場を去った・・・。

 

sideout

 

side一夏

自家用車を運転し、俺はある場所を目指していた。

 

「さてと、毎度毎度、弾と虚さんには頭が上がらねぇな。」

「そうだね、僕達の訓練の度にお世話になってるしねぇ・・・。」

 

そう、その場所は俺の実家の近くにある定食屋、

五反田食堂だ。

 

結局のところ、千冬姉からあの家をもらい受け、

俺とシャル、そして子供達の四人暮らしを始めることになった。

 

なので、俺達が軍の訓練など、泊まり掛けで用事がある時は、

五反田食堂にいる弾と虚さんに子供達を預かってもらっている。

 

そして、暫く車を走らせ、漸く五反田食堂に到着した。

 

「オーイ、一輝、ルキア、いるか~?」

「「あ!父さん!母さん!」」

五反田食堂に入ると金髪の男の子と女の子が俺達の方に走ってくる。

 

この子達こそ、俺とシャルの息子と娘なのだ。

 

息子の名が、織斑・D・一輝(かずき)、

娘の名が、織斑・D・ルキア、

二人とも髪はシャルの遺伝を受け、濃い金髪、

瞳の色や顔立ちは織斑の血が色濃く出ている。

 

現在二人とも九歳で、そろそろISに触れさせてもいいかと思ってるんだが、

本人達の意思をあんまり無視したくは無いんだよな。

 

「おー、一輝~、いい子にしてたか?」

「うん!」

「ルキア~、沙希ちゃんと仲良くしてた?」

「うん!」

 

息子達と再会を喜んだ後、俺は親友の五反田弾と、

弾の奥さんで、俺の先輩である虚さんのところに行く。

 

「虚さん、何時もすみません。」

「いいえ、大丈夫よ一夏君、家の娘の遊び相手になってくれますし、

こちらも助かっていますよ。」

「そうだぜ一夏、気にすんなよ、俺達の仲だろ?

これぐらいのことはさせてもらうぜ。」

「そう言ってくれるとありがたいですよ。」

 

ほんと、俺がどんな身分になろうとも、どれだけ有名になろうとも、

変わらない態度で接してくれるんだよな、俺の友人はよ。

 

「それはそうと、腹へってねぇか?」

「あーそう言えば訓練前から何も食ってねぇし、何か貰うよ。」

「任せとけ、何時ものでいいか?」

「ああ、任せるよ。」

 

弾に頼み、俺はシャルと子供達の所に戻る。

 

暫く待っていると、野菜炒め定食が運ばれてきた。

弾に代替わりしてもこの野菜炒めの味は変わらねぇんだよな。

 

「うん!やっぱりうめぇな!流石弾だ。」

「美味しいね♪二人とも、熱いから気を付けてね?」

 

そんだこんだで、俺とシャルは久し振りの一家団欒を楽しんだ・・・。

 

sideout

 

sideシャルロット

「もう二人とも寝ちゃったよ、一夏。」

「おう、待ってたぜシャル。」

 

一輝とルキアを寝かしつけて、僕と一夏は夫婦だけの時間を過ごしていた。

 

最近は仕事や子育てで、昔みたいに二人っきりの時間がなかなか取れないから、

子供達を寝かしつけて、一夏と一緒にベッドに入るまでのこの時間が、

何より愛しく感じられる。

 

「やっぱり酒は一人で呑んでもつまらねぇからな、酌してくれよ。」

「わかってますよ、アナタ♪」

僕は一夏のグラスにワインを注ぎ入れ、

一夏は僕のグラスに同じようにワインを注いでくれる。

 

「それじゃあ、乾杯。」

「うん、乾杯♪」

 

乾杯して、二人同時にワインを呑む、

うん、やっぱり美味しいね、一夏と一緒に呑むから美味しいんだろうけどさ。

 

「ふぅ・・・、やっぱり僕あんまりお酒に強くないみたいだね、

すぐに来ちゃうもん・・・。」

「そうか?俺とたいして変わらないだろ?」

「まあそうだけどさ・・・。」

 

彼の肩に頭を乗せながらちょっとだけ息を吐く。

やっぱりこれいいなぁ、十五年前から何も変わらない、

僕だけの特等席、一夏の隣でゆったりと過ごすこの時間が、僕は何より好きなんだ。

 

「そう言えばさ、来月セシリアとリクがこっちで商談が有るらしくて、

日本に来るらしいぜ?勿論リザとエドも連れてくるって言ってたな。」

え?なにそれ?僕初めて聞いたよ?

 

「一夏?僕それ初耳なんだけど?」

「ああ、さっきシャルが一輝達を寝かし付けてるときにメールが届いてさ、

言うタイミングが掴めなかったんだよ、悪かった。」

「そうなんだ、良かった、僕だけ仲間外れにされちゃったのかと思ったよ。」

「ばかやろう、大事な妻を蔑ろにするわけ無いだろ?」

「ふふふっ、そうだね♪

 

幸せだなぁ・・・。

一夏と、こんな他愛ない会話をするだけでも幸せを感じられる、

小さいけど、確かな幸せなんだよね♪

 

そう思っていると・・・、

「なあ、シャル、俺さ、そろそろ代表の座を下りようと思うんだ。」

「突然どうしたの?」

 

アルコールが入ったからか、一夏は胸の内を語り出した。

 

彼の言葉通り、一夏は三十歳にして今だ国家代表の座を保持している、

僕達の世代で今だ国家代表を務めているのは、もう彼だけなんだ。

 

「衰えを感じる程、俺は柔な男じゃねえ、

だけどさ、そろそろ、若い奴等が出てくる時だとも思ってるんだ。」

 

僕は静かに彼の話したいことを聞く立場に徹する。

一夏には言いたいことを全て言わせてから意見する方が良いと、

この十五年で学んだんだ。

 

「シャルは、どう思う?」

「僕にとってはさ、国家代表なんてさ、ただの付随品にしか過ぎないよ、

でもさ、一夏は一輝やルキアと戦ってみたくはないの?」

 

そう、僕にとって、一夏はかけがえのないただ一人の男性、

他の肩書きなんて意味を成さない。

だから、一夏の望むところを、僕は望みたいんだ。

 

「っ・・・!そいつは・・・、やってみてぇな。」

一夏は一瞬驚いた表情をしたけど、すぐに楽しそうな顔をする。

 

「ははっ・・・、ソイツは良い!

息子達の壁になって、息子達に倒されるか、それも良いな・・・。」

 

一夏は一頻り笑った後、僕を抱き締め、唇を重ねてきた。

 

「ぷはっ・・・!一夏?」

「決めたよシャル、俺は代表の座を降りない、

そして、いつか負ける日まで、俺は壁になってやるさ!」

 

まったく・・・、それって一輝達に負けるまで引退しないって、

言ってるようなモノだよ?

まぁ、そっちの方が一夏らしいか♪

 

「じゃあ僕も、かな?二人で壁になろうよ。

いつか越えられるその日まで。」

「ああ、勿論だぜシャル、二人でな。」

「うん♪」

 

僕達の新しい目標が、今ここに出来上がった。

 

sideout

 

side一輝

珍しくなかなか寝付けずに、

父さんと母さんの話を少し聞いたけど、軽く驚いちゃった。

 

父さんが、まさか僕に倒されることを望んでるなんて・・・。

 

もう僕だって倒すという言葉の真意と、越える意味を理解できない訳じゃ無い、

むしろ、IS操縦者として父さんと母さんを尊敬しているから、

それぐらいは分かるよ。

 

だからその事が本当にビックリで、僕は頬っぺたを思いっきりつねっちゃったよ。

うん、案外痛かった・・・。

 

でも、これで僕の夢、ううん、目標が決まった。

それは・・・、

「僕は・・・、父さんを越えるんだ!」

 

この夜、僕の戦いの物語が始まろうとしていた・・・。

 

sideout

 

side予告

 

「親父を越えるのは、息子であるこの俺だ!!」

白き騎士の息子は、反骨精神を剥き出しに高みを目指す。

 

「父さんと母さんが見た景色を、私は見たい!」

金色の疾風の娘は、大空への憧れと共に偉大なる両親と同じ舞台に立つ。

 

「一輝さんと、共に戦いたい!!」

蒼き雫の娘は、若き白騎士を慕い、彼と共にある事を望む。

 

「行ってみましょう、世界へね。」

朱色の竜巻の息子は世界へと飛び立つ事を望む。

 

「更識家十八代目当主、更識楯無!舞わせていただく!!」

学園最強の娘は家の名を背負い、自らの為に戦う。

 

「世界最強は、俺が倒す!!」

黒き騎士の息子は、白き騎士を倒すべく若き白騎士と競いあう。

 

「ISは所詮、戦いの道具でしかないのだよ。

世界にそれを知らしめてやろうではないか!!」

新たに動きだす陰謀。

 

若き白騎士達に迫り来る脅威、新たなる敵。

 

全ての願い、目標、夢、野望を胸に、

新たな力は、始まりの地へと集う。

 

新たに始まる、少年少女の青春、

「俺は・・・、君の事が好きだ・・・!」

「私は・・・、貴方の事を愛しています・・・!」

 

光を継ぐ彼等が掴むのは、栄光か、それとも、絶望か。

 

インフィニット・ストラトス 光の彼方・続編

 

インフィニット・ストラトス 光を継ぐ者

 

 

今、新たな鼓動が動きだす・・・。

 

sideout

 

side予告2

 

「君達、私が間違えて死なせちゃったから転生ね♪」

「「はい!?」」

宮本零士と中田俊哉はテンプレ的に転生させられた、

ひとつのチート能力とオリジナル機体を持って・・・。

 

織斑一夏とその弟、織斑秋良として、

原作とかなり違ったインフィニット・ストラトスの世界へと送り込まれた!

 

「グフフッ!一夏と秋良の絡みが一番萌えるな!」ジュルリ

腐女子と化した箒!

 

「もっと、もっと私を苛めてくださいまし!!」ハァハァ

ドMと化したセシリア!

 

「あ・・・、えっと・・・、ごめんなさい。」ドゲザ

超ネガティブになってしまった鈴!

 

「一夏・・・、他の娘に手を出したら・・・、ふふふふっ♪」

ヤンデレと化したシャル!

 

「兄貴、男らしくなりたいです!」キリッ

どこかのメイドみたいになったラウラ!

 

「秋良君の貞操は私が・・・!ってそんなの恥ずかしいっ!!」

色々残念になった楯無!

 

「お姉ちゃん?好きだよ?あんまり関わって来なかったら。」

なんか色々違う簪!

 

「弟たちに嫌われた弟たちに嫌われた弟たちに嫌われた弟たちに嫌われた・・・。」ブツブツ

ブラコンが半周してただの残姉さんと化した千冬!

 

「・・・、ここ、本当にIS世界か?」

「そうだと思うよ・・・、多分。」

 

色々と違う世界の中で、彼らは何を思い、何を成すか!?

 

「織斑一夏、ストライク、行くぜ!!」

「織斑秋良、ルージュ、出るよ!!」

 

混迷するIS学園に、トリコロールと深紅の機体が舞う。

 

インフィニット・ストラトス・アストレイ

 

混迷の空に、翔べ!ストライク!!

 

sideout

 

 




はいどーもです!

ついに簡潔しました!

予告編が二つありますが、一応二つとも書きます!

応援してくださった読者の皆様、短い間でしたがご愛読ありがとうございました!

それでは、またいつか!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。