インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

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結婚

side一夏

俺とシャルが出会ってから、どれ程の月日が流れただろう。

・・・、いや、数えるだけ面倒だし、

何より目の前にある幸せを守る事で精一杯だから、

数える暇なんて無いんだけどな・・・。

 

思い出して見たところ、もう四年近い年月が流れていたんだな・・・。

 

後数ヵ月其処らで俺、二十歳だよ?

早いもんだな・・・。

 

俺がそんな事を思っていると、扉が開く音がした・・・。

 

振り返ると、純白のウェディングドレスを身に纏ったシャルが、

濃紺のタキシードを着こんだ早乙女中将にエスコートされ、此方にゆっくりと歩いて来る。

 

何故エスコートするのが中将なのかと言うと、

シャルは身内がいない為、早乙女中将がその役を買って出てくれたのだ。

 

今日と言う日は、俺達にとって忘れられない日になる。

俺達の恋人としての日常が終わり、また新しい日常が始まる日、

 

そう・・・、結婚式だ・・・。

 

学園を卒業した直後に入籍してはいたのだが、

纏まった資金が貯まるまで式を先伸ばしにしていたんだ。

 

まぁ、色々あったけど、ようやく挙式できたんだよな・・・、

てかさ、この白いタキシード、似合ってんのかなぁ?

シャルやセシリア、それに深夏姉は似合ってるって言ってくれたけどさ、

そこは気になるんだよなぁ・・・。

 

まぁそんなことはどうでもいいとして・・・。

 

気が付けば、シャルは既に俺のすぐ近くに来ていた。

中将は俺の肩を軽く叩いて自分の席に戻って行き、

壇上には牧師を除き、俺とシャルの二人きりになった。

 

俺が差し出した手を、彼女はその美しい瞳にうっすらと涙を浮かべながら、

その手を掴んでくれた。

 

間近で見る彼女は、そのドレスの美しさも相まって、

何時もより美しかった・・・。

 

「一夏っ・・・。」

「陳腐な言い方だけど、すげぇ綺麗だよ、シャル。」

「うんっ、ありがとう♪」

 

俺の言葉に、シャルは微笑みながらそう言ってくれた。

俺も微笑み返し、彼女と並び立つ。

 

チラッと後ろを見てみれば、招待客席にはセシリア、リク、鈴を始めとした、

俺とシャルに関わりの深い人達に参列してもらっている。

 

視線を前方に戻し、牧師の言葉を待つ。

 

「汝織斑一夏は、この女、シャルロット・デュノアを妻とし、

良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、

共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、

愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、

神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

 

そんなもん誓わずとも、俺はシャルと添い遂げる、

これは一生変わることのない気持ちだ。

 

「誓います。」

俺は躊躇なく誓いの言葉を口にした。

 

「汝シャルロット・デュノアは、この男、織斑一夏を夫とし、

良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、

共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、

愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、

神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

「誓います。」

 

シャルもその言葉に、一片の澱みもなく誓いの言葉を口にした。

 

「それでは、指輪の交換と、誓いの口づけを。」

 

牧師がそう言って、少しだが後ろに下がってくれた。

 

俺とシャルは、それぞれ初めてのクリスマスの時に買った指輪とは違うが、

デザインはよく似ている白とオレンジの指輪を交換する。

 

俺はシャルの顔を被うベールを上げる。

彼女の顔は、ナチュラルメイクで素の美しさを際立たせていた。

 

そんな彼女の美しい表情に見惚れながら、

俺はシャルにしか聞こえないくらいに調節した声で話し掛ける。

 

「シャル、愛してるぜ、これまでも、そしてこれからもな。」

「僕も、ううん、私も愛してるよ一夏、二人で・・・、

ううん、この子達も一緒に、ね♪」

 

シャルは幸せそうに微笑みながら、自分の下腹部を撫でる。

 

そう、シャルは俺の子供を身籠ったのだ、

それも双子を・・・。

 

まだ妊娠三ヶ月目なので膨らみはまったく目立たないが、

俺達二人の愛が形になったみたいで、俺は嬉しかった。

 

これからは夫として、父として、シャルと子供たちを守っていこうと、

俺は改めて誓った。

 

「ああ、幸せになろう、家族でな。」

「うん♪」

 

微笑み合い、俺達は口づけを交わした。

 

sideout

 

sideシャルロット

口づけを交わした瞬間、

招待客席から盛大な歓声と拍手が聞こえてきた。

 

その中を、僕達ははゆっくりとヴァージンロードを歩いて行く。

 

「一夏~!シャルロット~!結婚おめでと~!!

絶対に幸せになんなさいよ~!!」

「鈴!ありがと~!!」

客席から大声で祝福してくれる鈴に、僕は手を振りながらお礼を返す。

 

鈴は卒業後、中国へ戻り、国家代表に就任、

同時に、代表候補生の教官にも任命された。

 

「シャルロット!結婚おめでとう!新婚旅行は是非ともドイツに来てくれ!

私と部隊の者が名所を案内しよう!」

「ありがとなラウラ!そん時はよろしく頼むよ!」

学生時代より少し背が高くなったとはいえ、

まだ小柄なラウラは飛び上がりながら僕達に手を振ってくれている。

一夏はそんな彼女に笑顔で手を振り返していた。

 

ラウラはドイツに戻った後、軍に戻り、中佐として活躍、

同時に国家代表も兼任しているんだって。

 

「一夏、シャルロット、結婚おめでとう!

次は私が結婚するから!」

「簪~!期待してるよ~!」

手を振り、次は自分が結婚する宣言をしている簪。

 

簪は日本代表の座を一夏に譲りはしたけど、

倉持技研で技術者として就職、第四世代機となる打鉄参式を開発、研究している。

 

「一夏君!絶対にシャルロットちゃんを幸せにしてあげなさいよ~!」

「もちろんですよ、楯無さん!」

雅人さんと出席していた楯無さんは、

一夏にそう言っていた。

 

楯無さんは卒業後、ロシアに渡り、そこで代表を務め、

同時に日本では更識家の務めを果たしている。

楯無さんも妊娠していて、出産予定は僕たちより少し早いみたい。

 

「一夏、シャルロット、結婚おめでとう!」

「二人とも幸せにね~!」

「海斗お義兄ちゃん!深夏お義姉ちゃん!ありがとう!」

海斗お義兄ちゃんと深夏お義姉ちゃんは、中将の両脇に陣取りながら、

僕達に手を振ってくれている。

 

二人は准将として執務に追われているみたい、

二人とも現場主義なのにね・・・。

ちなみに、深夏お義姉ちゃんは男の子を出産、現在生後一ヶ月なんだ。

名前は睦、

僕も遂に叔母さんかぁ~。

 

「一夏さん、シャルロットさん!ご結婚おめでとうございます!

次は私たちが式を挙げますわ~!」

「先輩~!お幸せに~!!」

「リク!ありがとな!!」

「ありがとうセシリア~!!」

僕と一夏はセシリアとリクに手を振りながら笑い返した。

 

セシリアは卒業後、イギリスに帰国し、代表にはならず、

オルコット家の当主として様々な事業に進出、

リクはセシリアを追って渡英、イギリス国籍を取得して、

セシリアの事業を影でサポートしている。

リクはそれと同時に、イギリス空軍に所属、

教導隊長に就任したみたい。

 

セシリアも妊娠していて、僕達と同じ時期に出産するみたい。

 

「一夏っ、ありがとう♪」

「こちらこそ、ありがとな、シャル。」

一夏には感謝してもしきれない、

僕なんかを選んでくれて、僕を妻として傍にいさせてくれる。

 

正直、僕はこんな幸せなんか絶対に来ないって思っていた、

でも、送り込まれた日本で、一夏に出会って、

色んな出会いを経験をして、一夏に選んでもらった・・・。

 

こんな・・・、こんな幸せ・・・、もう他にないよ・・・。

でも、欲を言うなら、一夏と、そして、子供たちと、

幸せな家庭を築いていきたい・・・。

 

「一夏、大好き♪」

「俺もだよシャル、大好きだぜ。」

 

僕達の新しい日常が、ここから始まる・・・。

光の彼方に繋がる、新しい物語・・・。

 

sideout

 

noside

ここに、白き騎士と金色の疾風の物語は一つの終わりを迎えた。

 

しかし、彼等の物語は、これからも続いていくだろう・・・。

彼等が願う、明日の幸せは、これから始まるのだ。

 

 

sideout

 

 

 

インフィニット・ストラトス 光の彼方 ~完~

 




はいどーもです!
完結しました!

実は後一話上げますが、一応完結です!

次回予告
月日は流れ、一夏とシャルロットは、
息子、娘と幸せな日常を送っていた。

次回インフィニット・ストラトス 光の彼方
エピローグ、そして、プロローグへ。
お楽しみに!!

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