インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

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卒業

noside

全世界を捲き込んだIS大戦が終結し、

各国に回収されたゴーレムのコアに触れた男性が、

ISを起動させると言う事例が世界中で確認された。

 

束はゴーレムのコアを、元から男でも使えるように調整していたらしく、

結果、世界は再び変わりつつあった。

 

だが、それと同時に、男性達による暴動が世界各国で巻き起こり、

その対応に追われたのも事実ではあった・・・。

 

一夏達が三年に上がるときには、男性達も(主に十代半ば)、

IS学園に入学する事になったのだ。

 

様々な問題はあったが、間違いなく世界は男女平等に向かい、歩み始めていた・・・。

 

余談だが、IS大戦での功績により、一夏は三階級特進の中佐に任命、

シャルロットは日本国籍を取得、同時に二階級特進の少佐に任命された。

海斗と深夏は二階級特進の准将に任命された。

 

また、利き腕を失った海斗は、最新型の義手を装着することになった。

 

それと同時に、深夏と正式に結婚し、式を挙げた。

 

世界は変わり、彼等の周囲も変わっていった・・・。

そして、季節は移ろい・・・、

一夏達の卒業式の日がやって来た・・・。

 

sideout

 

side一夏

無駄と思えるほど長い式典を終え、俺はIS学園の中庭にある、

桜の木の下にやって来ていた。

 

春先のまだ冷たい風が、枝を揺らし少しだが花びらを散らせる。

その風景はなんとも雅な雰囲気を醸し出していて、美しいと思えた。

 

しかしよぉ、何で俺が答辞なんてやらなきゃいけなかったんだよ。

そりゃまぁ俺が生徒会長やってるから仕方ねぇんだけどさ。

 

「しかし・・・、早いもんだな・・・、もう三年たったんだな・・・。」

俺が入学して、もう三年が過ぎようとしていた。

 

この三年、俺は様々な人と出会い、色んな経験をして、

悲しい別れも経験した。

 

その全ての思い出の中には、そして、

俺の隣には、いつも彼女がいてくれた。

 

「一夏っ。」

優しい声に振り返ると、俺のすぐ後ろにシャルが笑顔で立っていた。

その笑顔は、俺の記憶の中にあるモノとまったく変わらない、

俺の大好きな笑顔だ。

 

「シャル、どうしたよ?」

「どうしたじゃないよ、

いきなりいなくなるから少し探しちゃったんだからね?」

「ワリィな、なんとなく、ここに来てたんだ。」

「そっか。」

 

シャルはそう言って何も言わずに桜の木を見上げる。

俺もそれに倣い、何も言わずに桜を見る。

 

暫く眺めた後、横目でシャルを見る。

彼女と出会って、そして、共に過ごした、

この三年間で、俺は一体どれ程変わったのだろうか・・・?

 

あの日、ISに触れなければ、俺は今、何をしていたのだろうか・・・?

弾や数馬とバカやって過ごして、変わることのない日常を過ごしていたんだろう。

昔はそれでも良かったと思っていたのだろう。

 

だけど、今は違う、俺はシャルと出会って、シャルと付き合って、

欠けていたモノを見つけられた。

 

だから、俺は彼女に感謝しても仕切れない、

そして、これからの人生を、彼女と過ごしていきたい。

 

 

そう思っていた時・・・、俺の脳裏に、ある女が浮かんだ。

 

篠ノ之箒・・・。

シャルと同じく俺の事を想い、それを拒まれた反動で、

絶望して、俺を殺そうとした女・・・。

 

俺はアイツをわかってやれなかったのかも知れない。

 

だが、もう遅いのだと思っている。

もうアイツは死んだ、俺を憎んだまま、この世を去ったのだから、

後悔をしても、もう意味はないのだ。

 

けど、忘れるつもりなど無い、俺達は一生、

アイツを覚えていこうと思っている。

それが、アイツに対する償いだと思うから。

 

「よし、そろそろ行こうぜ、シャル。」

「うん♪」

 

俺はシャルに手を差し出し、シャルはその手を掴んでくれた。

 

今日で俺達の学生としての生活が終わる。

だけど、それは終わりを意味していない、

これから俺達は新しい生活を始める。

 

これから、俺達は正式に軍に組み込まれ、

新しく設立される部隊の隊長と副隊長として勤務することになる。

 

「シャル、これからも、ずっと俺と一緒にいてくれるか?」

俺は彼女と一緒ならば、どんな困難も乗り越えて行ける。

そんな確信がある。

 

「勿論だよ一夏、僕は貴方とずっと一緒にいるよ、

ううん、僕で良ければずっと一緒にいさせて?」

「勿論だぜ、シャル。」

 

俺はシャルを抱き締める、

愛しい、何より大切な俺の恋人、

彼女がいてくれたからこそ、俺は強くなれたんだ。

 

だから、俺は言わなければならない、

新しい生活の始まりにふさわしい、この言葉を。

 

「シャル、聞いてほしい事があるんだ。」

「うん、何かな?」

 

彼女から身を離し、俺は息を吸い込む。

そして・・・。

 

「シャル、俺と結婚して欲しい!そして、一緒に幸せな家庭を築いて行こう!!」

「うん!僕も、一夏と幸せになりたい!そして、僕は貴方との子供を産みたい!!」

 

俺のプロポーズに、シャルは即座に返答してくれた。

 

「嬉しいよ一夏、僕ね、今までで一番幸せだよ♪」

「そうか、なら、もっと幸せになろう、二人でな!」

「うん!愛してるよ、一夏♪」

「ああ、俺も愛してるよ、シャル。」

 

桜の花びらが舞う中で、俺達は口づけを交わした・・・。

 

sideout

 

noside

ここに、ひとつの終わりが記された。

 

だが、これは終わりでは無い、

新たな物語の始まりに繋がる、

始まりなのだ・・・。

 

 

 

 

エンディング1 完

 

sideout




はいどーもです!
以前予告しました、
エンディングパターン三種類の内、ひとつ目のエンディング、
卒業
いかがでしたか?

それでは、次回予告
一夏とシャルロットが出会ってから四年の歳月が流れ、
彼等は新たな一歩を踏み出そうとしていた。

次回インフィニット・ストラトス 光の彼方
結婚
お楽しみに!!

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