インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

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どうもです。
さて、今回も一夏君は少しひねてます。

後、私めの都合でオリキャラを登場させます。

ではお楽しみください。


一夏避ける

sideシャルロット

あの夜からもう4日が過ぎた。

 

僕達と一夏の仲は正直言って最悪の一言に尽きる、

彼からは絶対に話し掛けてくれないし、

こっちから話し掛けても無視されるか、

『何かようか?デュノアさん?』

と、名前を呼んでくれない。

たとえ話せても目を合わせてくれもしない。

 

他の皆も同じようで、日に日に目の下の隈が酷くなっていってる。

勿論、僕も例外じゃない、

夜、あの事を思い出して寝付けない、食事がまともに喉を通らず、体重も数キロ減った。

 

好きな男の子に相手にされないってこんなに辛いんだ・・・、

まるで地獄に居るみたい・・・。

 

でも・・・、今までしてきた事を考えると当然の報いかもしれない。

織班先生の言う通り、僕達は一夏の事情や都合何て考えてなかった。

 

ただ自分の好意に気付いて欲しくて、突っ掛かったりしたり、

ちょっとした事で嫉妬して、一夏に理不尽な事をしてたと思う。

 

でも・・・、今更気付いても・・・、もう遅いんだよね・・・、

一夏・・・、貴方に謝りたいよ・・・。

 

sideout

 

 

side楯無

 

一夏君と、簪ちゃん以外の専用機持ちの子達との間に起こった事の

遠因が、私のお願いにあった以上、この事を話さないとね・・・。

 

だから私は簪ちゃんに頼んで、あの五人に私の病室に来てもらった。

「ごめんね、こんなところまで来させちゃって?」

呼び出した事を一先ず詫びて、五人を見渡す。

 

皆前に見た時よりあからさまに窶れている。

どうやら事態は思ったより深刻なようね。

 

「貴女たち、一夏君と、何かあったわね?」

『・・・。』

ビンゴ、わかりやすいわね・・・。

隠してる積もりでしょうけど、僅かに表情が固くなってるし、

肩も震えてる。

 

「何でこうなったのか教えてくれるかしら?」

大まかな理由はもう気づいてるけど、

当事者から聞かないとわからない事もあるからね、

念の為よ。

 

しばらくして、シャルロットちゃんが話し始めてくれた。

 

やっぱり一夏君が簪ちゃんと、タッグを組んだことに嫉妬して、

詰め寄ったら本気で怒られたらしいわね。

 

「その事なんだけど・・・、実は一夏君に簪ちゃんと組むことを依頼したのは、

私なの。」

もうこの子達の恋路を邪魔したくないし、

何よりこのままじゃ、一夏君に全部の責任を負わせたままになってしまう、

それに、何かあった時にギクシャクしたままだったら、

迅速な連携が取れないしね。

 

「一夏君の白式の煽りを受けて簪ちゃんの打鉄弐式の開発が止まってたの、

それで私が彼にタッグを組んで専用機の制作を手伝うように依頼したの。」

 

皆、私の話を静かに聞いていた、

驚く様子もなければ、他のリアクションも見受けられない。

 

でも、あの一夏君が、怒りを抑えるのに必死だったのは驚きね。

この子達はいったい何をしたのだろうか・・・?

けれど、遠因を作ってしまった私が言えた義理じゃないわね。

はぁ・・・、なんか悪いことしちゃったわね・・・、一夏君にも、この子達にも。

 

 

sideout

 

 

side一夏

「やりぃ、白式の燃費がまた少し良くなったぜ。

これで少しはマシになるな。」

 

今日は放課後にのほほんさんや簪に頼んで白式の整備を手伝ってもらった。

 

俺の白式の燃費は正直シャレにならないほど悪く、

学園で一二を争う高燃費だ。

 

俺も意識して燃費を抑える戦い方をしてるつもりではあるのだが、

それでも無駄があるらしい。

 

ならばと、技術で補えないなら、整備をすればいいという結論に至り、

簪と相談しながら整備をする事にしたのだ。

 

整備室で今までのデータを検証した結果、

雪羅に問題があった。

シールドを張るにしても、常に全開の出力で展開しているらしく、

余分なエネルギーを垂れ流していた状態となっていたらしい。

 

また、俺は正直射撃が壊滅的に下手だ、

なので撃っても当たるかどうかわからない荷電粒子砲に回すエネルギーを、

ほぼ全て機動や制動に回した結果、

機動力が十%向上して、燃費も25%も向上した。

 

舐めてたけど、整備ってすげぇな、これからは整備の勉強をしてみるのも

いいかもな。

 

ホクホク顔で俺は部屋に戻り、熱いシャワーを浴びる。

疲れた身体には丁度いい感じで、知らず知らずの内に鼻唄を歌っていた。

 

「さてと、この後は飯食って・・・。」

そこまで言って、俺はまたこの間の件を思い出してしまった。

 

だが、もう大体の怒りは収まってきたし、あの時の自分を冷静に俯瞰できるだけの

思考は持ち合わせているつもりだ。

 

あの時の俺はただ怒りに任せて、怒鳴り散らしていただけだ、

正直に言って餓鬼がやるような事だ。

 

その上、彼女達を無視し続けて、もう何日もマトモに話していない。

改めて考え直して見ると、自分でも酷いと思う事をしていた。

 

原因が彼女らにあったとしても、そろそろ大人気なくなってきたと思う。

俺の方から謝って、元の関係に戻りたいとも思っている。

けど・・・、

 

「なんなんだろうな・・・、この気持ちは・・・。」

わからない、どうしてこんなにモヤモヤするのだろうか・・・?

 

わからない・・・。俺は何を望んでいるのか?

 

わからない・・・。

誰かに、この気持ちを聞いて欲しい・・・、

千冬姉じゃなくて、弾でも無い、

あの人に・・・。

 

「久しぶりに、あの人に・・・、会いに行くか・・・。」

俺はこの気持ちを聞いてもらう為に・・・、

ある人の携帯に電話をかけ、明日会う約束を取り付けた。

 

sideout

 

 

noside

翌日、一夏は単身モノレールに乗り込み、

レゾナンスに向かっていた。

 

(あの人に会うのも、久しぶりだな・・・。

もう二年程会って無いしな・・・。)

彼が外出している理由は、ある人物に、

今自分が感じているモヤモヤした気持ちの事を相談するためである。

 

一夏はモノレールを降りて、レゾナンスの一角にある、

喫茶店に入る。

この喫茶店こそ、彼がある人物に会う為に指定した待ち合わせ場所なのである。

 

その人物を待つこと数分・・・、

彼に声をかける男性がいた。

 

「待たせたな、一夏。」

「いえ、俺も今来たとこですよ。」

一夏は男性の姿を認めると、急に懐かしそうな笑みを浮かべる。

 

彼の目の前に立つのは、身長約180㎝後半の長身と、

どこか武人然とした鍛え抜かれた身体を、

黒一色のスーツに包んだ、ダークグレーの色をしたミドルヘアーの、

灰色の瞳をした二十代前半ぐらいの男性だったのだ。

 

「それにしても久しぶりだな、もう二年はたつか?」

「はい、たしかそれぐらいだったと思います。」

「そうか、前に会った時より、随分といい男になってんじゃねぇか?」

「そうですか?貴方にそう言ってもらえると、

中々に自信が着きますよ、」

一夏と男性は席につき、他愛の無い話をする。

その和やかな雰囲気は、互いに旧知の間柄だということを伺わせる、

 

「ところで、俺を呼び出すんだ、わりと深刻な問題だと思うが、

そこんとこどうなんだ?」

「そうですね・・・、そこそこ、いえ、俺的にはかなり深刻なんですよ。」

一夏はその男性の問いに、苦い表情を浮かべ、言葉を濁す。

 

「もしかして女絡みか?」

「・・・、はい。」

「なんだ、やはりお前も男なんだな!

女の園に行って遂に目覚めたか?

俺は一時お前がそっち系の奴だと・・・。」

「・・・、あ、もしもし深夏姉?海斗兄がちょっとふざけてて、」

「すまん、悪かった、だから深夏に電話をするのは止めてくれ、

あのブラコンモドキは何をしでかすかわからん。」

一夏がわざとらしく携帯を取り出して、耳に当てると、

海斗兄と呼ばれた男性は慌ててそれを止める。

 

「・・・でだ、その女絡みってあれか?」

「実はさ・・・、」

 

一夏は海斗にこれまで起こった事と、今回の件と、

そして今自分が感じているモヤモヤした感じの事を話した。

 

「・・・、大体わかった。つまりその子達と仲直りしたいけど、

何か別の感情があって、踏ん切りがつかないって事か?」

海斗の質問に一夏は無言で頷く。

 

だが、海斗とて、全てを理解した訳ではない。

一夏の人なりを理解した上で、話の内容から推測した結果である。

 

更に付け加えて言うなら、今一夏が感じている気持ちとは・・・、

(間違いなくアレだな、疑う余地もねぇな。)

呆れると同時に、少し驚いてもいた、

なにせ、超弩級の唐変木である一夏がまさかその感情を抱くとは、

思っても見なかったからだ。

 

「で?俺に何を教えて欲しいんだ?」

「え?」

「お前はその子達と仲直りしたい、違うか?」

「違わない。」

「じゃあ何故躊躇ってんだよ?

簡単だ、頭下げて、ごめんって言うだけだ、違うか?」

「・・・、違わない。」

「お前がハッキリと、答えを見つけない限り、

そのモヤモヤは消えない、わかってんだろ?」

質問と返答を繰り返した後、一夏は無言で頷く。

 

海斗はそんな彼の様子を見て、少し考え込む。

 

(どうやって気付かせる?俺が教えてやっても良いが、

こいつの糧にはならない。・・・、そうだ、あいつに、

あいつの願いの本当の形を見付けさせればいいな、

そうと決まれば・・・。)

 

何かを思い付いたのか、海斗は立ち上がり一夏を見る。

 

「よし、場所を変えるぞ、着いてこい。」

「え?ちょっ!!待ってくれよ海斗兄!?」

一夏はさっさと行ってしまう海斗を慌てて追いかけた。

 

sideout

 

 




次回予告
海斗に連れられてやって来たその場所で
一夏と海斗は刀を交える
そして自らの願いと気持ちを知る

次回インフィニット・ストラトス 光の彼方 気付く想い
お楽しみに!!

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