インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

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二人の海

side一夏

「んあっ?」

目を開き、窓の外を見てみれば、

そこはもう、辺り一面海が広がっていた。

早いねぇ、寝る前は普通に高速乗る前だったから普通にビルとか見えてたぜ?

 

「んっ・・・、すぅ・・・。」

シャルは俺の肩に寄りかかり、可愛らしい寝息をたてていた。

昨日の夜は少し激しくしちまったからか、

バスが動き出してすぐに寝ちまったんだよな。

 

あ、俺もほぼ同時に寝てたっけ?

まあそんな事はどうでもいいや。

 

起こすのも可哀想だし、到着するまで寝かせといてやるか。

そう思いながら彼女の頭に腕を回し、彼女の髪を撫でる。

 

「んっ・・・?ふはぁ・・・、おはよ、一夏♪」

おっと、起こしちまったな。

「ワリィ、起こしちまったか?」

「ん~ん、いいよ、起きたら一夏に色々してあげれるから♪」

「色々?そいつは楽しみだな。」

 

俺はシャルと笑い合った後、彼女の方へ身体を寄せた。

形としてはシャルが俺の胸辺りに頭を置き、シャルの頭に俺が頭を寄せてる感じだ、

これ良いね、シャルの温もりも、匂いも、全てが感じられるからな。

 

そんだこんだしてる内に、俺達を乗せたバスは、宿に到着した。

 

sideout

 

noside

バスを降りた一夏とシャルロットは、

千冬に連れられ、教員室の前に来ていた。

 

今回は一夏だけではなく、シャルロットも教員室に宿泊することが許されたのである。

 

それに喜んだ後、二人は荷物を置き、水着に着替えるべく、

更衣室へと向かった。

 

「・・・、って!?なんでこっちに来てるんだよシャル!?」

更衣室に入った一夏は、さも当然と行った風に男性用更衣室に入って来たシャルロットに、

驚きの声を上げる。

 

「なんでって・・・、一夏と一緒に着替えたくて・・・、ダメ?」

シャルロットは、自分でもズルいと思いつつ、上目遣いで彼にそう尋ねた。

 

「うっ・・・、ダメ・・・、な訳ねえだろ!

むしろ、一緒に着替えよう!!」

一夏は惚れた弱みか、彼女を抱き締め、

あっさりと一緒に着替えようとする事を認めた。

 

「うん♪」

 

シャルロットは笑顔で頷き、彼に背を向けて着替え始める。

一夏も彼女に背を向け、着替えを始める。

 

一夏は服を全て脱ぎ、先日購入した白いラインが特徴的な濃紺の海パンを履く、

シャルロットはもともと着ていたのか、服を脱ぐと、そこにはオレンジ色のビキニが装着されていた。

 

「よし、行こうぜ?」

「うん♪」

二人は腕を組み、浜辺へと向かった。

 

sideout

 

side一夏

さて、シャルと腕を組んで海にやって来ました。

 

うん、海の近くって風が全然違うな、

IS学園も人工島だから、海に面してるけど、なんつぅか空気が違うね。

 

「一夏っ!一緒に泳ごっ!」

「おう、シャルの泳ぎ、見せてもらうぞ。」

シャルは俺の手を引き、海へと入っていく。

 

うおっ、少し冷たいな、まあ泳げない訳は無いな。

「ひゃっ!?冷たいね。」

「そうだな。」

おおっ!少し震えながら海に入るシャル、すげえ可愛い!

 

おっ、そうだ。

恋人同士で海に来たんだ、やることは1つ。

 

「シャル、そぉれ!」

俺は両手で海水を掬い上げ、シャルにかけた。

これやってみたかったんだよな、

まさに恋人同士って感じだしな。

 

「きゃっ!?もう一夏ってばぁっ!」

「そらそら、まだまだだぞ!」

「もう!こっちもお返ししてあげるんだからっ!」

「うおっ!?やったな!?」

 

シャルが楽しそうに水をかけて来るので、俺も笑いながらシャルに海水をかける。

あぁ、幸せだな・・・。

 

sideout

 

sideセシリア

『・・・。』

なんなのでしょうか、一夏さんとシャルロットさん、

すごく楽しそうなのは宜しいんですが・・・。

 

「ねえ・・・、皆考える事は一緒よね?」

「ああ、口にするだけ馬鹿らしいがな・・・。」

「あの二人見てると・・・、何だか・・・。」

鈴さん、ラウラさん、簪さん、そんな疲れきったお顔で、

その様なことは言わないでくださいな・・・。

 

私達が思う事は1つですわ・・・。

 

「甘ったるくて、胸焼けがしそうですわ・・・。」

「ちょっとセシリア・・・、あえて黙ってたのに、言わないでよ・・・。」

そうは言っても、あのお二人のご様子を見ていると、

そんな言葉しか浮かびませんわ。

 

それにしても、羨ましいですわね・・・、

私もリクとあのような関係になりたいですわ。」

「セーシーリーアー?」

「はい?」

 

呼ばれましたので、声のする方へ振り向くと、

鈴さん達がイヤににやけたお顔をしてらっしゃいました。

 

「ふーん、一夏がダメなら年下のリクを狙おうって訳?」

「っ!?」

な、なななななな、何故その事が!?

 

「あんた思いっきり口走ってたわよ?」

「~っ!?」

は、恥ずかしいですわ・・・!!

 

「ま、あたしにゃ年下趣味は無いし、あんまりタイプじゃないのよね。」

「私もだ、確かにいい男だが、一夏程ではないしな。」

「私もいい、だから頑張ってね、セシリア。」

あの~、なんでもう告白する事が前提になってますの!?

 

あ、でも一夏さんへの想いは完全に断ち切りましたし、

もう告白しても・・・、って、違いますわ!?

 

な、何とか話題を変えませんと!

「と、とにかく!!今は折角の海を楽しみましょう!」

「逃げたわね。」

聞こえませんわ、何も聞こえませんわ~!!

 

sideout

 

 

side一夏

なんかセシリアが絶叫してる気がするが、

まあほっといても大丈夫だろうし、気にしないでおこう。

 

そんな訳で、俺はシャルと一緒に浮き輪に乗っかり、

そこら辺をプカプカと漂っていた。

 

ちなみに、俺の腹の上辺りにシャルは乗っかってるような格好である。

乗っかられてるけど、シャルは軽いから全然問題ない。

むしろ彼女の肌が接して、気分が良いな。

 

「はぁ~、これは気持ち良いな。」

「うん、少し眠くなってきちゃったよ。」

「こんなとこで寝て、溺れても知らねえぞ?」

「それはそうだけど、もし溺れても一夏が助けてくれるでしょ?」

「違いないな。」

 

なんか心地良いな、じゃれあってる訳じゃないのに、

ただ一緒にいるだけで心が温まる。

 

これが幸せって言うのかね。

 

それから暫く漂った後、俺達は浜に戻り、夕食をとるべく、宿に戻った。

 

sideout

 

 

sideシャルロット

自由時間も終わり、夕食の時間がやって来た。

 

出される料理は相変わらず豪勢で、

味も最高の一言に尽きる。

 

「う~ん、美味しいねぇ♪」

「本当にな、この刺身、相変わらずいい味してるぜ。」

一夏は赤身を醤油に浸け、ほんの少しだけ山葵をのせて、

一口食べる。

 

「く~!さすが本わさ、いい味出てるぜ!」

あー、本わさっていえば、確か去年ひどい目に合ったなぁ・・・。

 

「シャル、今年は間違えても山葵だけをそのまま食べるなよ?」

「!わ、分かってるよ!もう!」

もう、一夏のばか・・・、そんな子供みたいなことするわけないじゃないか。

 

「悪かったって、ほれ、お詫びだ。」

「へっ?」

一夏の方を向くと、カワハギをつまみ、はいアーンの状態で待ってる彼の姿があった。

 

わ、わわわ、こ、こんな皆の目があるとこでするの?

で、でも・・・。

 

「あーん・・・、んっ、美味しいねぇ♪」

やっぱり好きだから、もう気にしてられない。

 

「あ~っ!?シャルロットだけズルイ!!」

「織斑君、私にもお願い!!」

やっぱり、目敏く来るよね。

 

「残念ながら却下、それに騒ぐと織斑先生に走らされるぞ?

それでもいいのか?」

『うっ!!』

おおっ、名前だけで黙らせられるって凄いね、

一夏も女の子達の鎮め方を覚えちゃってるみたいだね。

 

あ、そうだ、僕も一夏に食べさせてあげよっ♪

 

マグロをつまんで、ちょっと山葵をつけて、大葉に巻いて・・・、

出来た♪

 

「はい一夏、あーんしてっ♪」

「おう。んっ、うん、旨いな。」

「そっ、よかった♪」

 

ふふっ♪幸せだなぁ♪

 

sideout

 

side一夏

さてと、食事を終わらせて俺はひと風呂浴びる事にした。

 

流石は一流旅館なだけあるなぁ。

なかなかすげえ露天風呂だな、空気も澄んでるから星がすげえ見えるぜ。

 

入る前に身体を流して、湯に浸かる。

 

「ふぃ~、いい湯だな・・・。」

これでシャルが一緒に入ってくれてたら、最高なんだけどな・・・。

 

―カラカラ―

 

ん?今なんか扉が開く音がしたような気がするんだが・・・?

あれ・・・?なんか前にもこんなことが合った気がするぞ・・・?

 

「お邪魔するよ、一夏♪」

「んぁっ!?」

ああ、思い出した、そういやぁシャルと一度風呂に入った事合ったな。

 

「どうしたよシャル?」

「何となくかな?一夏とお風呂に入りたかったから、来ちゃった♪」

っしゃっ!!なんかすげえテンション上がるぜ!

いいねぇ、満天の星空に、露天風呂、そして、シャル。

 

こんな最高な事は無いね。

 

「おう、身体流してから入ってきな。」

「うん♪」

 

水が流れる音が暫く響いた後、

シャルが俺のすぐ近くに入ってくる。

 

「えへへ♪前にもこんなことあったね♪」

「おう、けど、前はちゃんと向き合ってやれなかったからな。」

俺はシャルのほうへ向き直り、彼女を抱き寄せる。

 

「その分も、今、取り返させてもらうぜ?」

「うん♪どーぞ♪」

シャルは笑顔で俺の胸に顔を埋める。

俺はシャルの髪を撫でた、いつもと違い、しっとり濡れている彼女の髪は、

なかなか気持ちがよかった。

 

「えへへ♪きれいな星だね、一夏。」

シャルが星空を見上げながら呟いた。

つられて空を見上げると、そこには天の川が見えた。

 

そういやぁ、今日は七夕だっけ?

織姫と彦星が出会い恋に落ちる・・・、か。

「凄いね・・・、天の川、だっけ?」

「ああ、そうだよ。」

さて、キザだろうがなんだろうが、

俺の織姫は、シャルだけだ 。

この気持ちは一生変わらねぇ自信がある。

だから・・・。

 

「シャル、大好きだぜ。」

「僕も大好きだよ、一夏♪」

俺達は微笑み合い、満天の星空の下、唇を重ねた・・・。

 

sideout

 

 




はい、どうもです!
前回がイチャイチャ度が高かった為、今回のイチャイチャ度が低く感じられますが、
そこはご愛嬌って事に、しといてください(笑)

さて、次回予告
臨海学校二日目、そこに襲撃者が現れた。。

次回インフィニット・ストラトス 光の彼方
降りかかる災い
お楽しみに!

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