インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

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一夏VS海斗

noside

束からの警告から一週間、

五月も終わり、六月に入った頃に、

一夏とシャルロットは、

襲撃事件の報告をするために日本軍第七特務基地を訪れていた。

 

「やっと着いたな・・・。」

「ちょっと疲れちゃったね、お義兄ちゃんとお義姉ちゃん元気かな?」

二人は軍が用意した車を降り、長い廊下を歩いていた。

 

暫く歩いて行くと、提督室に着いた。

一夏はシャルロットに目配せした後、提督室の扉をノックした。

 

「織斑少尉です!ただいま到着しました!」

「デュノア少尉です!同じく、ただいま到着しました。」

『入りたまえ。』

 

玄三郎の声を聞き、二人は扉を開け、部屋に入った。

 

「お久しぶりです、早乙女中将!」

二人は玄三郎に向け、敬礼する。

 

「楽にしたまえ、久し振りだな、元気にしていたか?」

「はい、お陰様で自分もデュノア少尉も元気にやらせてもらっています。」

「そうかそうか、元気なことは良いことだ。」

 

玄三郎と一夏はにこやかに世間話をする。

そこに階級など関係なく、まるで実の親子のような雰囲気が漂っていた。

 

「さて、世間話もこの辺りにしておこう、

今日君達を呼んだのには、データ取りを手伝ってもらいたいのだ。」

玄三郎はまるで父親が子供に何かを頼むような調子で二人に話す。

 

「データ取り、ですか?」

「うむ、聞けばデュノア少尉の機体、セカンドシフトをしたそうではないか、

深夏中佐が新しい機体を造るためのデータが欲しいと言っていてな、

君達の成長を測るという意味も込めて、

データが欲しいのだよ、協力してはくれぬか?」

 

玄三郎の言葉を受け、一夏とシャルロットは背筋を正す。

 

「お断りする理由がありませんし、自分達は軍人です、

軍の利益になるならば、データ取りなど、いくらでもお引き受けします。」

「すまんな、早速だが、すぐに訓練所の方へと出向いてくれたまえ、

小早川中佐達が待っているからな。」

「「了解しました!」」

 

一夏とシャルロットは玄三郎に敬礼した後、提督室を後にし、

訓練所に向かった。

 

sideout

 

 

side一夏

さて、ISスーツに着替えて訓練所に来たんだが、

深夏姉はどこに居るのだろうか?

 

辺りを見回しても、建物や地平線の果てまで続いていそうな滑走路が見えるだけだ。

 

まさかな、待ちぼうけて帰っちまったか?

それはそれで、やっちまったぞ?

 

「お義姉ちゃんどこにいるんだろうね?見つからないよ。」

「だなぁ・・・、来る場所間違えたか?」

 

マジでそれは勘弁して欲しいね。

 

『心配御無用、私はここにいるわ♪」

「深夏姉!?どこにいるんだよ!?」

スピーカーから響いてる訳じゃねえけど、姿が見えねぇ、

まさか、ISのステルスモード使ってんのか!?

 

そう思って、ハイパーセンサーを使い、辺りを調べると、

白式とスペリオル以外に、二機の反応があった。

 

「二機!?深夏姉以外にも誰かいるのか!?」

『ご名答、一夏、お前の相手は俺がやってやる、かかってこい!」

「え!?」

今の声は・・・、まさか・・・!?

 

「海斗兄!?」

俺が叫んだ瞬間、俺とシャルの前後に一機ずつ、青紫の機体と、

漆黒の機体が現れた。

 

恐らく、光学迷彩を解いたのだろう、ISにはそれぐらい朝飯前だ。

まあそれはいい、問題なのは、現れた機体だ。

 

両機とも、フォルムが白騎士に酷似しており、違うと言えば、

頭部バイザーの形状が、白騎士よりも西洋甲冑のそれに近い。

 

「よう一夏、男を上げたな。」

「久し振りね、シャルロットちゃん♪」

 

黒い機体、あえて黒騎士と呼ぼう、その機体が頭部バイザーをはずすと、

そこには俺の兄貴、小早川海斗の顔があった。

 

「驚いたか?」

「驚き過ぎて声も出ないよ、なんで海斗兄までISを動かせるんだよ!?」

「そう言うわりには普通に話して、質問してるよな?」

そう言う意味じゃないって、もう。

 

「ま、気にするな、お前も何故自分がISを動かせるか判ってないだろうが?」

「うぐっ!それを言われては・・・。」

なんかもう、男がISを動かせる理由なんてもうどうでもいい気がしてきた。

 

「さてと、今からデータ取りを始めるぞ、覚悟はいいな?」

「勿論だよ、ISでも海斗兄と戦えるんだ、本気でいくよ。」

 

俺は白式を展開し、海斗兄と対峙する。

シャルもスペリオルを展開し、深夏姉と向かい合う。

 

「小早川海斗、黒騎士・・・。」

「小早川深夏、セイクリッド・・・。」

「織斑一夏、白式・・・。」

「シャルロット・デュノア、リヴァイヴ・スペリオル・・・。」

 

『参る!!』

『行きます!!』

 

sideout

 

noside

一夏は白式のスラスターを吹かし、海斗の黒騎士に急接近する。

 

海斗も、黒騎士のスラスターを吹かし、黒騎士の武装、

<ソードオブヴァルキリー・ブラック>を展開、雪片弐型と切り結ぶ。

 

「ぐっ!くうっ・・・!」

一夏は押し込まれる<ソードオブヴァルキリー・ブラック>を、

なんとか受け止め、押し返そうとする。

 

(重い!なんて力だ!パワー勝負じゃあ、海斗兄には勝てないか!)

(やるな、前までならもう押し切れているんだが、成長しているって事か。)

 

海斗はそれを嬉しく思いつつも、少しながら嫉妬の念を抱く。

自分が六の時間をかけて登った成長の階段を、

一夏は二、もしくは一の時間で登った事に対する嫉妬なのである。

 

(ははっ、結局、俺もこいつを羨んでるってことかい、

その通り、その通りだ。)

「けどな、まだお前には負けんさ、一夏!!」

海斗は脚部スラスターを一気に吹かし、後方宙返りをし、

雪片弐型を蹴飛ばし、一夏の体勢を崩す。

 

「もらったぞ!!」

海斗は大剣を振りかぶり、一夏目掛けて降り下ろす、

「まだだァッ!!」

一夏はウィングスラスターを全開にし、海斗の剣を避ける。

 

「ほう!やるじゃないか、だが、こいつはどうだ!?」

海斗は右足にレーザーブレードを展開し、一夏に蹴りを叩き込む。

 

「ぐあぁぁぁっ!!」

その威力に耐えきれず、一夏は吹き飛ばされた、かに見えた。

 

「なに?」

一夏は海斗の蹴りをしっかりと受け止めていた。

「へへっ、さすがは海斗兄だよ、今のはマジで危なかった。」

「一夏、テメェ何故今の蹴りを止めれた?」

「零落白夜を機体全体に纏わせてるんだよ、だから、

レーザーブレードのエネルギーも消せる、それに、こうしてるだけでも、

黒騎士のエネルギーも削れてるんだぜ?」

 

ニヤリとその端整な顔に好戦的な笑みを浮かべながら、一夏はそう言う。

 

(なんとまあ、まんまと引っ掛かっちまった訳か?

なかなかやるじゃねぇか、もう俺達の後ろを着いてくるようなガキじゃねえって事か。)

海斗は一夏の策略に舌を巻きつつ、弟の成長を喜んだ。

 

海斗は一夏の頭部めがけ、肘鉄をかまそうとするが、

一夏はすぐに海斗の足を離し、距離を取る。

 

「なら、手加減は要らんな?」

「勿論だよ、海斗兄、全力で行くって最初に言ったんだぜ!」

「言うようになったな!」

二人はスラスターを全開にし、最高速度でぶつかり合った。

 

sideout

 

 

side深夏

あらあら、まさか海斗とほぼ互角ってどういうことなのよ?

 

と言っても、私も結構厳しいのよね~。

まさかここまで完成度の高いラピッド・スイッチを使えるなんてね、

前よりも精度も速さも段違いだわ。

 

「やるわね、シャルロットちゃん♪」

ほんと、一夏にしろ、この子にしろ、成長スピードが速すぎるわね。

 

自分で言うのもなんだけど、私や海斗はISでは千冬ほどで無いにしろ、

そこそこの力を持ってるんだけど、

一夏とシャルロットちゃんは私達に食らい付いて来てる。

 

「ありがとうございます、お義姉ちゃん♪」

ふふっ、可愛い笑顔でマシンガンやアサルトライフルを撃って、

避けたと思ったら急接近して格闘戦に、やりづらいわね。

 

それに、あのガンブレードって武器が曲者ね、

あれこそ正にラピッド・スイッチだわ。

 

でも、若い子にはまだ負けないのよね~♪

 

セイクリッドのスラスターを吹かし、シャルロットちゃんの後ろに回り込む、

彼女が振り返ろうとしているその一瞬に、左腕に装備されているヒートロッドを、

ガンブレードに絡ませ、電流を流し、破壊する。

 

(よし、これでやり易く・・・、!?)

シャルロットちゃんは左手に持ったガンブレードを破壊されながらも、

右手にもう一本ガンブレードを呼び出し、

ヒートロッドを断ち切った。

 

やられたわね、まさか二本持ってるなんてね、

とんだ策士ね、でも、嫌いじゃないわ♪

 

「危なかったわ~、さすが私の義妹ね♪」

「はい♪」

ふふっ、その好戦的な笑顔も、素敵よ♪

 

sideout

 

side海斗

その後、暫くの間続いた、俺達のデータ取りと称した模擬戦は、

俺と深夏の勝ちで幕を下ろした。

 

だが正直、かなりギリギリだったぜ、

一夏の野郎、かなり、いや、相当強くなったな。

 

もっと早く終わらせられるかと思ったが、考えが甘かったな。

まだ本気を出してなかったとはいえど、一夏は俺の予想を遥かに上回っていた。

 

「ったく、なんでこんなに嬉しくなるのやら。」

少し嫉妬しながらも、弟の成長を喜ぶ自分がいる、

俺も、深夏のこと言えねぇな。

 

「それはそうと、深夏よ、データは取れたな?」

「勿論よ、予想してた以上の収穫だけどね♪」

「ほう、ってことは、あの機体の完成も近いな?」

「ええ、千冬から送られた第四世代技術、展開装甲のデータを取り込んだ、

あの二人の新たな力。」

 

俺はディスプレイに表示されたデータを見る、

そこには・・・。

「第四世代機、白式弐型、リヴァイヴ・プルトーネ、

これが、あいつらの機体・・・。」

 

一夏、お前はこの力を以て、何を成す?

その答えを、俺に見せてくれ・・・。

 

sideout

 

 

 




はいどうもです!
最近少し忙しくてなかなか以前のペースで書けなくなって来ました。
最低でも、四日に一話、もしくは五日に一話のペースで更新していきたいと思っています!

それはそうと、どなたか、イチャイチャ案をください!

それでは次回予告
臨海学校前の土曜日、一夏とシャルロットは水着を買いに、街に繰り出していた。

次回インフィニット・ストラトス 光の彼方
水着購入!
お楽しみに!

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