インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

24 / 44
予想通りの乱入者

side一夏

それから、初戦を難なく突破し、

俺達のコンビはあっという間に準々決勝まで上がって来た。

 

ってか、シャルが少し怖かった。

理由なんて特に無い、だけど無性に怖いという感情を抱いた。

 

・・・、後で聞いてみた所、

相手にしていた女子が俺の寝込みを、性的な意味で襲おうとしていたらしく、

『僕から一夏を盗ろうとする子にはO☆SHI☆O☆KIしないとね♪』

すっごくいい笑顔でシールド・ピアースを撃ち込んでたな・・・。

 

・・・、シャルを大事にしないと俺がああなるな、

気を付けよう・・・。

 

まあそれは置いとこう、

準々決勝の相手はなんとまあ、セシリアと鈴のコンビだった。

 

「よっ、セシリア、それに鈴、調子良さそうじゃねえか。」

取り敢えずアリーナに入ってきたセシリアと鈴に声をかける。

二人とも以前より更に強くなっている、

それぞれを一人ずつ相手にする分には、俺は取り敢えずは勝てるが、

流石にこの二人のコンビネーションに一人で向かって行くのは、愚策だな。

 

だが、俺には何よりも心強い味方がいる、

負ける気がしねぇ。

 

「一夏さん、シャルロットさんもごきげんよう、

今回は私達が勝たせていただきますわよ?」

「何いってるのさセシリア、僕達が勝つよ?」

「言ってくれるじゃない、リア充のコンビネーションってのを見せてもらおうかしら?」

 

リア充ねぇ・・・、まあ学園唯一の恋人関係にあるわけだからな・・・。

あながち間違ってないか。

 

「俺達は負けん、悪いが勝たせてもらうぞ。」

 

俺がそう宣言すると同時に、試合開始のブザーが鳴る。

 

その瞬間から、セシリアがライフルで俺とシャルのちょうど間を狙撃してくる。

これは所詮、牽制に過ぎない、

回避したところに、鈴の龍砲が飛んでくる、

まったく厄介だ。

 

だが、俺達は敢えて、その策に乗ってやる、

左右に分かれた瞬間に、鈴が龍砲の発射体勢をとっていることを認めると、

 

「シャル!!」

「分かってる!」

俺の合図を受け、シャルはアサルトライフル、《レインオブサタデイ》で、

鈴を撃つ。

 

「このっ!!」

それに気付いた鈴は、衝撃砲の弾丸をレインオブサタデイの弾丸とぶつけ、爆散させる。

 

「おらっ!俺を忘れんじゃねぇぞ!!」

俺は雪片弐型を呼び出し、セシリアが撃ってくるBT弾を回避しつつ、

急速に接近し、横凪ぎの一閃を与えようとするが、

紙一重で避けられる。

 

「くっ、流石は一夏さんですわね。」

「セシリア!」

「わかってますわ!」

 

鈴の声に反応し、セシリアはビットを展開、

シャルを狙い撃ちはじめる。

 

いいコンビネーションだ、格闘タイプの鈴を相手にしているシャルに、

銃撃はかなりキツい、それを見越しての攻撃なのだろう。

 

だが、そんな事など、既に折り込みずみってね。

 

「シャル!!」

「分かった!!」

俺は叫ぶと同時に、雪片弐型をシャルの方へ投げる。

シャルもガンブレードの内、一本をこちらに向け、投げてきた。

 

「「なっ!?」」

セシリアと鈴は、それを攻撃だと勘違いし、

驚愕しながらも、その軌道から逃れようとする。

 

だが、これ自体は攻撃じゃない。

俺は空いた右手でガンブレードを掴み、セシリアに向け、発砲する。

日本軍での訓練のおかげで、射撃がそれなりに上手くなったため、

的確にビットを撃ち落とせた。

 

シャルは雪片弐型を掴み、二刀流で鈴を攻める。

「嘘でしょぉ!?」

鈴が悲鳴をあげるが、シャルは構わず雪片弐型と、

ライフル形態にしたガンブレードの射撃で、息つく暇を与えない。

 

俺は俺で、ガンブレードの射撃でセシリアを追い詰め、

ハーフチャージの荷電粒子砲を撃った。

 

「キャアァァァッ!!」

ガンブレードによる射撃を避けていたセシリアは、

荷電粒子砲による射撃を避けきれずに被弾する。

 

「セシリアァァァ!!」

鈴がセシリアをサポートすべく、こちらに向け、攻撃しようとしていたが、

「させないよ!!」

シャルが逆手に持った雪片弐型で切りつけた後、

至近距離でガンブレードの射撃を十発程撃ち込んだ。

 

「嘘でしょぉぉぉぉぉ!?」

鈴はそんな叫びをあげながら、墜落していった。

 

sideout

 

sideシャルロット

『そこまで!勝者、織斑一夏、シャルロット・デュノアチーム!!』

ふう・・・、勝てたね♪

「シャル。」

 

セシリアを倒した一夏が上空から降りてきた。

「一夏、勝てたね♪」

「ああ、俺とシャルなら当然だって、

なんたって、俺達は二人で最強だろ?」

「うん♪」

その言葉が嬉しくて、一夏に抱きつこうとした、

まさにその時だった・・・。

 

何かがアリーナのシールドを破って侵入してきた。

 

『・・・。』

セシリアも、鈴も、そして、一夏も、

予想通り過ぎた事に、げんなりしていた。

この場にいないラウラと簪も、同じような表情をしているんだろうなぁ・・・。

・・・、なんでこう・・・、嫌な予感って当たるんだろうね・・・?

 

『はぁ・・・。』

アリーナに僕達の溜め息が木霊した・・・。

 

 

sideout

 

 

side一夏

ああ、嫌だ嫌だ、

なんでこう催し事の時に限って襲撃があるんだよ・・・?

 

っと、ボヤいてる暇じゃねえな、

エネルギーが切れてるセシリアと鈴を下がらせないとな。

 

「シャル、セシリアと鈴をピットに連れて行ってやってくれ、

戻って来るまでは俺がしのいでみせる。」

「わかった、セシリア、鈴、僕に掴まって。」

 

シャルがセシリアと鈴を連れて、ピットに向かった。

それを確認した後、俺は侵入してきた奴を見る。

 

ってか、なんで攻撃してこない?

いくらでも隙はあったんだが・・・?

 

考えても仕方ねぇか。

俺は俺が出来る事をすればいい、ただそれだけた。

 

「お前は誰だ?」

言葉に殺気を含ませ、未だ晴れぬ土煙の向こうにいる、

アンノウンに言葉を投げかける。

 

「・・・、貴方が織斑一夏様ですか?」

「ああ、そうだが、こちらの質問にも答えろ。」

「失礼いたしました、私は束様の使い、

くー、と申します。」

 

おいおい、嫌な所から来るな・・・。

 

「束さんの使い、だと?なんの用だ?」

「はい、それは・・・。」

くーと名乗った少女が言葉を切った直後、

土煙の中から、一気の白い機体が飛び出してきた。

 

その機体は、どこか紅椿に似ており、

また、白式に通ずるウィングスラスターが目を引く、特徴的な機体だった・・・。

 

「・・・、さしずめその機体、白椿とでも言ったところか?」

「流石は一夏様、なかなか鋭い、この機体は白椿、

これであなた様のデータを集める、それが私に与えられた使いの用件です。」

 

ちっ、つまり、遠回しにいつか俺を殺すって言ってるようなもんだぜ、

まったく、勘弁してほしい、だが、同時にわからないこともある。

 

「ひとつ教えてくれ、束さんは俺を殺すつもりか?」

自惚れでも何でもなく、俺は束さんに気に入られているはずだ、

だから、束さんが俺を殺そうとするはずはないと思っている。

 

「いいえ、束様は、あなた様を殺すつもりはありません、

ですが・・・。」

 

そこでくーは言葉を濁した。

やっぱりな、束さんは俺を殺すつもりはない、

だが、こんなことをする、

つまり、これの真の黒幕は・・・。

 

「箒が、俺を殺すつもりなんだな?」

「・・・、はい。」

 

やっぱりな、それ以外考えられんからな。

まったく・・・、コミュ障も発展して、

誰にも受け入れてもらえなくなった結果がこれか・・・。

 

責任の一端が俺自身にあるのはわかるけど、

それでも、アホらしく感じちまうな。

 

「はぁ・・・、で?お前は俺と戦いに来たのか?

今なら虫の居所が悪いから、相手してやる。」

「それは怖い・・・、ですので、今日のところはこれで失礼いたします、

もともと、戦う気はありません、

本当は束様から警告を預かって来たのです。」

「警告?」

 

束さんが、俺に警告だって?

まさかな・・・。

 

「はい、『いっくん、箒ちゃんが壊れちゃったよ、

いつか大変な目に逢うかも知れないから、気を付けてね。』

だそうです。」

 

なるほどな、束さんも箒を警戒してるのか、

いや、恐れていると言ったところか。

 

「・・・、わかった、気を付けよう、

それから、束さんに伝言を頼めるか?」

「はい、なんでしょう?」

「あいつは何をしでかすかわからない、

ストッパーを用意しておいてください。

こう言っておいてくれないか?」

 

想像だけど、今の箒は俺を殺すためなら、

実の姉を犠牲にすることを、まったく躊躇わないだろう、

だから、あの人にも、用心しておいて欲しいと思ってる。

 

「承りました。それでは失礼いたします。」

くーはそう言った後、白椿のスラスターを吹かし、

アリーナから去っていった。

 

「やれやれ・・・、俺が原因で・・・、世界は荒れるな。」

そんな俺の呟きは、誰にも聞かれることなく、虚空へと消えた。

 

sideout

 

noside

その後、一夏は千冬に束からの警告を伝えた後、

シャルロットが待つ自室へと戻った。

 

「ただいま、シャル。」

「おかえりなさい、一夏♪」

一夏が部屋に入ると、シャルロットは笑顔で彼を出迎えた。

 

「随分遅かったけど、大丈夫だった?」

「ああ、事情聴取に時間がかかっちゃってさ。」

一夏はシャルロットと何気ない話をしながらも、

あることを考えていた。

 

(俺が原因で?俺のせいで箒は狂ったのか?

俺がアイツに応えてやれたら、アイツは狂わなかったのか?)

 

彼が考えるのは、敵となりつつある幼馴染みのことである。

彼が思うように、もし、彼が彼女の気持ちに応えていれば、

これから起こる災いの種は生まれていなかったのであろう。

 

(俺のせいで・・・?世界は・・・?)

悩みに囚われる一夏をシャルロットは心配そうに見つめていた。

 

「ねえ、一夏・・・。」

「どうした?」

一夏がシャルロットの方に振り向くと・・・、

 

「えい!」

シャルロットは一夏に抱き付き、そのままベッドに押し倒した。

 

「シャル?」

「一夏、悩みがあるなら、僕に話してよ!

僕は貴方の彼女なんだ!一夏が苦しんでるとこなんて見たくない!」

 

シャルロットはその瞳を潤ませながら、一夏に向けて言う。

 

(・・・、俺は・・・、何を悩んでるんだ?

俺は・・・、そうだ、俺はシャルの恋人じゃねえか!)

 

らしくないと、一夏は自嘲する。

他の女に気をとられ、自分の一番大切な女性を蔑ろにしてしまった、

 

「すまない、シャル、そうだな、

俺はやっぱりバカ野郎だ、また勝手に悩んで、

お前を心配させちまった。」

「ふふっ、そうだよ♪」

そう言って笑いあい、二人は互いを強く抱き締めた。

 

「愛してるよ、シャル。これからも俺の傍にいてくれ。」

「僕も愛してるよ♪ずっと、ずっと一緒にいるよ♪」

二人は唇を重ねたあと、肌も重ねるのであった・・・。

 

sideout

 




はいどーもです!
今回はかなり遅れての投稿となってしまいました!
ってかイチャイチャ書けねえ・・・、
誰かイチャイチャ案をください!(切実)

さてここで次回予告
六月に入り、臨海学校が近づく中、
一夏とシャルロットは海斗と深夏のもとを訪れていた。

次回インフィニット・ストラトス 光の彼方
一夏VS海斗
お楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。