インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

23 / 44
学年別トーナメント開催

side一夏

五月も終わりに近付き、

これまでの総仕上げとして学年別トーナメントが開催される事となった。

 

去年と同様に、試合形式は2対2のタッグマッチである。

 

まあ俺はシャルと組むとして、問題は・・・、

「こういう催し事に限って何か起こるんだよなぁ・・・。」

「そんな物騒な事言わないでよ、確かにその通りだけどさ・・・。」

俺がため息をつきながらボヤくと、

シャルはげんなりした様子でつっこんで来た。

 

そう、俺達の代が入学して以来、

何故か催し事の時に限って、

無人機だの、ファントム・タスクなどの襲撃が頻発するようになってんだよ。

 

多分、事の遠因に俺が関係してるのは確かだがな。

 

まったく、勘弁して欲しいぜ。

 

でもまあ、気にしている暇なんて、ねえんだけどな、

 

はあ・・・。

 

sideout

 

noside

学年別トーナメントが開催されると言うことで、

それぞれの学年が沸き立っていた。

何故かと言うと、トーナメントに優勝すれば食堂のデザートが半年間無料になる、

特待パスポートが手に入るのだ、興奮しない訳がない。

 

しかし、一部の生徒達の反応は至って冷ややかであった。

その一部とは、去年[・・] を経験している、

2、3年の専用機持ちの面々だった。

 

特に、一番捲き込まれている率が高い一夏の反応は、

先程見せた表情より酷く疲れたようなモノだったのだ。

 

「これってさぁ・・・、また何かしらの襲撃がある伏線って読んで良いのかしら?」

久しぶりに2年専用機持ち組は、全員で食事を摂っていた。

 

その際、鈴がポツリと呟いた。

 

「そんな事言わないでよ・・・、

ただでさえ皆そうなんじゃないかって思ってるんだから・・・。」

「確かにな、一時、当事者になった私が言うのもなんなのだが、

嫌な予感がしてならないんだ。」

シャルロットとラウラも疲れたような表情を見せ、勘弁して欲しいと言ったように話す。

 

「そうなの?私はあんまりそう言うの知らない。」

「そうでしたわね、この中では簪さんが一番被害が少ないのでしたわね。」

簪の言葉に、セシリアは納得したように返す。

 

簪は他の面子より、専用機の開発が遅れていたため、

その様な騒ぎには余り捲き込まれてはいない。

 

「お前らなぁ・・・、今のところ皆勤賞の俺はどうなるんだよ・・・。」

『あ・・・。』

 

非常に疲れたような声でボヤく一夏に、全員がしまった!

という表情になった。

 

確かに、この場にいる面子は、非常事態を何度も味わってきた。

だが、何回か遭遇していない時もあった。

 

しかし、一夏はそのすべてに関与し、何度も危険に晒されていた。

 

それがあれば、ボヤきたくもなるだろう。

 

「こ、今回は来ないわよ!!ちゃんとした勝負ができるって!!」

鈴が重苦しくなった空気を払うように、大袈裟に声をあげる。

 

「そ、そうですわ!」

「う、うむ、これは杞憂で終わる!絶対にそうだ!!」

セシリアとラウラも勢い良く言うが・・・。

 

「二度ある事は、三度あるとも言うよ?」

簪の無慈悲な発言に、場の空気が死んだ。

 

sideout

 

sideシャルロット

学年別トーナメントまで後1週間になり、

専用機持ち組の憂鬱は、どんどん募って行った。

 

かくいう僕も、どうしても事件が起きる気がして、

気が重い、ほんと・・・、なんでこんな事になるんだろう?

 

「今日もお疲れ様、シャル。」

「うん♪お疲れ様一夏、部屋に帰ろ?」

「おう。」

まあ考えても仕方ないよね?

僕は一夏と一緒なら、どんな事でも乗り越えられるからね♪

 

だから、今は一夏との時間を楽しまないと、気が参っちゃう。

「ねえ一夏、今日の晩御飯どうする?」

「昨日食材買い込んで来たから、一緒に作らねぇか?」

「あ、それいいね♪」

 

やった♪一夏の料理が食べられる♪

美味しいんだよね~、一夏が作ってくれる料理って♪

この前はハンバーグを一緒に作ってて、驚かされたよ、

かなり細かい味付けや飾り付けまで気を配ってて、

見た目も味も、レストランで出るのと同じか、それ以上のものが出来上がってたなぁ。

 

・・・、ちょっと女としての何かが折れた気もしなくはないけど、

そんな事、一夏の料理が食べられる事に比べたら、大したことじゃないね♪

 

「今日はオムライスでも作るか、ちょうど材料もあるし。」

「うん♪楽しみだなぁ♪」

「あ、でもシャルも手伝ってくれよ?

新婚さん気分を先取りしてみたいしな・・・。」

 

新婚さん、その言葉は僕の胸を高鳴らせるのに、充分な意味と、甘さを備えていた。

 

一夏の奥さんになって一緒にご飯を作って・・・、

リビングで僕と一夏の子ども達が、こっちを眺めてて・・・。

 

ああ、なんて幸せな光景なんだろうね♪

って、これは新婚さんじゃないね、でもまあ、

一夏と一緒なら、幸せだよね♪

 

「うん、勿論だよ♪ふふっ、新婚さんかぁ~♪」

「はははっ、自分で言っといてなんだけど、少し照れるな、

まあ、嬉しいけどな。」

ふふっ、照れてる一夏も新鮮でいいなぁ、

付き合い初めてから、一夏の意外な一面を見れて、

毎日ドキドキしてるなあ。

 

「一夏、大好きだよっ♪」

「俺も大好きだぜ、シャル。」

 

ふふっ、幸せだなぁ♪

 

sideout

 

 

sideリク

はじめましての方ははじめまして、

IS学園二番目の男という称号をいただきました、結城リクです。

 

えーと、俺は今何してるんだっけ?

何故か、一夏先輩とシャルロット先輩の様子を、

柱の陰から見てるよな?

 

あれ?なんでこんなことしてんの?俺は?

ああ、確か一夏先輩に話があって、それで見つけたはいいけど、

声が掛けづらいんだよ!

 

なんなのあの二人!?

めっちゃ幸せオーラ全開だよね!?

見てるこっちの身にもなってくださいよ!!

 

当て付けですか?

これは独り身の俺に対する当て付けなんですか!?

 

そりゃぁねぇ、俺だって一応、思春期男子なんですよ、

彼女欲しいよ!!

 

そりゃぁ、遊びで声かけたら何人かは、乗ってくれるでしょうけどね

そんな事したくないんですよ!!

 

あーもう!!

 

用事がなんだったか忘れちゃったじゃないですかぁ!!

 

「あら?貴方は・・・。」

「はい?」

頭をかきむしっていると、後ろから声を掛けられた。

 

振り向いて見ると、青いカチューシャを着けた、金髪縦ロールが特徴的な、

垂れ目の超美人さんがいました。

 

この人は確か・・・。

 

「えっと・・・、オルコット先輩、でしたか?」

「ええ、そうですわ。貴方は確か・・・。」

「あ、すみません、自己紹介が遅れましたね、

1年の結城リクです、リクと呼んでください。」

「私もセシリアで構いませんわ、よろしくお願いしますわね、リク。」

 

うっ!やべぇ、見とれちまったよ、なんて上品で清楚な方なんだ。

 

「はい、よろしくお願いします、セシリア先輩。」

「ええ、ところでこんな所でいったい何をなされていたのですか?」

「あ、はい、実は・・・。」

 

sideout

 

 

sideセシリア

リクからの説明を受け、

私は大体の事を理解しましたわ。

 

「つまり、一夏さんに用事があったけど、

あの激甘オーラに、話し掛けられなかった・・・、という事ですか?」

「はい・・・、そうです・・・。」

 

そう言って項垂れるリクを見て、少し可愛いと思ってしまいましたわ。

 

まあ、仕方ないですわね、あの雰囲気のお二人に水を刺すような事は、

流石に私も気が引けますわ。

 

「そんなに気を落とさないでくださいな、

また後でお二人をお訪ねすればよろしいですわ。」

「は、はい、ありがとうございます、セシリア先輩。」

 

本当に礼儀正しい方ですわね、一夏さんとはまた違った印象を受けますわね。

ですが、その目は・・・、一夏さんと良く似てらっしゃいますわね。

 

一夏さんが激しく燃え盛る炎だとすれば、

リクは内側で静かに、それでも強く燃える炎ですわね。

 

この方も、私が見てきた情けない男性ではありませんわね。

 

面白い、知りたい、そんな衝動が私の中で蠢く。

 

ですが、まだ、私にはその様な資格はありませんわね、

今は、ちゃんと気持ちを切り替えられるまでは、

私はこの方に相応しく無いのです。

 

「それでは失礼しますわね、リク。」

「はい、ありがとうございました。」

 

私は踵を返し、部屋へと戻りました。

 

sideout

 

noside

時は少し流れ、タッグトーナメント開催一時間前、

一夏とシャルロットは、アリーナの更衣室にすでに待機していた。

 

一夏達の試合は、シードを獲っているだけあって、

かなり後の方なのである。

 

ちなみに、専用機持ち組のペアは、

セシリアと鈴、

ラウラと簪という組み合わせである。

 

「おっ、流石はラウラと簪だな、

相手に息つく暇を与えてない、見事な連携だな。」

「セシリアと鈴は上手いの一言に尽きる動きだね、

お互いの癖を分かってる。」

 

二人は友の戦いを見て、感嘆の声を洩らす。

 

「けど・・・。」

「だけど・・・。」

 

二人はクスリと笑った後、

 

「「本当に強いのは俺達だ(僕達だよ)。」」

見事なハモりで宣言した。

 

「おっし、行くぞシャル。」

「うん、勝とうね、一夏。」

「当たり前だ。」

 

一夏とシャルロットはピットに入り、

それぞれの機体を展開する。

 

そして、一夏達の試合の番となった。

 

シャルロットが先にカタパルトに入り、

機体を固定する。

「シャルロット・デュノア、スペリオル、行きます!」

オレンジいろの機体が虚空へと飛び出した後、

一夏は機体をカタパルトにむける、

 

「織斑一夏、白式、出るぞ!」

純白の機体が虚空に飛び出し、観客の目をかっさらう。

 

対戦相手は、ラファール・リヴァイヴを纏う、三組の一般生徒二人組、

実力は専用機持ちを除けば中の上に入る、実力者だ。

 

「相手にとって不足なし、存分に戦うだけだ!!」

「僕はずっと一夏の傍で戦い続ける、それだけさ♪」

「やるぞ、シャル、俺達の!」

「うん!僕達の!」

 

一夏とシャルは、ダンスよろしく身体を寄せあい、

体勢を決める。

 

「「本当の戦いを!!」」

 

叫びながら身をはなし、戦闘へ突入した。

 

sideout




はいどーもです!
最近真面目書きすぎてイチャイチャが、
書きづらくなっちゃいました・・・(泣)

さて次回予告
ついに始まったタッグトーナメント、
だが、それに水を刺す乱入者が現れた。

次回インフィニット・ストラトス 光の彼方
予想通りの乱入者

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。