インフィニット・ストラトス 光の彼方   作:ichika

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三学期始動

side一夏

年越しを終えて、俺とシャルは寮に戻ってきた。

今年のお正月は本当に楽しかった。

それに、シャルの和服姿はメチャクチャ可愛かった。

オレンジ色のイメージが強い彼女だが、赤い布地の和服が、

シャルの魅力を引き立てていた。

二人っきりで初詣にも行ったし、凧上げとかもした。

 

今年以上に充実したお正月は今まで無かったな・・・。

これを幸せって言うんだな・・・。

 

「どうしたの、一夏?」

「ん?ああ、ちょっと考え事をしてただけだよ。」

ベッドに腰掛け、ボーッとしていた俺に、シャルが顔を近づけて聞いてくる。

 

容姿レベルが高い恋人にそんなに接近されれば、普通にドキッとするよな。

「ホントに?」

「ああ、ホントだ。」

 

ホント、幸せ者だな、俺は・・・。

俺はシャルを抱き締め、彼女を押し倒した格好になる。

 

「ふふっ、僕これから何されちゃうのかな~?」

期待とからかいをその美しい瞳に宿しながら、シャルは微笑む。

誘ってるな、こりゃ完璧に。

 

「何されたい?」

「一夏にならなんでも、でも、身体に傷が残るのは勘弁かな?」

「それじゃあ、激しく、抱かせてもらおう。」

さてと、愛させてもらうぜ?

sideout

 

noside

冬休み明けの授業も終わり、

一夏はラウラと第3アリーナに来ていた。

 

普段はシャルロットと訓練をすることが多いが、

新しく技を思い付いた際は、他の専用機持ちに頼んで相手をしてもらっている。

 

「一夏、試したい事とはなんなのだ?」

「ああ、これは対ラウラ用に考え付いたんだ。」

「ほう?それは楽しみだ、ではいくぞ?」

「ああ、全力でいくぜ!」

 

それぞれシュヴァルツァ・レーゲンと白式を展開し、

戦闘に移行する。

 

ラウラはレールガンを一夏目掛けて撃つが、

一夏は細やかなスラスター制御で、かわす、

タイミングを見計らい、一夏は連続瞬間加速<リボルバー・イグニッション・ブースト>を

発動し、時折方向を変えながら、シュヴァルツァ・レーゲンに急接近する。

 

白式の最大の長所、それはその機動性にある。

元々それなりにあったそれが、調整を加えられた事で、

学園内の全ての専用機の中でも屈指の機動性を誇るまでになった。

 

「くっ!流石に速度では張り合えんか!!」

ラウラは機体を操縦しながら、苦い表情をする。

 

彼女の愛機、シュヴァルツァ・レーゲンも、

それなりの機動性はあるが、流石に調整を加えられた白式には届かない。

それに、以前はただ突っ込んで来るだけだった一夏が、

高機動を活かしたらスピードバトルを行うようになって以来、

苦戦を強いられるようになっていた。

 

しかし、彼女とて代表候補生、みすみす負ける筈がない。

 

超加速で接近してくる白式を捉え、ワイヤーを駆使した攻撃を繰り出す、

しかし、一夏はこれを雪片弐型ですべていなす。

 

「掛かったな!!」

白式が間合いに入ったその瞬間を狙い、AICを発動させる。

対象の物体を金縛りの如く拘束するため、一対一の戦闘では反則的なまでの優位性をもつ。

 

そんなモノを喰らえばいかに機動性が高い白式でも、磔状態になるのは必至、

後はなす統べなく蹂躙されるのがオチである。

 

意識を集中させ、白式の全体を縛るようにAICを発動させた。

見えない拘束器具が、容赦なく白式に襲い掛かるが・・・。

 

「零落白夜、発動!!」

一夏は手札を切る、

零落白夜、自らのシールドエネルギーを消費する代わりに、

相手のシールドエネルギーを削る単一仕様<ワンオフ・アビリティー>。

本来なら雪片弐型の刀身がスライドし、エネルギー刃が構成されるが、

なんと彼は、白式全体[・・・・]に零落白夜のエネルギーを纏わせる。

 

そうなれば、エネルギー兵装や、空間兵装は一切効かない。

無論、それはAICとて例外ではない。

 

AICを難なく突破した一夏は、驚きで動けないラウラに、

零落白夜のエネルギーを纏った斬撃の雨を降らせる。

 

ほどなく、シュヴァルツァ・レーゲンのシールドエネルギーは0になった。

 

sideout

 

side一夏

「一夏、あれが試したかった技か?」

ISを解除したラウラが、俺に質問してくる。

「勿論だ、あの技の名前は、<零落白夜・纏>、

雪羅のシールドを参考に俺が考えた技だ。」

 

つっても、本当に出来るかどうかは分からなかったけどな。

 

「フム・・・、その技は第3世代ISには絶大な効果を発揮するな。」

まあそうだな、エネルギー兵装や、空間兵装を無効化する事が出来るし、

それに、それを纏わせておけば、鎧のようになるし、

かなり幅がある。

けどな・・・、どんなモノにも弱点ってものは付きまとうんだよ。

 

「けどさ・・・、シャルのリヴァイヴやら簪の打鉄弐式みたいな、

実弾兵装主体の機体には弱いんだよ・・・。」

「確かにな、零落白夜はエネルギーを打ち消すが、

実弾を潰す事は出来ん、つまり、一夏の天敵というわけだな?」

 

そうなんだよな~、シャルのリヴァイヴはスピードでまだ攪乱できるけど、

ブルー・ティアーズ並みの機動力がある上、

追尾式ミサイルを山程積んでる弐式ははっきり言って相性がむちゃくちゃ悪い。

 

シャルだって、近付けないように弾幕張ってくるし、

何より俺のしようとすることを理解しているから、

攻撃しづらいったらありゃしない。

 

「だが一夏よ、お前は零落白夜を発動させた雪片弐型を、

鈴がやるように投げたらしいな?

シャルロットが驚いていたぞ?」

「あー、うん、あれねぇ、実はかなりなげやりだったんだよな~。」

「そうなのか?」

「ああ、どうしたらシャルの意表をつけるかなって、考えもしなかったけど、

体が勝手に動いてた。」

あの時は割りと必死だったからな~。

 

お、それよりも刀投げたのに投げ槍って・・・。

 

「面白くないぞ、一夏。」

「うぐっ!」

ああ、やっぱり俺って・・・、ギャグセンスないわね・・・。

 

sideout

 

side一夏

さて、ラウラとの模擬戦闘を終えて部屋に戻る途中、

整備室で機体の調整をしていたシャルとばったり会って、

ハグした後、一緒に部屋に戻った。

 

「ねぇ一夏、調子はどうだった?」

「ん?ああ、なかなかだったよ、<零落白夜・纏>も上手くいったし、

連続瞬間加速<リボルバー・イグニッション・ブースト>もほぼ成功出来るようになったしな。」

 

最近、というよりシャルと付き合い初めてから、

なぜか調子がかなりいい。

 

最初はあまり気にも留めていなかったが、前まで考え付かなかった技を編み出したり、

瞬間加速<イグニッション・ブースト>の応用がかなり上手くなったりと、

調子がいいだけでは済まされないくらい、伸びてきている。

 

他の専用機持ちと模擬戦した時なんて、

リボルバー・イグニッション・ブーストを決めただけで、

かなり驚かれたな。

 

まあ、自分でもなんでここまでキテるのかわかんねぇけど、

そんなこと考えている暇があったら前に進んだ方が得策ってね。

 

「それはそうと、シャル。」

「ん?」

 

俺はシャルを呼んで、抱き寄せる。

シャルの甘い匂いが、呼吸するたびに俺を虜にする。

シャルも俺の背中に腕を回し、しっかりと抱きついてくれている。

 

「今日はあんまり一緒にいられなかったから、

ちょっとだけこうさせてくれ。」

「ふふっ、一夏ってば、甘えん坊さんなんだね♪」

そうだよ、愛しの恋人に甘えて何が悪い。

 

「しょうがないなぁ、いいよ、僕もこれ、好きだから・・・。」

「シャル・・・。」

俺はシャルの顎を右手の親指と人差し指で少しだけ持ち上げ、

上を向いた彼女の唇に、自分の唇を重ねる。

 

彼女の吐息が、熱が、すべてが愛しい・・・。

 

ほどなくして唇を離し、俺は彼女をより強く抱き締める。

離したくない、俺はシャルと一緒に生きていきたい。

 

「シャル・・・、愛してる。」

「僕も愛してるよ、一夏。」

俺達がもう一度唇を重ねようとした時・・・、

 

「一夏!!シャルロット!!」

「いらっしゃいますか!?」

「うおっ!?」

 

いきなり血相を変えた鈴、セシリア他、

ラウラ、簪、そして楯無さんが部屋に突入してきた。

「な、なんだ!?」

「ど、どうしたの、皆!?」

あまりにも気迫が違うので、俺とシャルは少しビビっていた。

 

「それよりも、早くテレビつけなさい!!」

「なんだ!?見たいテレビでもあるのか!?」

「違いますわ!」

「じゃあどうしたの!?」

「ええい!!まどろっこしい!!」

「どこよリモコン!!」

なんだ!?このカオスは!?

 

取り敢えず言う通りにするか・・・。

俺はリモコンを探しあて、取り敢えず電源をいれる。

 

『つい先程、フランス、デュノア社に対し、インターポールによる家宅捜索が開始されました。

情報によりますと、今回、強制捜査が行われる理由は、

社長による横領等、15の容疑によるものだと伝わっています。

なお、フランス政府の閣僚の中にも、デュノア社からの贈賄を疑われた議員が相次いで検挙され、当局では詳しい情報を・・・。』

 

おいおい・・・、マジかよ・・・。

やるにしても早すぎやしねぇか、海斗兄、深夏姉・・・?

 

「ねぇ一夏・・・、これって・・・。」

真相を知るのは俺とシャルのみ・・・。

こいつはやられたね。

 

「ちょっと、大丈夫なの!?」

「はっ?」

俺は訳が分からず聞き返す。

 

「デュノア社はシャルロットさんのご実家でしょう!?」

あー、そういう事か、そう言えば説明してなかったな・・・。

 

「シャル、どうする?」

「僕が説明するよ、一夏。」

「わかった、皆、ちょっと聞いてほしい事がある。」

 

俺とシャルは、皆に事情を説明することにした・・・。

 

~説明中~

 

「・・・、ということなんだ。」

『・・・。』

やっぱりそうなるわな。

俺も最初は戸惑ったもん。

 

けど、これでデュノア社は潰れる、

海斗兄達のことだ、シャルの処遇はなんとかしてくれる、

その代わり、俺になにかしらの代償が来るのは明白だな・・・。

 

「ごめんね、今まで黙ってて・・・。」

「シャルロット・・・。」

「あんた・・・、これからどうするのよ?」

 

簪や鈴が心配そうに声をかけてくる。

まあ、その点ももう大丈夫なんだがな。

 

「大丈夫だ、日本軍にいる兄貴と姉貴がシャルを匿ってくれる。

だが、俺が軍に編入されるのは目に見えている。」

『!?』

俺の発言に全員が驚く、

どっちに驚いてんだろうな?

多分兄貴と姉貴の方だろうけど・・・。

 

「一夏・・・、まさかその、兄貴と姉貴って・・・。」

「海斗兄と深夏姉だ。」

二人を知っている鈴が驚愕の表情で聞いてくる。

 

「ちょ、ちょっと待って!?

まさか小早川中佐のこと!?」

楯無さんが今まで見たことが無いぐらいに驚き、

簪は目を丸くしていた。

 

「はい、俺の義理の兄さんと姉さんです。

昔から本当の弟みたいに俺をかわいがってくれました。」

 

楯無さんが海斗兄と深夏姉の事を知っているとは、

思わなかったけど、やっぱりあの人達って、かなりすごいんだな・・・。

 

まあ、今は気にすることじゃないか。

 

「なんにしても、俺やシャルの処遇を心配する必要はない、

むしろ、これから色々楽しめる。

後、織斑先生には内緒にしといてくれねえか?

なんかあったら、真っ先に海斗兄と深夏姉が被害を受けるからな・・・。」

 

全員がその事に納得の表情を浮かべる。

まあ、千冬姉だし、当然か・・・。

 

だってブラコンなんだもの・・・。

 

「わかったわ、何かあったら私達を頼りなさい?

力になるわ。」

「ご友人を助けるのも、私達の務めですもの。」

楯無さんとセシリアが、俺とシャルに向けてそう言ってくる。

 

「ありがとう、助かるよ。」

 

俺は友人達に深く感謝し、頭を下げた・・・。

 

sideout

 

side箒

ニュースを見ていた・・・。

そこでシャルロットの実家の事を知った・・・。

 

「はは・・・、はははは!!」

シャルロットは後ろ楯を無くした!!

一夏はやつに愛想を尽かして離れていくはずだ・・・!!

 

「これで・・・、一夏は私のものだ・・・!!」

sideout




どうもです~。
なんか今回モゲロ展開が少ない気がしますね・・・、
もっとイチャイチャさせたいな~。

次回予告
シャルロットと日常を過ごす一夏に
ある呼び出しがかかる。

次回インフィニット・ストラトス光の彼方
一夏入隊
お楽しみに!

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