艦隊これくしょんー啓開の鏑矢ー   作:オーバードライヴ/ドクタークレフ

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大変お待たせして申し訳ありません。
レポート&バイト&試験のコンボを乗り切ってたら大変遅くなってしまいました。

それでは、深海棲艦に立ち向かう彼女たちを追っていきたいと思います。
それでは、抜錨!


Chapter2-7 真の戦へ

 

 

 

 小さな船が8隻、海の上を進んでいく。

 

「どうしてあの無線に応じたんだ?」

「……ここで死んでも意味がないと判断したからだ」

 

 その男“ヴォルテル”は苦々しい表情をして続ける。

 

「あの状況下で突っ込んだとして我々は何を得る? 全員が犬死しかあるまい。まだ“彼女たち”は本気を出していないのは明らかだろう。あそこで無理に突っ込んで彼女たちに殺されたいか?……殺されるならまだいいだろう、王国軍に捕まったらどうなる? 不利益しか生むことはないだろう」

「だが、戻ったところで俺たちはどうなるんだ!……どちらにしても終わりじゃねぇか。ならせめて名を残さねばならないだろうが!」

「未成熟な人間の特徴は理想のために高貴な死を選ぼうとする点にある、それに反して成熟した人間の特徴は理想のために卑小な生を選ぼうとする点にある……そんな言葉を聞いたことはないか?……理想や正義など時によって変わっていく。なら、俺たちがするべきは俺たちが正義となる時まで矮小な生を耐え抜き、後に正義の種を残すことじゃないのか?」

「それは臆病者の言葉だ! 臆病がうつる!」

「臆病だろうとその死に意味があるのか? あそこで死ねば王国軍を活気づけるだけだ。そのために死にに行くのも馬鹿らしくはないかね」

 

 ヴォルテルはそう言ってエンジンのスロットルをわずかに絞る。

 

「……黙れよ臆病者が」

「その臆病者に対して銃を突きつけなければ物も申せないのか?」

 

 ヴォルテルは僅かに笑う。

 

「……艦娘とやらの指揮官、いい腕をしていたな。わざと俺たちを泳がせた。こうやって仲間割れをすることをおそらくわかって泳がせたはずだ。手を汚さずに相手を始末できるし、そうはならなくても“この船を追いかけていけば本拠地の近くまでご案内”だ」

「それをわかってなぜ舵を切らない!」

「……なぁ、なぜ俺たちがこうやって魚雷艇で動けるか考えたことはあるか?」

「“ホールデン”がイージス艦の武装を潰して」

「違う。その前だ」

 

 ヴォルテルはどこか柔和な表情を崩した。

 

「もし今ここで海原に飛び出してみろ、深海棲艦に捕捉される可能性が高くなる。これ以上陸地から離れたら深海棲艦に捕捉されてから陸に逃げ込むことができなくなる。そうなれば」

 

 死ぬしかないよな? とヴォルテルが笑う。

 

「ここの艦娘に攻撃をしている以上“もう俺たちは見殺しにされても文句は言えないんだぜ”」

「だから適当に海岸線をドライブする気か?」

「それ以外に方法があるか?」

 

 その直後、ヴォルテルは右肩に鋭い痛みを感じる。撃たれたと認識するまでに、数瞬の時間を要した。

 

「……こんな臆病者が指揮官だったと見抜けなかった自分に反吐がでる」

 

 男はそう言ってヴォルテルを押しのけると舵を切った。沖合から改めてマニラ湾にアプローチするルートだ。

 

「後ろからだと護衛艦を数隻抜かなきゃいけねぇ、まったく酷いところまで逃げてくれたものだ」

 

 男に合わせて船団は北へ、沖合の方へと舵を切る。島影が小さくなるころ、海の端が瞬いた。

 

「……?」

 

 

 

 その瞬間まで何があったかわからなかった。

 本当に深海棲艦のテリトリーに足を踏み入れたことなんて、わかるはずがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

非常用位置指示無線標識装置(ELT)電波、キャプチャーですっ!」

 

 睦月が叫ぶ、電波の方位と強度から大体の位置を特定して、全員にデータリンク。相手の位置を共有する。

 

「……思いっきり深海棲艦の予想進路上じゃね」

 

 浦風がそう言うと皐月が頷いた。

 

「後5分ってところかな?」

「おそらく8分半というところだと思うのです!」

 

 電の声を受けて航暉の声が割り込んだ。

 

《隊を分けるぞ。第一小隊は川内・電・雷・睦月・如月は敵の予想進路上へ展開、残りの皐月・浦風・長月・文月は第二小隊で浜地中佐の指揮下へ、ELTの発信元へ向かってくれ》

「了解!」

 

 隊を代表して川内が答えると相手の予測位置へ向けて方位を微調整、そこに電たちが続く。その後ろから皐月が艦列から飛び出し、文月たちが続く。

 文月が皐月の横に並んだ、その後ろに浦風と長月が並ぶ、複縦陣で主機を吹かし、相手へと向かって走っていく。水平線ぎりぎりあたりでかすかに何かが光った。海面の反射にしては赤みが強い。それが皐月たちの前方まだ3キロほど先だろうか……そこに水柱を立てる。

 

「……急ぐよ!」

「うん!」

 

 前へ、前へ、前へ。主機は唸りを上げ続け体をさらに加速させる。

 

「――――――見えた!」

 

 皐月の目が海の上を必死に逃げ回る艦を捉える。同時に皐月たちも敵の射線に入ったのだろう。浦風の横にも水柱が立った。

 

《皐月、状況は?》

 

 無線の声は浜地中佐だ。

 

「目視できるのは魚雷艇6隻! 一隻は火災発生中。船員は海上に投げ出されてる感じみたい!」

《なら魚雷艇が投げ出された人員を回収できるまで時間を稼ぐ。……皐月、文月は敵本隊へ向けて転進、浦風と長月で魚雷艇を護衛しろ。魚雷艇からの攻撃も考えられる。護衛対象も十分に注意しろ》

「魚雷艇を誘導してどこへむかわせればええ?」

《……とりあえず、射程外に誘導し、キャビテ軍港へ移送しろ。国連海軍警邏隊に身柄を引き渡す》

 

 浜地中佐がそれを言った直後、その無線に銃声が乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「移送だと? なぜ我々に引き渡さない!」

 

 制帽が吹き飛ばされ、こめかみに血の筋をたらしつつ浜地中佐はその銃口を見据える。

 

「民間人保護の規定に則った正式な防衛行動です。一度最寄りの国連海軍基地へ保護しその上で彼らの身柄をどうするかを検討します」

「検討だぁ!? 国王陛下に仇をなす者たち犯罪者の身柄などどこに検討の余地がある? 基地から出てしまえば治外法権などない、しかもそこは我が海軍の管轄地域だ」

「だとしても、彼らが深海棲艦の脅威にさらされていることには変わりなく、またその脅威の排除は我々国連海軍の任務だ。犯罪者であろうと国王であろうと“深海棲艦の脅威にさらされていいるのならば、我々はより危険にさらされている人から救援する”」

 

 浜地中佐はそう言って銃を向ける大将と向き合った。

 

「あなたたちは勘違いしている。我々の任務は国王や政府要人を守ることではない。我々は国連海軍であり、深海棲艦の脅威から人類を守ることだ。だからこの船にも急襲が来ることを想定して艦娘を残しているし、戦闘域に取り残された人員の救出を行っている。“国連海軍が並走しているからといって貴方たちが優位に立っているわけではない”」

 

 浜地中佐はそう言った。目の前の大将は顔を真っ赤にしてわなわなと震えている。

 

「深海棲艦の脅威に対しては王様だろうとごろつきだろうと同等に扱う。人の命を守ること、それのみが国連海軍としての任務です!」

「国王の身辺確保はこの国の根幹に関わるのだぞ! VIPだ! それが優先されるべきではないかね!」

「この位置ならば深海棲艦の攻撃が来る前に安全圏に離脱できる! こちらの護衛にもちゃんと艦艇を割いている。これ以上の措置は必要ない」

「必要があるかないかは我々が判断する」

「国連海軍にスールー海軍の指揮下に入れという意味ですか?」

 

 浜地中佐は右目に入った自分の血で視界をゆがめながらも毅然と立つ。

 

「……調子に乗るなよ国連海軍。ここは私たちの海だ。だれの船に乗っていると思っている?」

「あら? 艦の長はマルセロ・ピラール艦長よね?」

 

 茶化したようにケラケラと笑うのは笹原だ。

 

「この海に放り出してやろうか貴様ら! 王の御前で無礼な!」

「リモート義体の操り人形を信じろと?」

 

 航暉がそう切り込んだ瞬間に大将の表情が凍った。

 

「親衛隊員の機銃掃射から庇ったとき、国王陛下の痛みに対する反射にワンテンポの遅れが見られた。遠隔操作式のリモート義体の特徴だ。痛みに対する反応も鈍い……国王の“本当の体”はマニラの核シェルターの中にでもあるのではないですか?」

「途中から国王の動きがなくなったのは電脳ハッカーの存在が確定的になり、国王が乗っ取られるのを恐れて、遠隔操作を切ったから、違う?」

 

 笹原の追撃に顔を青から赤に変えていく大将。

 

「……気づかぬふりをしてただけと言いたいのか?」

「それで済めばよかったのですが、これ以上は私たちの任務に差し障ります」

「任務だと……!」

「深海棲艦の脅威に立ち向かう、それが我々の唯一と言ってもいい存在意義です!」

 

 

 浜地中佐はそう言って目の前の銃眼の向こう、大将を見据えた。

 

 

 しばらく顔を真っ赤にしていた大将の右の人差し指が動き、響く銃声。

 

 

 そして次の瞬間に男の絶叫が響く。

 

 

 

 

「――――正当防衛だ。私の部下に何をする気だ」

 

 月刀航暉がまだわずかに煙を残す拳銃の銃口を人のいない方向に向ける。

 

「大将殿、いくら気に喰わないからと言って銃を持ち出したのは失策でしたね。その時点で“我々も正当防衛として撃つ権利を与えることになった”」

 

 右手を押さえてうずくまる大将。拳銃が銃撃を受けた衝撃で手の骨のどこかが折れたのだろう。地面を滑って離れていく拳銃を、笹原が拾い上げた。マガジンを引き抜き、チェンバーをスライドさせるとそのまま確保する。

 

「あなたは仰いましたね。“国連軍は人を殺す痛みも知らない臆病者の集団”だと。確かに水上用自律駆動兵装運用士官はその人物の適性が問われるため民間あがりの人間も多い。だが、全員がそうでないことは知っていると思っていたのですが……」

 

 手に持った銃――――マルセロ・ピラールと書いてあるフィリピン製の拳銃だ――――を腰のベルトに挟むようにして仕舞うと大将の顔を覗き込んだ。

 

「残念かもしれないが、俺は日本自衛陸軍出身でね。人に対して銃を向けるのにはあまり抵抗がないんだ」

「……貴様、こんなことをして」

「それはこちらの科白だ。てめぇがしたことは国連海軍の作戦行動時における作戦妨害だ。しかもそれを“スールー海軍の艦隊司令が行った”となると、それはスールー海軍の総意として受け取られるかも知れないな」

 

 直後、緊急の通信を告げるアラートが艦橋に響く。艦長が通信機を取る。

 

「……国連海軍極東方面隊総司令部からです」

「貴様、まさか……」

「深海棲艦に対して作戦行動に入っている将校を銃撃したとなると、その責任は計り知れない。また基本的にすべての作戦行動は極東方面隊のコンピュータに情報が集約される。……もちろんてめぇが銃撃を行ったということ含めてだ。そして中央戦術コンピュータが速やかに司令部の安全を確保せよと言ってきている。今は上層部が中央戦術コンピュータ(CTC)を押さえてくれているらしいが、さて……」

 

 緊急通信がスピーカー越しに響く。流ちょうな英語が流れ出した。

 

《国連海軍極東方面隊総合司令、海軍元帥、山本五六(いつむ)だ。スールー海軍の艦隊司令艦直々に我が部隊の左官に向けて発砲したと報告が上がったのだが、本当かね?》

 

 目の前の大将が顔を青くする。

 

《……沈黙は肯定と受け取るぞ。きっと今頃国連本部の在ジュネーヴフィリピン大使館は蜂の巣をつついたような騒ぎになっているだろう。我々は君たちのフィリピン内での喧嘩に付き合う余裕はないのだが、君たちの海域が深海棲艦に襲われては他の国にも危険が及ぶ。だからこそ国連が仲裁に乗り出して、決着を図った。国連が君たちに協力したのは制海権を押さえられる海軍を所有しているからというのが大きいが、“我々にスールースルタン国がフィリピンの政府に据えねばならぬ絶対的な理由はない”……これ以上国連海軍の将兵に手出しをするようなら切って捨てるがよろしいか?》

 

 疑問形でくくられたが、そもそもそれは回答を求めてはいなかった。

 

「……それは、困る」

 

 ノイズ交じりの英語が割り込んだ。

 

「……国王、陛下?」

 

 大将が目を見開いた。航暉が指揮卓の裏側に寝かせたままの姿勢で国王の口がゆっくりと開かれた。

 

「キャプテン・ツキガタ、コマンダー・ハマチ、コマンダー・ササハラ。我が軍が大変な迷惑をかけた……」

 

 枝がつかないように周波数変更器(スクランブラ―)をかけたノイズだろう、その向こうの声は平坦だった。

 

「ジャパンはサムライの国と聞く。……キャプテン・ツキガタ、コマンダー・ハマチ……あなたたちはなぜ戦うのか、伺ってもよいか」

「――――――“地球を救う”など、きれいごとならいくらでも言えましょう。ですがそれを求めてはないのでしょう?」

「無論」

「ならば、私の答えはこうですね。―――――“部下を死なせたくない”」

 

 航暉はそう答えて背筋を伸ばした。横に浜地中佐が並ぶ。

 

「私一人では何もできない。迫りくる深海棲艦の一隻だって止めることはできないでしょう。ですが、彼女たちは違う。彼女たちなら止められるかもしれない」

 

 浜地中佐は顔の左半分を赤く染めたまま笑って見せた。

 

「そんな彼女たちがこんな私のことを“司令官”と呼んでくれる。私を信じて戦場に向かう。帰ってきてくれと言ってくれる人もいれば、信じてほしいと言ってくれる子もいる。そんな彼女たちが望むなら、私は何度だって戦場に立つ」

「……そうか。若いな、皆。貴方たちの正義が我々の正義と合致することを願っておる。……マーシャル・ヤマモト、我が国は事態を重く受け止め、大将の処分も含め、再発防止に努めさせてもらう」

《こちらは公式文章にて正式に抗議させていただく。後始末はこんな無線ではなく正式な会見でお聞きしたいものですな。――――今は脅威の排除が優先ですので。月刀大佐、戦況は?》

 

 無線の矛先が航暉に向いた。

 

「こちら月刀、報告します。現状マニラ湾口沖合25キロで主力隊が交戦域に突入、浜地戦隊が魚雷艇の救援に入っています」

《魚雷艇の船員はキャビテ軍港に移送することに相違はないか?》

「ありません」

《応援は必要かね?》

「動かせるのであれば、重巡以上の艦艇を。水雷戦隊のみでは退けるのみで撃破は困難と思われます」

《わかった、狭山に542と544を動かさせる。民間人の安全を最優先にし作戦を続行、可能であれば方位2-2-5方面へ逸らせ。なお、“いかなる脅威の排除も私の権限で許可する、月刀大佐の判断で行え”、以上だ。復唱》

「民間人の安全を最優先にし、可能であれば方位2-2-5へ敵艦隊を誘導、いかなる脅威の排除も大将権限を持って許可、私の判断で行使、以上です」

《復唱確認、作戦を続行せよ》

「了解、作戦を続行します」

 

 無線が切れると妙な沈黙が降りた。

 

 軍は戦う組織である前に、巨大官僚組織である。いくつもの文章が飛び交い、権力がものを言う世界だ。スールー海軍の大将を見下ろす航暉の袖の階級章は大佐だが、たった今の無線で大将権限の命令権が降りた。

 

 この時点で、航暉とスールー海軍の大将は対等。だが、この場を握っているのは航暉だった。

 

「浜地中佐」

「海に投げ出された人の救助は7割がた終了、終了まであと……10分」

「わかった。終了次第浜地隊は転進、マニラ湾キャビテ軍港へ移送しろ」

「了解」

 

 やっと動ける。

 

 航暉は僅かに口角を吊り上げて笑って見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この距離からの砲撃ってことは少なくても重巡がいるよね」

 

 皐月はそういいながら一瞬取り舵を当てて、進路を変更、20メートルほど離れた場所に敵の砲弾が水柱を立てたのを見て少し後悔した。逃げる必要なかったじゃん。

 

「あと電探持ちがいるね~」

 

 のほほんとそう言うのは文月だ。メインの武装である12センチ単装砲の射程にはまだ遠い。だから前に飛び出していく。

 重巡クラス以上に駆逐艦の砲の攻撃なんて豆鉄砲かもしれないが、それでも数が集まれば無視できなくなる。それに今回の攻撃の目的は“相手の撃破”ではないのだ。

 

「皐月ちゃん、主機大丈夫?」

「平気だよ。心配してくれてるの?」

「そりゃ心配だもん」

「そっか、ありがとね」

「うん、無茶しちゃダメだよ」

 

 その会話の奥から第一小隊の交戦状況も同時に飛び交っている。

 

《こちら川内、皐月文月、大丈夫?》

「こちら皐月、問題ないよ!」

《敵編成は重巡1、軽巡2、駆逐艦3の輸送船らしき船が4。揚陸艦隊の可能性が高いけど、油断しないで! 重巡の砲撃精度が結構高い!》

「うん大丈夫! どこまで近づけばいい?」

《12キロまで近づいたら改めて報告を――――――》

《川内さん! 危ない!》

 

 無線に割って入る声、この声は、如月だろうか?

 

 直後に無線に殺人的ノイズが走った。反射的に目を閉じ、改めて目を開いた時には無線の奥が沈黙していた。

 

「川内さん! 川内さん!?」

《こちら電、川内さんが被弾!》

 

 それだけが無線に乗り、直後にまた無線が切れる。それどころではないのだろう。

 皐月は唇を噛んだ。川内を助けるために皐月や文月にできることはないのだ。それは川内自身のダメージコントロールと指揮官のリンクによるサポート、川内と行動を共にしている電たちの仕事だ。

 

「ねぇ、皐月ぃ……」

 

 横から震えた声が皐月の後悔に割り込んだ。横を見ると文月が俯いたまま棒立ちになっていた。

 

 

 

 

「―――――こいつら全員やっちゃっていーい?」

 

 

 

 

 ぞっとするような声だった。直後に文月が飛び出していく。

 

「文月!?」

 

 皐月も慌てて追いかけるがどんどん引き離されていく。ここにきてメーザーの攻撃が恨めしい。

 

「文月! 文月、一回待って! 一人でどうする気!?」

 

 引き離されていく速度が速すぎる。主機の限界を無視して速度を上げている。

 

「文月、ダメだ! 文月っ!」

 

 彼女は皐月の叫びに答えない。皐月の胸に大きな焦燥が去来した。

 

 

 

 




まともに戦ってねぇ……!
すいません、あまり物語が進まない駄作者と化している今日この頃です。

そういえば艦これ夏イベ始まりましたね!
E-1の最初の潜水艦のワンパンマン具合がヤバいです。睦月がきっちり潜水艦を沈めてくれるので開幕雷撃さえ避けてしまえどうということはないのですが、その開幕雷撃がきついです。頼むから避けてくれ鈴谷さん、千代田さん……!

さて20日かけてまったりE-4まで頑張ります。

感想・意見・要望はお気軽にどうぞ。
川内は、文月は、皐月は、戦場で何を見るのでしょうか?

次回ももしかしたら更新遅れるかもしれませんが気長にお待ちいただけると幸いです。

それでは次回、お会いしましょう。

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