艦隊これくしょんー啓開の鏑矢ー 作:オーバードライヴ/ドクタークレフ
それでは、抜錨!
Tactical Command Center of 551TSq / Anchorage of Wake-Island _
Sept.16 2082. 0151UTC. (1351WAKT.) _
戦術指揮所ではいくつものデータが浮かんでは消えていく。キーボードと音声入力装置、脳に直結したQRSプラグを通じたコマンドといくつも駆使して、航暉は指揮を出していく。
「デカトンケールの使用許可、まだですか!?」
《今やっとる! ええい、中将を顎で使いやがって!》
「“俺が動くのに必要な書類も人員も艦もすべて揃える”つったのはどこの誰ですか! 私が指揮権とるまでには用意お願いします! 高峰!」
呼びかけるとすぐに返答が返ってくる。
《今エニウェトクの539RCVSqにSCだ。甲標的6機に瑞雲15機、予備燃料満載で千代田が用意中、出港予定時間0205UTC! 同じくエニウェトクの553DSqに応援要請を出して承諾済み!千代田と合流してミッドウェーに向かわせる》
「522本隊は!?」
《最短距離で向かわせてるがおそらくウェークからの方が早い。水雷戦隊突入時には砲支援はないと思った方がいいだろう》
「杉田は捕まったか?」
《安息日で上陸してた奴がそう簡単に捕まると思うか!? 緊急コールを出してもらってるがまだだ》
「敬虔な十字教徒ってわけじゃあるまいし。そもそも今日は日曜じゃねぇだろうが。アイツの眼が必要になる、急いでくれ」
《これでも全速だ! 相変わらず人使い荒いなお前!》
悪かったな! と叫び返しつつ、電の通信をQRSプラグ経由で受ける。
《出港用意完了なのです!》
《チェックオンモニタ。第一ドック注水開始。天龍の出港確認、雪風、第4出撃ドックへの進入を許可、中継器のリンクの用意ができた時点でレポートせよ》
《ゆきかぜ、了解です! 第4ドックに入りますっ!》
《こちら第3ドック暁、リンクの用意ができたわ!》
《暁、リンクスタンバイ。5、4、3、2、1、マーク》
《っ……リンク確認よ!》
6つある出撃用ドックを回して9人を最短で出撃させる、ひっきりなしに繋がる無線をさばき続ける。
《CTCとCSCが救出作戦を認可した! カテゴリーⅣa、最優先ラインだ。デカトンケールⅢの使用許可が出る。あと……90秒待て》
「感謝します中将!」
航暉は獰猛な笑みを浮かべる。デカトンケールは新首都に設置された巨大なスーパーコンピュータ群だ。大型ビル3フロアにスーパーコンピュータを詰め込んだようなものが3つで1セット、それを6セット用意したものの総体が“デカトンケール”と呼ばれている。
攻略作戦参加艦だけで21隻、応援部隊を含めれば40隻近い艦の指揮を執る必要がある。そんな量の戦闘情報をリアルタイムで処理するためには人間の脳一つではまるで足りない。戦闘のパターンを何千通りも予測させ、リスク評価を行い、最善となる結果になるための道筋を照らす。そのために必要な膨大なデータを捌くには強力なコンピュータが必要になる。
「高峰、デカトンケールにダイブ用意!」
《了解だ。情報に呑まれるなよ》
「もちろん、身代わり防壁を噛ませとけ」
《ん。ダイブ・レディ》
使用許可が下りた。デカトンケールへの回線が開く。電脳のIDが読み込まれ、巨大な情報ハブに意識が行き着く。情報の海に降り立つと、航暉は海の上にいくつもの点を浮かび上がらせる。点にタグが浮かびあがり、一つひとつに名前が表示される。INAZUMAにTENRYU、YUKIKAZE……一つひとつの点がゆっくりと進んでいく。
「無事にログインって訳だ」
「意識が散り散りになってないところをみるとそういうことだな」
航暉の横に一つの影が降り立つ。第二種軍装に身を包んだ高峰だ。
「で、肝心の介入許可は?」
「今我らが中将殿が抑えてくれるさ。……艦隊の誘導は俺が持つ。カズは先にミッドウェーに意識飛ばしとけ」
「助かる……月刀中佐より551TSq、これより艦隊の誘導を高峰少佐にハンドオフする」
《こちら電、了解なのです》
旗艦の許可を得てから高峰に頷く。
「さて、許可が下りた時には手遅れでしたとかやめてくれよ……」
航暉が海面を蹴った。
Headquarters of the U.N. Navy Mid-Pacific 1st Force / Guam Apra Naval Harbor_
Sept.16 2082. 0223UTC. (1223ChST.) _
岩城少将は脂汗を浮かべて司令部の椅子に腰かけていた。肘掛で上体を支えなければまともに座ることもままならないほど震えている。
「そんな、馬鹿な……!」
《岩城少将! このままでは押し切られます! 敵戦艦の射程に入る前に撤退の許可を!》
赤城の悲痛な声が無線越しに響く。それを聞いた少将が引きつった笑みを浮かべた。
「あのうるさい蠅どもを今すぐ撃ち落とせ! 艦隊に近づけるな!」
《すでにやってます! しかし物量で圧倒的に負けている以上制空権の完全確保は不可能です! 祥鳳と蒼龍が大破、加賀さんが中破、私も小破している状況ではこれ以上の航空戦での状況打破は困難なのはおわかりでしょう! この状況では観測射撃も間に合わない!》
「何とかしろっ! なにが無敵の機動艦隊だ。我々の威信がかかっておるのだっ! 撤退は認めん!」
《岩城少将、それは無茶じゃ!》
「文句があんのか、利根!」
《文句しかないわっ! どうして中部太平洋の指揮官はここまで先見の明がないのじゃ!? 最寄りの基地までどれくらいあるのかわかっておるのか? 応援もはいそうですかと来るわけじゃないのじゃぞ!? 勝算もなくこんな大艦隊に突っ込んだのか!?》
「ええい、黙れ黙れ黙れっ! お前は真っ先に解体してやる!」
《ありがたいのぉ、この状況で“生きて帰せる”と司令官は本気で思ってらっしゃる》
言葉の端にこもった強烈な皮肉に真っ赤になる。
「貴様っ……!」
《指示がほしいのぉ、少将。吾輩を解体するにはここを生きて乗り切らねばばならんぞ? 司令官殿、指示を》
「……貴様らの不手際なんか知るか! 勝手にそこで沈みやがれっ!」
《――――――それは聞き捨てなりませんな、少将》
艦娘とは違う硬質な男性の声が割り込んだ。司令部のスクリーンに強制的に映像が割り込んだ。白髪が混じり明るいグレーに見える髪を抑えるように制帽を目深にかぶったその男は柔和な顔には不釣り合いなほどの眼光をたぎらせて少将を睨んだ。
「中路……!」
《精鋭21隻をむざむざと沈める気か。半ば手の込んだ自殺ですな》
中路は少将を睨んだまま、横にすっと体を振り、後ろを見せるようにする。そこには死体袋が一つ横たわっている。
《この事態、部下の北川を押さえきれなかった私にもその責の一端があるかもしれん。その責はあとでしかと受け止めるとして、少将、この後どうされるおつもりか? 艦隊指揮権はまだ少将にある》
「中路、お前いつからそんなに偉くなった? それにお前には関係ない」
《おや、お忘れですか少将。今私は中将で、思い違いがなければあなたより階級は上だ。そして、私の部下の艦が参戦している時点で無関係ではあるまい。まさか、“私の船を私の断わりなく沈める気ではあるまいな?”》
ゆでだこもびっくりするほど顔を赤くして言葉を詰まらせる少将。皮肉な笑みを浮かべながら中路が語気を強めて問いかけた。
《質問に答えていただこう。あなたの策をお聞かせ願いたい。本気で玉砕覚悟で突っ込めばその努力が認められるなんて甘いこと考えてはおらぬよな?》
「先輩に対してその口の利き方はどういうつもりだ……!」
《その下らんプライドが艦を沈める。今こうして話しているときにも敵の艦載機が飛び交っておる。敵戦艦が迫っておる。有効な策があるなら聞かせてほしい。ないなら
それを聞いた少将が反射的に立ち上がった。
「ふ、ふざけるなっ! 攻略部隊の指揮を渡せだと!そんなことできるわけあるかっ!」
《なぜ? このままでは精鋭21隻を無残に沈めた将校として汚点が付くだけですぞ。現場の撤退許可を退け、ただいたずらに船を沈め、何の成果も残さなかった作戦の指揮を執った少将として扱われる。そんな将校に次のポストなんてあると思うかね?》
「貴ッ様ァ……! 穏健派の腰抜けの分際で」
《その腰抜けですら立たなければ越えられない状況になっている。違いますか少将?》
さらりとそういって中路は黙る。少将はその言葉を聞いてしばらく何かを言いたそうに睨んだ後、椅子の背もたれに体重を預けた。
「……この作戦は、この作戦はもう後には引けぬのだ、中路」
《……そんなことぐらい私も存じておりますとも、岩城先輩》
中路は目を伏せる。
《急進派の急先鋒と言われ、早急に深海棲艦の根絶を訴えたのも、攻勢の部隊を目指し尽力してきたのもわかっておる。……“三笠”の死を一番悼んでおったのもお前だ。あんな思いをしたくないと思って行動していたのも知っておる。だからこそ脅威の早期排除に走った》
少将はうなだれて黙り込んだ。無線の奥、遠くで銃撃の音が響く。
《この危機的状況を本当に解決するには脅威そのものを排除せねばならぬ。それは正論であり、誰だって最後にはそこに行き着く。わしもそうだ、先輩よ。じゃが、あなたは時に熱くなりすぎ、焦りすぎる。……今回の作戦は北川の発案だろう? あなたが空母を主体とした遠距離戦を重視するとは思えなかった》
「……お前に何がわかるんだ」
《同じ飯を喰らった仲間で、あなたはわしを育ててくれた。納得はできなくとも、理解はできた。防衛大の学生だったころからあなたは国を憂い、未来を憂いていた。……これ以上小娘たちに国防を任せられない。だが、彼女たちしか参加を許されないという歪んだチェスボードを前に、盤に乗ることすら許されぬ
「そこまでわかっててなぜ動かん! “人虎”とまで言われたお前が、なぜ!」
《……歳をとったからかも、しれんな。もう老害は退かなければならない時が来たのかもしれん》
その声のトーンに少将は顔を上げた。中路が見せたこととがない表情だった。とても、老けて見えたのだ。
《五期の黒烏がいい例だ。もう次の世代が迫っておる。昔ながらの老兵にはもうついていけない戦場だ》
「……お前ですら、そうか」
《焦る気持ちもわからないでもない。わしらの時代に深海棲艦が現れて、わしらの世代で終わらせるにはもうここしかなかった。だから、北川もあなたもここで博打を打った》
それを最後に言葉が消える。
「……なぁ、中路」
《はい、先輩》
「わしの卒業前、防衛大で飲み明かした時のこと覚えているか?」
《はい。私の青臭い夢を一晩なじられたので忘れられるわけがありません》
少将が皮肉なような疲れたような笑顔を中路に向けた。
「叶いそうかね」
《私には無理でしょう。しかし、月刀たちなら……若い世代なら叶えられると思えてなりません》
「……そのお前の懐刀、切れ味はどうだ? 懐刀から太刀に化けそうか?」
《もう、太刀に化けましたよ、少将。わしらじゃ振るえないほどの大太刀に化けました。私の、私たちの期待を押し付けたとしてもそれを受け止め、跳ね返してくるほどの太刀に》
「……子は親に、ロボットは人に似ると言う。だのにおまえはわしに似なかった。鳶が鷹を生んだようで、うれしくもあるが、悔しくもある」
少将がキーを叩く。
「中路、お前に頼みがる」
《はい》
「必ず全員帰還させてくれ。お前が求めた夢の導とならんことを」
《必ず》
無線が切れる。少将がエンターを押し込むと、直後にウィンドウが一つ現れる。
[Accepted."Broken Arrow" / Major General]
少将は首の後ろのQPSプラグを引き抜いた。か疲れているようにも、安らかなようにも見える表情を浮かべ、静かに俯いた。
「……歳をとった、か。わしはお前より年上だぞ、中路」
少将は俯いたまま力を抜いた。昼過ぎの南国の日光が暖かく照らしていた。
Point “MI0616” / The offing of Midway _
Sept.16 2082. 0226UTC. (Sept.15 1326SST.) _
いくつもの艦載機が飛び交う中で木曾は奥歯を砕けんばかりに噛みしめる。爆弾を抱いた敵の艦載機がひっきりなし急降下してきては自分たちの周りに水柱を立てる。
「舞風! 足を止めるな!」
「わかって、ます!」
空母の防衛もへったくれもない。艦攻の攻撃なら間に割り込むこともできるが、艦爆の急降下は対空機銃で撃ち落とすぐらいしかできないのだ。
「秋雲っ、左舷10時方向敵艦爆隊レーダーコンタクト!迎撃用意!」
《了解ィ!》
《左舷に艦攻隊、来ますっ!》
巻雲の声に反射的に左舷へ砲を振る。仰角はほとんどない水平方向への砲撃、鋭いショックと共に砲弾が吐き出され、敵航空隊に突き刺さる。祥鳳の艦戦も落としにかかるがその機銃に紛れて水面に大きな水柱が立つ。
「魚雷来るぞ!」
木曾はアクティブソナーを一発放つ。小さな反射波が6つ。20機近い艦攻が迫っていたことを考えれば上々か。
コン、コン、コン、コン……と魚雷の接近音をソナーが捉える。
「取り舵一杯っ」
木曾の叫びに空母も含めた艦隊が舵を切る魚雷の白い帯を見ると狙いが甘かったらしい。雷撃は空母艦隊を狙ったはずだが大きく後ろにそれる。
「夕雲! 右側一本直撃コース! かわせ!」
木曾は敵の航空隊に銃撃を加えつつ、無線に叫んだ。殿艦を務めた夕雲がぎりぎり魚雷の射程に入っていた。機関全速で取り舵を切る。魚雷が一本、夕雲のすぐ後ろを通過する。雷跡が夕雲を通過して、起爆した。
《きゃあ!》
《夕雲姉さん!?……うわぁ!?》
磁気反応式魚雷――――――艦娘の艤装は鋼鉄製だ。その近くを通過したせいで磁界に変化が生じて起爆したのだ。その水圧に叩かれて夕雲の顔が苦痛にゆがむ。
夕雲の方に気を取られた巻雲に敵の艦戦の機銃射撃が加えられる。ナノマテリアル被膜で被害はほとんどないが、とっさに足を止めてしまう。その鼻先を敵の飛行機が飛び抜けた。
《抜けられた!?》
その機体が急激にホップアップ。真昼の太陽に入った機体に目を凝らし、木曾は対空砲火を撃ちまくる。黒く光るのは魚雷ではなく……爆弾。
《艦爆隊が紛れてやがった!》
焦る木曾たちを嘲笑うかのように優雅に反転した艦載機が機首を真下に急降下してくる。機首の方向は――――現状唯一無傷の正規空母、飛龍に向いていた。
「飛龍! 撃ちまくれっ!」
艦隊の直掩機も間に合わない。対空砲火で落とせるか。
「あぐっ!?」
その状況下で祥鳳が小さく呻いたことに気が付く人はいなかった。その直後に迫りくる敵機の前を高速で何かが通過する。それが空中に“置いていった”なにかに敵機が突っ込んで爆弾共々砕け散る。細かい破片から顔を守るようにしながら飛龍は通過していった何かを目で追った。ゼロ戦のミニチュアのような姿を日光に閃かせる。テイルコードを見て飛龍は目を見開いた
《祥鳳さん……!》
《い、いえ。艦載機が勝手に……!》
折れた弓を抱くようにした祥鳳がどこかぽかんとした顔を向けた。
《……ミッドウェー攻略作戦参加艦、全艦に通達。こちら中部太平洋第二作戦群第551水雷戦隊司令官月刀中佐、
それに呼応するように祥鳳の艦載機が動き出す。それに次いでもう一つ無線が入った。
《こちら西部太平洋第一作戦群司令中路中将だ。
《了解。榛名、霧島。聞こえるか?》
《こちら榛名、感度良好です!》
弾んだ声が無線に乗る。
《機動打撃群は前進強速・右舷回頭3点、進路を2-1-0へ。左舷砲雷撃戦用意。敵の艦隊がやってくるぞ。航空打撃群も転進、進路2-0-0!》
《了解!》
艦隊が動き出す。空を飛び交うゼロ戦が敵艦載機を蹴散らしていく。その隙に木曾は夕雲のところに回り込み。肩に担いだ。
「木曾さん。すいま、せん……」
「なんの問題もねぇ、やっとまともな指揮官が戻ってきた。……生きて帰れるかもしれねぇ。気張れ」
「……はい」
空母たちのところに追いつくと赤城が笑顔で迎えた。
「月刀司令補ってこんなに空戦お上手なんですね」
「知らなかったか? アイツの専門、本当なら空戦指揮だぞ」
彼が動かす戦闘機が敵機を蹴散らしていく。相手を圧倒することはできないが、雷撃も爆撃もさせずに追い返している。
「……今、月刀戦隊との演習の時空母が含まれてなくてよかったとつくづく実感してる」
「あぁ、蒼龍さんたち月刀司令補相手に演習したんだったな?」
「空母6人がかりで抑えてた空域を20機で対応されれば蒼龍じゃなくてもそう思うって……これは自信なくすなぁ」
遠い目をする飛龍の横で、使い物にならなくなった飛行甲板を手に持って蒼龍が引きつった笑みを浮かべた。
「……月刀司令官が支援ってことはあの子たちが来るのね」
「月刀の艦隊ならひどいことにはならんとは思うが、そんなにすごいのか?」
「こっちがまともに撃てなかったとはいえ、機動艦隊相手に昼間っからドンパチやって競り勝つ部隊よ。……あれとは二度と戦いたくない」
「そんな艦隊なら味方にすると心強いな」
対空機銃で弾幕を張りながら木曾が笑う。直接月刀の指揮下に入ったことはなかったが、金剛たちが認め、赤城がその腕を褒め、二航戦にここまで言わせる指揮官だ。なにより、あの中路提督が“指揮を任せる”といった人間だ。少なくとも無能ではないだろう。
「飛龍、機動艦隊の方の直掩はなんとかなってるんだよな?」
「まぁね、利根さんたちが三式弾持ってるし」
「なら攻撃隊を一度下ろして爆装なりなんなりさせた方がいいだろう。第3次攻撃の用意を進めた方がいいんじゃないのか?」
《その方がいいな》
「げ、聞いてたのかよ。月刀司令補」
《今はもう司令官だ。飛龍、蒼龍の艦戦がそろそろフューエルビンゴだ。優先的におろして弾薬と燃料を交換しろ。瑞鳳》
《はいっ!》
《加賀の艦爆隊を順次回収、爆装の用意を》
指揮が飛ぶごとに血が隅々までめぐるように士気が盛り返していく。
《全員で生きて帰るぞ。もう少し耐えてくれ》
一路南西へ向かって舵を切り、艦隊の逃避行が始まった。
さて、駒はそろいました。
作戦参加艦総勢44隻、広げた風呂敷を畳めるか。
あと数話続きます。お付き合いいただけると幸いです。
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おそらく今後は3日から4日に一回の投降ペースになるかなと思います。どうかご容赦ください。
それでは次回お会いしましょう。