艦隊これくしょんー啓開の鏑矢ー 作:オーバードライヴ/ドクタークレフ
今回からkokonoSP先生の『艦隊これくしょん~明かされぬ物語~』とのコラボ企画となります。以前から設定をお借りしたりしていたのですが、この作戦ではキャラクターもお借りします。…………キャラ崩壊激しいかもです。
kokonoSP先生にはこの場をお借りしまして感謝申し上げます。
それでは、抜錨!
青い空、青い海。その狭間にぽつりと浮かぶ人工島がある。座標で言えば北緯20度・東経140度といった所だろうか。
深海棲艦が現れた当初、日本国やユーラシア大陸に向かう深海棲艦の流れを察知し、迎撃するための前線基地たる
その長方形の艀にDDI-1あすかはゆっくりと接岸していく。
「おっきいのです……」
「艦娘が出てきてからの黎明期、まだチュークも小笠原も奪還できていなかった時期の遺物だからな」
そう言ったのは登舷礼のために第一種軍装を着用した杉田だ。名前を詐称しているのかと思えるほど大きな駆逐艦に乗っているのだが、目の前の艀はそれ以上にでかい。ざっと1キロ四方だろうか。それぐらいあるのが見て取れる。
「そういやここには寄らなかったんだっけ?」
「私達はここじゃなくて硫黄島の方に直だったので……」
「そういやそうか。銀弓の時はそっちメインだったからな」
杉田はラフに立ったまま接岸用意を整えたあすかがゆっくりと近づく島を眺める。
「何度見てもけったいな基地だよ」
「そうなのですか?」
「全域が世界遺産化した小笠原諸島に軍事基地開発をするべきではないと市民の皆様がおっしゃられた結果がこれだからな。水に浮く巨大なはしけで対応する。なかなか斬新だろ? おかげで移動式の巨大前線基地となったがやってることはただの監視船と同等になっちまった」
そういう顔はどこか怪しい笑みが浮かんでいた。
「……杉田さん? どうしたのです?」
「どうしてここがカナリア鎮守府なんて呼ばれてるか知ってるか、電嬢」
杉田は笑みを隠すように制帽を目深にかぶった。
「俺もここが“現役”だったころは知らねぇし、お前の方が詳しいかもしれんが、ここは実質的な流刑地だったんだよ。敵の接近を伝え、漸減作戦の先駆けとなって散る。ただ警鐘を鳴らすためだけの基地。坑道でガス検知につかうカナリアのように息絶えることで危機を知らせるための警報装置。だからカナリアなんだとさ」
電はそれを聞いて記憶をたどる。……かなり昔にそんな話を聞いたことがあった気がした。
「だが、そこでずっとしぶとく生きていやがるやつがいるせいでカナリアの名は返上らしいけどな」
「その方って……」
「もうすぐわかる」
接岸を終え、係留に入る。杉田が笑って踵を返した。
「さて、犬とサルのケンカに付き合うとしますか」
「湿気た顔並べてご機嫌麗しゅうとでも言えばいいかい?」
「疲れてんだよ」
いつもよりも砕けた口調でそう言うのは我らが司令官月刀航暉准将である。それを受けるのは鳶色の右目を焦げ茶にも見える髪で隠した男だった。
「部隊発足翌日からなんでお前らと顔を突き合わせなきゃいけないんだよ、凪風、星影の奴はどこ消えた」
「今ごろ厨房じゃない? 包丁取りに行ってる」
「笑えねぇ冗談だ」
その遠慮のない会話に戸惑うのは艦娘の代表として他の僚艦よりも先に下艦した電である。副長の高峰は補給系の打ち合わせ、渡井と笹原が戦闘で傷ついた艦娘たちをドックに叩き込む手筈を整えている所だから航暉と電が代表してここの司令官に挨拶に伺おうとしているのだが、航暉は余り乗る気じゃないらしい。
「あの、司令官さん……こちらの方は……」
「なんだかんだの腐れ縁」
ムスッとしたままそう言った航暉。その顔はどこか嫌そうである。それ以上のことは言いたくないのかそっぽを向いたまま固まってしまう。
「全く、そう言うことろ変わってないよね~、月刀くん。電ちゃん……って呼んでいいかな?凪風だよー。階級は一応少佐、ここの副司令。よろしくね~」
「あの、えっと……電です。よろしくお願いします」
「ん、他の子たちも今頃降りてるんでしょ? とりあえず講堂にみんな集めようか。顔合わせも済ませたいし」
「駆逐だらけのロリコン司令二人に合わせなきゃならねぇかと思うとかなり不安だがな」
「星影はともかく俺にそれを言う?」
「適正でたの駆逐艦だけだろ?」
「性格と能力は分けて考えようよ。出世欲があるとは言えないけど、他の艦種も扱いたいって思うこともあるんだよ?」
「悪かったな」
割り込んだのはメッゾソプラノの声、廊下の奥で通せんぼするような形で立っているのは白にも見える長い銀髪を揺らす小柄な少女だった。文月と同じ型のセーラー服タイプの黒い制服。航暉はその姿を見て、DD-MT09“菊月”だと判断した。
「あちゃぁ、菊ちゃんに聞かれてたか」
「菊ちゃん言うな……まったく、戦友に何たる暴言か」
暴言でも何でもないと思いつつも電は微笑んだ。そのまま一歩前に出る。
「む、お前は……」
「第50太平洋即応打撃群総合旗艦、DD-AK04、電です。よろしくお願いします」
「……西部太平洋第2作戦群577駆逐隊旗艦、菊月だ。共に海を征けること楽しみにしている」
「なのです!」
握手を交わして、電は振り返った。
「こちらが私達の司令官で……」
「月刀航暉准将、だろう?」
菊月が僅かに微笑んだ。
「如月や皐月から話は聞いている。異常豊作とまで言われた国連海軍大学広島校の第5期を首席卒業、ネオMI攻略作戦の撤退戦指揮官にして、ヒメ事案にて高等種の深海棲艦の鹵獲に成功、現役士官では3人目の国連海軍の殊勲十字章を授与された。――――会えたことを光栄に思う」
「こちらこそ、短い間だが基地をお借りするよ」
航暉と菊月が握手を交わす。菊月の目線が横に……凪風の方へと動く。
「それで? 准将に対してその態度は如何なものかと思う訳だが、凪風副司令」
「陸軍時代の知り合いだからね、いつの間にか月刀君が出世してて驚いてるけど」
「
その電の呟きを聞いた凪風と航暉が一瞬目を細めた。
「……どうかしたか、凪風副司令」
「いんや、何でもないさ。とりあえずはみんなを講堂に集めておこうか。きっと星影のシフォンケーキが焼きあがってるはずだ」
「まだ料理やってるのか?」
航暉がうげ、と言いたげな顔をすると凪風が吹き出した。
「そこまで嫌な顔する必要ないでしょ。月刀君が料理できないのは自明の理な訳だし、我らが給仕長の星影にかなう訳ないんだからいちいちそこで張り合わないの」
それにはムスッとしたまま答えない航暉。いつもに比べかなり子供っぽい彼の姿に電はくすくすと笑った。それと同時にどこか切なさを感じてしまう。自分の知らない彼の姿、彼が見せようとしなかった彼の姿。その存在に少しだけ、本当に少しだけ悲しさを感じてしまう。隠さなくても私は受け入れるのに。
「……電?」
「なんでもないのです」
考えが落ち込んでいる間に僅かだが足を止めてしまっていたらしい。慌てて追いかけながら考えを振り払う。
「えっと……この基地の司令官さんと知り合い……なのですよね?」
「あぁ、『知り合い』だ」
妙に知り合いを強調するところはそれほど好意的に思ってないと言うところだろうか。どんな人なのだろうと怖いもの見たさのような興味が膨らんでいく。それが顔に出ていたのか凪風が笑った。
「期待してるといいよ。すごいから」
そうして会って見てわかる。これは確かにすごい。
「ぁあ? もう着きやがったかシスコン野郎」
「ロリコンのテメェには言われたくねぇよ星影」
敬礼よりも先に飛んできたその声に航暉が明らか苛立った声色で返す。その暴言を放った相手を見て電は一瞬自分の眼がエラーを返したのかと疑った。黒い髪に鳶色の瞳、純日本人的な顔立ちだが、つり目が印象を強くし、ワックスでも使ったのかツンツンととがった髪が彼の印象を鋭くしていた。
それよりもすごい印象だったのが、軍の勤務時間中だというのに深紫の甚平を着ていたこと、そしてその格好に三角巾とミトンで武装し、オーブンから焼きあがったシフォンケーキを取り出していたことである。
「えっと……」
それを見て電が言葉に詰まっていると甚平男が電の方を見た。見ただけなのだが、目つきが悪いせいで睨まれたように感じてしまう。
「そっちのガキは?」
「俺の部下だ。DD-AK04電」
「えっと、あの、よろしくお願いするのですっ!」
「あっそ、星影だ。名前は覚えなくてもいい。俺も覚えるつもりはない」
「んな……!?」
星影と名乗った甚平男……これまでの会話からこの男が基地司令で間違いなさそうだが、この調子で大丈夫なのかと一瞬疑ってしまった。
「それで、シスコン野郎が何の用だ?」
「用もへったくれもねぇよ。
「そんなことはとっくに連絡受けてる。ほんとお前行間読むの下手だな。俺が聞きたいのはお前が何で
「それこそ頭を使えよ星影。仮にも将官が2人も乗艦している船が入港してんだ。出迎えるのが筋だろうが。せめて入港の連絡ぐらいはまともにさせやがれ」
「はいはい、入港お疲れさん」
それに青筋を浮かべる航暉の耳に誰かが駆けてくる足音が急速に流れ込んできた。だんだんクレッシェンドしていくその音からして……おそらく複数。
「美味しい香りはここですかっ!?」
「司令官のシフォン待ってたぴょん!」
ドアの枠に肘をつき星影を睨んでいた航暉を押し飛ばす勢いで二人の影が飛び込んできた。ひとりは航暉の部下、もうひとりは航暉に見覚えがなかった少女だからおそらく艦娘で星影たちの部下だろう。とりあえずは当身を喰らわせようとした部下に向って航暉が睨みを効かせる。
「赤城、他の部隊の指揮官の前だ。先にやることがあるだろう」
それを聞いて航暉の部下、丈の短い赤い袴から太ももを覗かせた少女……と言っても女性といって差し支えない風貌の赤城がハッとしたように敬礼の姿勢を取った。
「食べてもよろしいでしょうか!?」
「「そっちじゃない(のです)っ!」」
航暉と電が同時に突っ込んだタイミングで青い影がその部屋に飛び込んできた。
「赤城さん、勝手に走っていかないでください。迷子になってしまいますよ」
「でも加賀さん! こんなに美味しそうな焼き菓子の匂いに耐えられますか!?」
「わからない訳ではないけれど、訪れたばかりの場所では失礼に当たります」
「加賀、後で赤城にきつく言って置いてやれ」
航暉が肩を落としながらそう言って赤城をシフォンケーキから遠ざける。
「ねぇ、星影司令かーん、まだ食べちゃダメなのかにゃーん」
「なんだその後付けの猫的要素、テメェのいつもの兎キャラはどうした卯月」
「お姉ちゃんのマネぴょん」
「似合わねえ」
「取りあえず早く食べられればなんでもいいぴょん! 早くするぴょん!」
赤みの強い髪を揺らして星影に抱き着いた卯月と呼ばれた少女に星影は心底疲れたような顔をする。
「先に食堂行って準備してやがれ」
「了解ぴょん! びしっ!」
擬音付きの敬礼を返して卯月が走っていく。
「お前らもぼさっとしてないでさっさと他の奴ら連れてこい」
航暉がそれを聞いて肩を竦めた。
「取りあえずテメェは制服に着替えてこい、少なくとも初見の准将に合わせるにはその格好は不適格だ。山本准将に失礼だ。そのシフォンで埋め合わせになるとは思うなよ」
そう言われて電はこの明らかに多すぎる量のシフォンケーキが入港したあすかの関係者のために焼かれたものだと気がついた。
この甚平を着て、口と目つきが悪い全く司令官らしくない人は、もしかして……
(案外いい人、なのです……?)
……そう思ったのもつかの間、すぐに電は発生した事件に気を揉むことになる。
いなづま は こんらんしている!
テロップを付けるならそんな感じだろうか。とりあえず状況を整理したい。
目の前にあるのは巨大な屋内空間。体育館のつくりとほぼ一緒だ。訓示する機会も考慮されているのか、ステージが設置されていて、そのステージの真ん中に設置されてる椅子に電と菊月は仲良く並んで座らされていた。そう、座らされてるのである。自らの意志でではないが、仕方ないのである。
電の両脇に控えているのは完全にあきれ顔の高峰、反対側に菊月を挟んだところに渡井が控えている。渡井の表情は楽しみで仕方がないという感じだ。全員の視線が体育館の中央―――――10メートルほどの距離を置いて立っている二人の男に注がれていた。クリアーのグラス越しに睨み合う男たち、片方は航暉、もう片方は星影である。
航暉は制服から作業服に着替え、帽子を目深に被りその手元には、国連海軍の正式拳銃であるFN FiveseveNが握られていた。遊底を弾いて初弾を装填。セーフティがかけられることはなく、すぐに発砲できる体制で保持していた。
一方星影は甚平のままだが、その腰には日本刀を差しており手には古風な拳銃――――電の記憶が正しければルガーのP08アーティラリー……スネイルマガジンや銃床も装備可能な形に改装されたP08の8インチモデルだろう。今回は取回しを重視したのかスネイルマガジンもストックも外したクリーン状態のそれを手にした星影は特徴的なトグルを引き上げて勢いよく放して初弾を薬室に押し込んでいた。
「ルールは単純、相手の動体にペイント弾を叩き込むか模擬ナイフを叩き込んだ方の勝ち。外に死ぬような攻撃は厳禁、審判の指示に従うこと、おk?」
電の前というか、下というか、ステージから降りたところでかるーいテンションでそう言ったのは笹原だ。
「あぁ」
「異論なしだ」
「それじゃ、電ちゃんと菊月ちゃんの身柄をかけた月刀・星影大演習を許可しまーす! さぁはりきってやっちゃってー」
直後に連発する拳銃の発砲音。それを見て電はどんな表情をしたらいいかわからなくなった。それを見透かしてか渡井が肩を竦めた
「まぁ、笑えばいいと思うよ」
「はは、あはははは…………」
演習の“景品”である電は引きつった笑みを浮かべ、すぐに溜息をついたのだった。
「どうして……こんなことに……」
菊月が頭を抱えていると渡井が肩を竦めた。
「そりゃー、あの二人は似た者同士だからでしょー。――――――よく避けるねあれ」
渡井がケラケラ笑う先で航暉が距離を一気に詰めて格闘戦に持ち込もうとしていた。
「同族嫌悪ってか? それに付き合わされるにしてもスケールデカくないか?」
「なら止めてくれば? 副司令長官殿」
「冗談。アレがそう簡単に止まると思うか?」
アレと言って指さした先では居合の要領で振りぬかれた日本刀(訓練用にもちろん竹光である)を航暉が義手で受けたところだった。航暉はその姿勢のままローキックが繰り出し、足を払おうとするもののそれより先に星影が距離を取った。すかさず両者発砲、互いの体を掠めるようにしてペイント弾が流れていく。
「どっちが司令官として優秀か……ねぇ」
そう、理由は至極単純だった。顔合わせを兼ねてシフォンケーキが振る舞われたお茶会で菊月と電が互いの司令官の話(自慢も愚痴も含む)をしていたらその話がやたら大きくなって本人たちの耳に入ることになったのである。そこで「コイツと比べるな」と言い放った航暉に星影がキレた。そこから先は売り言葉に買い言葉でどちらが優秀か白黒つけようと演習が組まれたのである―――――司令官同士の。
「それの物差しがなんで白兵戦能力になるのやら。」
「実戦で比べて事故起こしたら洒落にならないからでしょ? 演習で前線要員疲弊させるわけにいかないし」
「それなら、私達を巻き込まなくてもよかった気がするのです……」
「そこは同情するよ、電ちゃん。笹原に聞かれたのが運の尽きだな」
高峰の呆れた声に渡井が笑う。
「勝った方が負けた方の旗艦を一日好きに指名して命令できる……それをさらっと提案してやれちゃうのが笹原のすごいところだよねー。ところで青葉が賭けの胴元始めたけど見逃して言いわけ高峰君?」
「後で〆るから問題ない」
ご愁傷様ー、と渡井は軽く心の中で合掌しつつ、横を見る。
「んで? 高峰はどっちに賭ける?」
「……勝負がつかないに大盛券5枚」
無難に行くねぇと渡井が笑った。その先では航暉の拳銃が火を噴いて星影の足元でペイント弾を弾けさせた。
「まぁ、本人たちが楽しければいいんじゃないの?」
「んで、次作戦で疲れ切ったカズたちのフォローを俺たちがやるの? 嬉しくて涙が出るね」
先に弾切れが来たらしい星影が日本刀を手に一気に踏み込んだ。彼の強烈な踏み込みは戦闘になれている電でも目で追うのがやっとだった。まるで瞬間移動でもしたかのような動きを航暉は踏み込みなどの事前動作なしで真横に避ける。
「うっわ、えげつないねぇ両者共々」
「抜重と重心移動でよく避けるな、ってか。踏み込みのタイミング読んでたか?」
「だろうね、予測してなきゃあの動きはできない」
返す刀で逆袈裟に走る刀を航暉は腰を落とす動きで避ける。そうしてため込まれた筋肉の圧力を解放し航暉が右ストレートを腰で放とうとする。
「……あれをフェイント扱いで放つってのもすごいけど、それを避けるとかどうなってんだあれ」
高峰の言葉の先ではバック転の要領で距離を稼いだ星影が一度鞘に刀を収めたところだった。ストレートを放った直後の航暉の右腕―――――義手の一部が展開し、そこから射出された模擬ナイフの刃が床に落ちた。その余韻が消えるころには航暉は腰に差したナイフシースからコンバットナイフ(もちろん模擬刀である)を引き出していた。
「あの状況でパンチじゃなくて義手からナイフが飛び出してくるとか誰が思うよ?」
「そしてそれを避けるとかどんだけ動体視力いいんだか」
文字通り次元が違うよな、と高峰と渡井が笑いあうが。電も菊月もそれに同意した。見学に来ていた天龍も顎が外れたのではないかとおもえるほど口を開けて呆然とそれを眺めている。
仕切り直しで互いに距離を詰め合い、今度は刃物同士の打撃戦。日本刀対ナイフの硬い打撃音がハイテンポに響く。
「もうお前ら出撃しろよって気分になってこない? これ見てると」
「私の司令官だと本当にそれができそうだから困る……」
菊月が呻くようにそう言ったタイミングで航暉が星影の懐に飛び込んだ。当て身をかけると同時に日本刀の峰を抑え込む。
動きが双方止まった。これまでの激動が嘘だったかのように止まったのだ。
「そんなもんか」
「馬鹿言うなよ」
静まり返った空間に二人の声が響いた途端、同時にそれぞれの獲物が手から離れた。そうして始まったのは、正真正銘の――――――殴り合い。
「おいっ! あのバカ二人止めろ! セコンド!」
セコンド役として待機していた杉田と凪風が二人を引き離そうと飛び込んだ。再び会場内が騒がしくなる。
その様子を見てそれぞれの艦隊の旗艦同士―――――菊月と電は深くため息をついたのだった。
……どうしてこうなった。orz
本当にkokonoSP先生ごめんなさい。
航暉の過去を知る人物二人の登場です。
もちろんこれで終わりではありません、ちゃんとしたコラボにしていかなければ……。
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次回は打って変わってシリアスな予感。
それでは次回お会いしましょう。