艦隊これくしょんー啓開の鏑矢ー   作:オーバードライヴ/ドクタークレフ

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さて、皆様お待たせしました!

第4部の開幕です!

第4部は一気に登場キャラが増えそうですが、頑張ってまいります。

今回は第4部プロローグ(?)、それでは、抜錨!


第50太平洋即応打撃群編
SEQUEL001 きっとそうだったと信じているのです


 

 

 La vida de un solo ser humano vale un millón de veces más que toda la propiedad del hombre más rico de la tierra. ――――――Ernesto Che Guevara(1928 – 1967)

 

 

 

 

 

 もし、あの時に止めていたらといつも思うのです。

 

 

 

 あの時の司令官さんは……というよりもあの時「も」司令官さんはと言った方がいいかもしれないですけど、とにかくもうボロボロだったのです。その原因が私かもしれないと思うと今でも申し訳なくなってしまうんですけどね。

 

 司令官さんは大好きだった人をたくさん、たくさんなくしてきたのです。それでも誰かを守ろうとしていたのです。守ろうとするからボロボロになるってわかってるのに、そんなことしなくても私達なら大丈夫だってわかっているのに、私達を守ろうとしたのです。あの時も……きっとそうだったと信じているのです。

 

 あの時、司令官さんはどうしていたと思います? 笑ってたのです。口パクで大丈夫って言いながら笑っていたのです。見ているこっちは全く大丈夫じゃないのですよ? それでも笑っていたのです。

 

 きっとあの時止めていれば、その後の結果は違ったものになっていると思うのです。いい方向に転がったか悪い方向に転がったかはわかりません。もしかしたらもっと早く事態が終息したかもしれないですし、まだ泥沼になってるかもしれません。また別の問題が出てくるかもしれないですね。それでもきっとあれが最善だったと信じることしかできないのです。

 

 その時、司令官さんは軍人で、私は兵器でした。少なくとも表向きはそうでした。司令官さんはとても優しかったのでいろいろ悩んでいたみたいなのです。私はそうでもなかったんですけどね。

 

 なんでって……、やることは変わらないのです。水上用自律駆動兵装は人間社会を守るために作られたのですよ? 司令官さんは人間なので守る対象に元々入っています。だからやることは変わらないのです。司令官さんを守る。それが仕事なのですから。

 

 ドライ……そうですか? 私にももちろん思うところはありますよ。それでも、現状は待ってくれないのです。成すべき人が成すべきを成す。だから私はそれを成した。それだけの話です。あ、別に怒っているわけではないのです。謝らなくても大丈夫なのです。

 

 でも……司令官さんと比べたら大分ドライかもしれませんね。ふふっ、司令官さんがそう割り切れなかったのもわかります。私達が……あ、ここには私のほかに私のすぐ上のお姉さんも入るのですが……、その私達は司令官さんの妹さんをモデルに作られた訳ですから。いくら妹さんたちとは別で私達が表向き機械であると言われていたとしても、それを知ったうえでこれまで通りっていうのも無理な話ですよね。

 

 司令官さんはボロボロになりながら私達を守ろうとしてくれました。大切に思われているのがわかる反面、自分たちが重荷になってるみたいで辛かったりしたのです。

 

 

 

 どうも話がループしてしまいますね。自分でもまだ踏ん切りがついているわけではないので……、言いたいことばかり考えてしまうからかもしれません。

 

 とにかく、司令官さんは優しい方でした。それこそ軍人が向いてないぐらい優しい方でした。……私が言っても説得力ない、なのです? あはは、確かにそうかもしれないのです。私も軍属は向いてないって言われ続けていましたからね。それでも、いつの間にか艦隊旗艦なんて役職を頂くことになってしまったのです。

 

 私には相手を確実に倒すような力はありませんでした。魚雷も砲も駆逐艦に乗せられるものでしかありませんでしたし、戦闘はそこまで上手とは言えないものだったのです。謙遜じゃないですよ? 周りにはもっとすごい人たちがいたのです。私の一番上のお姉ちゃんは相手の砲の弾道を視てピタリと落下地点を言い当てるような目を持っていましたし、駆逐艦の仲間には潜水艦や魚雷の位置を正確に浮かび上がらせるソナー使いもいました。戦艦だと30キロ先を正確に狙撃する方もいましたし、空母の方々も攻撃成功率80パーセントを超える練度を誇っていました。……改めて話してみると私の周りすごい方多いですね。

 

 そんな方々の指揮をとれって言われたときはびっくりしたのです。でも、怖いとは思いませんでした。司令官さんが同じ部隊の司令長官になりましたから。

 

 自分でも司令官さんを盲信してるんじゃないかと思うこともありました。盲信といえば盲信かもしれませんね。でも、家族を信じることってきっと当然だと思うのです。司令官さんは私にとって家族みたいなものなのです。……まぁ法的にみると私は戦闘用ガイノイドなんですけどね。

 

 

 

 うーん。まぁ、報道資料と異なるのは当然かもしれないのです。すべてを明かすわけにはいかなかったわけですし、その時の部隊は特段デリケートな問題を扱っていたので……。はい、それは今からお話しするのです。

 

 話すのは初めてかもしれないですね。上手く話せるかはわからないのですが……国連の発表とも異なる部分もあるので、いわば……逸話(アネクドート)みたいなものです。私が話すと司令官さんに話を寄せてしまうので、正確ではないかもしれないのです。でも私の見た私なりの真実をお話ししますね。

 

 司令官さんもきっとそれを望んでいると思うのです。

 

 

 

 

 

 

 

 ですよね、司令官さん?

 

 

 

 

 

 

 




初っ端から訳わからんものを投稿した自覚はありますが……次回からは普通の話になりますので……どこが普通かって言うとこの作品にとっての普通なので全く普通じゃないと思いますが、それでも続けて参ります。

冒頭の引用は、チェ・ゲバラの言葉です。意味としては『ただ一人の人間の命は、この地球上で一番豊かな人間の全財産よりも100万倍も価値がある』みたいな感じです。

感想・意見・要望はお気軽にどうぞ。
次回から本編に入ります。さーて、久々の艦隊戦です。艦隊戦は久々なので腕が落ちてないか不安です……。

それでは、次回ANECDOTE001でお会いしましょう。

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