ドチャンーー
響は赤い液体に身体を濡らし、うつ伏せて倒れた。未来の盾となって…。
さすがのグリーン・グランデも、子供の体でトラックを弾き返す事は無理だったらしく、体は痙攣し、弱々しい。
かつて自分のまぁちゃんを助けてくれたあの力強さは、どこにも感じない。
その周りは、赤い液体が路上のコンクリートを侵食するかの様に広がり続けていた。
「ひ…ひびきちゃん…?」
幼い未来は、動かなくなった親友の体に触れる。その体は、だんだんと冷えていた。
「うそ…うそだよねひびきちゃん…!!おねがいおきて、おきてよぉ!」
ポロポロと涙をこぼす未来の体にも、赤い液体はかかっていた。
だが初めて出来た友達の危機にそんなことを気にする余裕もなかった。
「あっ…!そうだたしか『じんこーこきゅー』をした人がテレビで助かってた、それをすればひびきちゃんも…!」
この赤い液体の量を専門家が見れば、『即死』を宣言しただろう。しかし、この幼い少女がそんな知識を知るはずもなく、まだ空想と現実と違いを知らない子供である未来には、まだ親友を諦めきれなかった。
「ひびきちゃん…!!」
未来は、響を助けようと彼女の体を仰向けにし、その赤い液体に震えながらも親友の顔を見る。
そこには…。
緑と黒のシマシマを持つ大型果実、スイカが響の顔面にブッ刺さっていた。
「えっ?」
一つの可能性が頭の中によぎった未来は、それを手で掴み、引っ張る。
するとスポンという景気のいい音と共に赤い液体が飛び散り、濡れた顔を出した響が口の中の赤い果肉や黒く小さい種を吐き出した。
「…ゲホッ!エホッ、ゴホッ…!」
「ああ…!よかった!ひびきちゃんが生きてる…!」
起き上がり、咳き込み響に未来は瞳を潤ませる。
すると離れた場所で、ムキムキで顔がゴツいトラックの運転手の大声が響いた。
「なっ!なんじゃあこりゃあ!?奇妙だ!何て奇妙だ!!トラックの下に子供が大の字に手を広げたみてぇな穴が開通してやがる!?しかも積み荷のスイカがァアァァァ!!」
その絶叫を聞いて未来は、子供の身ながら悟った。
響が自分を庇って前に出た際。あまりにも響が硬すぎた為に、トラックのスピードと相まってトラックを貫通してしまったのだ。そう、豆腐が何の抵抗もなく壊せるのと同じ様に。
そしてその時に、積み荷のスイカが響の体にぶつかってしまい、その時に果汁を浴びて赤く染まり、さらに先ほどのスイカが響の顔面に刺さって、響を呼吸困難に陥らせ。その結果響が倒れてスイカの果汁を辺りに飛び散らせ、あの状況を作り出してしまったのだと。
「…………。(訳)ん…、息ができる…)」
「あ…、ひびきちゃん…!よかったぁぁ…、よかったよぉぉぉ!」
《ミィ~♪》ペロペロ
友達を失ったと思っていた未来は、生きていた嬉しさのあまり泣いて響に抱きついた。その間に子猫はスイカの汁にまみれた響の頬を舐める。
「………」////
響は女の子に抱き付かれた事に照れながらも、周りに人が集まって来たのを見て未来にジェスチャーで意思を伝える。『急いでここから逃げよう』と。
「うんわかった。ここは私の家のそばだからそこに行こっ!今日はおかあさんがいないから、ベトベトでも大丈夫だよ!」
そう言って快く自分の家を提供してくれた未来に感謝しながら、赤く染まった二人は拾った猫と共にその道路を後にした
今見てみるとホントつたない文章ですねぇ~。こっばずかしくなってきます。(/ω\)
たまに見直して見ると「昔に比べれば成長してるじゃないか」って元気づけられますね。