自分は主にジム→ガデッサに変貌したグラファイトさんに驚いたよ!
…こんにちは、ある者はこんばんはと言うべきか。我は元グリーン・グランデの立花響だ。
…我が前回、この幼稚園に入学手続きをして早半年。我は無事入学をしてあの騒動があったバラ組に入る事になった。
…豹柄の男の子も、あの騒動の事は秘密にしてくれたようで、噂も立っていなかった。PKなどを警戒していたのだが、根は優しいのだな。
…そうそう、最近我には悩みがある。それは…、
「ひびき~♪いっしょにトイレ行こっ!」
………未来の事だ(汗)
…我も、前世でそう長く生きた訳ではないが、時間が何万倍にも伸びる加速世界に没頭する様になってからは、精神年齢が実年齢を追い越し、大体換算するとそこらの老人と変わらない思考をする様になってしまった。
…我が普通のこの年齢の女の子ならば「うんっ♪行こ~」で終わるのだろうが、生憎我はもう中身ジジイ同然の心は男、身体は女なのだ。
…初トイレは顔真っ赤にして真上を向いていたり、服を脱ぐのも母に任せっきりだ。お風呂も無論、タオルを巻かないと全く入れない。何日も入らない、いや入れない日々が続いた事もある。
…まあ結論を言うと、スゲェ恥ずかしい。という奴だ。
…いや、この半年に、事あるごとに様々な行事に誘ってくれた未来の好意が嫌なわけではない。むしろ この幼稚園の事を隅々まで教えてくれた未来の頼みなら断る理由もない。
…だが、だがトイレだけはホント勘弁していただきたい!幼子と小便など警察沙汰だ!!
「………!」ブンブンブン
響は猛烈に首を横に降り、腕をクロスさせXを作った。
「響ちゃん、トイレ…」
ブンブンブン!!
X クロスッ!
「ト…」
ブンブンブンブンブンブン!!
X クロォォォスッ!
「うっ…、ふぇえ…!」
…………………泣くなよォ…。
その時、友に涙を流させないために、王は何か、男として大切な何かを捨てた…。
◇
幼稚園からの帰り、響の頭の中にはもう何も入らず、加速した訳でもないのにあの光景だけがリプートされ続けていた…。
「今日のようちえん楽しかったね♪ひびきちゃん」
響の大切な物を奪ってしまったとは知らず、のんきな未来ちゃん。
彼女はきっと何も奪ってないよと言うだろう。だがあえて言おう。
あなたはとんでもない物を盗んでいきました、響の心です。と
「 」ウンソウデスネ
もはや…を付ける余裕すら消え、白く変色した元白の王…、いや違った。響ちゃん。
そこへ車が通ったが、包丁に真っ二つに斬られるように、響にぶつかった瞬間2つに裂けた。ベリリッと
未来も響も会話に夢中(?)で気付いてないが、今いるのは道路の上である。急いで逃げないと大惨事が起きてしまう!車が!
すると、未来が道路の上でまるまっている一匹の子猫を見つける。
「うわぁ…!見て見てひびきちゃん、ねこさんだよ!」
「 」ウンソウデスネ
目をキラキラさせた未来は、響から少し離れると、道路のなかにいた子猫を抱き上げる。
《みぃ~》
「わぁ~、かわいい~♪」
「 」ウンソウデスネ……ン!?
(…いかん!ここは道路の上か!?なっ!)
子猫を見るために頭を上げた事で、ここが車の通る路上だと判断し、一気に意識を回復させた響。
正気に戻った王は、即座に周りを見渡し危険物を確認する。
すると、未来と子猫の前にトラックが接近しているではないか。
響はグリーン・グランデとして培ってきた長年の勘から『あれに未来が当たれば死ぬ』と断定していた!!
「………!!(訳)…不味い…!!)」
響は咄嗟に子猫と未来を庇い、盾となった。
舞い上がる大量の赤い液、少女の悲鳴がこだまする。
その驚愕の声は、トラックの絶大な激突音に塞がれ、赤い液体にまみれた響には聞こえなかった…。