戦姫防御のグリーン・シンフォニー   作:北岡ブルー

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 7月6日 いきなり運営から二話のキャラクター紹介にあった文字数稼ぎで削除されかけたので肝が冷えました!
 しかもキャラクター紹介の話を消そうと決断して焦った自分のミスでこれも含めた一部の話が消えるのだもの!
本当にビビった!




◇我が新しき盟友・未来

…一体、どういう事だ?

 

 それが、グリーン・グランデがこの世界に来て初めて思ったセリフだった。

 

…我のリアルの体は一体どうなってしまったのか、永久退場した我が盟友達もこんな体験をしたのかとも思ったが、自分の息づかい、心臓の鼓動がこれはゲームの類いではなく、現実なのだと教えてくれた。我の肉体は間違いなくこれだと魂が言っていたのだ。

 

 転生してしまったと事実に唖然としていたグリーン・グランデを置いてきぼりにして、時は一瞬で過ぎ去っていく。

 

 決して母の胸を近づけられ、恥ずかしさで失神しそうになったり。前世では使った事がない鉛筆や消しゴムに悪戦苦闘したり。自分が女性の身体になっていたと言う事を忘れたい訳ではない……。

 

 

 

◇――そして数年後…――◇

 

 

 

「響、ここが今日からあなたが通う幼稚園、○●幼稚園よ。近くで良かったわね~、歩いて行けるわよ」

 

「……」コクリ…

 

…我の名はグリーン・グラン…あ、いや立花響だ。今の我は母に車で送ってもらって、幼稚園までの道を教えてもらっている所だ。

 

…我の今の家は、とても居心地がいい。ニューロリンカーで子育てを短縮し勝手に育っていろ同然だった前世の両親とは違い、今世の両親は手間暇掛けてこんな無口な我を育ててくれた。

 

…優しく明るい父上、慈愛を持って愛をくれた母上、我も知らない世界を教えてくれた叔母上いや、おばあちゃん←一回、叔母上と言って泣かれた。「おばあちゃんと呼んでクレェアフェエフぇェェェェッェェ!!!」←入れ歯外れた

 

…第一世代、《オリジネーター》であった我には加速世界での『親』もいなかった。だからこそ暖かく、充実とした5年を住ごせた。こんなに家族が良いものだとは、今まで思いもしなかった。

 

…こんな事なら、前世で我も『子』を作るべきであったか…。

 

「響~お母さんに行って来ますのキスは~♪」

 

…は…母上。それはちょっと…。

 

「フフ、響は恥ずかしがりね♪ん♪」

 

…そう言うと母は我に向かって投げキッスをした。これだけはキツい。たとえ親でも女性に好意を向けられるというのは、なかなか気まずいものだ…。

 

 

 

 

…母が幼稚園の職員室で入学手続きをしている間、響は幼稚園の遊具王、ブランコで遊んでいた。他の園児は部屋の中にいる。

 

(…うむ、たまには童心に帰るのも悪くないな……。ん?)

 

 ブランコで揺れて最高峰まで上がった響は、部屋の窓から多数の男の子に囲まれた一人の女の子を見つけた。

 

 じゃれている感じではなく、何より女の子の方の目は潤んでいるように見える。

 

(…あそこは確かバラ組…、何かしらのトラブルか…?)

 

 そう思った響は、ブランコから飛び上がると一目散にバラ組の部屋へと走っていった。

 

 

 

 

 響がバラ組の部屋に入ると、その瞬間女の子の怒りと悲しみが織り混ぜられた叫び声が部屋に響いた。

 

「返して!私のまぁちゃんを返してよぉ!!」

 

 大きな白いリボンが特徴的な、艶やかな黒髪の女の子だった。近い内にきっと美人になるだろうその顔は、涙や鼻水でぐちゃぐちゃに汚れていた。

 

「やぁ~だよぉ~、それっ」「よし、ほれ」「うっし、来た来た」

 

 その子の周りにいた3、4人の子供達は、まぁちゃんと言うらしい人形をパス回しして女の子を小馬鹿にしていた。彼らの腰には刀のつもりなのか、新聞紙を丸めた物やレ□ブロックで作られた剣がぶら下がっている。

 

 周りの子供達もそれが怖いのか、部屋の端で震えていた。

 

(…あの子らはただ遊んでいるつもりなのだろうが、人の物を盗るのは悪い事だと教えてやらねばなるまいな―――)

 

 そう考えた響は、投げ飛ばされたまぁちゃんを掴みパス回しを中断させ、男の子達を挑発した。

 

「あっ!おい何だよ、オレたちのじゃますると女の子でもいたい目見るぞ!」

 

「…………!(訳)……ああ、良いぞ。少し大人げないが、我も貴様らに元王の実力を見せつけてやる!!)」

 

「声小さくて言ってることわかんねぇんだよ!!オメェらやっちまえ!」

 

「「「おお~!!」」」

 

 豹柄の服が特徴的な男の子が叫ぶと、3人の男の子達が響目掛けて新聞紙やレゴ□ロックの剣を持って襲い掛かってきた。

 

「……!」(訳)…普通の子供なら、そのオモチャの剣に叩かれ、泣くであろうな。しかし、今貴様らの前に立っているのは、歴代クロム・ディザスターと戦い『絶対防御』の二つ名を得た緑の王・グレート・ウォールの元レギオン・マスターグリーン・グランデなるぞ――!)

 

 ボキッ………!!

 

「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 オモチャの剣は響の頭に命中し、その何かがへし折れる音に、リボンの子供が青ざめ悲鳴を上げ。

 

「へ…?」

 

 リーダーらしき豹柄の男の子もそのあまりに生々しい音に動きが止まる。豹柄の服の男の子からは三人の子分に囲まれて響の姿が見えないが、マズイ事になっているのは容易に想像できた。

 

「あ…あぁ…!」「うそぉん……。」「ひぃいいいい~~!!」

 

 響の頭を攻撃した3人組は、その音を自分達が鳴らしてしまった事に戦慄してしまう。

 

「り…リーダぁ…「るせぇよお前らがせきにん取れよ!?」いやリーダー…!」

 

 

 

 

 

 

「「「剣が…!剣が『もげたあぁぁぁぁぁ!!!?』」」」

 

 その三人の腕の中には、まるで獣に引きちぎられたように『もげた』3つの無残な柄が残っていた。新聞紙の剣はビリビリに破け、レゴブロ○クの剣はもう再使用不可のレベルで砕け散っていた。『折れた』のではない。無残に、根元から『もげて』いたのだ。

 

 

「ギエピイィィイイイイィイイ!!?」「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」「ひぃいいいいぃぃぃぃぃぃ!!」「あぁあああっぁぁっぁぁあああああああ~~~!!?」「うっっそおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉぉぉんんん!!!」

 

 

 

 

 狭い部屋で、やかましい四重奏(カルテット)が鳴り響く。

 

「あっそうだ!アイツは!?アイツはどこだ!?」

 

 そのパニックの中、いち早く響がいないのを知ったのは豹柄の男の子だった。

 

 武器があのザマだったんだ、やつは居る!どこかに!必ずどこかに潜んで逆襲の機会を待ってい――

 

 

 

―トン―

 

 

 そこで、豹柄の服の男の子は意識を失った。

 

 

 

 

 

(…なんとか上手くいったか、アニメや映画でよくやる気絶攻撃。…一応手加減はしたつもりだが少し心配だ。無事に起きるか?後遺症などは残らないだろうな?)

 

 響は攻撃を受け、武器が壊れた音に子供達が驚いている隙に後ろに回りこみ、手刀を放って気絶させた。

 

 これでもうオモチャを持って暴れないようになればいいのだが…。

 

「あっ…あのあなた…、ケガないの…?」

 

「…………。…?(訳)…あぁ、問題ない。心配してくれてありがとう。確か…、これはまぁちゃんだったか?)」

 

 そう言うと、響は持ったままだったまぁちゃんを女の子の前に差し出す。

 

「…もしかして、まぁちゃんをたすけるためにたたかってくれたの…?」

 

「……」コクン

 

 

 声は聞こえなかったようなので、首を縦に振って応答した。

 すると女の子は目を見開き、その場にうずくまると小さな肩を震わせ、まぁちゃんを強く抱きしめた。

 

「うっ…、うう"っ…ありがと…!本当にありがと…!!うぅ…うええぇぇえん…! ええぇ…!!」

 

 響は、ポケットの中からハンカチを出すと膝を付き、まぁちゃんを抱きしめる腕にそっとハンカチを忍ばせる。

 

 そしてそのまま少女の頭を撫で、泣き止むのを待ち続けた。

 

 

 

 

 その後。あの豹柄の男の子を倒した事によって、響は園児達に英雄扱いされ、胴上げを行われたり、彼らを懲らしめてくれたお礼にと、どこから持ってきたのか飴やお菓子を貰ったりした。

 

 響はその後園児たちと戯れ、皆とすっかり溶け込んでいく。

 

 途中で豹柄の男の子やその子分達も起き上がったが、襲いかかる事はせず、響の舎弟になりたいと言い出す始末。

 

 そして、園児の皆から響はいつしか『王さま』と呼ばれる様になった。

 

 

 だがそんな楽しい時も、ついに終わりが来た。

 

 

「響~、今日はもう帰るわよぉ~!」

 

…母に呼ばれ、窓の外を見ると、綺麗な夕陽が射し込んでいる事に気付いた。そう言えば、時間を忘れて楽しんだのはいつぶりだろうか…。

 

…前世の加速世界でも長い間、無制限中立フィールドに留まっていた事はあるが。それはどちらかと言うと加速世界を停めさせない為といった感じが強く、あの世界を満喫できていたのかと聞かれると疑問符が付く。

 

…こんなにたくさんの人に囲まれて、笑った事など前世では一度もない。

 

…でももう、今日は行かなくてはならない。何、しばしのお別れだ。ここには入学手続きをしに来たのだから明日も来れる。

 

 

…少し寂しい気持ちを押さえつけ、バラ組から飛び出していくと、突然後ろから大きな声が聞こえた。

 

「ねぇ!!名前を教えて!!私の名前はこひなた みくって言うんだ!あなたは?」

 

「……」

 

「えっ、今なんて…?もしかしてしゃべれないの?」

 

…あぁ、わからないのだったか。

 

 周りに自分の声が聞こえないのを思い出した響は、落ちていた木の棒を拾うとガリガリと大きなひらがなを園庭に書いた

 

 

 

 「われのなは、たちばな ひびき」と。

 

 

 

「そっか…、ひびきちゃんって言うんだ…!ひびきひびきひびき…。うん、よしっ!これからよろしくねひびきちゃん!!」

 

 響の書き上げた文字を見て、何度も何度も名前を連呼すると、未来は花が咲いたような笑顔を向け、響の名前を呼んだ。

 

 響も、お返しに手を振り、母が運転して持ってきた車に乗り込み、エンジン音を鳴らして幼稚園を後にした。

 

 

「またね…。ひびきちゃん。」

 

女の子の、いや未来のその笑顔は、夕焼けと共に紅く染まっていた

 





 手を広げて前に突き出し、無言で『待て』と示す立花響。その目には真剣さを帯び、左腕には看板が握られていた。

『ここより先はアクセルワールド劇場版の感想である。作者は視聴欲を掻き立てるため僅かながらネタバレをしているが、僅かなネタバレも否と唱える読者はここより退くことを進める』

 看板をくるりと回転させ『以上』と書かれた大文字を見せ、その場にブッ刺すと、立花響はスタスタとその場から退室した……。









 7月最後の週でアクセルワールド・インフィニットバーストを見ました!そこで何と我らが王グリーン・グランデとその幹部《六重装甲》の姿が!!
『お前そんな姿だったのかよッ!!』とツッコミたくなる人もいるので、アクセルワールドの脈動感溢れるアクションが好きな方はぜひ観るべきです! 
 全く出てこなかった黄の幹部も出てくるぞ!可愛いぞ!もうイエローボッチとか言わせない!!

 ただし前半は全てダイジェストなので、観る予定の人はアニメ予習しないでDVDを見るのがオススメだ!安くつくぞ!!

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