戦姫防御のグリーン・シンフォニー   作:北岡ブルー

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↑作者の投稿オラオラッシュ!!


番外編・未来の華麗な1日 中学生の朝編 響VS未来?

 響のパジャマのボタンを中程まで外した次の瞬間、未来は自分の頭に殺気が迫って来るのを感じた。

 

「…!」

「―――え?」

 

 咄嗟の判断で殺気をかわそうと頭をふせる未来、その上を細い腕が横切った。この部屋でそんな行動が出来る人間など一人しかいない。未来は驚愕した。

 

(そんな…!何で響が起きてるの!?この時間は熟睡してるハズなのに…!この前来た時はずっと起きなかったのに!)

「……ッ!!」

「キャッ!」

 

 気が動転しマトモな行動ができないでいる彼女を、響が布団ごと蹴り上げ吹き飛ばす。幸い、響本人の力が常人と変わらない事と、布団がカバーしてくれたお陰でケガをすることはなかった。

 

しかし、未来は親友に蹴られたと言う真実に絶望する。

 

(響…?ウソ、ウソでしょ?何で私を蹴り上げたの…?)

 

 前を向くと、無表情で胸をシワができるほど抑え、自分に迫る親友の姿が映る。それを見る未来の瞳には、蹴られたショックによる涙が溜まり、捨てられる寸前の子犬のように震えていた。

 

(そんな…)

響は一歩、また一歩と迫り、

(私達…)

その重い口を…

(絶交…?)

開いた。

 

 

「…?」

(え?『だれた貴様?』?)

 

 そのセリフを聞いた事で未来は死人の様になっていた肌の色を元に戻し、活性化した脳で答えにたどり着いた。

 

(そっか…、響はまだ夜目が聞いてないんだ…。と言うことは響のあの蹴りは『私』じゃなくて『家に忍び込んで夜這いを仕掛けようとした変態』に向けられた者!そうだ!響のディフェンスが硬いのは当たり前じゃない!)

 

 ならばと未来は考える。この状況では正直に話しても、響のためにした事とはいえ引かれてしまう可能性が高いだろう、それだけは指20本切られるより嫌だ。ならどうするか。

 

それは…

 

(ごめんなさい響!)

「!」

 

 逃げの一択であった。彼女は布団を放り投げ念入りに響の視界を奪うと、畳をひっぺがしあらかじめ作って置いた脱出経路へと逃げ込もうとする。

 しかし流石は元緑の王と言うべきか、布団を押し退け「何でそこに脱出経路が!?」と言うように(未来しか気づけないレベルで)驚くも、一瞬でそれを引っ込めて犯人の裾を捉え、顔を見ようと明かりのスイッチに手を伸ばす。しかし。

 

「……ッ!」

 

明かりがつかない。何度押しても光がつかない。

 

(よかった…!万が一に備えてブレーカー切っておいてよかった!)

 

 よくやった過去の自分!と未来は内心でサムズアップを決めると響に掴まれた裾の端を破き、つむじ風の様に素早い動きで脱出経路へと後にするのだった。

 

「…………」

 

 後に残ったのは、裾の切れ端を掴んだまま立ち尽くし、犯人を蹴りあげたせいで粉砕された盆栽を見てフリーズした立花響だけだったと言う…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇―未来の家―◇

 

「ハッ、ハッハッ、ハァ…ッ、あ…危なかった…!掴まれてたのが裾で良かった!」

 

 その頃、短い人生で手に入れた全スキルを使い、何とか家へと逃げおおせていた未来は、自分のベッドへと倒れふし軽い呼吸困難に陥っていた。

 

「でも…、この一歩踏み間違えたら終わりな感じも、たまにはいいかなぁ…」

 

 しかしその一方で、こういうプレイもなかなかイケるッ!と言う気持ちもあった所は、流石は未来と言うべきか。

 

「あ、服が汗でベトベト…。破れたのは記念に保存しておくとして、他は洗おっと」

 

 学校もあるし。と未来はおもむろに服を脱ぎ始める。破れた服は裾の部分以外全てハサミで切り刻んでゴミ袋に入れると、裾はいつものように(・・・・・・・)お気に入りを金庫の中にいれる。

 

 服は体ごとキレイに洗い、汗を落とすと絞って洗濯機の中へと突っ込む。できるお嫁さんは掃除・洗濯・料理共に上手いのだ。どこに嫁へ行くかは言うまでもあるまい。

 

 その後、時計(二代目)の目覚ましを7時にセットして寝た未来は、起きた後頑張って両親にいい子アピールをして、元気に家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 響の家の前に到着し、朝の事で顔がバレていないだろうかと心配しながら待っていると、響の母親が出てくる。

 

「ごめんね、響ったらまだご飯食べてるのよ。よかったらウチに入る?」

と行ってくれて、危うく心配停止しかける未来だったが何とか息を吹き返すと

 

「大丈夫です!待ってます!」

と焦りながらも明るく元気に答える。(心配停止から息を吹き返すまで0.5秒である)

 

「(あっそうだ。いつも通りに言っておかないと怪しまれるよね) 響~、早くしないと学校遅れるよ~!早く~!」

 

 そう言いながらも実際30分前にスタンバっていた未来は、この時間が好きだ。なぜなら、こうやって催促すると親友の為に急ぐ響のドタバタが聞こえてきて、運がよければ――

 

「…ッ!」

「おはよう響。もうっ…、いつも遅いんだから (うっひゃあああぁ!)」

 

いつもは完璧超人な響の、ちょっとドジな一面が見られるからである。

 

 響には男らしくしようとする変わったクセがあり、持っている服は友達から貰った服以外男物しか持ってないのだ。制服配布の時もそこにこだわり『何とぞ!何とぞ男物を所望するッ!!!』と土下座する程だった。

 

 だがダメだ。そんな事はこの未来が許さないぜ?そう思った未来も、この時だけは心を鬼にして封じた。

 だからこそ、この全て遠き理想郷(アヴァロン)が実現したのである。

 

 響は女物の服を着れない事を未来は知っている。しかしこの歳で母親にお願いする事も出来なかったのだろう、いろんな所が崩れていた。

 肌の露出を抑える為に着ているのであろうタイツも、ミスで少し破け色気をだす為の淫具へと変わり。スカートも少しズレ、タイツもあわさってピンクのパンツが僅かに合間を覗く。

 片方はみ出したシャツはドジっぷりと慌てっぷりを増幅させ、その胸元には桜の花びらのようなブラが隠れていた。

 

 ブラチラである。

 

 ブラチラである。

 

 ブ ラ チ ラ であるッ!!!! (大事な事なので三回言いましたッ!!)

 

…最高だ。さて、これを他の害虫共に見られる前に何とかしなければ。未来はもう言い慣れたセリフを言って響のボタンに手をかける。

 

「全くもう~。服メチャクチャだよ?ほら私に見せて」

「……」

「『いつもすまないな未来』って…いつもの事だから馴れたよ。もう」

 

 こうして未来は服直しを口実に響のブラに顔を近づけると、学校行く時に朝の事をさりげなく聞いておこうかなぁ。と、朝の事態の把握に思案するのであった。

 

 

 これが、未来がいつも送っている朝である。無論、ここで終わりではない。

未来の華麗な1日は、ここから始まるのだから。

 




次は本編ですよぉ!皆さん!(フリーザ風)

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