機動戦士ガンダムUC F   作:壊れゆく鉄球

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陽動任務

初の実戦から5日後、ネオジオン軍本隊がアクシズの奪取しに行ったが、俺たちの任務は本隊に合流しないで相も変わらずの陽動だ。たかが1隻で何ができるかはわからんが。

この戦争が終わりに近づいていくのを感じる。でも、俺の機体をもっと動かしたいように調整してくれたスポッターさんに感謝しないとな。あとは生きて帰ってくるだけだ。

 

「機体の調整はばっちりだがちょっとでも気持ち悪いとこあったらすぐ戻って来いよ」

 

「大丈夫ですよスポッター機付長。問題なんてありませんよ」

 

「ならいいんだけどな」

 

コックピットハッチと閉じカタパルトまで歩かせる。この作業もこなれたものだ。

 

「カイト・マツムラ、バウ、行きます!」

 

この出撃時のGに慣れるのはまだまだ時間がかかりそうだ。

センサーを見て機種を照合する。ジェ…ガン?確か連邦の新型のはずだ。これを配備されているということは………かなりの手練れがいるということか。

 

《准尉、敵は連邦の新型だ。いつもより手ごわいかもしれんが、いつも通りのフォーメーションで攻めるぞ》

 

「わかりました」

 

命令とともにシールドのメガ粒子砲を発射して敵を分断させる。ザミュ大尉が分断された1機に向かって行く。テルス少尉とともに残りの2機を落としにかかるか。

 

ビームライフルを撃つが、敵の動きが怪しい。まるで5日前の俺を見ているような動きだ。浮足立っている。なら―――――

 

「――――逃げ場をなくして当てる!」

 

ビームをジェガンの少し前に撃って足が止まったところで次のビームで当てる。ほっとしたのもつかの間、敵艦の発砲でテルス少尉と分断される。それと同時に敵艦周辺にいたMSがこっちに来るのを確認。数は3で、全部……俺ェ!?

 

「おいおいおいおいおいおい!この数の相手はできんぞ!?」

 

《准尉、今向かう。少しの間耐えるんだ》

 

「了解!」

 

敵のジェガンがビームライフルを一斉射撃を行うが、アタッカーとナッターに分離して回避。ジェガンは背中合わせの密集体系で俺を落とそうとする。

 

「その程度じゃ俺を捕らえられんぞォ!」

 

こんなこと言ってもギリギリ避けているだけでいつ当たってもおかしくない。なかなか当たらなないことにしびれを切らしたのか1機突っ込んできた。

 

「ジムⅢより早い!?」

 

すぐに合体するが、合体した瞬間を狙われて足を切られる。

 

「ちっ……!アンバックしにくいように整形してくれやがって!」

 

ライフルを銃剣モードに変えて切りかがるが、ビームサーベルで防がれる。

 

「右利きかよやりにくい……!だったら!」

 

シールドでジェガンのシールドどかし腕部のグレネードでコックピットを破壊する。

 

《よくやった准尉!敵は仲間が落とされた影響で動揺している!》

 

そういいつつザミュ大尉は片方にビームガトリングガンでハチの巣にし、もう1機をトライブレードで足止めをしてビームトマホークで切り裂いた。

敵艦を落とそうと思ったがすでに戦闘宙域から離れていて、ナッターをミサイルに使っても届きそうにない。……それ以前に両足を切られていて飛ばすこと自体できないが。

 

《准尉、一度艦に戻って補給を受けるぞ》

 

「了解!」

 

 

 

 

「ふう……」

 

「お疲れ様准尉。しっかしまあ派手に壊してくれたもんだ」

 

「うぅ……。すみません」

 

「ま、予備パーツがあるから何とかなるが気を付けてくれよ?」

 

「ぜ、善処します」

 

さっきのは応戦するじゃなくて別のところで合体すればよかったか?シミュレーターで訓練しなくっちゃあな……。

 

「そういえば准尉。もうすぐこの艦も本隊に合流するらしいぞ」

 

「本当ですか!?」

 

単艦で連邦の陽動にまわれと言われて目の前が真っ暗だったがこれで少しは光が見える。しかし本隊と合流か……。さしずめアクシズの防衛だろうか。ということはさっきの奴らよりもっと強いのが出てくるということで……。

 

《MSパイロット各自へ、0800にブリーフィングを行います。至急ブリーフィングルームへ!》

 

「だってよ?」

 

「のようですね。行ってきますよ」

 

コックピットを蹴って出口にまで移動する。時間を確認するが、今は7:42か……。ブリーフィングルームまで普通に行くと20分くらいかかるから…やべぇ急がねえと!

 

 

 

 

「7:58か。ぎりぎりセーフ……!」

 

襟元をただし、入室する。だが、聞こえたのは俺に対する怒号であった。

 

「カイト准尉、遅いぞ!何やっていたんだ!5分前には来るように教え込まれなかったか!」

 

「申し訳ありません艦長!道に迷っておりました!」

 

「………今回はいい。次はないぞ」

 

「はっ!」

 

所定の席に座り、艦長に聞こえないように溜息を吐いた。いや、遅れかけた俺も悪いよ?でも時間設定とかもうちょっとどうにかならなかったのか?

 

「さて、今回のブリーフィングは次の任務のことだ。本艦は0820を持って本隊と合流しアクシズの防衛に入る。出番が来るまでパイロットはMSに待機。以上だ」

 

『はっ!』

 

「では解散!」

 

艦長が先に出て、テルス少尉や砲雷長などのほかの長も出ていく。その中で、ザミュ大尉は出て行かず俺に話しかけてきた。

 

「道に迷ったってのはウソだろカイト?」

 

「うぅ……そうですが逆に大尉はなんでそんなに早くにブリーフィングルームにいたんですか?MSデッキをでるのは小官とあまり変わらなかったはずですが……」

 

「素直に主通路を通ってきたんだろ?この艦には近道ってのもあるんだよ。教えるからついてこい」

 

「りょーかい」

 

本隊と合流まで、あと3時間。

 

つづく


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