機動戦士ガンダムUC F   作:壊れゆく鉄球

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7/3 追記しました。


宇宙からの襲撃

休暇から数か月経つ。その間にもいろんな兵器を運用した。正式採用された兵器がいくつあるのかは知らないが…私がテストした兵器が友軍を生かしているとしたらこれほどやりがいのある仕事はないな。

 

今回は、完成した先行量産MSのテストだ。以前にもこいつ用の武装をテストしたことがあるが……いい思い出ではないな。

 

「ふぅ~。久しぶりの宇宙だな。この無重力が懐かしすぎる」

 

「中尉はスペースノイドだったのですか?」

 

「ああ。サイド7出身だ。あそこは戦後もいろいろあったからな……。あん時は『BGST(バーゲスト)』がいたから何とかなったが……だからそれをどうにかしようと思って連邦に……。……!?」

 

「どうかしました?」

 

「いや、何でもない。忘れてくれ」

 

私の過去に一瞬違和感を感じたが……気のせいか?それよりも久しぶりの宇宙だ。宇宙でMSを動かしたのは士官学校以来だ。まずは慣れてからか……。

 

「今回はいつもと違い、他のMS部隊と共同で試験を行います。っと、他隊と共同で行うのは今回が初めてというわけではありませね」

 

「ああ。だが、今回は前回とは違い1機なんだな」

 

「というより1機が限界なんですよ。今回の試験だと」

 

「なんでだ?……あぁ、そういうことか」

 

資料を読み進め納得する。今回は大気圏突入用装備を試験するようだ。しかもこの機体はSFSとしても扱えるように設計しているようで、MSを乗っけた状態で地球に降下するようだ。また、それに合わせてこいつの専用武器のテストも行うようだ。

 

「ま、共同で試験をやるんだったらあいさつ回りに行かないとな」

 

「そこんとこは中尉の裁量に任せます。日程は決まり次第知らせますので。では」

 

「わかった」

 

さて、焼いたクッキーでも差し入れに行ってみるかな。

 

 

 

 

数時間後、私は試験対象である新型可変MS『リゼル』のC型と呼ばれる指揮官機に乗り込んだ。こいつは一般機のリミッター上限を引き上げ、それに合わせて各部を強化された改修機だ。今回はこいつの武装の1つ、『メガ・ビーム・ランチャー』のテストと、それを装備したうえでの大気圏突入が試験内容になる。

 

《アルバ・メルクルディ》

 

《ドリット・ドライ。スタークジェガン、出る!》

 

「カイト・マツムラ、リゼル、出るぞ!」

 

フットペダルを踏み、機体を加速させて『アイリッシュ級オアシス』から発艦する。

 

今回の試験では専用OSを切っている。開発陣もそれを想定してようで、私の要求が通った。それに、新型OSは一般機でテスト済みらしい。

 

「あいつ等…『スタークジェガン』と言っていたが形状が違うな……」

 

頭部やバックパックの形状が若干違う。もしかしたらA型ベースの試作機かもしれないな。また、手にはリゼル用のビームライフルを装備している。

 

「あのビームライフル……まさか暴発とかしたりしないよな……?」

 

《中尉、あれは正規品ですよ?中尉が以前テストした試作品とは違います》

 

「わかってるって。……では、これより試験を開始する。と、言いたいところだが慣らし運転してもいいか?何もしないでいきなりテストってのは無理だ」

 

《……そういえばC型の機動性テストをしていませんでしたね。まずそちらから始めましょうか》

 

「……なるほど、そういうことか」

 

そもそも低軌道上でのテストの上、初めて動かす機体で大気圏突入はできっこない。

 

「じゃあ適当に動かしてみますか」

 

言葉通り適当に動かす。デルタガンダムほどではないが、量産機にしては結構速い。整備主任の話によると、他にも高機動化させるオプション装備をつくっているらしい。地球連邦にこーいったMSをつくることが許されるような時代になったってことか。

 

「まったくもっていい機体だな。ただ……推力がないな。私好みに調整されたとしてもこのスピードだけはどうにもできないからな。そこだけが残念だな」

 

《無茶言わないでください!これ以上速くしたら扱える者が本当にいなくなってしまいます!》

 

「そこはわかっているさ。ただの一個人の意見さ。さて、暖まってきたことだしメガ・ビーム・ランチャーの試射を行う」

 

《了解です。では地球に落下するコースのデブリを撃ち落としてください》

 

「わかった」

 

リゼルを索敵モードに変える。それに合わせてモニターが青くなりデブリ一つ一つの軌道を計算する。……見つけた。近くに1つ、10㎞先にもう一つある。

 

「では、試射を行うとしますか」

 

メガ・ビーム・ランチャーを構え、最大出力で撃つ。すると、もともと小さめだったためか、いともたやすく溶解する。

 

「ひゅ~♪これは完全なリゼル用だが、結構な威力があるな。だが、バックパックと繋がっているから取り回しが悪いな」

 

WR形態に変形し、遠くのほうにあるデブリも狙撃する。そちらは大きいためか細かい破片をまき散らして分解した。その分解した破片をスタークジェガンが狙撃している。また、ビームライフルでの狙撃で分解しきれないものは、接近しロングビームサーベルを展開して叩き切る。

 

「アルバ中尉、ドリット少尉。デブリの破壊作業手伝おうか?」

 

《そうしてくれると助かるんだけどね》

 

《馬鹿を言え、そうしたら試験の意味がないだろう》

 

「……真面目だな」

 

《任務に忠実なだけだ》

 

「知ってる」

 

軽口をたたきつつスタークジェガンに近づく。スタークジェガンもこちらに近づき、バックアップにあるグリップをつかむ。ガゴン!という大きな音と衝撃を受けながらつかんでいることを確認し、そのまま機体を加速させる。

 

「このまま大気圏突入能力を試験する。チャンスは1回だ。しっかしモニタリングしてくれよ?居眠りしていてデータを取れていませんでしたってのはなしだぜ」

 

《わかっています。でも今は目の前のことに集中してください。私に気をとられて突入に失敗しまたってのもやめてほしいですからね》

 

「わかっている。……ではお二人さん。しっかりつかまっててくださいよ。……突入角度修正、コンマ3―――――」

 

計器を見つつディスプレイの指示に従って修正をする。数秒後、モニターの下の画面が乱れていき、突入を開始したことを実感させる。

 

予定では、このまま大気圏突入した後は降下ポイントであるギアナ高地にいるであろうジオン残党を叩いて実践での戦闘能力を計るはずだ。いなかったら近くの基地に行く手はずになっている。

 

《初めてだぜ…大気圏突入するのは》

 

「私も初めてだ。できればこのまま何もなく終わってほしいね」

 

《誰だってそうさ。私だってそう思う》

 

降下が終わるのは約45分後。この時間は襲撃にでも合わない限り(あるわけないし、あってほしくない)暇だ。ここはなんとか時間をつぶしたい。

 

「そういえばなんだが……君たちに渡したクッキーはどうだった?」

 

《いきなりなんだ?まあうまかったけどよ……弟たちに食わせてやりたいほどにさ……》

 

「それは……すまなかったな」

 

《勘違いすんなよ!?弟たちは生きてるからな!?五体満足で!》

 

《確かに軍務に励んでいると嗜好品はなかなか口にしないからいいと思ったが…ドリット少尉、カイト中尉。任務に集中するんだ。しかも今は大気圏突入中なんだ》

 

「《りょーかい》」

 

《はぁ……》

 

 

 

 

 

「降下ポイントに到着を確認。これより索敵を開始する」

 

そう言ってリゼルを索敵モードに変える。すると、早速反応があった。少なくとも下に2機いる。他にもいるかもしれないが、機動させなくちゃわからないな。

 

「敵機を2機確認した。お客さん(プロト・スタークジェガン)を降ろすために少し掃除をする」

 

機体を少し下に向け、メガ・ビーム・ランチャーの射角を確保する。敵はまだこちらに気づいていない。

 

「射程まで3…2…1…発射!」

 

トリガーを引き、メガ・ビーム・ランチャーを撃つ。それは吸い込まれるように機体に命中し爆散する。すると、少しづつ機体反応が増えていく。もちろんIFFは敵を示している。

 

「よし、ご到着だぜ!代金は戦果で頼んだ!」

 

《了解!任せな!》

 

《こちらも敵の位置を把握した。ドリット、降下しながら狙撃して数を減らすぞ》

 

《わかった》

 

声が引き締まっていくのがわかる。先ほどとは違い、意識を切り替えているのだ。さすがはプロって言ったところか。

 

「さて、こちらは上から降下の援護をするとしますかね」

 

少なくとも敵の上を飛んでいるだけでもちょっとした牽制にはなる。敵の数は8。ゲリラにしては数が多い。ここまでの組織を把握できていなかったって言うのか?連邦政府は。

ここのゲリラは錬度が高いのか、すぐさま弾幕を張る。しかし、敵のMSや武装が旧式なのが幸いして降下中のスタークジェガンは全くと言っていいほどダメージを受けずにいた。

 

「この距離で当ててくるのか!?まったく…旧式の実体弾なのが唯一の救いだな」

 

そうこうしている内にスタークジェガンが2機狙撃して降下を成功させた。こちらも負けじとメガ・ビーム・ランチャーを撃つが、1機をかすめるにとどまった。すると、別の1機のMSがSFSに乗ってこちらに飛んでくる。

データバンクによると、『イフリート』のようだが、一部形状が合致しない。といっても、参照にしたのがカスタムタイプの『イフリート・ナハト』だから仕方がないのかもしれないが。

紫の色をしたイフリートは、手にグフ用のヒートサーベルを構える。こちらも、MS形態に変形し、右腕のボックスからサーベルを取り出して構える。

 

ガキイイイン!

 

サーベルとサーベルがぶつかり合う。力任せにサーベルを振るうが、向こうはそれを受け流して距離をとった。リゼルは機体を反転させ、WR形態の変形して追撃する。

 

「チッ……。遅いぞ!こいつは前面の表面積が広すぎるんだ!だから空気抵抗が大きくて大したスピードが出ないんだ!」

 

メガ・ビーム・ランチャーの出力を下げて連射するが、イフリートはSFSをうまく使い避けきる。

トリガーを引き、新たにメガ粒子弾を放とうとしたら、背後からゲルググがビームを撃ちながら接近してきた。

 

「邪魔をするんじゃあない!」

 

MS形態に変形し、振り向きざま、肘鉄の要領でハンマーブレードを当てる。ハンマーブレードが命中し、吹っ飛んでいくゲルググをシールドのビームキャノンで仕留める。

 

「ちっ…!距離をとられたな……。……ん?なんだこの感覚は……以前も感じたことのある感覚……思い出せない……何かが近づいて……!アルバ中尉!何かが接近してくる!気をつけろ!」

 

《何かってセンサーにはなんの反応もないぞ!》

 

ミノフスキー濃度が高すぎたのか!?でもこの感覚はやばい。嫌なプレッシャーが近づいてくる。

 

再接近したイフリートのサーベルとリゼルのサーベルがぶつかろうとしたその時、一条のビームが横切った。

 

《捉えた。データを転送する……!?》

 

アルバから驚きの声が漏れる。それはそうだろう。それはアルバたちが使っているスタークジェガンの後継機なんだから。

こいつの目はすでに赤く、IFFの反応もない。以前と違うのは、バックパックが変わったことか。さらに言うとそのバックパックに中、遠距離用の武装が搭載されている。

 

「アルバ中尉、ドリット少尉。私は以前あいつに襲われたことがある。その経験からするとあいつは君たちの機体よりも圧倒的の速いぞ」

 

イフリートは青いスタークを見るや、手にクナイを持って味方に手信号を送っていた。おそらくは撤退か何かの合図なんだろう。

 

《あの青いの…まさかな……。だが……各機!非戦闘員の退却を確認してから撤退だ》

 

混線したのか、イフリートからの通信が聞こえた。逃がすか、と思いメガ・ビーム・ランチャーを構えるが、青いスタークが発射の邪魔をする。したがたなしに青いスタークに撃つが、牽制にもならない。残党軍も戦闘区域から離れようとしている。

 

《逃がすかよッ!!》

 

「ドリット少尉!落ち着くんだ。撤退するヤツは放っておいてまずはあの青いヤツから仕留めるんだ。そうしなきゃこちらがやられるぞ」

 

《スタークジェガンなら残党を狩ってくれってんだよ……!》

 

全面的に同意したいところだが、相手はこちら、特に私をつけ狙う。はっきり言ってかなりしつこい。

ヤツはその無駄に上がった推力を使って飛び上がる。以前のままだったらデルタガンダムならヤツを倒すこともできるかもしれないが、慣れないこの機体じゃ難しいな。

 

あいつ(青いスタークジェガン)から距離を取れればアルバたちが狙撃をしてくれるが……難しいか。だったら!……なに!?」

 

MS形態に変形してメガ・ビーム・ランチャーを構えようとしたら、すぐそこに青いスタークがいた。重そうなバックパックとは裏腹に大出力のスラスターもあるようだ。青いスタークは手に持ったビームサーベルでメガ・ビーム・ランチャーを切り裂き、リゼルを蹴ってプロト・スタークジェガンの方に向かっていった。

 

「私を踏み台にしただと!?ええい……!」

 

川の水面に触れる直前に変形し、青いスタークを追いかける。ついでにメガ・ビーム・ランチャーをパージした。これである程度軽くなったはずだ。

 

「アルバ中尉!出来ればヤツを鹵獲したい。あくまで出来ればの話だが」

 

《善処する。……が、出来ないと思っていてくれ》

 

「ああ、そういうと思っていた!」

 

ビームキャノンで青いヤツを牽制しながらMS形態に変形し、タックルを仕掛ける。プロト・スタークジェガンとつばぜり合いになっていたために、青いスタークジェガンにキレイに命中した。

 

「これで以前やられた分はやり返したぜ。あとは動けないように鹵獲するだけだ」

 

姿勢を立て直した青いスタークは肩のビームキャノンとグレネードランチャーらしきものを撃ってくる。リゼルとプロト・スタークジェガンはそれを避けるが、撃ってきたモノの中には散弾が含まれており、一部鉄球が当たる。

 

「当ててくるか。だが、散弾ではなァ!」

 

機体を高速で移動させて青いスタークに接近する。青いスタークはビームサーベルを構えながら肩にある武器で牽制してくる。

 

「そんなものビーム砲側に移動させればどうということはない!!」

 

時折敵の弾丸がリゼルに当たるが、構わずに突進する。一瞬のうちに青いスタークの持つサーベルとつばぜり合いになった。さて、どうやって鹵獲するか。頭の中にある機体の構造、兵器を思い起こさせる。

 

「……そうだ!アルバ中尉、そのプロト・スタークジェガンにはグレネードが搭載されていたな?」

 

《あ、あるがどうした》

 

「その中にスタングレネードはあるか?」

 

《……!わかった。だがどうやってヤツに押し当てるんだ?》

 

「次つばぜり合いになったら仕掛けるんだ。リゼルの上に乗れ。タイミングはこちらで作る」

 

《了解した!》

 

バルカンで牽制しつつ距離をとり、WRに変形してプロト・スタークジェガンの方に飛ぶ。

 

「ジャンプしろ。その下を通る」

 

《その瞬間にグリップをつかめってことだな?任せな!》

 

ガシン!

 

プロト・スタークジェガンが乗ったことを確認してスラスターを吹かす。

 

「勝負は一瞬!気を抜くなよ!」

 

《わかってるって》

 

青いスタークは弾幕を張りながら後退しようとしている。だが、その背後を何かが接近してくる。そして青いスタークとつばぜり合いになった。

 

《イフリート!?なんであそこにいるんだ!?逃げていったはずじゃ……!》

 

「どういう理由が存在がしようともあいつが隙をつくってくれた。このままいくぞ!」

 

《了解!》

 

さらに加速させ、距離を詰める。イフリートはこちらが近づいてくるのを確認し、青いスタークから離れていく。置き土産にクナイを投げて肩のキャノンを破壊していってくれた。ここまでお膳立てされたんだ、失敗するわけにはいかない。

 

《我々はジャンプしてヤツの背後に回る。その隙を何とか作ってくれよ……!》

 

「わかっている!」

 

プロト・スタークジェガンがジャンプしてリゼルから離れていく。軽くなった分リゼルは加速し、青いスタークの距離をさらに詰める。100mを切ったところでMS形態に変形し、ビームサーベルを取り出す。

 

「ウオォォォ!!」

 

ギイイイイン!!!

 

サーベルがぶつかり合い2つの機体が硬直する。背後に降り立ったプロト・スタークジェガンがそれを逃すはずもなく手に持ったスタングレネードを青いスタークに押し当てた。目に見えるほどの電撃をまき散らしながらスタングレネードは所定の機能を発揮する。そして、青いスタークは機能停止した。

 

「アルバ中尉、ドリット少尉。やったな。敵のMSを鹵獲したぜ…!」

 

《そうだな。あとは機体を運んで近くの基地に移動するとしよう》

 

「あ~…そのことなんだが……」

 

《まさか、別の任務でこの機体を引き渡すことができないとかではないな?》

 

「そういうわけではないんだが……」

 

ディスプレイを見て、私は先ほどとは違い歯切れが悪くなってしまった。さて、どうする。

 

《何が言いたい》

 

「先ほどの戦闘で推進剤をほとんど使い切ってしまった。リゼル1機だけでも近くの基地に飛ばすことができないほどにな」

 

《……確かに、私たちの機体もそのようだ。このまま歩いていくしかない…か》

 

徒歩で移動とは……帰還は何日後なんだ?しかもこの青い所属不明機も一緒に連れていくからさらに時間がかかるはずだ。

 

《何言ってんだアルバ。この近くには他にあるだろ?行ける場所が》

 

《……そうか!確かにここなら残りの推進剤でも速く行けるな》

 

「お二人さん……もったいぶらずに私にも教えてくれませんかねぇ?」

 

《すまないカイト中尉。この近くにはドリット少尉の故郷があるんだ。しかも今の時期はアナハイムの社員である私の友人を通じて居場所を伝えることが可能だ》

 

そう言ってプロト・スタークジェガンから村のある場所のデータが送られてくる。確かにここなら明日には帰れるかもしれない。

 

《久しぶりに弟たちに会えてよかったな》

 

《予定よりかなり早くだけどな》

 

「そうか、なら私も腕を振るうことができるというものだな」

 

《え?》

 

「今日はいろいろあった。だが、それでも今日を生き残れたんだ。これはパーティーを開かなくちゃな。もちろん君の故郷全体でな」

 

《……ああ!》

 

 

 

司令室、そこにはいつも通りマイケル大佐がいた。しかし、マイケル大佐の顔はいつもの笑みではなく、疲れ切った老人のような顔をしていた。そして、手にはとある場所から提出された報告書があった。

 

「オーガスタのヤツらめ、グレイブの遺産だからってわざわざ少女を使わなくたってよかっただろうに……」

 

報告書の内容は、鹵獲したスタークジェガン、及びそのパイロットについてだった。

 

「『パイロットの少女にはÆ社、またはそれに類するものは一切なかった』……か。しかしスタークジェガンのバックパックは『UC計画』で開発される予定の『ジェスタ』のオプションに近いデザインだった。これはどう考えるべきか……。無駄になるかもしれんが、少女の警備はしっかりせにゃならんか。物理的にも、政治的にも」

 

マイケル大佐の苦悩はまだ消えない。

 

 

続く


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