機動戦士ガンダムUC F   作:壊れゆく鉄球

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第二次ネオ・ジオン戦争編
シャアの反乱


《第1戦闘配備、隔壁閉鎖。パイロットは各自MSにて待機を!》

 

警報とともに第1戦闘配備を命じられる。俺はコックピットに乗り込み起動させる。

 

「これが俺の初陣か……」

 

「カイト准尉、初めての実戦だけど機体は大丈夫か?」

 

「スポッター機付長!調整は済んでいるんですが……初の実戦なんでちょっと…いやかなり緊張していますね」

 

俺が本音を漏らしていると、俺の機体―――バウ―――の機付長、スポッターさんがきた。この人は第1次ネオジオン戦争から参加しているらしく、俺から見ればかなりのベテランだ。

 

「まあそこまで緊張すんなって。准尉、ここは最前線からは離れている。連邦と会っても小戦力さ」

 

「うぅ…はい。スポッター機付長、離れてください。出ますよ」

 

「了解」

 

そう言ってスポッターさんが離れていく。それを確認しながら俺はカタパルトまで歩かせる。

 

「カイト・マツムラ、バウで出ます!」

 

それに合わせてフットペダルを踏み加速させる。前からのGに耐えながら先に出ていたドライセンに合流する。すると、ドライセンから通信が入った。

 

《おい新米!初めての実戦だからって浮かれれるんじゃねえぞ!》

 

「浮かれていませんし浮かれませんよザミュ大尉!」

 

この人も先の大戦に参加していた人だ。というよりも、パイロットで俺のような新米はこの船にはほとんどいない。新米の補充兵のだいたいがメカニックだ。俺のほかにもパイロットが配属されると思っていたのだが…はっきり言って気まずい。さらにh…いやここらで終わりにしておこう。今は戦闘中だ。

 

ピピピピピ!

 

そう思った矢先にこれである。センサーの示した方向を見るとスラスターの光とビームの光が見え……って危な!

とっさにシールドで防いで左手に持ったビームライフルを連射する。敵は…ジムⅢが3機か。奥に戦艦もいるようだが、味方にあたるのを警戒してか主砲を撃ってくる気配はない。

 

《准尉!敵艦は俺がやる。お前はテルスの援護に回れ!》

 

「了解ですザミュ大尉!」

 

そういうや否や、ザミュ大尉のドライセンがジムⅢにトライブレードが射出し、本体は敵の母艦に向かって行った。

 

「援護って言ったってビームライフルを撃って牽制すればいいんだ。そうすればテルス少尉が敵機を屠ってくれる」

 

自分にそう言い聞かせながらビームライフルを撃つ。そうするうちに、テルス少尉のドライセンがジムⅢを真っ二つに切った。

 

「ふぅ……」

 

《その調子よ、頑張って!》

 

「は、は…うわああぁぁぁ!」

 

テルス少尉に褒められ、返事をしようとしたらジムⅢのミサイルが俺を襲った。とっさに分離して避けたからいいモノの、一瞬でも遅れたらし、死んでいたかもしれない……。

 

「やられたままで終わるかよ!やり返してやる!」

 

バウ・ナッターにあるミサイルを発射し、バウ・アタッカーとともに背後に回って合体する。予想通りジムⅢはシールドで防御して生きているようだ。ジムⅢのカメラがこっちを向く。

 

「こっちに気づいたか!だがもう遅い!」

 

ジムⅢに向かいながらサーベルを取り出し横に切り裂いた。そのまま振り向いてダメ押しにビームを打ち込む。何発か当たったところでジムⅢは爆散した。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…い、1機落としたぞ。俺の初めての戦果だ」

 

《お疲れ様。こっちももう1機落としたからおそらく敵にMSはもういない。カイト准尉、ザミュの援護に行くよ》

 

「了解しました」

 

バウを加速させ敵艦に向かう。機銃はザミュ大尉のドライセンに夢中になっているから狙撃するには今がチャンスか?

 

《カイト准尉、主砲は私がひきつけるから狙撃よろしくね》

 

「了解です」

 

ビームライフルを敵艦の艦橋に向ける。敵艦は2機のドライセンに翻弄されて混乱しているように見える。しかし、ドライセンも敵艦に有効打を与えられないようだ。

 

「あわてるなよ。ザミュ大尉とテルス少尉がひきつけてくれているんだ。外したら大恥だぜ」

 

ゆっくりとだが、ロックオンマーカーは敵艦の艦橋に近づいて行っている。

 

「………今だッ」

 

艦橋にあった瞬間にボタンを押す。すると、発射されたビームが吸い込まれるように艦橋に命中した。

 

《よくやった准尉。周囲に残存敵部隊なし。母艦に戻るぞ》

 

「《了解》」

 

初陣でMS1機、(協力して)戦艦1隻。なかなかの戦績ではないだろうか。まあ、ルウム戦役で活躍した方々には遠く及ばないが。

 

 

 

「准尉、初めての実戦はどうだった?」

 

「かなり緊張しましたがなんとかなりましたよ」

 

「しかし今回の実戦で准尉のデータが取れた。このデータでもうちょい准尉に合わせた調整ができるぞ」

 

「では後は任せましたよ」

 

パイロットスーツがかなり蒸れている。シャワーを浴びてすっきりさせたい。ほかのことはそこからでいいや。そう思いながらシャワールームへ向かおうとするとザミュ大尉が話しかけてきた。

 

「カイト」

 

「なんですザミュ大尉?」

 

さっきまで准尉と呼んでいたのにいきなり名前で呼んでくるとはどういうことだ?

 

「さっきの戦闘の動きは初陣にしてよかった。だが、それで満足するなよ。まあ、そんなところだ」

 

「はっ!」

 

そういって通路のほうへ行った。う~ん、なんか気分が変わった。機体の調整を手伝おうかな。

 

「スポッター機付長!機体の調整手伝いますー!」

 

 

つづく




ユニコーンの完結記念に書いてみたのですがどうでしょうか?

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