恭しき華は霞の中で何想う   作:音子雀

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なかった話を挿入しました。
読む人によってはアンチヘイトに見える場所もあるかもですがそんなつもりは毛頭ないです。
あと恭華が世間知らずというかものすごく自己中してるので注意。


5、楽しみました。

 僕が並盛中学校の生徒になってから2週間くらいが経った。

 

 病院からもらったあの酸素のやつ(もう名前を忘れました☆)のおかげで体調は良好。

 

 今日も元気に女子中学生をやってます。

 

 髪については、京子ちゃんお墨付きの美容院で可愛く後ろで三つ編みにしてもらった。

 

 しかも編み込みもしてあるからめちゃくちゃ可愛い。

 

 自分で再現するのはちょっと大変だけど、美容師さんにやり方を教えてもらってるから頑張ってる。

 

 あの後、ちゃんとツナにも謝って、気づいたら仲良くなれて、そしたらツナくん呼びができるようになった。

 

 毎日が楽しくて、ツナと喋ったり京子ちゃんと喋ったり花ちゃんと喋ったりしてたら、まさかのツナと京子ちゃんの友達事案発生。

 

 ちょっとこれはどういうことかな。

 

 ツナと京子ちゃんは持田事件を経由しておかないとヤバいんでね?

 

 とは思いつつも楽しそうに話す2人を見て、どうしてその仲を引き裂けるだろうか。

 

 いやできない。

 

 原作だとツナの一方的な片想いみたくなってるけど、絶対に両想いでしょ!?

 

 見ろよあのツナのデレデレした顔!

 

 あんなの見せられて「2人はまだ出会う運命ではないので離れてください」とか言えますか!?

 

 無理でしょ!

 

 むしろ僕が2人の仲に嫉妬してるみたいになるじゃないですか違いますよ!

 

 僕は全力でツナ京推しですよ!!

 

 で、このとんでも事案が今後の展開にどう影響するかが一番の心配事なんですよね。

 

 ほら、ツナって京子ちゃんへの想いが原動力ってことが多いじゃないですか。

 

 ん? だとしたら仲良くても問題ないか。

 

 んー?

 

 ん、んー?

 

「はっ、そうだ」

 

「え、何?」

 

「みんなでツナくんの家に行けばいいんだ」

 

「どんな展開!?」

 

 そうだよもう一層の事ツナの家に行っちゃえよ全力で仲良くなっちゃえよセフセフ。

 

「な、何言ってんの恭華ちゃん!?」

 

「だって僕まだ友達の家に行ったことないんだもん」

 

「でもなんで俺の家なの!?」

 

「え、じゃあツナくんは京子ちゃんの家とか僕の家に来れるの?」

 

「……無理、だけど」

 

 ほらね臆病ダメツナ!

 

 君が女の子の家に上がれないことくらい僕にはお見通しなのさ!

 

 まぁ、普通に考えたら女の子の家に初めて行くのに嬉々として乗り込んでいったらほぼほぼ変態だけどね。

 

「ねえねえ京子ちゃんもいいよね!」

 

「えっ? えっと、沢田くんがいいなら」

 

「よし決まり!」

 

 花ちゃんは用事があるからってことで僕と京子ちゃんの2人でツナの家にお邪魔することにした。

 

 わーい奈々さんに会えるよみんな大好きママンに会えるよニヤニヤしちゃう。

 

 え、そんなこと言ってる僕の方が変態だって?

 

 処すぞ。

 

「えっとねー、16時に並中校門前に集合! あとはツナくんの案内でね」

 

「待って俺まだ許可してないんだけど!」

 

「え、ダメ?」

 

「ごめんね沢田くん、恭華ちゃんが勝手に決めちゃったりして。迷惑だったら断っても大丈夫だよ」

 

「アレおかしいな、京子ちゃんがオカンに見える」

 

「ぜっ全然メーワクじゃない! 大丈夫だよ!」

 

 京子ちゃんが絡むとチョロいなツナ。

 

「じゃあ16時ね」

 

 ばいばい、と手を振って帰り支度をする。

 

 いったん家に帰って着替えておかないと、制服のままほっつき歩いてたらいつ風紀委員に捕まるかわかったもんじゃないからね。

 

 そのための集合時間なのさ(キラッ☆)

 

 鞄を持って教室を出ようとしたところで腕をちょいちょいと引かれた。

 

「ちょっと恭華ちゃん、あんまり沢田くんのこと困らせちゃダメだよ」

 

「別に困らせてないよ?」

 

 困らせてないよ、うん。

 

 困らせてないよね。

 

「だって急に家に遊びに行くなんて、絶対困ってるよ」

 

「大丈夫だよ。きっと京子ちゃんが遊びに来るって喜んでるよ」

 

「ねえ恭華ちゃん」

 

「僕に任せといて!」

 

 それじゃあ16時ね、絶対だよ! って言って僕は急いだ。

 

 僕の家は学校からちょっと遠いから急がないと間に合わなくなっちゃう。

 

 酸素なんちゃら(名前わっかんね☆)のおかげでちょっと走ったくらいじゃ倒れたりしなくなったから急ぐくらいはできる。

 

 かるーくでも走れるってすごくいいことだよ。

 

 あ、新島先生のいる前で走るとめちゃくちゃ怒られるからバレない範囲でなんだけどね。

 

「ただいまー。ネロいるー?」

 

「あ、おかえり恭華。どうかしたの?」

 

 家に帰って呼んでみればすぐにネロが出迎えてくれた。

 

 なんだかよくわからないけど最近はお留守番を任されてくれるネロである。

 

「うんとね、今からツナの家に遊びに行ってくるの」

 

「あれ、モブになる的な意気込みしてなかったっけ」

 

「それはそれ、これはこれ。あとお願いがあるの。ネロってなんでも用意できるんだよね?」

 

「はい? まあ常識の範囲内ならね」

 

「じゃあ完全防音の部屋お願い! あと僕のコレクション!」

 

「はいぃぃ!?」

 

「あ、もう着替えて出かけなきゃ。ネロよろしくね!」

 

「ちょっと恭華ぁぁっ!!」

 

 制服をポポイと脱ぎ捨てて簡単なワンピースと上着を身につけて学校に向かう。

 

 急げ、急げ♪

 

 学校の校門が見えてくると、私服の京子ちゃんが立っているのを見つけた。

 

 京子ちゃんめっちゃ可愛い!

 

 まだこっちに気づいてないよね?

 

 よっしゃ今のうちに激写☆

 

 持っていたデジカメで数枚押さえた。

 

 ふふふ、眼福です。

 

「きょーこちゃーん!」

 

「恭華ちゃん!」

 

 そして何事も無かったように合流。

 

 え、盗撮? 犯罪?

 

 知らないね、僕はただ友達の可愛い姿を写真に収めただけさ。

 

「ツナくん来た?」

 

「ううん、まだだよ」

 

 まだ来てないのかー。

 

 さすが遅刻魔だねー。

 

 とか思ってたらちょうど今16時のチャイムが鳴った。

 

 ……ごめん、まだ時間ですらなかったね。

 

 ツナを待つ間が暇だったので京子ちゃんに好きな男子のタイプとか委員会が同じだという持田先輩のこととか質問攻めにしてみた。

 

 結果をまとめてみると、好きなタイプは優しくて面白い人、持田先輩は後輩誰にでも優しくしてくれる面倒見のいい先輩だということ。

 

 因みに持田先輩に恋愛感情は一切持ってないらしい。

 

 よかったねツナ、どう考えても脈アリだよ。

 

 ってそんなことは原作でもわかりきってる事か。

 

 そうして待つこと約20分、ようやくツナが現れた。

 

 大遅刻なんだけど全力ダッシュしてきたみたいだし許しませう。

 

「遅くなってごめんね。母さんに捕まってて……。あ、俺の家はこっちだから!」

 

 わあお、奈々さんに捕まってたのか。

 

 理由はなんとなく察せるし、これはさすがに仕方ないね。

 

 だって奈々さんだからね。

 

 ツナの案内で歩くこと数分、僕にとってはおなじみの沢田家が見えてきた。

 

 リボクラのみんなー!

 

 生の沢田家ですよー!

 

 めっちゃ普通ですよー!

 

 でもすごいですよー!

 

「いらっしゃい。ツー君のお友達ね。まあまあ女の子が2人もだなんてツナも隅に置けないわね」

 

「母さん出てこなくていいって言ったろ!?」

 

「お邪魔します」

 

「今日はよろしくお願いします、ツナくんのお母さん!」

 

「2人とも挨拶とかしなくていいから!」

 

 そんなこと言ったってね、人の家に行ったらその家族に挨拶するのは礼儀でしょ?

 

 僕の従姉妹とか先生だって毎回お母さんにこんにちわーって言ってたし漫画とかアニメでもいつもしてるよ。

 

 だから礼儀なんだよきっと。

 

「飲み物、ジュースしかないけど大丈夫?」

 

「あ、大丈夫ですよ」

 

「私も大丈夫です」

 

 リビングに通されて京子ちゃん2人、ちょこんと座る。

 

 わぁい、わぁい、落ち着かないな、嬉しいな。

 

「そう言えば恭華ちゃんってすごく人見知りなのかなって思ってたけど、全然違うんだね」

 

「どういうことかなツナくん」

 

「だってほら、転校してきた時の自己紹介とかさ」

 

 うわぁぁ、今となっては半分黒歴史。

 

「あれは、その、だって知らない人しかいないし、あんなにたくさんの人がいるところに立ったのは初めてだったし……」

 

「それですぐに友達を作っちゃう恭華ちゃんはすごいよ……」

 

「ツナくんだって友達たくさんいるじゃん。いつもいろんな人に声をかけてもらえていいなぁって思うもん」

 

「弄られてるだけだからそれ……」

 

 えーでもすごいよほんと。

 

 弄られるってことはそれだけ仲がいいってことでしょ。

 

「それに京子ちゃんは学校のアイドルだし」

 

「恭華ちゃんと花が勝手に言ってるだけでしょそれって」

 

「え、京子ちゃん知らないの? 先輩たちの間でも人気なんだよ」

 

「沢田くん、それって本当?」

 

「う、うん」

 

 廊下を歩く度にいろんな人にヒソヒソ噂されてたのに気づいてなかったんかーい!

 

 さすがは作品内随一の天然系ヒロイン。

 

 この様子だと実はファンクラブが存在してることも知らないんだろうな。

 

 うん、それはちょっと黙っておくとしよう。

 

 奈々さんが出してくれたオレンジジュースをストローでちょびちょび飲んでると視線を感じたのでそっちを見てみると、ツナがじっと僕の方を見ていた。

 

 思わず小首を傾げる。

 

「どうかした?」

 

「えっ? あ、ううん、恭華ちゃんの髪って大変そうだなって、前から思ってて」

 

「ただの三つ編みだよ?」

 

 まあ編み込みはしてあるし後ろで縛るから普通のおさげにするよりはずっと時間も手間もかかるけど。

 

「教えてくれた京子ちゃんに感謝だよぉ」

 

「私は何もしてないよ」

 

 いやいや、君が美容院を教えてくれなかったら僕は次の日あたりにでも雲雀さんに咬み殺されてるとこだったよ。

 

 だから結構感謝してるんですよ。

 

「というか、男の子でも髪が大変そうとか思うんだね〜」

 

「い、いや、なんというか、うちのクラスで縛ってるのって恭華ちゃんくらいだし、それに髪が長いから」

 

「ああそっか」

 

 言われてみれば確かに。

 

 あんまり気にしてなかったけど髪が長い人とか縛ってる人とかって少ないよね。

 

 原作キャラでもハルちゃんとかアーデルハイトとか、スクアーロ(?)とか、ホント少ない。

 

 なんでREBORNの女の子ってみんな髪が短いんだろう?

 

 天野先生の趣味なのかな。

 

 スクアーロなんてうざったいくらいに長いのに。

 

 よくよく考えたらその中にまじる長髪な上に三つ編みの僕って実は目立ってる!?

 

 モブのくせに目立ってる!?

 

 ※既にモブではない上にツナや京子と友達な時点でかなり目立ってます。

 

「そう言えばさ、なんで俺の家に遊びに来ようなんていいだしたの?」

 

「んーとね、おうちに遊びに行くともっと仲良くなれるっていうでしょ。仲良くなったら、なかなか言えないことも言いやすくなるかなって思ったの。特にツナくん」

 

「お、俺!?」

 

「最近のツナくんは言いたいことがあるのに言えないって顔してるよ」

 

 直訳すると、どうせだったらリボーンが来る前に告ってしまえそしてツナ京ルートだやっほい、ということなのだ。

 

 ほれほれ、今のうちに告白しておけばパンツ一丁の告白だけは回避できるぞい。

 

「いっ言えるわけない! 言うわけない!」

 

「恭華ちゃん! 困らせちゃダメだよ!」

 

 うわーん京子ママに怒られた。

 

 京子ママが怖いよー。

 

 てか言わないのかよツナさんや。

 

 せっかく京子ちゃんがこんなにも近くにいるっていうのにさ。

 

 ぷんすかだよ僕。

 

 リボーンが来るまで待つしかないだなんて酷いじゃないか。

 

 原作が始まったら僕はツナと京子ちゃんの絡みを見る機会が少なくなる(予定)なんだから。

 

「恭華ちゃんってよく何を考えてるかわからなくなるよね」

 

「何を言うのさツナくん。こんなにも分かりやすく生きてるじゃないか」

 

「なんかすごく楽しそうだなってことしかわからないよ」

 

「お母さんに『わかり易すぎて社会で生きていけない』と言わせるほどにわかりやすいというのに!?」

 

「お母さん特殊すぎない!?」

 

 そんなことはないはず。

 

 だって僕のお母さんはよく笑う人だったし表情がコロコロ変わる人だったしなんだったらハルちゃんよりもわかりやすい人だったよ!?

 

 そんなお母さんに言われたんだから僕はめちゃくちゃわかりやすい人間のはずなんだよ!?

 

「ツー君、そろそろ暗くなるけどお友達は大丈夫なの?」

 

 不意に奈々さんがひょっこり顔を出してそんなことを言ってきた。

 

「えっ? あ、本当だもうこんな時間!」

 

 外を見れば夕焼けから夜にシフトチェンジしようとしている空が目に映る。

 

 時計の針を見てもいい時間だ。

 

 気づいてないだけでもう何時間も経っちゃってたんだね。

 

 引きこもりをしてた頃なんて漫画読んだりDVD見たりしてるだけだったから知らなかったけど、誰かと話してるだけでも時間の経過は早いんだね。

 

「大変! お兄ちゃんに暗くなる前に帰るって約束しちゃった!」

 

「京子ちゃんってお兄ちゃんがいるんだね」

 

「うん、じゃあ沢田くん、お邪魔しました」

 

 パタパタと帰っていく京子ちゃんを見ながら残っていたジュースを飲み干した。

 

「よし、僕も帰るか」

 

 別に一人暮らしな僕は帰っても誰かが待ってるわけじゃ……あ、ネロがいた。

 

 うーん、お腹空かせて待ってたりするのかなあ。

 

 だとしたら早く帰ってあげないと。

 

「ツナくん、今日はありがとう。また明日ね」

 

 リビングの外にいた奈々さんにもお礼を言って僕は沢田家を出た。

 

 うーん、この家も見納めかな。

 

 そろそろリボーンが来る時期になるだろうし、そしたらもう来ることもないだろう。

 

 しっかりと目に焼き付けておかなきゃ。

 

 あ、写真撮っておこ。


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