ブラック・ブレイド~黒の大剣~   作:ソヨカゼ

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アニメのブラック・ブレットが盛り上がってきました!

さて、そんなわけで二話目を投稿です!
ぶっちゃけそんなに進みませんがどうぞ!!


EpisodeⅡ 道化師との邂逅

「んで、こりぁどういう事だ三ヶ島さん?」

 

「私に聞くな。こっちだって混乱してるんだ」

 

将監と夏世、三ヶ島は現在、政府のお偉いさんによばれて防衛省に来ていた。

ビル倒壊やその他諸々でよばれたのではないかと内心ヒヤヒヤした将監だが、いざ来てみればそれ以上の驚きが待っていた。

そう、よばれた民警会社は『三ヶ島ロイヤルガーター』だけではなかったのだ。

 

「どうだ夏世」

 

「……間違いありません。有名どころを中心に東京エリアの民警会社がほとんど集まっています」

 

 

 

 

 

突然だが、千寿夏世はモデル・ドルフィンのイニシエーターだ。

つまり、『イルカ』の因子をもっている。

そしてイルカという動物は、一般的にとても頭の良い動物として知られているだろう。

つまり何が言いたいのかというと、夏世は頭が良い。

数値に直すなら『IQ210』はあるらしい。

そんな夏世の頭脳をもってすれば、東京エリア中の民警会社を覚えるなど雑作もない事なのだ。

 

 

 

 

 

さて、話を戻そう。

なぜ自分達はここによばれたのか。

それはここにいる全員が共感できる疑問だろう。

いや、現実をそのまま受け入れるなら、ここまでの人材を必要とするくらい大きな仕事があるということなのだろう。

将監が無い頭を捻っていると、自分達も通った大きな扉がゆっくりと開く。

今度はどんな大物が来たのかと見てみると、入ってきたのは高校生くらいの若い男女だった。

それを見て、将監は思わず舌打ちをする。

 

「おいおい、最近の民警の質はどうなってんだよ。ガキまで民警ごっこかよ」

 

無意識の呟きは、どうやら等の彼らに聞こえてしまったらしい。

男の方が女を庇うように前に出る。

 

「アンタ何者だよ、用があるならまず名乗れよ」

 

「チッ、何が『まず名乗れよ』だ。ガキはとっとと回れ右して帰れや」

 

「なッ、俺だって民警だ!それに、年で実力が決まるわけじゃねぇだろ!」

 

「ムカツクなテメェ、なら今ここで試すか?」

 

将監はそう言い放つと、背に担いだ大剣の柄にそっと触れる。

その動作に一瞬遅れて、少年も拳銃を取り出した。

顔を見ると玉の汗を浮かべていることから、実力差はきちんと理解しているらしい。

―――――束の間の沈黙。

先に動いたのは、将監……ではなく、将監のイニシエーターである夏世だった。

 

「……てい」

 

「ガッ!?って、何すんだ夏世!!」

 

可愛い掛け声と共に放たれた飛び蹴りは角度タイミング共に最適、改心の一撃といっても良いだろう。

そんな一撃を食らった将監はというと、涙目になりながらそれを実行した犯人を睨み付ける。

 

「今のはどう考えても将監さんが悪いです。そんなのだから周りから脳筋脳筋言われるんですよ?」

 

「いや言われねーよ!?つか言ってるのはお前だけだろ!?」

 

「いえいえ、皆そう思ってますよ。ただ言わないだけです。『将監さん=脳筋』なんて地球が青いのと同じくらい常識じゃないですか?」

 

「初めて知ったはそんな常識!!……てか、マジなのか?あいつらマジでそんな風に思ってたのか?」

 

軽くへこんだ将監を尻目に、夏世は先ほどの少年少女に向き直る。

すると、ペコリとお辞儀をした。

 

「先ほどはすみません。私は将監さんのイニシエーターで千寿夏世と言います」

 

「え?あ、あぁ。お、俺は里見(さとみ)蓮太郎(れんたろう)だ。で、こっちが」

 

天童(てんどう)木更(きさら)よ。えと、よろしく」

 

「はい。将監さんの口が悪いのは仕方がないことなので、どうか許してください。ちなみに将監さんの言葉を代弁すると『ガキは黙って大人に守られてりゃ良いんだよ』的なことを言いたかったんだと思います」

 

それでは失礼します、と夏世は将監を引っ張りながら元の場所に戻る。

それを二人は唖然と見送る事しかできなかった。

 

「……なんだったんだ?」

 

「さぁ?でも将監って呼ばれてたから、たぶん伊熊将監よ。『IP序列』は1584位」

 

「千番台か……」

 

もしもあのまま戦っていたら、序列十二万台の自分に勝機があったのだろうかと蓮太郎は考えたが、どう考えても無理だ。

何せ睨まれただけであの様だ。

まともに戦ったら瞬殺されていただろう。

 

「それに彼、一時的に序列五百位まで上げたこともあるくらいだし、今の里見くんじゃどうやっても勝てなかったわね」

 

「……マジかよ」

 

騒ぎも一段落し、木更が席に着くとそれを見計らったかのように禿頭の人間が部屋に入ってくる。

どうやら、ようやく話が進むようだ。

自らの場所に戻った将監は、一瞬だけ身構える。

 

「本日集まってもらったのは他でもない、諸君等民警に依頼がある。依頼は政府からのものと思ってもらって構わない」

 

「『政府』からのだと?」

 

いくら脳筋な将監でも、この依頼のヤバさくらいはわかる。

政府がここまでの戦力を必要とするということは、かなり危険な依頼と思って構わないだろう。

 

「本件の依頼内容を説明する前に、依頼を辞退する者はすみやかに席を立ち退席してもらいたい。依頼を聞いた場合、もう断ることが出来ないことを先に言っておく」

 

将監が周りを見渡すと、案の定立ち上がるものは一人もいなかった。

欠席と思われる一つの座席以外が空くことはなかったのだ。

 

「よろしい、では辞退はなしということで。説明はこの方に行ってもらう」

 

禿頭の男が身を引くと、突如背後の奥の特大パネルに一人の少女が大写しになる。

 

『ごきげんよう、みなさん』

 

少女が口を開いた瞬間、椅子に座っていた社長格の人間が一斉に立ち上がった。

雪を被ったような純白の服装と銀髪、現在の東京エリアの統治者―――聖天子。

 

「……待て、将監」

 

「……んだよ、三ヶ島さん」

 

他のプロモーターたちが驚きで立ち尽くしている中、将監は踵を返し入ってきたドアへと向けて歩き出していた。

すると、禿頭の男も気づいたのか慌てたように叫び出す。

 

「貴様、依頼を聞いた後は断れないと言ったはずだぞ!さっさと元の場所に戻れ!!」

 

「うっせぇぞハゲ。俺はまだ依頼内容を聞いてねぇだろ。それに、これはあいつとの『契約』だ。俺は聖天子の依頼は受けねぇ」

 

「ハッ……貴様、なんと言う口の聞き方だ!!」

 

一発触発の空気。

しかし、それを破ったのは他でもない件の聖天子だった。

 

『待ってください。将監さんの仰っている事は事実です』

 

将監の存在を確認して僅かに目を伏せる聖天子だが、すぐに凛とした佇まいへと直って禿頭の男を見る。

男はそれでも「し、しかし」と反論したが、国家元首の眼力を前にして怯んでしまった。

 

『私は、本来ならこうして貴方の前に顔を出せないくらいの事をしました。例えそれが不慮の事故だったとしても、私の罪に変わりはありません。しかし、今はどうか私の……いえ、東京エリアの為にこの依頼を受けてはもらえないでしょうか?』

 

聖天子は真っ直ぐに将監を見ながらそう言った。

しかし、その言葉に帰ってきたのは将監の冷めた舌打ちだった。

それでもなお説得しようと聖天子が口を開きかけたその時、突如部屋中に響き渡るほどのけたたましい笑い声が響き渡った。

声の主は、先ほどまで空席だった社長席にいた。

仮面、シルクハットに燕尾服の怪人。

その様は、まるで道化師(ピエロ)

 

「誰だテメェは」

 

「おっと、これは失礼。端的に言うと私は君たちの敵だ」

 

ニヤリと、将監は道化師の仮面の下の素顔が一瞬だけ歪んで見えた。




《メモ》
・将監は脳筋
・脳筋のくせに以外と頭が回る?
・夏世ちゃんはやや毒舌気味?
・聖天子様と何かあった
・序列元五百位

更新速度は基本的に遅めなので、首を長くして待っていてもらえると嬉しいです!
それではまた次回!

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