桜才学園での生活   作:猫林13世

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早くも堕落しているのが一名……


夏休み突入

 夏休みに入ったが、生徒会の業務は沢山ある。したがって休みだろうが学校に行く必要があるのだ。

 

「あれ? 夏休みなのに何でタカ兄は制服を着てるの?」

 

「生徒会の業務だ」

 

「朝早くから大変だね~」

 

「そういうコトミだって朝早いじゃないか」

 

 

 コイツが休みの日のこんな時間から起きてるなんて思わなかった。

 

「私は今から寝るの」

 

「早くも堕落してるな……ん? そういえばお前、補習じゃなかったっけ?」

 

 

 期末試験の成績が振るわず、補習か否かのラインスレスレだと聞いていたんだが……

 

「私は何とかセーフだったんだけど、トッキーがね……まさか名前を書き忘れるなんてミスを目の前で見る事になるなんて思わなかったよ~」

 

「……それってドジで済ませて良いのか?」

 

 

 回収の際に試験官が確認すると思うんだけど、あえて言わなかったのだろうか。まぁその事を気にして遅刻してもバカらしいからな。堕落した妹は放っておいて出かけるとするか。

 

「あっ、昼飯は自分で何とかしろよ」

 

「えぇー! タカ兄、何時に帰ってくるの?」

 

「知らん。とりあえず夕方までには終わるだろうがな」

 

 

 コトミに昼食代を渡して家を出る。本当は自分の金で何とかさせたいのだが、相変わらずの金遣いの酷さなのだ。

 コトミの生活に不安を感じながらも、俺は学校にやってきた。アイツは宿題とか計画的にやるのだろうか……

 

「やぁ、津田」

 

「おはようございます、会長」

 

 

 校門で会長と合流し校舎内へと入っていく。夏休みだけあって人の気配はまるでなかった。

 

「ここでなら、裸になってもバレ無いだろうな」

 

「まず裸になるな」

 

「ふっ、分かってるさ。露出プレイは、見られるか如何かのギリギリを楽しむんだもんな!」

 

「そうじゃねぇよ……」

 

 

 ツッコミを入れたのにボケ続ける会長に呆れ、俺は先に生徒会室へと向かう。すると後ろから慌てた会長が早足で追いかけてきた。

 

「あら、天草会長に津田副会長」

 

「五十嵐、お前も来てたんだな」

 

「ええ、人気のない校舎でふしだらな事をする生徒かいないかどうかを見張らなければいけませんし」

 

「せっかくの休みに学校に来てまでふしだらな事をしようなんて考える生徒はいないと思いますが」

 

「そうだな。つまりそんな事を考えてしまう五十嵐の頭がふしだらだと言う事だな」

 

 

 うんうんと頷く会長を見て、五十嵐さんが慌てたように言い訳を始める。だがそれに付き合ってる暇は無いので会長に全て任せて先に生徒会室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田が先に行ってしまったので、私は五十嵐の相手をする事にした。

 

「そもそも、補習以外で学園に来ている男子は津田だけだ。つまりふしだらな事をしでかすとしたら津田と誰かだと言う事になる。お前は津田に一日中張り付いてるつもりなのか?」

 

「津田君に、一日中……ッ!?」

 

 

 何を想像したのか、五十嵐のヤツがいきなり真っ赤に染まった。やはりコイツはムッツリだな。

 

「じゃあ私も忙しいのでそろそろ行くぞ。お前も心配ごとが無くなったのなら帰るんだな。用の無い生徒は学園に来てはならんからな」

 

 

 五十嵐に忠告だけして、私は生徒会室へとやって来た。

 

「暑いわねぇ~、海でも行って涼みたいわ」

 

「海と言えば、水着ですね」

 

 

 生徒会室に入るなり、アリアと萩村がそんな話をしていた。

 

「水着と言えば、お尻だな」

 

 

 ここで胸と言わないのは、私が貧乳だからとかではないぞ! 断じて! 絶対に!

 

「お尻と言えば、浣腸だね」

 

「無いよ。それは無い無い無い無い!」

 

 

 連想ゲームの最後は、津田のツッコミだった。しかし私たちも相変わらずのやり取りしかしてないな……

 

「では、早速見回りに行くぞ!」

 

 

 生徒会メンバーを引き連れて、私は校内の見回りに出る。休みだからといって校内に人がいない訳ではないのだからな。

 

「あれ? この教室、誰かいますね」

 

「補習だろ。時さんや柳本がそうだって聞いたし」

 

 

 なんだ、津田以外にも男子がいるのか……五十嵐がふしだらな事を考えるのも無理は無かったな。

 

「では、静かに進もう」

 

 

 補習の邪魔になったら悪いので、私たちは静かに、そして早足で教室の前を過ぎ去るはずだったのだが……

 

 クチュクチュ

 

「誰だ! 下着を濡らしてるのは」

 

「ごめんなさい!」

 

 

 アリアが下着を濡らしていて、その音が気になり大声で問い詰めてしまった。てか、アリアが下着を穿いてるなんて珍しい事もあるものだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午前中で生徒会の仕事は終わったのだが、午後からはバイトのシフトが入っているのだ。俺は制服のままバイト先にやってきた。

 

「おはようございます」

 

「おや? 津田さん、何故制服で?」

 

「午前中は生徒会の業務で学校に行ってたので」

 

 

 ちょうど休憩中だった魚見さんに軽く説明をして、俺は学園の制服から仕事用のユニフォームへと着替える。もちろん更衣室に移動してだ。

 

「夏休みだけあって、今日はなかなか混んでますよ」

 

「そうですか。ところで、魚見さんはこの後も?」

 

「ええ。人手不足は相変わらずですので」

 

 

 今年受験生の魚見さんが、こんな時期までバイトしてて良いのか、とか色々思うけど、本人が気にしてなさそうなので俺が気にしてもしょうがないだろうな。

 

「いらっしゃいま……何だ、コトミか」

 

「タカ兄? 生徒会の仕事じゃなかったの?」

 

「そっちは終わった。だけどバイトがあるから夕方くらいになるって言ったんだよ」

 

「そうなんだ~。よかったね、マキ」

 

 

 如何やらコトミは一人ではなく、八月一日さんも一緒のようだった。よく見れば時さんもいる。補習は午前中で終わったのだろう。

 

「タカ兄に会えないってさっき愚痴ってたもんね~」

 

「アンタは余計な事言うな!」

 

「……ご注文、お伺いしても?」

 

 

 レジ前で騒がれると迷惑なので、俺はさっさと流す事にした。時さんの同情的な視線が、今はすっごくありがたいと感じたのだった。




なんか森さんがカナヅチだって情報を入手……てかマガジンで読んだんですが。使えるかもしれない……

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