桜才学園での生活   作:猫林13世

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なんてもの持ってるんだ……


困った解決策

 今日の体育は水泳ということで、私は制服の下に水着を着て登校してきた。

 

「シノちゃん、準備万端だね」

 

「せっかくのプールだからな!」

 

 

 まるで子供のようにプールの授業を楽しみにしていたようにも聞こえるが、実際楽しみにしていたのだから言い訳は必要ないだろう。

 

「でも下着を着けずに来たんでしょ? 違和感なかった?」

 

「違和感を覚えるほど胸なんてないわ!」

 

「そういうことを言ってるんじゃないよ~。でも、ちゃんと着替えは持ってきてるの?」

 

「当たり前だ! そんなへまはしないぞ!」

 

 

 自信満々に私は着替えようのパンツを取り出す。

 

「あっ、これシュシュだ……」

 

「一見似てるもんね~」

 

「どうしたものか……」

 

 

 昔のアリアならノーパンでも問題なく過ごせただろうから、アリアのパンツを借りようかとも思ったが、そんなことしたら二人ともタカトシに怒られるではないか……

 

「予備のパンツで良ければ私持ってるよ~」

 

「本当か! なら後で貸してくれ!」

 

 

 この際パンツなら何でもいい。私はアリアが言う『予備』がどういうものか深く考えずに頼み込んだ。

 

「分かった~。後で生徒会室に持っていくから、シノちゃんはとりあえずそこで待ってて~」

 

「すまないな」

 

 

 いくら女子だけ教室とはいえ、ノーパンでいるところを不特定多数に見られたくない。アリアの気遣いに感謝しつつ、私はとりあえずプールの授業を楽しんだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シノちゃんがパンツを忘れたので、私は出島さんから貰ったパンツをシノちゃんの為に生徒会室へ運ぶ。

 

「お待たせ~」

 

「ありがとう。ノーパンってスースーして落ち着かないんだよな」

 

「以前はそれが気持ちよかったけどね~」

 

 

 最近ではちゃんと穿いていることが多いので、ノーパンで過ごすと落ち着かなくなってしまった。これが普通なんだろうけども、なんだかちょっと寂しい気分になってしまうんだよね。

 

「はいこれ」

 

「な、なんでこのパンツには尻尾が生えてるんだ?」

 

「ケモ尻尾パンツだよ~」

 

「パンツなら何でもいいとは思っていたが、さすがにこれは……」

 

 

 不満を言いつつシノちゃんはケモ尻尾パンツを穿く。スカートを穿いているとイマイチケモ尻尾が目立たないけど、これはこれでありなのかもしれない。

 

「会長、それはいったい……」

 

「萩村……」

 

 

 昼休みに話し合う為に生徒会室集合だということを思い出したシノちゃんは、スズちゃんに事情を話す。

 

「――というわけだ」

 

「なるほど。尻尾をしまってみては如何でしょう?」

 

「なるほど」

 

 

 スズちゃんのアドバイスを受けて、シノちゃんは外に出ている尻尾を中にしまい込む。

 

「なんだか漏らしたみたいに見えないか?」

 

「それ以前に座りにくそうですね」

 

「そういえばタカトシはどうした?」

 

 

 集合時間にはまだ余裕があるとはいえ、タカトシ君が来ていないことは確かに気になる。スズちゃんとタカトシ君は同じクラスだから、一緒に来るものだと思っていたんだけどな。

 

「タカトシなら女子更衣室に監視カメラを仕掛けていた畑さんへの取り調べを、五十嵐先輩と二人で行うから遅れるって言ってました」

 

「またあいつか!」

 

「事前の見回りで先生が発見したおかげで映像はありませんでしたが、それなりに厳しい罰が下るのは間違いないでしょうね」

 

「この時期に停学処分を喰らったら、受験に影響するだろうな」

 

 

 忘れがちだけども私たちは受験生なのだ。停学処分なんて出されたら、畑さんの進路は厳しいものになるんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカトシ君も交えてこってり絞ったおかげで、畑さんはしっかりと反省してくれたようだ。学校からの処分は三日間の停学、そして反省文の提出だけだった。

 

「随分と軽い処分だと思わない?」

 

「まぁ、この時期の停学は致命的になりかねませんから、学校側もそういった配慮をしたのではないですかね」

 

「なるほど」

 

 

 確かに三年生にもなって停学処分が下される生徒なんて、大学側もできるなら受け入れたくないだろう。それが長期間なら尚更だ。

 

「とりあえず会長には報告した方がいいでしょうね」

 

「この後生徒会室に行くので、俺から報告しておきますよ」

 

「いえ、これは風紀委員の管轄ですから、私から報告します」

 

 

 風紀委員長として、報告くらいはしっかりしておきたいので、私はタカトシ君と一緒に生徒会室へ向かう。タカトシ君個人ならもう少し早く到着できたのだろうけど、彼は私の歩幅に合わせてくれていたので少し時間がかかってしまった。

 

「遅れました」

 

「天草会長、畑さんの件でご報告が――」

 

 

 生徒会室に入ると、お尻の辺りが膨らんだ天草会長が目に入り、私は言葉を失ってしまう。

 

「何をしてるんですか!?」

 

「じ、実はな――」

 

 

 天草さんを問い詰めて事情を聞くと、プールの授業の為に水着を下に着てきて、下着を忘れたということだった。そこで七条さんにパンツを借りたのはよかったが、特殊なパンツだった為にこのような状況になっているとのこと。

 

「困りましたね」

 

「あぁ、困ってるんだ……」

 

「シノ会長、体操着は持ってないんですか?」

 

「……あぁ!」

 

「もう少し早く気付けば良かったのにね~」

 

 

 タカトシ君があっさりと解決策を授けてくれたので、天草さんは七条さんに頼んで教室に体操着を取りに行ってもらうことに。その間に私は畑さんの件を天草さんに報告し、生徒会室を辞すのだった。




やっぱり最後はタカトシ

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