桜才学園での生活   作:猫林13世

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まぁ腹痛になるのも分からなくはない


腹痛の原因は…

 生徒会室で作業していたら、会長がいきなり津田の方を向いた。

 

「何です?」

 

「アレ、用意してくれたか?」

 

「アレ? あぁはい。これですよね」

 

 

 一瞬何の事か分かってなかったようだが、津田は瞬時に理解して会長に手渡した。その反応に会長は満足そうに頷いてた。

 

「さすが津田だな。次期生徒会長と言われてるだけはある」

 

「会長の後任ってのはハードル高いですけどね」

 

 

 確かに会長は支持率が98%という驚異的な数値をたたき出してるからね。まぁ理由は酷いものだったけど……

 

「何言っている。ハードルが高いとお股が擦れてアレな気分になるが、今はそんな話しはしていないぞ!」

 

「あれ? 急に低くなったぞ……」

 

 

 まぁこの下ネタ発言を全校生徒の前でやらせれば支持率も下がるかもね……でも三年生は全員知ってるようだし、二年生でも結構知れ渡ってるんだっけ? それでもあの支持率って事はよっぽど他の人は会長職をやりたく無いのかしら。

 

「大体何で俺なんですか? 会長の後任なら萩村の方が相応しいと思うんですけど」

 

「……私は遠慮するわ」

 

 

 私が少し悔しげにそう言うと、七条先輩が不思議そうに私の顔を覗きこんできた。

 

「如何してスズちゃんじゃ駄目なの?」

 

「私が壇上に立つ訳にはいきませんから」

 

「ん~?」

 

 

 ここまで言っても七条先輩は分かってくれなかった……津田は何となく理解して気まずい顔してるし、会長は分かってて言うつもりは無さそうだし……

 

「私が壇上に立っても見えませんから……」

 

「そっか! スズちゃんじゃ隠れちゃうもんね」

 

 

 喧嘩売ってるのなら買いますよという意思を込めた視線を七条先輩に向けたけども、それに気付いた津田が私と七条先輩の間に移動してその視線を遮った。

 

「では君に生徒会長としての極意を伝授しよう。生徒会長たるものみんなの手本とならなければならない。特に重要なのは生活態度!」

 

 

 そこで会長は一旦言葉を区切って津田の肩に手を置いた。

 

「だからこれからもしっかりと童貞を守ってくれ」

 

「何でその流れになるんですか……」

 

 

 呆れた津田が会長の手を払って何処かに行ってしまった……おなか押さえてたからトイレかしらね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 別におかしな物を食べた訳でも無いのに、どうも腹の調子が良く無い。さっきの会長の話しを聞いて胃がおかしくなったのか?

 

「津田君、大丈夫?」

 

「七条先輩」

 

 

 まさか付いてきたんじゃないだろうな……さっきまで生徒会室に居たのに。

 

「皮、ファスナーに挟んだの?」

 

「は?」

 

 

 良く分からない七条先輩のボケはスルーして生徒会室に戻ったけども、すぐにまたトイレへと舞い戻った。やっぱりおかしな物でも食ったのかな……

 

「短時間で二回目とは……」

 

「津田ー無事か?」

 

 

 今度は会長が出待ちしていた……抜けてる俺が言うのもなんですが、今日結構忙しいですよね? こんな所で油売ってて良いんですか?

 

「赤チン塗るか? チンだけに」

 

「ねぇ、アンタたち打ち合わせしてるの?」

 

 

 さっき戻った時に七条先輩が教えてる様子は無かった。むしろそんな事を共有する必要性はないんだから当たり前なんだが……

 

「とりあえず大丈夫ですので作業に戻りましょう」

 

「今生徒会室は畑が使っててな」

 

「畑さんが?」

 

 

 生徒会室とは原則関係者以外立ち入り禁止であり、各部活動の要請などは部長が来て生徒会に提出するのだが……でも会長は今『使ってる』って言ったよな? てことは要請などでは無いと言うことになる。

 

「いったい何をしてるんですか?」

 

「トッキーにインタビューをしている」

 

「……即刻たたき出せ」

 

 

 下校時間に仕事が終わるか微妙なのに、何でそんな事に生徒会室を明け渡すんだこの人は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼下がりに生徒会室でのんびりしていたらシノちゃんがりんごの皮をむき出した。ちなみにこれはスズちゃんの差し入れだ。

 

「会長、皮むき上手ですね」

 

「そうか? なら君の皮もむいてやろう」

 

「じゃあお願いします」

 

 

 まさか何気無い会話にこんな事を紛れさせるなんて、シノちゃんもなかなかのレベルね。

 

「どうかしたんですか?」

 

「今のシノちゃんのセリフ、偶然録音したんだけど、使う?」

 

「消しなさい」

 

 

 津田君に怒られて渋々消したけども、これが畑さんならスクープだとか騒ぎ出したんだろうな。

 

「コーヒー淹れたわよ」

 

「ありがとう」

 

「津田は何入れる?」

 

「いや、俺は何も」

 

「あら、ブラック?」   

 

 

 スズちゃんが差し出したミルクと砂糖を断ってそのまま飲み始める津田君。この間胃の調子が悪そうだったけども、ブラックコーヒーなんて飲んで大丈夫なのかしら?

 

「それじゃあ君のミルク、私にくれないか?」

 

「良いですよ」

 

 

 またしてもシノちゃんが巧みに日常会話に下ネタを紛れさせていた。これはもう狙ってるとしか思えないわよね。

 

「ねぇ津田君」

 

「はい?」

 

「今のシノちゃんのセリフ、偶然……」

 

「もう必然だろ。さっさと消して下さい」

 

 

 津田君に鋭い視線を向けられてちょっぴり濡れてしまった。まぁ下着穿いてないから問題は無いけどね。

 

「アリア、足に何かがつたってるぞ?」

 

「津田君に睨まれてちょっと興奮しちゃったんだよ」

 

「そうか……パンツは穿け?」

 

「えーでもー」

 

 

 シノちゃんとパンツ談議をしていると、スズちゃんが津田君に視線を向けた。そしてスズちゃんに視線を向けられた津田君は呆れた顔をしていた。いったい何に呆れてるんだろう?

 

「悪いけど俺はちょっと席を外させてもらいますね」

 

「こら津田! 逃げるなんてズルイわよ!」

 

「偶には萩村が処理すれば良いだろ」

 

「それが出来るなら苦労しないわよ……」

 

 

 スズちゃんがションボリしちゃったけども、津田君は気にせずに何処かに行ってしまった。

 

「何処行ったんだろうね?」

 

「風紀委員会本部じゃないか? この間津田のクラスメイトが必要ないものを持ち込んでたから」

 

「ん~?」

 

「かなり興奮したがな!」

 

「そうなんだー。私も見たかったなー」

 

 

 津田君のクラスメイトの趣味を知ってもしょうがないけども、シノちゃんが興奮するって事は結構なものなんだろうし、私も興味あるかも。

 その後その話しで盛り上がってるとスズちゃんも何処かに行ってしまった。生徒会室を出ていく時おなかを押さえてたけど、何か変なもの食べたのかしら?




タカトシの周りには問題児が多いですからね……

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