桜才学園での生活   作:猫林13世

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そこまで古くないかも


古いアルバム

 タカトシが生徒会室を掃除していると、古いアルバムが出てきた。

 

「それ、何時の?」

 

「少なくとも俺が生徒会に入ってからではないだろ」

 

「ということは、以前の生徒会の?」

 

「かもな」

 

 

 そう言いながらタカトシはアルバムを開く。別に怖いものが写っているわけではないので不思議ではないのだが、何のためらいも無く開くとは……

 

「これ、古谷さんが生徒会長の時の記録っぽいな」

 

「古谷さんの?」

 

 

 タカトシが確認して安全だったので、私もアルバムを覗き込む。決して怖かったわけではないのだが、堂々と覗き込むのにはちょっと抵抗があったのだ。決して怖かったわけではない。

 

「あっ、天草会長と七条先輩が一年の時の写真だ」

 

 

 古谷さんが生徒会長だったのだから当たり前なのだが、会長と七条先輩は生徒会に入ったばかり。というか、高校に入学したばかりというわけだ。

 

「何を見てるんだ?」

 

 

 そこに会長たちが見回りから戻ってきた。

 

「会長の写真を見てたんですよ」

 

「また畑が余計なものを撮って没収したのか?」

 

「いえ、昔のアルバムが出てきましたので、その確認をしていました」

 

 

 そう言ってタカトシはアルバムを会長に手渡す。確認が済んで興味を失ったのだろう。タカトシは残っている掃除と書類整理へと意識を向けてしまう。

 

「おっ、私たちが入学直後の写真か」

 

「制服がぶかぶかだね~」

 

 

 会長と七条先輩が懐かしみながらページをめくっていくと、会長の手が止まる。

 

「会長?」

 

 

 いったいどうしたのかと小声で確認すると、会長の視線が七条先輩の胸の辺りに向けられている。

 

「(どうしたんですか?)」

 

「(入学直後はそうでもなかったのに、半年で胸回りがキツキツになっている……当時は気にしなかったが、こうしてみると凄い成長速度だなって……)」

 

「(えっ、あっ……)」

 

 

 確かに入学直後には目立っていなかった七条先輩の胸が、文化祭の時の写真でははっきりと目立つようになっている。つまりその半年足らずの間にこれだけ成長したというわけ……隣に写っている会長の胸は変化が見られない。

 

「シノちゃん? スズちゃんもどうしたの?」

 

「何でもない……ただちょっと、どうしてそのスピードが私には無いのか気になっただけだ」

 

「?」

 

「会長、そもそものポテンシャルが違うのかもしれません……私も、入学して全然伸びてませんし……」

 

「ポテンシャルか……残酷な言葉だな」

 

 

 何でも持っている七条先輩にはあって、我々には無い。それを叩きつけられたような気がして、私たちはもう一度写真を睨みつけてから同時にため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえずこのアルバムの持ち主はOGである三人の誰かなので、私は全員に電話をして確認してもらう事にした。決して手許に残しておくと精神的によろしくないとか、そう言った理由ではない。

 

「昔のアルバムが出てきたって?」

 

 

 まず最初に到着したのは古谷先輩。この人は機械に弱いから、写真を残している感じはしなかったのだが一応呼んだのだ。

 

「いや~若いなー」

 

 

 写真を見ながらしみじみと呟く古谷先輩。だが写真の中には漬物と昆布茶が写っている。古谷先輩単体で見れば若いのかもしれないが、結構年季が入ってる雰囲気が写真からは感じ取れる。

 

「懐かしいものが出てきたって?」

 

「北山先輩」

 

 

 次にやってきたのは北山先輩。この人は今読モとかで活躍しているから、当時から写真を撮っていた可能性がある。一番このアルバムの持ち主っぽい。

 

「そういえばこんな時期もあったな」

 

「北山先輩、当時とかなり雰囲気変わりましたよね」

 

 

 写真の中の北山先輩は、黒髪にメガネと、お堅い風紀委員長みたいな雰囲気をしている。今と比べてかなり変わっているのはこの人かもしれないな。

 

「当時はお堅い生徒会役員がベットの上で乱れるギャップを狙ってたんだけど、機会が無くてさ」

 

「そうだったんですね」

 

 

 そう言えば当時からこの人の発言は中々酷いものだった気がする。見た目とのギャップは凄かったのだが、生徒会室以外では真面目だったようで、そんな裏話はしらなかった。

 

「サチコもカヤも初々しいね」

 

「南野先輩」

 

「ナツキも初々しいんじゃない?」

 

 

 古谷先輩がそう言いながら南野先輩の写真を指差すと、不自然なガニ股姿の写真があった。

 

「この時は諸事情でお股が痛くてね」

 

「初々しさを卒業したわけですか」

 

 

 赤ん坊を抱っこしながらそんなことを言われてはツッコミ難い。いや、私はツッコミ側の人間ではないが、OGにツッコミを入れるのに萩村は抵抗があるようだし、タカトシは我関せずを貫き通している。だから私がツッコミを入れるしかないのだ。

 

「せっかくだから現生徒会の写真を撮っておくか?」

 

「以前ブログ用に撮ってもらったやつが畑のPCにあるはずですから、それを貰ってきましょうか?」

 

「いやいや、カメラならここにあるんだし、今撮ろうぜ」

 

「ほら、並んで」

 

 

 先輩たちに流されるように写真撮影をすることになったのだが、タカトシは何処か不満顔。

 

「堅いな……カヤ、ちょっとリラックスさせてよ」

 

「じゃあ私が無様エロの神髄を――」

 

「ふざけるのなら付き合ってられませんね。俺はこれで失礼します」

 

「えっ? 仕事は?」

 

「後は会長が認印を押せばいいだけだから」

 

「何ッ!? またタカトシ一人に仕事を押し付けてしまったのか……」

 

 

 物凄い罪悪感に苛まれながらも、私の次の代も安泰だなと思ってしまう。いや、会長としての自覚が足りないのは分かっているのだがな……




相変わらずのスペックの高さ

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