桜才学園での生活   作:猫林13世

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相変わらずひどい解決策


二人の解決策

 今日は宿題も無く、小テストでも七十点以上を獲得できたのでタカ兄から許可をもらい、トッキーと家でゲームをしている。ちなみに、点数ではトッキーに負けてしまったのだが……

 

「私もだけど、トッキーも相当タカ兄から絞られてるもんね」

 

「いつの間にかクラス平均は採れるようになってきたからな」

 

「入学当時から考えたらかなりの進歩だよね」

 

 

 元々ギリギリのラインで入学したから仕方が無いのかもしれないが、私たちは赤点ギリギリ、下手をすれば補習というレベルだった。だがタカ兄に散々絞られたおかげで、クラス平均前後までレベルアップしたのだ。

 

「というか、トッキーは見てるだけで良いの? 別ゲームでも良いんだけど」

 

「私は良い。たまにしかできないんだから、お前がやりたいので」

 

「そう?」

 

 

 確かにこんな時間からゲームができるなんていつ以来だろう。お義姉ちゃんが援護射撃してくれたとしても、精々お風呂上りに少しくらいしかできなかったから、学校から帰ってすぐなんて、本当に入学してすぐくらいかもしれない。

 

「喰らえ、火炎斬!」

 

 

 キャラもレベルアップして新しい技を覚えたので、私は早速その技を使って敵を斃そうとしたのだが――

 

「ありゃ?」

 

「火属性の敵に火の攻撃は効かないだろ」

 

「そっか」

 

 

――敵の属性を忘れていた所為でノーダメージだった。

 

「妹がいる相手に妹属性が効かないのと同じだね」

 

「いや、その例えは分からないけど……」

 

「あれ? 結構分かり易く例えられたと思ったんだけど」

 

 

 結局トッキーは私のプレイを見てただけだが、思いのほか楽しんでくれたようで良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここ数日寒くなってきているからか、トイレの利用頻度が上がっているようだ。

 

「ここ最近廊下を走る生徒が増えているようだが、皆ギリギリまでトイレを我慢するのか?」

 

「漏れるか漏れないかのギリギリを楽しんでるのかもね~」

 

「漏らしても粗相プレイというわけか……だが、そんなことをすればタカトシに怒られるかもしれないんだが」

 

「廊下を汚したら怒られるかもね~」

 

 

 アイツは真面目だから、異性に排泄を我慢させて悦に浸ることもなさそうだし、むしろさっさと行けとでも言いそうだ。

 

「おっ、あれは五十嵐」

 

「何だか辛そうだね~」

 

 

 廊下の向こう側から五十嵐がやって来るのだが、お腹辺りを押さえている。

 

「五十嵐、どうかしたのか?」

 

「天草さん、それに七条さん」

 

 

 声を掛けると、少し嫌そうな顔をされたが無視はされなかった。

 

「いえ、今日はちょっとお腹の調子が良くないみたいで……」

 

「そうなのか」

 

 

 どうやら五十嵐も体調管理が万全ではない様で安心した。こいつとタカトシはそう言うことをしっかりしてそうだと思ったんだがな。

 

「「ならこれ(を)」」

 

 

 解決策を思いついたのは私だけではなくアリアも同時だった。私が取り出したのは胃薬で、アリアはア〇ルプラグ。

 

「そっちだな」

 

「正解を出した方が譲らないでください! というか七条さんはなんてもの持ち歩いてるんですか!!」

 

「今朝出島さんからもらったんだ~」

 

「没収したいけど触りたくない」

 

 

 結局五十嵐には胃薬を渡して、アリアは出島さんからもらったものをしっかりとしまうように注意されてしまった。

 

「あれなら漏れずに済むと思ったんだけどな」

 

「さすがに風紀的にアウトだったようだな」

 

 

 私的にもアリアの解決策はいい案だと思ったのだが、アイツは風紀委員長だったな。さすがに栓をしたとしても漏れ出る恐れがある解決策は採らなかったか。

 

「あれ? スズちゃん」

 

「七条先輩。会長も」

 

「萩村もトイレか?」

 

 

 別に学年が違うからと言ってこの階のトイレを使ってはいけないわけではないので問題は無いのだが、ここで会うのは珍しい気もする。

 

「いえ、今は大丈夫ですけど……最近寒い所為かトイレが近くて……授業中に催したらどうしようかと思いまして」

 

「なるほどな……」

 

 

 私たちの教室には女子しかいないので堂々とトイレ宣言しても問題はないが、萩村の教室には男子がいるんだったな。異性の耳を気にしてトイレを我慢しなければいけないシチュエーションになってしまうのか。

 

「「だったらこれを」」

 

 

 またしてもアリアと同じタイミングで解決策を思いついてしまった。アリアが取り出したのはオレンジジュースの空のペットボトルで、私が取り出したのはレモンティーの空のペットボトルだ。

 

「さすがに色までは考慮してなかったよ」

 

「ふっ、アリアも甘いな」

 

「勝ち誇ってるところ悪いですけど、使うなんて一言も言っていませんが」

 

「じゃあおむつでも穿く?」

 

「穿くわけないだろうが! 子供っぽいというか赤ん坊扱いするな!」

 

 

 何処からともなく取り出したおむつを見て、萩村がアリアの脛を蹴り上げる。彼女は容姿相応の力しかないので蹴り上げられてもさほど痛くはないが、本気で怒っているということだけは伝わってきた。

 

「なら素直にトイレ宣言してスッキリするんだな。何かあってもタカトシが対処してくれるだろうし」

 

「でもスズちゃん的には、タカトシ君にトイレって知られるのが嫌なんじゃない?」

 

「タカトシ相手に隠し事ができるとも思えんから、素直に宣言するんだな」

 

「あの、タカトシ後ろにいるんですけど」

 

「「えっ!?」

 

 

 私たちがふざけているのを感じ取ったのか、背後に青筋を立てているタカトシが仁王立ちしていた。思わずお漏らししそうになったが、とりあえず未遂だということと、今後しないと約束したので厳重注意で済んだけど、本当に怖かったな……




そりゃ怒られるだろう……

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