桜才学園での生活   作:猫林13世

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ありえそうだからな……


レジャープール

 今日はOGの一人である北山先輩に誘われて生徒会メンバーでお出かけ。

 

「本日はレジャープールへやってきました!!」

 

「誘ってくれてありがとうございます」

 

 

 最近ではこういう場面でお礼を言うのはタカトシの役目になりつつあるが、先輩とあまり関係がないのもあって今日は私がお礼を言う。本来ならこの形が正しいのだろうが、違和感が拭えないのは何故なのだろうか。

 

「いーの、いーの。サチコは大学のレポートだし、ナツキは家族で帰省中。一人じゃインスタ映えしないからね」

 

「映え要員かい」

 

 

 先輩の包み隠さない本音に、タカトシがため口でツッコミを入れる。

 

「というか、さっきから私たち見られてないか? いよいよ私の知名度も――」

 

「タカトシとアリアのお陰じゃないですか?」

 

「――まぁ、そうだろうね」

 

 

 確かに先輩は読モとして、知ってる人は知っている程度の知名度はある。だがタカトシの鍛え抜かれた肉体や、アリアのダイナマイトボディと比べれば霞んでしまうだろう。

 

「ここの目玉はウォータースライダー! ペアで滑れるよ」

 

「私、高い所はちょっと……」

 

「そういえば天草は高所恐怖症だったな」

 

 

 治そうと努力してみたりもしているのだが、どうしても高い所は苦手なのだ。こればっかりは努力でどうにかなるものではないだろう。

 

「仕方が無い。じゃあ津田君、一緒にやろう。天草は撮影ヨロシク」

 

「行きましょう先輩」

 

 

 先輩に乗せられた感じがしてならないけど、さすがにタカトシと二人きりなんて看過できない。

 

「ホント分かり易いな」

 

「そうかもしれませんが、これは先輩の為でもあるんですからね?」

 

「どういう意味?」

 

 

 決して嫉妬心から先輩とペアを組んだわけではない。そのことをちゃんと説明しておかないと。

 

「だって先輩、撮った写真をSNSに載せますよね?」

 

「あぁ、いい写真が撮れたら」

 

「もしタカトシとのツーショットなんて載せて炎上でもしたら――」

 

「津田君が私の彼氏だと思われて、津田君が襲われるって?」

 

「いえ、先輩がタカトシの彼女だと勘違いされ、不特定多数のファンからの攻撃が――」

 

「何それ怖い……」

 

 

 駆け出しの読モである先輩が、SNS上で大炎上を起こせば今後の活動にも支障が出る。だから私は先輩とペアを組んだのだと強調しておく。少なくとも気にし過ぎ、というわけでもないだろうしな。

 

「しかし、天草や萩村なら兎も角、七条の水着姿を見ても反応しないんだな、彼は」

 

「先輩、喧嘩なら買いますよ?」

 

「いや、一般論だ。決して天草たちをディスってるわけじゃない」

 

「……イマイチ納得できませんが、とりあえずそのことは置いておきましょう」

 

 

 本当に納得できないが、ここでそのことを問い詰めても仕方が無い。

 

「タカトシはそう言うことにあまり興味がないですから。元女子校に通う男子なんて大半がハーレム目当てだと思っていた当時の自分が恥ずかしいくらいに」

 

「しかもハーレムでも許容されるのに誰とも付き合ってないんだろ? 凄い精神力だな」

 

「ですよね」

 

「私だったら逆ハーレム最高! とか思ってそうだ」

 

「それはそれでどうなんですか? 横島先生と大差ないと思いますが」

 

「それはそれで嫌だな」

 

 

 先輩の中でも横島先生がどんな扱いなのか理解出来た気がした。

 

「おっ、次は私たちだな」

 

「今更ながら怖くなってきた……」

 

「何だ? 天草はこんなのもできない軟弱ものなのか?」

 

「やってやろうじゃないか!」

 

 

 またしても先輩に乗せられてしまったが、私は何とかウォータースライダーを滑り終え、タカトシが撮ってくれた写真を見て情けない気分に陥った……先輩にがっしりしがみついてるんだもんな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後輩を誘ってプールに来たんだが、これが意外に楽しい。元々付き合いのある天草や七条は何となく分かるが、萩村もからかってみると意外と楽しいのだ。もちろん、やり過ぎると津田君から物凄い睨まれるので、そこの加減を間違えなければだが。

 

「写真と言えば、最近はご飯の写真を撮ってアップしている人、いますよね」

 

「あるある」

 

「あの機械音痴の天草がSNSをチェックしているなんて驚きだな」

 

 

 サチ程ではないが、天草も機械音痴だ。そんな天草がSNSをチェックしているとは、人間の成長と言うのは驚きだ。

 

「しまった。撮る前に全部食べちゃった」

 

「先輩、どうするんですか?」

 

「口の中に残ってるモノで手を打つか」

 

「仕方ないですね。撮りますよ」

 

「ふざけてるんですか?」

 

「「っ!?」」

 

 

 半分くらい本気だったのだが、津田君から向けられる視線で冗談ということにしておくことに。

 

「そ、それじゃあ集合写真にしておこう。津田君、撮ってくれ」

 

 

 さすがに私もまだ死にたくない。なので津田君には写真から出てもらい女子だけで写真を撮る。

 

「読モも大変ですね」

 

「日々の積み重ねが実を結ぶのさ。そしてゆくゆくは女優デビュー」

 

「イクイク女優でビュルル? 先輩、そっち方面を目指してるんですか?」

 

「家族連れが多い場所で何を言い出すんですか?」

 

「ヒッ!? ご、ゴメンなさい」

 

 

 愉快な聞き間違いをした七条に、津田君が割と本気で怒った様子で詰め寄る。この子は本当に桜才学園の良心なのだろう。

 

「天草、本当にお前が会長なのか?」

 

「この間再任しました! まぁ、実は無効票のタカトシが一番支持されていたらしいですけど」

 

「てか、この時期に会長選挙が行われるって、どれだけ信頼無いんだ、お前?」

 

「ほっといてください……」

 

 

 まぁ、津田君の信頼度が高過ぎる所為で天草が信頼されていないんだろうな。そう言うことにしておこう。




ここでも疑われるシノ……

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