桜才学園での生活   作:猫林13世

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外国人にはそうなんでしょうね


興味のあること

 生徒会作業も一段落し、タカトシが風紀委員に報告書を提出しに行っている時に畑がやってきた。

 

「最近感動したことや強く印象に残っている話を聞かせてください」

 

「何だいきなり」

 

「実は、目玉記事が没になってしまいまして、このままでは天草会長が生徒会室でバストアップ――」

 

「何を言うつもりだ!」

 

 

 以前からこのネタで脅してくるのだが、私はそんな事した覚えは――

 

「(あっ、あのときか)」

 

 

――あった。だがあの時は細心の注意を払っていたはずだというのに、何処から見ていたのだろう。

 

「私は最近ストレッチをしています。そのお陰かどうか分かりませんが、考え方にも柔軟性が出てきました」

 

「具体的には?」

 

「高い場所の物が取れなくてもしょうがないかなって思えるようになりました」

 

「それは確かに柔軟な考えができていますね。以前の萩村さんなら、少し不機嫌になっていたでしょうし」

 

「私はウチのトイレで感動したかな~」

 

「ほほう、トイレでですか」

 

 

 畑がアリアの話に喰いつく。まぁ、私も気になる話っぽい感じはしているが。

 

「ウチのトイレはトイレットペーパーが三角に折りたたまれていることが多いんだけど、その時はリボン結びされてたんだよね~」

 

「所謂折り紙アートというやつか。出島さんは手先が器用だからな」

 

「そうなんだよ~。だからもったいなくて使えなかったんだ~」

 

「えっ?」

 

 

 萩村がアリアの発言に驚く。トイレットペーパーが使えなかったということは――

 

「だから予備のペーパーで拭いたんだ~」

 

「何だ、ちゃんと拭いてたのか」

 

 

――さすがにそんなことは無かったようだ。

 

「では、最後は会長ですね。何か面白い話、ありませんか?」

 

「取材の内容が変わってないか?」

 

 

 確か感動した話や印象に残ってる話だったような気が……

 

「最近リンゴがCカップと同じらしいと知った。Cはあの程度なのかと思ったな。私の方が柔らかい」

 

「重さですよ」

 

「知ってるわ!!」

 

 

 精一杯の強がりだったのだが、畑に真顔で撃退されてしまう。私だってCカップの柔らかさがあの程度だなんて思っていない。

 

「何を騒いでるんですか? 廊下まで会長の声が聞こえてきましたが」

 

「津田副会長は何か感動した話や強く印象に残ってる話はありませんか?」

 

「そうですね……」

 

 

 畑がタカトシに取材を始める。だがタカトシは考えるふりをしながら何かタイミングを計っているような気もするんだよな……

 

「畑さん! また更衣室にカメラを仕掛けましたね!」

 

「さっきカエデさんから相談されたことでしょうか」

 

「ゲッ!?」

 

 

 どうやらまた悪さをしてたらしく、この後タカトシと五十嵐にこってりと絞られた畑だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室は基本的に用がない人は入れない場所。だけど畑さん曰く「来客が多い場所ナンバーワン」らしい。

 

「忍者、かっこいいー」

 

「わざわざそれを言いに来たの?」

 

 

 現に今、パリィが生徒会室に遊びに来ている。なんでわざわざこんなところで忍者の本を読んでいるのかしら……

 

「忍者って空飛んだり火を出せるんだねー」

 

「それはフィクションだから……」

 

 

 相変わらず疑うことを知らないのか、以前ネネから聞かされた忍者情報を信じているようだ。

 

「アニメやゲームでは忍者はだいたい強いらしいけどね」

 

「ツヨーイ」

 

 

 私はアニメを観たりゲームしたりしないから分からないけど、以前タカトシが柳本から聞かされているのを偶々聞いたことがある。

 

「成人ものだと弱いけどな」

 

「ヨワーイ」

 

「何の話だっ!?」

 

「えっ? 忍者の話だろ? かっこよく忍び込んで敵を追い詰めるが、捕まってそのまま――」

 

「まだ昼だぞ!?」

 

 

 これ以上は危ない話になりかねないので、私はそこで会長の話をぶった切る。本来ならこう言うのはタカトシの役目なんだけど、コトミの小テストの結果が芳しくなく、保護者代理で職員室に呼び出されているのだ。

 

「パリィちゃん、そんなに忍者に憧れているなら、忍者生活を体験できるトコがあるんだけど、行く?」

 

「いくー!」

 

 

 相変わらず七条グループは何でもあるのね……むしろ無いものを探す方が大変なんじゃないかしら……

 

「あ」

 

「どうしたの?」

 

 

 興味津々で七条先輩の提案に喰いついていたパリィだったが、何か思い出したように一歩距離を取った。何かあるのだろうか?

 

「おねがいイカセてー!」

 

「使い方間違ってるよ、パリィさん!?」

 

「じゃあ参加者は私たち四人で良いのかな?」

 

「タカトシも連れて行きましょう! たまにはリフレッシュさせてあげないと!」

 

「そうだね~。じゃあタカトシ君も入れて五人だね」

 

 

 この面子でタカトシがいないなんて考えたら、今から胃が痛くなってくる……だってこの三人に加えて出島さんもいるだろうし……

 

「しかしタカトシに忍術なんて必要無いんじゃないか? アイツなら人に気付かれることなく背後に立つことや、知らない間に相手を斃すことだってできるだろうし」

 

「タカトシならあり得そうだね~」

 

「あの、タカトシ後ろにいるんですけど……」

 

「何っ!?」

 

 

 本当に音も無く現れたタカトシに、会長だけでなくパリィも驚いている。もちろん私や七条先輩もビックリしている。

 

「と、というわけだからタカトシ。今度の休みはお出かけだ!」

 

「はぁ……義姉さんに連絡して、コトミのことはお願いしておきます」

 

「高校生にもなって、一人で留守番させられないってのはどうなんだ?」

 

「いえ、食事とか勉強のことで」

 

「なるほど」

 

 

 とりあえずタカトシも参加してくれるので、私はほっと一安心する。だって、これでツッコミはタカトシに任せられるから。




たしかに必要ないだろう

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