桜才学園での生活   作:猫林13世

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タカトシがやればあっという間に取り締まれそうだ


風紀強化月間

 今日から風紀委員の体験をさせてもらえることになった。私が頼んでもカエデは首を縦に振ってくれなかったが、タカトシにお願いしたらあっさりと許可してもらえた。

 

「パリィさん、風紀強化月間ですのでお願いします」

 

「カエデ先輩、最初は痛いらしいですけど頑張ってくださいね」

 

「コトミさん? どういうこと?」

 

 

 偶々通りかかったコトミがカエデの心配をする。

 

「だって、今日からケツ姦って」

 

「取り締まってやる! というか、こんな時間にコトミさんがいるのは珍しいですね」

 

「タカ兄に叩き起こされて、手伝えと言われました……」

 

「そうですか。今日は持ち物検査を行いますので、学校と関係ない物は没収対象です」

 

「ラジャー」

 

 

 私とコトミの二人で持ち物検査を行う。背後にカエデが控えているので、滅多なことでもない限り不要な物は持ち込めないだろう。

 

「あれ? パリィちゃんが風紀委員をやってるの?」

 

「体験だよ~」

 

 

 ネネが登校してきたので、早速鞄の中身を改めることに。

 

「教科書、ノート、筆記用具、ブルマ……学校と関係ある物だからOKだね」

 

「やったー!」

 

「問題ありです。本校ではブルマは採用されていませんので、これは没収です」

 

「それを履いてカエデ先輩が男子生徒のおかずになるんですね?」

 

「コトミ、あっちでタカトシが睨んでるよ」

 

「ひぇっ!?」

 

 

 コトミのボケが聞こえる距離ではないと思うのだけど、コトミの発言のすぐ後からタカトシが睨んできたのを考えれば、ものすごく耳が良いんだろうな。

 

「パリィさん、ここは良いので校内の見回りをお願いします。我が校は校内恋愛禁止ですから、しっかりと取り締まってくださいね」

 

 

 カエデから戦力外通告されてしまったので、私は持ち物検査から見回りへ。こんな朝早くから見回りが必要なんて、学校って大変なんだな。

 

「(そもそもタカトシが目を光らせているから、問題なんて無いと思うんだけど)」

 

 

 影の生徒会長や実質的風紀委員長なんて言われてるタカトシがいるから、この学校の風紀はある程度保たれているらしい。もし本気で取り締まったら、一瞬で品行方正な学校になるとかなんとか。

 

「ん?」

 

 

 そんなことを考えていたら、校舎裏でカップルがキスしようとしている場面に遭遇。これは注意しなくては。

 

「学校でフジュンなコウイはだめデス!」

 

 

 私が角から現れたからか、カップルたちは驚いた表情を浮かべている。

 

「それをネタにHなとりひきをさせられるストーリーをネネからきいた」

 

「確かに、気を付けます」

 

 

 私が説得に成功したのを報告で聞いたカエデが驚いた表情を浮かべていたが、何か問題でもあったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝はいろいろな人が手伝ってくれたけども、放課後の見回りは私が担当することに。噂ではパリィさんが独特な説得でカップルを説き伏せたとかなんとか聞いたけども、それじゃあちゃんとした風紀は守られていない気がする。

 

「(ん?)」

 

 

 向こうから足音が近づいてきて、私は早速注意する対象が現れたと感じた。

 

「中里さん、廊下は走らない」

 

「すんません、トイレ行きたくて」

 

「そうでしたから」

 

 

 天草さんが変更した校則で、トイレがヤバい時のみ廊下は走っていいことになっているので、私は中里さんを見送る。さすがにお漏らしされたら大変ですし。

 

「横島先生、随分とノンビリ歩いてるように見えますけど」

 

「トイレ行きたいけど…もう……」

 

「何かできることはありますか?」

 

「じゃあその三つ編みを穴に突っ込んで――」

 

「タカトシ君に怒られたいんですか?」

 

 

 とりあえず横島先生をトイレまで誘導し、何とか粗相させること無く済んだ。自力で歩くにはもう限界だったようだし、間に合って良かったわ。

 

「ってコトミさん! スカートのポケットに手を突っ込まない!」

 

「カエデ先輩のエッチ!?」

 

「っ!?」

 

 

 何でそんなことを言われなきゃいけないのかと思ったが、事情を聞けば言われても仕方ないと納得してしまった。

 

「つまり、スカートのホックが壊れてずり落ちそうだったので、応急処置として手で押さえててたと」

 

「保健室で予備に着替えるまでは見逃してください」

 

「仕方ないですね」

 

 

 さすがにパンツ姿で歩かせるわけにもいかないので、私はコトミさんと一緒に保健室まで移動した。

 

「というか、コトミさんはマネージャー業をしてるのですから、自分で直したりできないんですか?」

 

『ほとんどそう言うのはタカ兄にお願いしちゃってるので……』

 

「なる程」

 

 

 扉越しに気になったことを尋ねたが、ある意味予想通りの答えが返ってきた。確かにタカトシ君ならそれくらい簡単にできそうだし。

 

「何だか疲れたな……」

 

「お疲れさまです」

 

「た、タカトシ君」

 

 

 思わずため息を吐いたタイミングでタカトシ君が現れ、私は背筋を伸ばす。

 

「朝はコトミが迷惑をかけたみたいで申し訳ありません」

 

「い、いえ……一応ちゃんと仕事はしてくれましたので」

 

 

 あれを「ちゃんと」と表現して良いのかは分からないけども、あれ以降ふざけることはしなかったので善しとしたのだ。

 

「さっきも注意されていたと聞きまして」

 

「それは事情が会ったことなので許しました」

 

「事情?」

 

 

 タカトシ君にコトミさんとの経緯を話すと、彼は呆れたのを隠そうともしない顔でため息を漏らした。

 

「どうしたの?」

 

「太ったとか言ってたのにそのままスカートを履き続けた結果ですよ……リサイズしろって何度も言ったのにアイツは……」

 

「あ、あはは……」

 

 

 愚痴の内容がお兄ちゃんというよりお母さんだったので、私は乾いた笑いしか出なかった。本当に苦労してるんだな……




最後の最後でオカン感が凄い……

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