桜才学園での生活   作:猫林13世

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タカトシとしてはツッコミが欲しかったでしょうね。


勧誘合戦

 進級に伴い、クラスも一新されたんだけど何だか知り合いが多い気がするんだよな……

 

「おはよう津田」

 

「おはよう萩村。今年はクラスも一緒だな」

 

「そうね。これで私の気の休まる時間が増えるわね」

 

「少しは手伝ってよ……」

 

 

 最近の萩村は全然ツッコミを手伝ってくれないからな……

 

「よっ、津田」

 

「進級出来たんだな」

 

「当たり前だろ! この俺の天才的な頭脳を持ってすれば補習くらい……」

 

「天才的な頭脳を持ってるなら、そもそも補習になんてなるなよな」

 

「ボケは最後まで聞け!」

 

 

 だって面倒だろ? 分かりきったボケほど聞くに堪えないものは無いからな……

 

「タカトシ君、おはよー!」

 

「今年は津田君と一緒のクラスだね」

 

「三葉に中里さんか。おはよう」

 

「スズちゃん、おはよう」

 

「ネネ、おはよう」

 

 

 それにしても新しいクラスは知り合いが多いな……

 

「あれ? 地震じゃない!?」

 

「えっ? 別に揺れてないけど?」

 

 

 確かに揺れは感じなかったけどな……もしかして轟さんだけが気付いた揺れだったのかな?

 

「あっ! この震動は別の場所からだった」

 

「………」

 

「今後ツッコミの機会が増えてしまうのか……」

 

 

 そういえば轟さんは七条先輩と同類だって言ってたっけ……つまりはそういう事だよな。

 

「おらー席に着けー」

 

「横島先生かー」

 

「横島先生ねー」

 

 

 担任である横島先生が登場し、俺と萩村は残念なものを見るめで横島先生に視線を向けた。

 

「何だ二人共その目は……興奮するだろ」

 

「ホント駄目だこの人……」

 

 

 何か作為的な気がするんだがこのクラス分け……横島先生と轟さんは混ぜるな危険扱いじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 校門から昇降口までの間では、新入生を迎え入れようと様々な部活動が勧誘合戦をしている。

 

「ねぇトッキー、マキ」

 

「何だ?」

 

「如何したの?」

 

「部活入る?」

 

 

 正直私はさっさと帰ってゲームとかして遊びたいんだよね~。

 

「ダルイから入らねぇよ」

 

「私も。あんまり運動得意じゃないし」

 

「そっかー。あっ、タカ兄!」

 

「ん? コトミか。今帰りか?」

 

「うん! あっ、生徒会は新メンバーとか募集してないの? 私頑張るよー?」

 

「いや、お前は入っても駄目だろ……書類整理とか計算とか苦手だろ?」

 

 

 タカ兄が傍に居るだけで、マキは大人しくなる……というか緊張で話せなくなるんだけどね。

 

「そうだ! マキが入れば良いんじゃない?」

 

「ハァ!? アンタいきなり何を言い出すんだよ!」

 

「だってマキなら成績優秀でしょ?」

 

「中学の時の話しなんて持ち出すな! 桜才では真ん中付近に居られれば良い方だよ!」

 

「そなの?」

 

「そだよ!」

 

 

 マキで真ん中付近って事は、私はどの辺なんだろう? 補習スレスレくらいかな?

 

「もう少し高みを目指そうぜ……」

 

「わぁお! 読心術ツッコミ。さっすがタカ兄!」

 

 

 タカ兄のツッコミスペックの高さは我が兄ながら自慢出来る一つだ。他にもハイスペックなんだけど、ツッコミに関しては日本でも上から数えた方が早いんじゃないかって思えるくらいのレベルだもんな~。昔から鍛えてきた甲斐があるよ、ホントに。

 

「お前がボケなきゃ俺はもう少し平和に過ごせてただろうな……」

 

「平和なんてつまらないじゃん! 人生は波乱万丈が楽しいんだよ!」

 

「くだらん……」

 

 

 タカ兄が呆れてしまったけども、まぁしょうがないよね。最近はタカ兄が相手してくれる時間が減っちゃってるし……

 

「それと生徒会は特に募集はしてないからな」

 

「そうなんだ~。やっぱり優秀な人材が揃ってるから?」

 

「いや、これ以上ボケが増えられると困るから……」

 

 

 何だか切実な願いを聞かされた気がするよ……でもタカ兄ならもう一人や二人くらいなら何とかなりそうなんだけどな~。

 

「話しは聞かせてもらった!」

 

「シノ会長!」

 

「我々生徒会は半端な気持ちでは勤まらないからな! 本気でやる気がある人間を求める為に募集はしないのだ!」

 

「なるほど! カッコいいですね!」

 

 

 やりたいなら自分で来いって事なんだな。何だかシノ会長が輝いて見えるよー。

 

「でも俺半端な気持ちで入れさせられたんですけど?」

 

「……あの時は人手不足だったし、君なら出来ると思ったからでだな……」

 

「言い訳カッコ悪いです」

 

 

 タカ兄に蔑みの目を向けられたシノ会長が、何だかクネクネと動き出した。あの動きはきっとタカ兄に蔑まれて興奮してるんだろうな~。良いな~シノ会長。

 

「そうだ」

 

「ん、如何したの?」

 

「今日生徒会の仕事で帰りが遅くなるから、昼飯はテキトーに済ませてくれ」

 

「えー! 今日はタカ兄が作ってくれる日でしょー!」

 

「……昨日も俺が作ったんだが?」

 

 

 本当なら交代で家事をしなければ行けないんだけども、私はお母さんから家事禁止令を出されちゃったからなー。食材の無駄遣いを怒られて、あれ以来キッチンに立つ事は禁じられてるのだ。

 

「帰ってから何処かに食べに行けばいいだろ?」

 

「もうお小遣い残って無いもん!」

 

「……まだ月替わったばっかだぞ?」

 

「そもそも今月分、まだもらってないし」

 

「そうだっけか?」

 

 

 タカ兄が記憶を探ってるけども、実は既に使い切っちゃったんだよね~。今月は新作が多くて大変だったよ~。

 

「じゃあこれで昼飯は何とかしろ」

 

 

 タカ兄からお金を受け取り、私は待たせていたマキとトッキーと一緒に帰る事にした。

 

「アンタ、津田先輩騙して後で如何なっても知らないからね」

 

「大丈夫だって! タカ兄は今度からバイトするらしいから」

 

「それって留学資金貯めるためって言ってなかった? アンタの小遣いを増やす為じゃないでしょ」

 

「てか、お前兄貴居たんだな」

 

「そっか。トッキーはタカ兄の事知らないんだっけ?」

 

「ああ」

 

 

 同じ中学だったマキは知ってるから、トッキーに説明するの忘れてたよ。

 

「今度紹介するね」

 

「面倒だから別にかまわねぇ」

 

「ねぇトッキー」

 

「何だ?」

 

「鞄の口開いてるよ?」

 

 

 さっきから中身がこぼれそうになってるし……

 

「てか八月一日はコトミの兄貴の事知ってるのか?」

 

「同じ中学だったし、部活の先輩だし」

 

「何部?」

 

「サッカー部だよ。マキはタカ兄目当てでマネージャーやってたんだから」

 

「余計なこと言うなー!」

 

 

 ホントマキは純情少女だなー。タカ兄が好きだってみんな知ってたのに、結局告白せずにタカ兄は卒業しちゃったし。

 

「まぁマキがタカ兄と結婚したらお義姉ちゃんって呼ぶのかー違和感ハンパないね」

 

「け、結婚!?」

 

 

 あっ、マキはこの手の話し駄目だったんだっけ……もの凄いスピードで走っていってしまった……

 

「スゲェな、アイツ……陸上部から誘いが来るんじゃねぇか?」

 

「でも部活はやらないんじゃない? タカ兄居ないし」

 

 

 それに、私と遊ぶ時間も無くなっちゃうしね。さて、お昼は何を食べようかなー。




マキが一途過ぎる……

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