桜才学園での生活   作:猫林13世

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現役組も絶好調


OG会 ボウリング編

 ノリノリの古谷先輩に先導され、私たちはボウリング場へやってきた。タカトシ君は帰りたそうにしていたけど、北山先輩と南野先輩に挟まれて逃げ出せずにいるみたい。基本的に先輩を尊重してくれる人だから仕方ないかな。

 

「というわけで、二次会はボーリング大会!」

 

「ボーリングではなくボウリングです。意味が違います」

 

「そっかー」

 

 

 古谷先輩の間違いにスズちゃんがツッコミを入れる。タカトシ君も気付いていたみたいだけど、今回はスズちゃんに任せたのだろう。

 

「まぁ、良いじゃないか」

 

「会長?」

 

 

 シノちゃんがスズちゃんを宥めるように間に入る。何を言いたいのか分からないという表情をしているけど、今回は私はシノちゃんが何を言いたいのか理解できている。

 

「エロい意味としては共通してるだろ? ボーリングは穴掘りで、ボウリングは玉転がしだし」

 

「いいわけないだろうが! というか、タカトシがいるのに昔の癖が発動してますよ」

 

「先輩たちに囲まれてるとつい、な……」

 

「どんなついだよ……」

 

 

 スズちゃんが呆れちゃってるけど、シノちゃんの発言を気にしてるのはスズちゃんとタカトシ君だけ。つまりこの空間だけに限れば、気にする方がおかしいのだ。

 

「細かいことはとりあえず置いておくにして、早速始めよう!」

 

「それじゃあ、第一投はサチが行きなよ」

 

「よっしゃ!」

 

 

 気合十分に古谷先輩がかまえる。ちなみにOGチーム対現役に分かれて勝負することになっており、私はタカトシ君の正面に腰を下ろしている。

 

「よしっ!」

 

「ナイスストライク」

 

 

 敵チームではあるが、タカトシ君が古谷先輩の投球を褒める。

 

「うん。ナイスストライプだったね」

 

「何処を見てるんですかね?」

 

「シノちゃんと一緒で、昔の癖が」

 

 

 タカトシ君に怒られるのは嫌だけども、先輩三人に囲まれてるとどうしても昔の癖が出てしまう。

 

「次はスズちゃんだね」

 

「頑張れ」

 

「滑らないように使いなよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 北山先輩の気遣いに素直に頭を下げるスズちゃん。子供扱いではなく純粋に心配されていると分かったからだろう。

 

「こっちは滑りを良くしておいたよ」

 

「ノーサンキュー」

 

 

 子供用レーンを磨いていた南野先輩の気遣いをスルーして、スズちゃんは普通に投球した。結果は威力不足でガターだったけども。

 

「そういえばボウリングの球って人の頭と同じくらいの重さなんですよね」

 

「へー、膝枕ってこんな感じなのか」

 

 

 シノちゃんの雑学に古谷先輩が疑似膝枕をしている。私もやってみようかな。

 

「乳枕は結構大変だね」

 

「知ったことか!」

 

「天草、ナツキが投げるんだから静かにしとけ」

 

「す、すみません……」

 

 

 自分が怒られたことに納得してない様子のシノちゃんだったが、確かに大声を出してしまっていたのでとりあえずは頭を下げる。

 

「会長、スペアで逆転です」

 

「任せろ」

 

 

 意外と接戦になってきていて、さっきの南野先輩の一投で逆転されている。ここでシノちゃんがスペアを取れれば、残りも有利に進められそうだ。

 

「シノちゃん、集中してるね」

 

「そうですね……」

 

「んー?」

 

 

 タカトシ君が何か気にしてる様子だけども、それが何か私には分からない。

 

「ガターだ」

 

「(タカトシ君、シノちゃんは何を考えてたの?)」

 

「(ろくでもないことですよ)」

 

 

 タカトシ君は教えてくれなかったので、私はシノちゃんに直接尋ねることに。

 

「シノちゃん、何か余計なことを考えてたでしょ?」

 

「あぁ……ピンの形ってオ〇ホに似てるかもって思ってしまった」

 

「それでかー」

 

 

 タカトシ君が呆れた理由も分かったので、とりあえずは試合に集中できそう。ちなみに、最終レーンでタカトシ君が三連続ストライクを決めたため、現役チームの勝利で終わったんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天草が企画してくれたお陰で、OG会は大いに盛り上がった。

 

「今日は楽しかったー」

 

「高校時代に戻った気分」

 

「そう言うと思って――」

 

 

 カヤとナツキが盛り上がっているところに、天草と七条が何かを取り出した。

 

「――持ってきました」

 

「いやいや……私もう母親だし」

 

「さすがに制服はキツイよね」

 

 

 私たちに制服を着させようとしていたのか……相変わらず恐ろしいことを考える後輩だ。

 

「津田君もありがとな」

 

「はい? 俺は今日、あまり何かをした覚えはないんですけど」

 

「必要以上に脱線しなかったのは、君が睨みを利かせていただろ?」

 

「さて、何のことですかね」

 

 

 恍けてる感じだが、萩村だけだったらあそこまでスムーズに流れなかっただろうと思っている。まして私たちは脱線してもあまり気にしないタイプだからな。

 

「最後にOGメンバーで写真撮りましょうか」

 

「いーねー」

 

「サチ、真ん中入りなよ」

 

「え、いいよー」

 

「何照れてんのさー」

 

「いやいやいや」

 

 

 別に照れているわけではない。それなのにカヤもナツキも私を真ん中に押し出そうとしてくる。

 

「写真で真ん中は縁起が悪いから!」

 

「相変わらず迷信深いな」

 

「というか先輩。そんなことやってる間にもう撮っちゃってますけどね」

 

「うそっ!?」

 

 

 私たちがそんなことをしている間に、津田君は写真を撮っていた。その写真を見せてもらったが、実に楽しそうな雰囲気が伝わってくる一枚になっている。

 

「きちんとした写真も良いですが、楽しい思い出ならこっちの方が良いでしょうし」

 

「父親みたいな感想だね」

 

「そうですか……」

 

 

 ナツキの一言に津田君が傷ついた気がしたけど、何か原因があるのだろうか……




最後の一言はキツそうだな……

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