桜才学園での生活   作:猫林13世

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ボケが増えた……


OG会 カラオケ編

 今日は古谷先輩の発案で桜才学園生徒会OG会が開催される。場所はこのカラオケ店だ。タカトシと萩村は参加したく無さそうだったのだが、古谷先輩から「どうしても」と懇願されて仕方なく参加している。

 

「せっかくの再会だからおめかししてきた」

 

「先輩、きまってますね」

 

「センキュー」

 

 

 普段古臭い言動が目立つ古谷先輩だが、少しおしゃれすれば十分美人と言えるだけのポテンシャルはあるからな。

 

「皆まだかなー」

 

「先輩!? 背中開きトップスで普通のブラはNGです!」

 

 

 この場にいる異性がタカトシでは無かったら大変なことになっていたかもしれない。この人はファッションセンスも古風らしいから、こういうおしゃれ着は友達に選んでもらっているとか聞いたことがあったな。恐らくこういう場面に適したブラは持っていないのだろう。

 

「ひょっとして、サチ?」

 

「その声はカヤ?」

 

 

 古谷先輩にどう説明しようか悩んでいたら、もと庶務の北山カヤ先輩がやってきた。随分と雰囲気が変わっているから、声を掛けられなかったら気付けなかったかもしれないな。

 

「気付かなかったよー」

 

「私は分かったよ」

 

 

 どうやら古谷先輩も北山先輩には気付けなかったようだが、北山先輩は古谷先輩に気付いていたようだ。

 

「線香の匂いがしたから」

 

 

 私とアリアには驚くべきことではないのだが、萩村が少し驚いた顔をしていた。

 

「(萩村は何に驚いてるんだ?)」

 

「(昔からあの香水を使っていたのかと)」

 

「(なる程)」

 

 

 萩村に確認するのも躊躇われたので、私はタカトシに尋ねた。ほんと、相手の考えてることが分かる能力って羨ましい。

 

「やほー」

 

 

 しみじみとタカトシの特殊能力を羨んでいたら、元会計の南野ナツキ先輩もやってきた。

 

「おひさー」

 

 

 OG三人が揃ったからか、古谷先輩だけでなく北山先輩も楽しそうな雰囲気が感じられる。

 

「しばらく見ない内に大きくなってー」

 

「親戚の子供じゃないんですから」

 

 

 萩村がツッコミを入れたが、南野先輩はそこで終わらないのだ。

 

「でしょー私の赤ちゃん。今日は旦那に見てもらってる」

 

「えっ!?」

 

「あの人は子持ちだからな」

 

「先輩、お久しぶりです」

 

「天草と七条もいるんだ~、久しぶり」

 

 

 とりあえず全員揃ったので店に入ることに。だが入った時店員がタカトシに話しかけていたのは、この面子でもタカトシが一番上に見られているということなのか、それともあの店員が女性だったからなのかは謎だ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それぞれの近況を報告していたが、普通に学生をしているのは私だけだった。

 

「へー、カヤは読モやってるんだ」

 

「うん。忙しくて連絡できなくてゴメンね」

 

「ナツキも子育て頑張ってるんでしょ?」

 

「まぁね」

 

「二人とも頑張っているなー。私は何もしていないや」

 

「それが普通だって」

 

 

 カヤに慰めてもらいながら、私はカラオケのリモコンを操作しようとしたのだが――

 

『シーン』

 

「……あれ? 何もしてないのに壊れた!?」

 

「相変わらずの機械音痴だね」

 

「電源入れなさいよ」

 

 

 ナツキとカヤに呆れられながらも操作方法を教わる。こればっかりはどうにかしなければと思いつつどうにもならないのよね……

 

「ところで、ずっと気になっていたんだけど」

 

「何でしょう?」

 

 

 カヤの視線が私から天草に移った。

 

「そっちの二人は紹介してくれないの?」

 

「あぁ、先輩たちは初めてでしたね。現生徒会副会長の津田タカトシと、会計の萩村スズです。二人とも二年生です」

 

「萩村です」

 

「津田です」

 

 

 天草の紹介で津田君と萩村が会釈をし、カヤとナツキも軽く会釈を返す。私は何回か会ったことあったから気にしなかったが、二人は初対面だったんだった。

 

「生徒会初の男子かー」

 

「結構好み。彼女に立候補しちゃおかな」

 

「先輩。ウチの後輩をからかわないでくださいよ、もー」

 

「私は本気だよ」

 

「えぇ~!?」

 

「シノちゃんがからかわれてるよ」

 

 

 津田君を使って天草をからかっていたカヤだが、津田君が呆れた表情をしているのに気付いたようだ。

 

「どうかした?」

 

「いえ。昔の生徒会がどういった感じだったのかが分かった気がしたので」

 

 

 基本的にツッコミ不在だったなと思い出し、不慣れながらも天草がツッコミを担当していたんだっけか。そう考えると、今の生徒会はバランスが良いのだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 古谷さんが歌っている内に、二人のOGから古谷さんのことを聞いてみよう。

 

「高校時代の古谷さんって、どんな人だったんですか?」

 

「そーだねぇ……あの子に関わるとヤケドするよ」

 

「えっ?」

 

 

 どういう意味なのか尋ねようとしたが、それよりも先に南野さんが説明してくれた。

 

「毎回熱湯のお茶を出してくるから」

 

「それ、私もあった!!」

 

 

 以前引っ越しの手伝いで古谷さんの部屋に行った時アツアツのお茶を出されたっけ……

 

「いやー歌った歌った」

 

「おっ、サチも満足したみたいだし、外に出よう」

 

 

 とりあえずOG会はお開きになるのだろうなと思っていたが、どうやら古谷さんはまだ終わらないようで――

 

「二次会行く人この指とーまれ」

 

 

――ノリノリで二次会宣言をしていた。

 

「子供以外でアレ言う人も珍しいですね」

 

「そうかな? 私もよく言うよ」

 

 

 読モをしてる北山先輩の隣にいても、タカトシって見劣りしないのよね……

 

「ムラムラしてる時に」

 

「素面で何言ってるんですか、アンタ」

 

「おっ、津田君のため口ツッコミが出たね」

 

 

 私からすれば慣れた光景だが、タカトシのツッコミはOG方には新鮮なようで、二次会会場に移動するまで三人はボケ倒したのだった。




タカトシの負担増……

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