桜才学園での生活   作:猫林13世

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寝れなかった……


出張! 新聞部

 春休みになり、畑さん主催で七条先輩のお宅訪問をする事になった。

 

「有名人のお宅はいけ~ん!」

 

「畑さん、有名人は言い過ぎだよ~」

 

「いえいえ、貴女は有名ですよ。エロい事で」

 

「まぁ!」

 

「うん、納得してしまった俺」

 

 

 別の意味でも有名でしょうけども、七条先輩もなかなかの思春期だからな……しかも冗談が重量級だし……

 

「ところで、何故魚見さんが?」

 

「私も興味がありまして」

 

「ほほう、それで何故そんな重装備で?」

 

「えっ! だって地下ダンジョンとかあるんじゃないんですか!?」

 

「……貴女は七条先輩の家を何だと思ってるんですか」

 

 

 魚見さんの荷物を回収し、脇に置いておく。てか何故今日は森さんがいない……ツッコミが間に合わないじゃないか……

 

「いらっしゃいませ」

 

「ほーリアルメイドとは、さすがは金持ちですね~」

 

 

 出迎えてくれたのは七条家専属メイドの出島さんだ。相変わらず真面目なんだか不真面目なんだか分からない人だな。

 

「とは言っても、メイドになったのは最近なんですけどね」

 

「ほう、ではメイドの前は何をしてたんですか?」

 

 

 畑さんの質問に、出島さんの目が開かれる。

 

「私がご主人様でした!」

 

「あの人の口塞いだ方が良いのでは?」

 

 

 ホントろくな事言い出さないよなこの人……

 

「萩村、ツッコミ代わってよ」

 

「無理ね。ツッコミと文章で人を泣かせる事だけはアンタには勝てないもの。あとは身長もだけど……って! 誰がちっちゃいって!!」

 

「誰も言ってないって……」

 

 

 最近萩村が自分で言って自分で切れるってパターンが多いな……気にしてるのはしょうがないにしても、八つ当たりが過ぎるって……

 

「おや~? この建物はなんですか?」

 

「これは物置だね~」

 

「物置もデカイ……」

 

「お金持ちの物置といえば、財宝がざくざくあるんでしょうね。拝見させてもらえないでしょうか?」

 

「良いよ~」

 

 

 そう言って七条先輩が物置の鍵を開け、扉を開く。

 

「「「「くぱぁ」」」」

 

「まさか六人中四人も言うとは」

 

 

 よかった、コトミつれてこなくて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 物置を拝見させてもらってるのだけども、なかなか暗いわね……べ、別に怖い訳じゃないけど、逸れたりしたら大変だものね。

 

「津田!」

 

「ん?」

 

 

 普段しっかりしてるけども、万が一と言う事も起こるだろうし、そうなったら探すのとか大変だものね。

 

「逸れないように付いてきなさい!」

 

「……震える君の手」

 

 

 津田を引き連れて物置の奥まで来たけども、良く考えたら私の部屋よりも広いんじゃないのかしら、この物置……

 

「随分と凄いものがありますね~。これなんて本物みたいな刀ですね」

 

「それは本物だよ~。確か数千万円するとか言ってたかな~」

 

 

 七条先輩の言葉で、全員がその刀から離れた。万が一何かあったら弁償が出来ないと全員が思ったのだろうな。

 

「うわぁ!?」

 

「会長?」

 

「はい?」

 

「あっ、いえ魚見さんでは無く……」

 

 

 そういえばこの人も英稜高校の会長だったわね……でもこの場面でそんなボケは求めてなかったわ……

 

「あらら、床が抜けちゃったのね~」

 

「そうらしい。誰か引っ張ってくれ」

 

「あら大変。ところで七条さん、床下には如何やっていくのでしょうか?」

 

「えっとね~……」

 

「助けろ! おい!」

 

 

 会長がじたばたしてるけども、七条先輩も畑さんも特に助けようとはしない。魚見さんは会長の胸を見て何か考えてるし、私じゃ会長を引っ張り上げる事なんて出来ない……

 

「津田」

 

「しょうがないか……会長、ちょっと痛いかもですけど我慢してくださいね」

 

 

 あっという間に津田が会長を引っ張り上げ、この騒動は終了した。やっぱり困った時に頼りになるのは津田なのね……精神的支柱である津田だが、こういった時にも役に立つわね。

 

「あらもったいない。もう少しで会長のパンツを写真に……あっ、ゴメンなさい。怒らないでください」

 

 

 畑さんが欲望を吐きかけて、津田の視線に気付きあっさりと頭を下げた。相変わらず畑さんも津田には弱いのね……

 

「いや~良いもの見させてもらいました」

 

「でも、大分汚れてしまったな」

 

「そんな事もあろうかと、お風呂のしたくは出来ております!」

 

「さっすが出島さん。頼りになるわね~」

 

「そして、皆さんの汚れた服と汚れた下着は私が洗います」

 

「わざわざ分ける必要あったの、それ?」

 

 

 津田のツッコミが入り、出島さんは満足したかのように私たちをお風呂場まで案内してくれた。

 

「迷いました」

 

「「「えぇー!」」」

 

「あらあら」

 

「またかよ……」

 

 

 結局七条先輩に案内してもらって漸く到着した。もちろん津田は別のタイミングで入るのだけども、正直私だけでこの四人をツッコめる自信が無いんだけども……

 

「スズちゃんは津田君と一緒に入りたかったの?」

 

「ち、違います! そんな理由じゃありませんから!」

 

「おや~? 七条さんは別に何も言ってませんでしたが、萩村さんは何を思ったのですかね、詳しくお聞かせ願いませんかね~?」

 

「ヒィ!?」

 

 

 早速私一人では如何しようも無い展開になってしまった……普段から津田に頼りすぎたのかしらね。私のツッコミでは治められないような感じがしてたまらないわね……

 

「それにしてもシノちゃん、お肌つるつるね~」

 

「そうか?」

 

「胸もつるつるですしね」

 

「畑、お前とは一度ゆっくり話し合う必要があるな」

 

 

 正直畑さんも会長を煽ってるとしか思えないんだけどな……会長も一々相手にしてたら疲れるだろうに……

 

「そういえばスズちゃん」

 

「何でしょう?」

 

「ロリ巨乳ってバランス悪いから、目指さない方が良いわよ」

 

「……誰がそんな話をしたんだ」

 

「だって大きくなりたいんでしょ?」

 

「身長の話だー! って、誰が小さいって!!」

 

 

 なかなかカオスな空間が出来上がったが、この空間にツッコミと呼べる人間は存在しない。普段なら私が暴走しても津田が何とかしてくれるのだけども、ここは風呂場だ。異性の津田がこの場に居たらそれはもう問題でしか無い。

 

「桜才の皆さんは仲良しですよね。ちょっと羨ましいです」

 

「この状況を見て羨ましいとか言える貴女もおかしいです!」

 

 

 さっきから無言でお風呂を楽しんでいた魚見さんだけども、この人もなかなかのボケだからな……ホント、何で今日は森さんがいないのよ……

 

「シノちゃん、ここまでがゾーンなんだね」

 

「やかましいわ!」

 

「ではその境界線を一枚……」

 

 

 何故お風呂にまでカメラを持って来てるのよ、貴女は……




森さん不在でタカトシとスズの負担が……

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