桜才学園での生活   作:猫林13世

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この時期は気になるかも


部屋の臭い

 何時も通り生徒会室で作業していると、サクラっちが掃除道具を持って現れた。

 

「皆さん、少しは生徒会室を掃除しようとか思わないんですか?」

 

「サクラっち、どうかしたの?」

 

 

 生徒会室はそれ程散らかっているわけでもないし、女しかいない空間なので多少化粧品臭くても気にしない。それにユウちゃんが加わってからはトレーニンググッズなども置かれているので、その臭いも混ざっているかもしれないが、私たちはもう慣れているので気にしない。それなのにどうしていきなり掃除なんて言い出したんだろう。

 

「忘れてるんですか? 今日は桜才学園の生徒会メンバーがここに来る日ですよ」

 

「タカ君にこの現状を見られたら……」

 

「お説教っすかね……」

 

「津田先輩厳しい人だからね……」

 

 

 私だけではなく、ユウちゃんや青葉っちもタカ君の厳しさは知っているので、生徒会室を見回してようやく焦りを覚える。

 

「タカトシ君以外にも、天草さんや萩村さんも綺麗好きだと聞きますし、七条さんだってそれなりにできる人です。英稜の生徒会は桜才より下だと思われても良いんですか?」

 

「それはなんだか面白くないですね」

 

 

 別に整理整頓で上下が決まるわけではないが、そんなところで下に見られるのは面白くない。タカ君になら見下されたいけども……

 

「そういうわけですので、早速掃除をしましょう!」

 

「というか、もう何度か来たことあるんすよね? だったら今更じゃないっすか?」

 

「今更かもしれないけど、まだ挽回できるかもしれないでしょう? それに、ここら辺はユウちゃんのものが置いてあるんだから、ユウちゃんが片付けるんだからね」

 

「これ会長のじゃなかったすか?」

 

 

 互いにどっちの持ち物かを確認しながら片付けていくと、確かに生徒会室が散らかっていたんだということを思い知った。

 

「物は片付いたけど臭いはどうしようか? 換気するにも時間が……」

 

「そういう時は濡れタオルを振り回すと良いらしいですよ」

 

「これ最初に思いついた人天才っすね」

 

 

 濡れたタオルを振り回すのは少し力仕事なのでユウちゃんに任せた。それにしても、タオルを振り回すだけで消臭効果があるなんて……

 

「もしかして、タオルスパンキングしてる時に発見された!?」

 

「生徒会の品位を落とすのでそう言った発言は控えてと何度も言っているでしょぅが!」

 

「まぁまぁ森先輩。会長のこれは何時ものことですし」

 

「そうっすよ。桜才の皆さんも知ってることでしょうし」

 

「これくらいは女子トークの範疇だと思うけどな」

 

 

 サクラっちはまだ何か言いたげでしたが、とりあえずお説教はしないでくれた。まさか後輩二人が私の味方をしてくれるとは。

 

「臭いと言えば、洗濯しても臭いって取れないんすよね」

 

「鞄も洗ったら? いくら洗濯しても、鞄の臭いが服に移っちゃうから」

 

「確かに、鞄を洗ったりは――」

 

 

 ユウちゃんは自分の鞄を手に取り臭いを確認する。すると――

 

「うわぁ! 鞄の底から変色したバナナが」

 

「早く捨てなさい!」

 

 

 どうやら臭いの原因は腐ったバナナらしく、ユウちゃんは大慌てでそのバナナをゴミ箱に捨て、鞄に消臭剤を撒いて窓際に干す。これだけでもだいぶ良くなるだろうな。

 

「そうそう臭いと言えば、口臭は舌も綺麗にしないと消えないんだよ」

 

「だからって、何で生徒会室で歯磨きを?」

 

「ほうなんれふね」

 

 

 青葉っちが私の言葉に感化されて舌磨きを始める。口臭が気になる距離まで近づくことは無さそうだけども、一応エチケットとしてしておいた方が良いだろう。

 

「おぇぇぇ!」

 

「うわぁ!?」

 

 

 どうやら奥まで歯ブラシを突っ込んでしまったらしく、青葉っちが吐き出しそうになる。

 

「というか、どうして口臭を気にしてたの?」

 

「お昼にオニオンライスと餃子を食べましたので」

 

「それは気にした方がよさそうだね……タカトシ君、鼻も良いし」

 

 

 タカ君はコトちゃんのノンストップ全裸オ〇ニーの後の臭いが一週間は取れなくて困っていたという過去がありますし、臭いには敏感のはず。幾ら意識していないからと言って女子が男子に口臭を指摘されるのは恥ずかしいだろう。

 

「ま、まぁ後は窓を開けて換気すれば大丈夫なくらいにはなってるから」

 

 

 私は話を逸らす為に窓を開け、最後の換気をすることに。確かに掃除をする前と今とでは、生徒会室の中の空気が違うような気がする。

 

「これで安心して桜才学園の皆さんをお迎えできますね」

 

「サクラっちが気にし過ぎだったような気もしないけどね」

 

 

 そこで生徒会室に強風が舞い込み、サクラっちのスカートを捲った。

 

「………」

 

 

 スカートの中には羽根が見えた。臭いを気にしていたのはそう言うことだったのか。

 

「大丈夫だよ、サクラっち。体臭気にならないから」

 

「そう言うことは言わなくて良いんです! というか、皆さんを隠れ蓑にしてたわけじゃないですし」

 

「というか、そろそろ到着時刻ですし、会長はお出迎えしなくて良いんですか?」

 

「おっと。それでは皆さん、英稜の代表として恥ずかしくない振る舞いをお願いしますね」

 

「分かりました」

 

「了解っす」

 

「はい……」

 

 

 サクラっちの返事に気力が無かったが、とりあえずは大丈夫でしょう。私はそろそろ到着するであろう四人を出迎える為に校門へ向かう。それにしても、普段から掃除しておけばギリギリになって慌てることは無かったでしょうし、今後は定期的に生徒会室の掃除をした方がよさそうですね。




結局誤解だったのだろうか

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