桜才学園での生活   作:猫林13世

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ハマりやすく飽きやすいのだろうか


更新者の気持ち

 ブログを始めて暫く経ったが、私は更新頻度を落とすことなくブログを更新し続ける。反響が大きいのもあるが、純粋にブログの楽しさに目覚めたのだ。

 

「今までしてこなかったが、こういうのって良いな」

 

「そうですね。芸能人なんかでもやってる人もいますし、結構な数いるんですよ、ブロガーって」

 

「ブロガーというのか」

 

 

 萩村から耳馴染みのない言葉を聞き、私は今の自分がそれに当てはまっているような気がした。別に仕事ではないので、これ程更新する必要は無いのだが、やはり楽しさから更新してしまうのだ。

 

「ブロガーって楽しいものだな」

 

「ちょっとシノちゃん!?」

 

「アリア? どうしたんだ、いきなり」

 

 

 生徒会室に駆け込んできたアリアは、何か驚いたような顔をしている。私も萩村もその理由が分からずに首をかしげていると、アリアはきょろきょろと周りを見渡してホッとしたような顔を見せる。

 

「ブローが楽しいって聞こえたんだけど、誰にしてるの?」

 

「ブローじゃなくてブロガーな? ブログの更新をしていたんだ」

 

「なーんだ、聞き間違いか~。てっきりスズちゃんがドMに目覚めたのかと思っちゃったよ~」

 

「誰が目覚めるかっ!」

 

 

 アリアと萩村の遣り取りを眺めていると、私が更新したブログにコメントが。

 

「えっと何々……『津田副会長のブログ記事も見てみたいです』か」

 

「確かに、タカトシはブログに携わってないですもんね」

 

「アイツが更新すると、私やアリアの記事が注目されなくなってしまうからな」

 

 

 決して私たちの記事がつまらないわけではないが、タカトシが担当するとそっちばかりに注目が行ってしまうことは明白。なにせ新聞部の記事ですら、タカトシには敵わないのだから……

 

「だがタカトシのファンはタカトシのブログも見てみたいと思うものなのか……」

 

「タカトシ君のファンは桜才学園だけじゃないしね~」

 

「英稜や近隣校にもその数は多いと聞きますし、畑さんが他校に売っている桜才新聞も結構な数出ていると報告されていますしね」

 

「そういえば、そのタカトシは何処に行ったんだ? アリア、一緒に見回りしてたんじゃ」

 

「タカトシ君なら、女子更衣室を盗撮しようとしてた畑さんを連れて空き教室に。カエデちゃんも呼ばれてたから、多分長時間コースになると思うよ」

 

「なる程……それじゃあ、生徒会作業は我々で終わらせるか」

 

 

 タカトシがいればあっという間に終わるであろう作業だが、私たちだけだと少し時間が掛かりそうだ。決して私たちが無能というわけではなく、タカトシが有能すぎるのだ。だから私たちは悪くない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 桜才学園のブログを見て、私たち英稜高校でもこういうのを始めた方が良いのではないかと提案したのだが、真似する必要は無いと却下された。

 

「――て感じなんだけど、タカ君はどう思う?」

 

「俺もサクラに同意しますね。ウチが始めたから英稜も始める必要は無いですし、そもそもあれはシノさんの無趣味解消から始まったようなものですから」

 

「シノっち、それらしい趣味がないってぼやいてたからね」

 

 

 器用である程度までなら苦労せずにできてしまうシノっちは、趣味らしい趣味が持てないのが悩みだと聞いたことがある。ついこの前まではバッティングセンター通いにハマっていたらしいですが、タカ君の実力を前に挫折したとか……

 

「(そもそも、タカ君と勝負しようとするのが無謀なんですよ、シノっちは……)」

 

「というか、そのことを相談しに今日は来たんですか?」

 

「ウチの両親が今日不在でね。せっかくだからタカ君とコトちゃんと晩御飯をと思って。タカ君もたまにはゆっくりしたいでしょ?」

 

「一緒に作ったのであまり意味は無かったとは思いますが、確かに楽はできましたね」

 

 

 既に食べ終えて片付けているので今更の質問でしたが、タカ君にゆっくりしてもらいたいという気持ちは本物でした。コトちゃんにも手伝わせようとしたのですが、タカ君が苦い顔をしていたのでそれは諦めましたが。

 

「というか、コトミのヤツ風呂場で大声で歌ってるな」

 

「ついつい気持ちよくなっちゃうんだよね」

 

「気持ちは分からなくないですが、近所迷惑を考えてもらいたい」

 

「タカ君は大変だね」

 

 

 これだけ声が響いていたらご近所さんにも聞こえているだろう。コトちゃんの歌声がもう少し下手だったら、もしかしたらクレームが来ていたかもしれない。

 

「あっ……」

 

「どうかしました?」

 

 

 私が漏らした言葉にタカ君が反応する。その表情は既に怒ってるようにも見えるので、私は言うか言うまいかで悩んだが、どうせバレてるだろうと思い告白することに。

 

「ひょっとして私がお風呂場でお小水してる音も駄々洩れだったり――」

 

「風呂場出禁にするぞ。風呂入る前にしっかりと済ませておけ」

 

「ゴメンなさい……でも、お風呂場でするのって何となく解放感があって好きなんだよね……」

 

「その気持ちはわからん」

 

 

 タカ君にバッサリと切り捨てられ、私は後でコトちゃんに聞いてみようと思った。恐らくコトちゃんなら私のこの気持ちを理解してくれるだろうし、もしかしたら仲間かもしれないから。

 

「そんな仲間を求めるなよ……」

 

「あら? 声に出てました?」

 

「思いっきり顔に書いてあります」

 

 

 タカ君に呆れられてしまいましたが、私だけなんて恥ずかしいですし、恐らくシノっちかアリアっちは仲間だと思います。だって、あの解放感は癖になりますし。




出禁になりそうなウオミー……

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