桜才学園での生活   作:猫林13世

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普通に優秀な人たちが担当してますから


ブログの評判

 シノちゃんに言われてブログのネタになりそうなモノを探しているのだが、そのお陰で意外な発見があったりするから、これも楽しみの一つなのかもしれない。

 

「二階の踊り場にパンチラスポットがあるみたいだよ」

 

「そんなものを掲載しようとしたら、タカトシに怒られてしまうじゃないか」

 

「でも、校内の風通しを良くしようとするって目的なら、校内の風通しが良い場所を紹介するのも手だと思うんだけど」

 

「一理あるかもしれないが、そんな場所を掲載してしまったら、今後その場所でパンチラを拝めなくなるだろ? だから却下だ」

 

「そっか……」

 

 

 せっかくのパンチラスポットなのに、女子が警戒してパンチラしなくなってしまったら、それはもう風が強いだけの場所になってしまう。私はシノちゃんの意見でこの記事の掲載は止めようと思えた。

 

「私が用意した記事はこれだ」

 

「あれ、パリィ……うちって書道部なんてありましたっけ?」

 

 

 横から覗き込んできたスズちゃんが、シノちゃんが取り込んだ写真を見て首を傾げる。確かにパリィちゃんは筆を持っていて何かを書いている様子。だけどうちに書道部は無かったはずだ。

 

「これは漫研のベタ作業の場面だ」

 

「だったらもう少し分かり易く写真を引いたり――」

 

「エロ漫画のベタ塗りだったからアップにしたんだ」

 

「即刻その作業を止めろや!」

 

 

 タカトシ君不在の為スズちゃんのカミナリがシノちゃんに落ちたけども、やっぱりタカトシ君と比べると威力が下がっているような気がする。彼のカミナリは周りにいる人にも衝撃を与えるけども、スズちゃんのカミナリは私への影響はない。

 

「では萩村はどんなネタを持ってきたんだ?」

 

「柔道部の試合があって、その取材をしていた新聞部の人から写真データを貰ってきました。ムツミと時さんが優勝したらしいので、それを記事にするのはどうでしょう?」

 

「それは良いな! 部活動紹介も公式ブログの仕事っぽいし、何より結果が出ている部活を紹介すれば、新入生獲得につながるかもしれないしな」

 

 

 早速スズちゃんが持ってきた写真を取り込んで記事を作るシノちゃん。そのタイミングでムツミちゃんとトッキーさんが生徒会室にやってきた。

 

「会長! その写真使うのちょっと待ってください」

 

「三葉、ノックくらいしたらどうなんだ……」

 

「ゴメンなさい。でもその写真、試合の後で髪の毛ぼさぼさで……加工してどうにかできませんか?」

 

「その辺りは後で萩村にやってもらおう。できるよな?」

 

「まぁ、それくらいなら畑さんじゃなくてもできますけど……こっちの方が臨場感があって良い気がするけど」

 

 

 確かに綺麗に整えられている髪より、こっちのぼさぼさの方が試合後って感じがあっていい気はする。だけど女の子として、こんな写真は使われたくないってムツミちゃんの気持ちも理解できる。

 

「それで、トッキーは何でここに?」

 

「私も加工してもらいたくて」

 

「だが、トッキーの髪は乱れてないだろ?」

 

「いえ、賞状……上下逆さまに持っちゃって……」

 

「あっ」

 

 

 トッキーさんに言われて賞状に注目すると、確かに上下逆さまになっている。ムツミちゃんの加工よりこっちの方が優先度は高そうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカトシに検閲をしてもらい、とりあえずパリィの記事と柔道部の記事は掲載された。ちなみに、タカトシが記事を担当すると学生レベルを超えてしまうということで、タカトシは検閲のみの参加だ。

 

「アリアは結局生徒会の紹介記事を担当したのか」

 

「持ち込みネタが却下されちゃったからね」

 

「却下されて当然です」

 

 

 萩村が呆れているのを隠そうともしない表情を浮かべている。記事毎に閲覧数を確認できるらしいが、私にはそのやり方が分からないのでとりあえず総閲覧数だけは把握しておこう。

 

「意外と好評を博しているんだな」

 

「今まで簡単な説明くらいしかなかったから、これを機に桜才学園のことを知れるって人気みたい」

 

「よーす、生徒会役員共」

 

 

 私たちがブログをチェックしていると、横島先生が生徒会室にやってきた。正直、この人が来ても意味が無いから特別な用事でもない限り来ないで欲しいのだが……

 

「職員室でも桜才ブログは好評でな。今日はその労いに来たんだ」

 

「そうでしたか」

 

「だが中には『津田は記事を書かないのか』って声もあってな」

 

「タカトシが担当したら、私たちの素人記事なんて読んでもらえなくなってしまいます」

 

 

 セミプロである畑でさえ、タカトシのエッセイに勝てないんだ。素人の私たちがタカトシに対抗できるはずが無い。

 

「まぁ、アイツの文才は学生レベルを超えているからな……国語教師が自信喪失するくらいに」

 

「それを言いに来たんですか? だったらタカトシに直接――」

 

 

 タカトシは今、新学期早々のテストで赤点だったコトミとトッキーの為の特別補習を空き教室で行っている。だからそっちへと言おうとしたのだが、どうやら別件もあったようだ。

 

「それから七条が担当した記事のコメントに『桜才って小・中・高一貫なんですか?』って質問が来てたんだが、これはどういうことだ?」

 

「そのコメントしたやつ張った押す!」

 

 

 恐らく萩村を見て小学生だと思ったのだろう。……だが待て。それなら『中』は何処から――

 

「誰が中学生並みの胸だー!!」

 

「おい、どうした天草」

 

「あっいえ……幻聴が聞こえて」

 

 

 恐らくはそう言うことなのだろうと思うが、断じて中学生並みの胸ではない。というか、大きいだけが胸じゃないんだぞ!




シノ、魂の叫び……

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