桜才学園での生活   作:猫林13世

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どっちが年上だかわからん構図ですが


義姉弟の会話

 今日はタカ君もバイトじゃないので津田家に来る必要は無かったのだけども、シノっちからタカ君が職員室で自慢をしていたと聞かされて真相を確かめなければと思いやってきた。だが津田家へ向かう途中でシノっちから「勘違いだった。思いっきり怒られた……」というメールが着たので、本来ならこのまま自宅へ向かった方が良いのだろうが、せっかくだし遊びに行こうと思った。タカ君に見せたいものもあるし。

 

「ただいま。タカ君、いる?」

 

「義姉さん……一応ここは義姉さんの家ではないのですが?」

 

「義姉から嫁にジョブチェンジしても良いよ?」

 

 

 鞄から私の欄が記入済みの婚姻届けを取り出すと、タカ君は盛大にため息を吐いて頭を振る。この仕草は本気で呆れてる時のものだ。

 

「バカなこと言ってないで、何か用事ですか?」

 

「来ちゃった」

 

「はぁ……お茶で良いですか?」

 

「自分で淹れるから、タカ君は洗濯物の続きをしてていいよ」

 

 

 勝手知ったる何とやらで、私は自分の分のお茶を用意する。その間タカ君は干してあった洗濯物を取り込み、畳んで、自分の分とコトちゃんの分を素早くタンスにしまう。

 

「相変わらずの手際ですね」

 

「義姉さんの分も、コトミの部屋で良いんですよね」

 

「タカ君の部屋でも良いよ?」

 

「………」

 

 

 あっ、また呆れられてしまいました。

 

「それで、今日は何の用で? バイトは休みですし、コトミも一応赤点は採ってないはずですし」

 

「本当はシノっちから流れてきた噂の真相を確かめに来たんだけど、途中で誤解だったって分かったからそのまま遊びに来たんだよ」

 

「噂? もしかしてダンベルの話が義姉さんにまで?」

 

「あっ、ダンベルの話だったんだ。私にはタカ君が職員室でモテ自慢をしてるってことしか流れてこなかったし、結局勘違いだったってことしか教えてもらってないから」

 

 

 そもそもタカ君が不特定多数の女子にモテたからと言って、それを鼻にかけるとは思えない。しかも職員室でそんな話をするなんて、絶対にあり得ないと言い切れる。

 

「まぁ、タカ君がそんな男の子だったら、私はとっくに〇女じゃ無くなってるでしょうし」

 

「わざわざ怒られに来たのならそう言ってくださいよ。今日は時間に余裕があるので、思う存分怒って差し上げますよ?」

 

「じょ、冗談ですよ。今日はタカ君に見せたいものがあったので」

 

「見せたいもの?」

 

 

 一瞬前まで怒っていたタカ君の顔が、すぐに不思議そうな顔に変わる。あのままの流れだったら本当に怒られることになっていただろう。慌てて話題を変えて良かった。

 

「これ、お揃いのエコバッグ」

 

「わざわざ買ったんですか?」

 

「タカ君、何時もスーパーの袋を使いまわしてるので、こういうのがあった方が良いと思って」

 

「まぁ、今は袋も有料ですからね」

 

「さらにお揃いのスリッパ」

 

「これも買ったんですか? お金出しますよ」

 

「気にしなくていいよ。私が好きで買ってるだけだから」

 

 

 タカ君が私とのペアルックをすんなり受け入れてくれているのが嬉しい。前は断られたけど、今の好感度ならこれくらいは許してくれるのか。

 

「そして、お揃いの歯ブラシ」

 

「せめて色は変えてください。俺は兎も角、義姉さんは間違えそうですし」

 

「そう? じゃあコトちゃんとペアにしようかな」

 

 

 間接ディープキスを狙ってるのがバレたのかとも思ったけど、怒られること無くこの件は流れた。タカ君のことだから私の狙いに気付いていただろうけど、実行に移さなかったからセーフだったのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部活から帰ってくると、タカ兄とお義姉ちゃんが二人でキッチンに立っていた。何処の新婚カップルだよと思ったけど、タカ兄がお義姉ちゃんに味見をお願いしていただけだった。

 

「お帰り」

 

「ただいまー。あー、疲れた」

 

「疲れたって、マネージャーとして動いてただけだろ? 何でそんなにくたびれてるんだよ」

 

「普段だらしのない生活をしてる私からしてみれば、それだけでも重労働なんだよ」

 

「自覚してるならしっかりしろ。アリア先輩に頼んでみっちり仕込んでもらうぞ?」

 

「それだけは勘弁してください! 私は淑女になんてなれないもん」

 

 

 どう考えても私は痴女だ。淑女教室に通ったからと言って、それが治るとは思えない。むしろ先生方にご迷惑をかけるだけだろう。

 

「ところで、お義姉ちゃんは今日は何をしに?」

 

「遊びに来ただけだよ。今日はタカ君もお家にいるし」

 

「せっかくだから勉強を見てもらったらどうだ? どうせ今日の授業内容を覚えてないんだろうし、復習に付き合ってもらえ」

 

「ご飯食べてお風呂に入ってゲームしたら考える」

 

「ん?」

 

「今すぐお願いします!」

 

 

 冗談だったんだけども、タカ兄のあの目を見たらふざけてる場合じゃないと思い知らされた。あれは本気でゲームを捨てる時の目だったし……

 

「コトちゃん、何年タカ君の妹やってるの?」

 

「あれくらいの冗談なら許してくれると思ったんですけど……」

 

「コトちゃんの成績を考えたら、冗談を言ってる場合ではないって分からないの?」

 

「だって……勉強したくないんですもん」

 

「素直に言ってもダメ。とりあえず、教科書とノート出して」

 

「はい……」

 

 

 結局ご飯ができるまでお義姉ちゃんにみっちり勉強を見てもらった。しかし、これだけ勉強しても良くならない私の頭っていったい……




そして相変わらずのコトミ……

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