桜才学園での生活   作:猫林13世

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色々と酷いな……


美肌の要因

 ヨガ同好会の顧問を任されたからには、私も美容とか健康に気を使った方が良いのではないかと思い、最近では白湯を飲むようにしている。そのお陰かは分からないけども、肌の調子が良い気がする。

 

「小山先生は何を飲んでるんだ?」

 

「白湯ですよ」

 

 

 津田君にヨガ同好会の顧問を任された要員の一人、横島先生が隣に座りながら話しかけてくる。この人はヨガ経験者ではなく、毎日ベッドでヨガってるだけだったらしい……何処で話がすり替わってヨガ経験者ということになったのやら……

 

「誰が入ったお湯?」

 

「その質問はおかしい……」

 

 

 一瞬ヨガ同好会の顧問になれなかった嫌がらせなのかとも思ったが、この人はこれが平常運転だと思い直し、軽く流しておくことに。

 

「だが何で白湯なんて飲んでるんだ? この間までは普通にコーヒーとかだったじゃん」

 

「同好会の顧問になったので、一応色々と気を付けようと思いまして」

 

「そんなもんか……」

 

「横島先生だって、生徒会顧問として気を付けていることとかあるのではないですか?」

 

「私がダメでも、天草や津田が優秀だからな! 特に気を付けていることは無い」

 

「そうですか」

 

 

 確かに天草さんも津田君も優秀な生徒だ。成績だけではなく、生活面でもお手本になれる生徒だと私も思う。だがそれと横島先生がしっかりしなくて良いことはイコールではないと思うのだが……

 

「というか、この間も津田君に怒られてませんでした?」

 

「あれは、補習で私の貴重なクリスマスが潰れそうだったから津田に何とかしてくれと頼んでただけだ」

 

「それが仕事でしょうが……」

 

 

 横島先生を撃退して、少し催してきたので職員室から移動すると、先ほどまで話題に上がっていた天草さんが七条さんと一緒に話しかけてくれた。

 

「小山先生、こんにちは」

 

「こんにちは、天草さん。七条さん」

 

「あれ~? 小山先生、何だか最近お肌が良い感じに見えます」

 

「確かに。何か始めたんですか?」

 

「何だと思う?」

 

 

 普通の問題ならあっさりと解かれてしまうけども、こういったクイズなら少しは悩んでくれるかな、というちょっとした好奇心だったのだが――

 

「うーん……」

 

「あっ! 確かオ〇禁って美肌効果があるって聞いたぞ」

 

「それだ!」

 

 

――津田君がいない時のこの二人が思春期全開だということを忘れていた自分を殴りたい。

 

「違うわよ。最近、白湯を飲んでるの」

 

「あぁ、美肌に良いって言いますもんね」

 

「お湯ならそんなにお金もかかりませんし、手軽な美容方法ですよね~」

 

「じゃあ何で最初にそっちが出てこないのよ……」

 

 

 小学生のことから天草さんのことは知っているけども、この子は中身は成長していない感じなのかな?

 

「ところで小山先生」

 

「何、七条さん?」

 

「先生って肩こり解消はどんなことをしてますか?」

 

「肩こり? そうねぇ――」

 

「私は先に行ってるからな!」

 

 

 私と七条さんが肩こり談義を始めようとしたところで、天草さんがどこかに行ってしまった。何か嫌なことでもあったのかしら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当ならスズと二人で片づけをする予定だったのだが、ロボ研の轟さんがまた不要なものを持ち込んでいるとのタレコミーーという名の畑さんからの告げ口があったので、スズはそちらに向かうことになってしまった。重くは無いとはいえ、さすがに一回で持っていける量ではないので、それなりに往復しなければいけない。

 

「こういう時、使い勝手がいいヤツがいれば良いんだがな……」

 

 

 生憎桜才の生徒会には、英稜の生徒会のように庶務がいない。なのでこういった作業も我々がするしかないのだが、さすがに一人でやるのはそれなりに面倒くさい。

 

「あっ、タカ兄」

 

「ちょうどいいところに。お前も手伝え」

 

 

 さっきから近くに気配はあったが、わざわざ声を掛けに行く必要も無いと思っていたが、まさかあっちから声を掛けてくるとは。

 

「嫌だと言ったら?」

 

「は?」

 

「なぁコトミ、それは違うんじゃないか?」

 

「? ……まさか、NOと言える日本人を目指すとか話してたのか?」

 

「何故今の遣り取りだけでそれが――って、タカ兄なら当然か」

 

 

 時さんも一瞬驚いた顔をしたが、すぐに納得したような顔で頷いている。少し考えれば誰でもわかりそうなことなんだがな……

 

「くだらないことを言ってないで手伝え。授業中に寝てた説教はこれを手伝うことでチャラにしてやるから」

 

「な、何故そのことを……」

 

「普通に報告されただけだが」

 

「コトミの保護者代理なんだろ? そりゃ話くらい行くだろ」

 

「うへぇ……じゃ、じゃあトッキーも手伝ってよ。今日は部活も無いんだしさ」

 

「まぁ、お兄さんには世話になってるし、構わないですよ」

 

「ありがとう、時さん」

 

 

 コトミに巻き込まれる形ではあるが、時さんは手伝いを快諾してくれた。見た目や言葉遣いで勘違いされがちだが、この子は良い子だからな。

 

「ふ、普段お兄さんにしてもらってる事を考えれば、これくらいでは恩は返せませんので」

 

「おやおや~? トッキーもタカ兄の優しさにハマっちゃったのかな?」

 

「くだらないこと言ってるなら、お前の小遣いの何割かを時さんの報酬にするぞ」

 

「さぁトッキー! 急いで終わらせよう!」

 

 

 時さんをからかおうとしたコトミを大人しくさせ、俺たちは荷物運びを終わらせる事にしたのだった。




コトミの悪知恵程度ではタカトシに勝てないって分かってるはずなのに……

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