桜才学園での生活   作:猫林13世

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具体的な数字が出てないからなぁ……


広瀬ユウの学力レベル

 思いがけずに早く帰ることができたので、俺は一度着替えてから買い出しの為に出かけた。最近は義姉さんに頼むことが多くなってきているので、自分で買い出しに来るのはなんだか久しぶりな気がする。

 

「あれ、タカ君?」

 

「義姉さん、どうしたんですか、こんな所で……」

 

「私たちは生徒会の備品を買いに来たんです」

 

「そうでしたか。でも、この前買いに行ったばかりでは?」

 

 

 義姉さんに誘われて備品の買い出しに付き合った記憶があるのだが……あれはまだそれ程時間が経ってないと思うんだがな。

 

「あれこれときれちゃってね……この前買い出しの時にちゃんと確認したんだけど、何故か減りが早くて」

 

「大変ですね」

 

「会長、これで全部っすね。あっ、津田先輩、ちっす」

 

「こんにちは、広瀬さん」

 

 

 義姉さんと話していたところに買い出しから戻ってきた広瀬さんが合流。そのすぐ後に青葉さんとサクラも合流した。

 

「広瀬さん、荷物持ってるのに速すぎ……」

 

「だって、エレベーター待ってる時間がもったいなかったんで」

 

「だからって、階段を駆け下りること無いでしょ……私と青葉さんは運動部じゃないんだから」

 

「お疲れ」

 

「えっ? あっ、タカトシ君」

 

 

 息が切れているサクラと青葉さんに声を掛けて、ようやく俺のことに気付いたような反応を見せてきた。本当に疲れてるんだろうな。

 

「あれくらい余裕っすよね? 津田先輩」

 

「何階から降りてきたのかにもよると思うが……まぁ、俺や広瀬さん基準はこの二人には当てはまらないとは思うけど」

 

 

 部活でバリバリ運動している広瀬さんと、普段から運動している俺――もっと言えば性別が違う――とサクラたちの体力を比べるのは可哀想だ。

 

「というか、義姉さんは別行動だったんですか?」

 

「私は修理に出していた備品を受け取りに行っていたから」

 

「修理?」

 

「ユウちゃんが派手に壊しちゃって」

 

「いやー、面目ないっす」

 

「なる程」

 

 

 実にイメージ通りな感じだが、修理が必要なほど派手に壊すとはな……

 

「ところで、タカ君は何をしにここへ?」

 

「普通に買い出しです。色々と補充しておいた方が良いものがありますし、どうせコトミのテスト対策で家に人が集まるでしょうから、その準備とかもしておきたかったですしね」

 

「あぁ、そう言えばそろそろ定期試験でしたね」

 

「そろそろって、会長は余裕っすね……私は赤点ギリギリっぽいですし」

 

「だったらユウちゃんもちゃんと勉強しなきゃね? コトちゃんだけじゃなくって、ユウちゃんもみっちりしごいてあげるから」

 

「え、遠慮するっす……前にコトミから聞いた話では、頭から湯気が出るくらいスパルタだって……」

 

「そんなことないよ? ただ、合格点に届かなかったら永遠に復習と再試が繰り返されるだけ」

 

 

 広瀬さんだけじゃなく青葉さんの顔も引きつったように見えたが、特別に厳しいことはしていないと俺も思う。甘い採点で苦労するのは、結局のところコトミなんだから、厳しくした方が良いだろうしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校に戻ってきてすぐに、広瀬さんの学力チェックが行われ、私と会長は顔を見合わせ、同時にため息を吐く。

 

「ユウちゃん、このままじゃ赤点確実だよ?」

 

「さっきギリギリって言ってたから油断してたけど、これはギリギリどころかアウトだよ」

 

「そ、そんなにヤバいんすか? 私の成績……」

 

 

 全く自覚していないような広瀬さんに、私と会長は力強く頷いて見せる。まさか授業を聞いていれば分かるような問題も悉く間違えるとは……

 

「これはユウちゃんもタカ君にみっちりしごいてもらう必要がありそうだね」

 

「ですが会長、これ以上タカトシ君に負担を掛けるのはどうかと……」

 

「そうだよね……ただでさえコトちゃんとトッキー、それとクラスメイトたちがいるんだし……」

 

 

 タカトシ君に教われば赤点が回避できるという噂があるらしく、テスト前のタカトシ君は普段の五割増しで忙しそうにしているのだ。そこに広瀬さんのお世話まで頼むなんて、私にはできない。

 

「でもこのままじゃユウちゃんは赤点必死だし、そうなると英稜・桜才生徒会合同のクリスマスパーティーにユウちゃんだけ参加できなくなっちゃうし」

 

「何ですか、そのイベント」

 

「あれ? サクラっちには言ってなかったっけ? 七条家が場所を提供してくれるので、私たちでクリスマスパーティーをしようってシノっちと話してまして、結構な規模で開催することになってるんです」

 

「何も準備してないんですけど……」

 

 

 クリスマスパーティーということは、プレゼント交換とかいろいろとあるだろうし、今から準備しておいた方がいいのに……

 

「準備は七条家がしてくれるらしいので、私たちはただ参加するだけで良いとのことです。でも赤点補習になったりしたら、参加どころか開催が危ぶまれますので、ユウちゃんはしっかりと勉強してくださいね?」

 

「は、はい……」

 

「というわけで、タカ君にラインしておきますね。今度の勉強会にはユウちゃんも参加するって」

 

「結局タカトシ君頼みなんですよね……」

 

 

 私や会長だって自分の勉強があるので、広瀬さんに付きっ切りというわけにはいかないんですよね……タカトシ君、ゴメンなさい。




今年最後の投稿です。来年もお付き合いの程、よろしくお願いいたします

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