桜才学園での生活   作:猫林13世

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広瀬さんは三葉と似てる……のか?


合コンの結果

 先日の練習のお陰かは分からないが、男女バレー部の交流会という名の合コンは十分楽しむことができた。

 

「――という感じで、合コンは成功だったと思うっす」

 

「そう、それは良かったね」

 

「まぁ、練習の時のような遊びはしなかったですが、それなりに楽しめたし、飯は奢ってもらえたので万々歳です」

 

 

 どうも合コンの際は女子は奢ってもらえるらしく、私は奢りということもあり結構な量を食べ、男子からだけでなく女子からも若干引かれたような感じだったが、そんなことを気にして奢りを楽しめないなど馬鹿らしいと思ったので気にしなかったが。

 

「それで誰かお持ち帰りされてた?」

 

「お持ち帰り? あの店、テイクアウトはやってなかったので持って帰ってないっすよ?」

 

「そういう意味じゃないんだけど……」

 

「会長は何をがっかりしてるんです?」

 

「広瀬さんは気にしなくていいよ。ろくでもないことだから」

 

「そうっすか」

 

 

 森先輩がそう言うのなら、恐らくそうなのだろうと考えて、私は会長ががっかりした理由を気にしない事にした。まぁ、私の頭で考えても分からないことなんだろうし……

 

「そうそう、盛り上がってきた時にスキンシップ系のゲームもやったすよ」

 

「えっ!」

 

「な、なんすか?」

 

 

 がっかりしていた会長が急に元気になったので、私は思わず一歩引いた。この人の感情の落差が激し過ぎて付いていけないっすね……

 

「それで、具体的にはどんなスキンシップを?」

 

「男子相手に五人抜きしてきたっす」

 

「えっ、まさかユウちゃんに初体験の早さで負けるとは……しかも五人相手に」

 

「会長は黙っててください。それ、どんなゲーム?」

 

「腕相撲っす! 並の男子相手なら負けないっすよ!」

 

「あぁ、腕相撲……確かに肌と肌が触れ合うもんね……」

 

「?」

 

 

 何故か会長がまだガックリしてしまったようだが、私にはその理由が分からない。理由を聞こうにも森先輩が無言で首を左右に振っているので、聞くことはできなかった。

 

「というか、広瀬さんなら同世代相手ならほとんど負けないんじゃない?」

 

「そんなこと無いっすよ。多分津田先輩には勝てないっす」

 

「あの人は別格だよ。会長たちだって勝てないっぽいし」

 

「? 会長たちは男子に腕相撲勝てそうには見えないっすけど」

 

「そういう勝てないじゃないんだけどね」

 

「? 青葉さんも難しいことを言う……」

 

 

 結局何故津田先輩に会長たちが勝てないのかが分からなかったが、とりあえずあの人が私の周辺で最強ってことで納得することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日の英語の小テストで八十点以上を採れたので、私はとりあえず胸をなでおろしてマキたちに話しかける。

 

「これが赤点だったら死んでたよ……」

 

「大袈裟じゃない? 今日のテスト、そこまで難しくなかったし」

 

「それはマキだから言えることでしょ。実際問題として、クラス平均だって何時もより低かったし」

 

 

 普段なら六十点後半くらいが平均なのだが、今日の小テストは五十点台が平均だった。それだけで判断すれば、今日の小テストはむしろ難しかったと言えるのではないだろうか。

 

「トッキーは何点だった?」

 

「八十三」

 

「クッ、トッキーに負けた……」

 

 

 私は八十一点だったので、トッキーに二点負けているではないか……

 

「まぁ、私の実力ならこれくらいは――」

 

「津田先輩と魚見さんに散々勉強を見てもらってるからでしょ? 自分一人で採ったみたいな感じで言うのは止めなよ」

 

「もうちょっと悦に浸らせてくれたっていいんじゃない? 私だって頑張ってるんだから」

 

「悦に浸りたいのなら、二人の手を煩わせずに結果を残せた時にしなよ」

 

「そんな時、一生来ないって」

 

 

 そもそもタカ兄が勉強を見てくれていなかったらこの高校に通えていたかも怪しいんだから、私一人で勉強しても平均点に届くわけがないではないか……

 

「というか、マキは何点だったわけ?」

 

「百点……」

 

「これだから天才は! 凡才がいくら努力しようと、天才には敵わないということか」

 

「お前、努力してないだろ? 兄貴や英稜の会長が努力して、お前はへらへらしてるだけじゃねぇかよ」

 

「トッキー、それは言っちゃいけない」

 

 

 トッキーのツッコミに、私は首を振って黙らせる。私だってそのことは分かっているが、それを認めるのは勇気がいることだから……

 

「津田先輩に感謝してるのなら良いけど、コトミってあまり感謝してないよね?」

 

「してないことは無いけど、身内だからあまり感謝してる感じはしないかもね」

 

「お前、兄貴に見捨てられたら生きていけないって言ってたのに、ちゃんと感謝しとけよ」

 

「トッキーはすっかりタカ兄に懐柔されちゃってるよね」

 

「散々世話になってるからな……勉強以外にも」

 

 

 柔道部の陰のマネージャーと呼ばれているくらいだし……柔道部のマネージャーは私なのに。

 

「タカ兄の能力から考えるなら、これくらい平気だって」

 

「平気か平気じゃないかが問題じゃないような気もするんだが……兄貴だって何時までもお前の相手をしてられるわけじゃないんだからな」

 

「分かってるよ」

 

 

 タカ兄だって何時か家から出ていってしまうだろうし、そうなったら私は一人暮らしになる。そうなると家事とかいろいろとやらなきゃいけないし……




出番無くても活躍してるタカトシ

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