桜才学園での生活   作:猫林13世

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エンジン全開フルスロットル


絶好調な三年生組

 とりあえず全員一回は歌ったので、次は何をするか義姉さんとシノさんが話している。そして合コン通の青葉さんに意見を求めた。

 

「青葉っち、次は何をすればいいのかな?」

 

「合コンは途中で席替えをするそうですよ」

 

「じゃあシャッフルするか。だが、どうやって席替えをするんだ?」

 

 

 先輩たちが俺の隣を睨んでいるような気もするが、とりあえずそれには触れないでおこう。

 

「私、紙とペンを持っていますので、席に番号を振ってそれで決めましょう」

 

「さすが萩村、用意が良いな」

 

「不正が無い様に、タカ君に作ってもらいましょう」

 

「席替えに不正も何もないでしょうが……」

 

 

 とりあえずスズから紙とペンを受け取り、俺は八つの番号を書き紙を折ってシノさんに手渡す。

 

「これをシャッフルして、順番に引けばいいのか。だが、順番はどうする?」

 

「役職順で良いんじゃないでしょうか? まず会長、次に副会長と言った感じで」

 

「そこの順番は良いが、書記と会計はどちらが上なんだ?」

 

「アリアっちの方が年上だから、そこらへんは年功序列で」

 

 

 なんともグダグダな順番決めのようだが、とりあえず決まったのでくじを引くことに。

 

「六か」

 

 

 端の席が良かったんだが、思いっきり真ん中になってしまった。

 

「タカトシ君の隣だ~」

 

「私もです」

 

「私はタカ君の正面だね」

 

 

 右隣がアリアさん、左隣がサクラ、正面が義姉さんという結果に。シノさんとスズが思いっきり睨んでいるが、こればかりはくじ運だから仕方が無いだろう……

 

「義姉さん、グラス取ってください」

 

「せっかくだからグラスもシャッフルしちゃう?」

 

「「待てぃ!」」

 

「冗談言ってないで……はぁ、もう良いです」

 

 

 取ってくれる気配が無かったので自分で手を伸ばしてグラスを引き寄せる。義姉さんの冗談に付き合っていると疲れるからスルーしたんだが、シノさんとスズは本気にしたようだな……

 

「ここで十円ゲームをしましょう」

 

「何だそれは?」

 

「かくかくしかじか」

 

「なる程」

 

 

 会長同士が話を進め、合コンでよくやるらしい十円ゲームを行うことに。

 

「それじゃあ早速――今、恋人がいる人」

 

 

 義姉さんが随分と突っ込んだ質問をするが、当然の如く全員がNO。

 

「当然の結果ですね」

 

「ちょっと突っ込んだ質問だったかな」

 

「では、次は私がもう少しソフトな質問を」

 

 

 シノさんが意気込んでいるが、こういう時はろくでもない展開になりやすいんだよな……

 

「右手が恋人の人」

 

『チャリーン』

 

「義姉さん、ふざけてコインを操作しないでください。それは俺のです」

 

「な、何故分かった……」

 

 

 ハンカチで隠れているから分からないと思ったのだろうか。それくらい手の動きを見ていれば分かるというのに……

 

「というか、これってこういうゲームなんですか?」

 

「うーん、私もやったこと無いので分からないですね」

 

 

 発案者らしい青葉さんに質問したが、どうやら彼女も実際にしたことは無いとのこと。これじゃあ何が正解なのか分かったものじゃないな……

 

「このままじゃ全ての質問がNOで終わってしまうかもしれない……青葉っち、他に合コンですることは無いの?」

 

「そうですね……盛り上がってくるとスキンシップ系のゲームに発展するらしいです」

 

「そ、そんなことまでするのか!?」

 

「そんな過激なゲーム駄目だよ!」

 

 

 珍しくアリアさんが照れているが、どうやら勘違いしているようだな……

 

「お尻肌を楽しむゲームなんて」

 

「「そりゃスキンヒップだ!」」

 

 

 サクラとツッコミを被らせてから、俺はアリアさんを睨みつける。

 

「多少のことなら目を瞑りますが、昔の癖が出ていますので気を付けてくださいね。校内だったら容赦なくお説教しますので」

 

「ゴメンなさい」

 

 

 これでとりあえず落ち着くだろうと思い、俺は青葉さんに具体例を求めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あまり過激なことは駄目ということで、王様ゲームをすることになった。もちろん、行き過ぎた命令は禁止というルールで。

 

「私が王様か。では、一番が五番にチョップ」

 

「はっ?」

 

「私が一番ですね」

 

 

 天草さんの命令で、青葉さんが萩村さんにチョップをすることに。この程度なら可愛いものですね。

 

「おっ、次は私が王様っすか。じゃあ七番が全員の頭を撫でる」

 

「私だ~」

 

 

 この様に穏やかな時間が過ぎていく中、タカトシ君は何処か疲れた感じの様子……恐らく日頃の疲れが出てきているのだろう。

 

「大丈夫?」

 

「あ、あぁ……」

 

 

 小声で確認すると、今にも眠ってしまいそうな雰囲気で答えてくれた。

 

「会長、そろそろお開きにしては?」

 

「そうですね。では次が最後の命令ということで」

 

 

 会長たちもタカトシ君が疲れているのを感じ取っていたようで、私の提案はすんなりと受け入れられた。

 

「最後は俺か……」

 

「さぁタカトシ! どんな鬼畜な命令でも受け入れるぞ!」

 

「むしろタカ君のならいつでも受け容れたい!」

 

「……三番と五番が後片付けと会計を済ませてください」

 

「「何故ピンポイントで!?」」

 

 

 タカトシ君だからこそできる技で会長コンビを懲らしめて、合コンはお開きに。そこそこ楽しかったけども、タカトシ君にとっては負担が大きかったようで可哀想……ゆっくりと休んでもらいたいものだな。




結局疲れるのはタカトシ……

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