桜才学園での生活   作:猫林13世

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横島先生は……


捕獲作戦

 どこかの誰かさんの所為で会長たちの好奇心に火がついてしまった為、週末の今日、学園でツチノコの捜索をしなくてはいけなくなった。

 

「あれ? タカ兄、何処か行くの?」

 

「どこかの誰かが余計なことを投書した所為で、新聞部の手伝いでツチノコを探す羽目になったんだ」

 

「へ、へー……そりゃ大変だね」

 

「とりあえず、お前の晩飯は作っておいたからそれを食べるように」

 

「分かったよ。ってあれ? こんな時いつもならお義姉ちゃんが来るのに、今日は来ないの?」

 

「義姉さんはバイトだ」

 

 

 本当ならこいつを一人にするのは避けたかったんだが、俺が参加しないとカエデさんが大変な目にあうだろうし、そもそも参加しないという選択をすることができない雰囲気だったしな……

 

「まったくコトミは……」

 

 

 いい年して一人で留守番させるのが不安になる妹に不安を抱きながらも、俺は学園への道を行く。考え事をしていたからか、気付いた時にはもう学園に到着していた。

 

「遅かったな!」

 

「まだ時間前のはずですけど?」

 

 

 既に待ち構えていたシノさんに出迎えられたが、俺は腕時計で時間を確認してそう返答した。

 

「ツチノコ捜索は楽しみだが、よくよく考えたら私は蛇系は苦手だったんだよな……」

 

「はぁ」

 

「だから母の部屋にあったこのうねるディ〇ドで耐性を付けられないかとトレーニングしたんだが、ダメだった……」

 

「なんてもの持ってるんですか!?」

 

「おぉ、五十嵐か……」

 

 

 なんだかんだで全員集合した時点で、監督役の小山先生に挨拶することに。

 

「今日はわざわざ時間を作っていただきありがとうございます」

 

「時間が遅いから騒がないように――って、津田君がいるから大丈夫だよね」

 

「どうでしょうね……」

 

 

 既にお祭り騒ぎ気味のメンバーを見て、俺はため息を堪えながら小山先生に答える。

 

「あっ、これ差し入れです。終わるまで暇でしょうからよかったら」

 

「あら、ありがとう」

 

 

 コトミに作ったついでに差し入れを作ってきていたので、小山先生にそれを手渡して振り向くと、畑さんが七輪とスルメを取り出していた。

 

「何してるんです?」

 

「ツチノコはスルメが好物なんです。なのでこうして香ばしい匂いを漂わせれば現れるのではないかと」

 

「そうですか」

 

 

 俺はその匂いを嗅いで、別のモノが釣れそうだなと思った。

 

「こりゃーっ! 誰だ旨そうな匂いをさせとるのはっ!」

 

「やっぱり」

 

 

 職員室に気配があるなとは思っていたが、やはり横島先生がスルメの匂いに釣られて顔を出した。

 

「先生は何してるんですか?」

 

「見りゃ分かるだろうが! 残業だよ!」

 

「怒りながら言うことではないと思うのですが……そもそも、先生の効率が悪いから残業になっているのでは?」

 

「そんなこと無い! 私だっていろいろと忙しいんだ」

 

「では今日の放課後、男子生徒に声をかけて資料室に入ろうとしていたのは、必要なことだったと?」

 

「えっと……兎に角! そんな匂いを漂わされたら一杯やりたくなるだろ! どんな理由があるにしても、こちらのことも考えてくれよな!」

 

 

 とりあえず仕事を終わらせる為に横島先生を引っ込ませて、俺は畑さんに声を掛けることに。

 

「そういう事情ですので、スルメ作戦は止めておいた方が良いのでは?」

 

「では津田君のイカの匂いでも――」

 

「ん?」

 

「なんでもないでーす」

 

 

 余計なことを言いそうだったので視線で牽制し、とりあえず畑さんの暴走を止めることに成功した。というか、この人たちの方が先輩なのに、何で俺が引率ポジションなんだか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカトシ君がいてくれるお陰で、とりあえず畑さんたちの暴走を相手にしなくても良いので安心だけども、よくよく考えたらこんな時間に男子と一緒にいるなんて、共学になる前だったら考えもしなかったわね……

 

「(最初は共学化なんて反対だったけども、こうして男性恐怖症が改善されてきているのを考えると、悪いことばかりじゃなかったのかもね)」

 

 

 タカトシ君以外の男子がより駄目になっているような気もするけども、普通に付き合える男子ができたのは、私からすればかなり進歩したと言える。

 

「(タカトシ君があまり男臭くないのも要因なのかもしれないけど)」

 

 

 私の周りにいる男子で、誰よりも男らしいのだけども、どことなく母性を感じさせてくれるのも、こうして普通に付き合える要因なんだろうなと考えていると、急に視界が下がった。

 

「あっ、穴にハマっちゃったのか」

 

 

 溝板が外れていた場所に足を突っ込んでしまったようで、私はゆっくりと足を上げて歩き出そうとしたら、何故か七条さんに手を取られた。

 

「あの、何か?」

 

「今、アナニーにハマったって言ったでしょ? 私も以前は好きだったから」

 

「そんなこと言ってません! というか、何ですかいきなり!」

 

 

 七条さんの性癖が普通とは違うとは聞いていたけども、まさかそっちが好きだったなんて……じゃなくって! 何だか同族扱いされているのが気に入らないので、私は慌てて七条さんの手を振り解いた。

 

「何してるんですか……」

 

「七条さんが!」

 

「分かってますから落ち着いてください。小山先生にも騒がしくしないように言われているんですから」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

 タカトシ君に宥められて、私は弱々しく頭を下げる。顔を上げるとタカトシ君が七条さんに静かにお説教している姿が目に入り、私は再び恥ずかしくなってきてしまった。




畑さんも懲りないよな……

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