桜才学園での生活   作:猫林13世

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そろそろコトミの試験が近付いてきました。


年末年始

 クリスマスを七条家所有の別荘で過ごして暫く、今日は大晦日だ。部屋やリビングの掃除を終えて俺は年越し蕎麦の準備をしていたのだが、二階から凄い音がしたので一旦手を止めてコトミの部屋へ行く。

 

「如何かしたのか?」

 

「タカ兄ィ……掃除してたのに余計に散らかっちゃった……」

 

「……まずこれだけのものを何処にしまってたんだよ」

 

 

 明らかに収納スペースに収まらないくらいのものが、コトミの部屋に散らかっていた。

 

「いらないものは捨てろ」

 

「だってどれもまだ使えるんだよ?」

 

「……何に使うんだ、こんなの?」

 

「それはもちろん……はい、捨てます」

 

 

 思春期発言をしかけたコトミを睨みつけ、大人しく掃除を再開させた。コイツ、小遣いの殆どをこんなのにつぎ込んだんじゃねぇだろうな……もしそうなら高校に入学した後の小遣いを考えないとな……

 

「さっさと終わらせないと年が明けるぞ」

 

「それはないよ~。だって困ったらタカ兄に手伝ってもらうから」

 

「……計画性が無いから直前になって焦るんだろうが」

 

 

 俺はクリスマスパーティーの後、家に帰って来てからちょこちょこ掃除をしておいた為に、今日は自分の部屋に掃除機をかけただけで大掃除は終了した。リビングやお風呂、トイレ掃除に専念出来たのは大きいからな。

 

「こんなんじゃ受験も危ないかもな」

 

「それは言わない約束だよ~……」

 

 

 年明けに萩村が手伝ってくれるらしいのだが、それで滑り込んでくれるのを祈るか……

 掃除を何とか終えたコトミが、リビングのコタツで寝転がってテレビを見ている……ホント家事しないヤツだな……

 

「ほら、年越し蕎麦出来たぞ」

 

「おう、ご苦労」

 

 

 頭の上に蕎麦をぶちまけてやろうか……でも片付けるの俺だからやめておこう。

 

「タカ兄の来年の目標って?」

 

「そうだな……もう少し萩村に近付きたいな」

 

「それって性的な意味で? やっぱりタカ兄はペドなんだね~」

 

「成績の事だよ……」

 

 

 何でもかんでもピンク的な意味に捉えないで貰いたいんだが……

 

「そういうコトミの目標は?」

 

「私は一日一エロ! ちなみに今は十エロくらいね!」

 

「……思春期過ぎるだろ」

 

 

 こうして、今年最後も妹のエロボケを聞かされて終わっていく……来年は少しは真面目になってくれる事を祈ろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 初詣に出かける為に、私たち生徒会役員は駅で待ち合わせをしていた。

 

「諸君、今年もよろしくな!」

 

「おめでとー」

 

「あけましておめでとうございます」

 

 

 会長、七条先輩、津田がそれぞれ挨拶をしてきたので、私もそれに返事をした。

 

「そうだ! 家にもう年賀状が届いていたぞ」

 

「早いですね」

 

「アリア、豪華な年賀状をありがとう」

 

「いえいえ」

 

 

 確かに七条先輩の年賀状は豪華だったわね。

 

「萩村、可愛らしい年賀状をありがとう」

 

「うん、可愛かったわね~」

 

「津田、積極的な年賀状だったな」

 

「はい?」

 

 

 津田の年賀状は、いたって普通だったような……でも字は上手かったわね。

 

「新年開けオ○コに落とし玉というメールが……」

 

「俺の年賀状とスパムを一緒にしないで!」

 

 

 こうして、新年初ツッコミが発生した。今年も津田の胃は荒れそうね……

 

「では姫始めに……」

 

「初詣に行くんだろ!」

 

 

 早くも新年二発目のツッコミが炸裂。ボケのペース速いわね……

 

「そういえば七条先輩、晴れ着似合ってますね」

 

「ありがとー。着るの大変だったけどね」

 

「そうなんですか?」

 

 

 七条先輩なら着物も着慣れてそうなんだけどな……やっぱり苦戦したのだろうか。

 

「出島さんに手伝ってもらおうと思ったんだけど、彼女着付けは心得てなかったのよ~」

 

「そうなんですか」

 

「うん。『脱がすのは得意』なんだって~」

 

「……大変というより危機でしたね」

 

 

 同情ツッコミが炸裂。津田のツッコミバリエーションは今年も豊富ね。

 

「思ってたより人多いな」

 

「スズちゃん、逸れないように手を繋ぐ?」

 

「子供扱いしないでください!」

 

「でも逸れると面倒だぞ。この人込みじゃ携帯もあまり役に立たないし」

 

 

 そうね……かといって探し回るのも面倒だし……

 

「津田!」

 

「ん?」

 

 

 私は津田の腕にテールを巻きつけて妥協した。

 

「シュール……」

 

 

 言いたい事は分かる。でも手を繋ぐよりかはこっちの方がマシなのよ……手を繋いだら恋人では無く親子に見られるかもしれないから……

 

「おっと、すいません」

 

「つ、津田君ッ!?」

 

「五十嵐さん、あけましておめでとうございます」

 

 

 津田は冷静に新年の挨拶をしたが、五十嵐先輩は震えている。津田には男性恐怖症以外の理由で触れられない五十嵐先輩、さすがピュアむっつりと影で言われてるだけの事はあるわよね。

 

「では、また学校で」

 

「そ、そうね……」

 

 

 五十嵐先輩と別れて、私たちは集合場所に向かった。

 

「皆は何をお願いしたんだ?」

 

「俺は少しでも皆が普通に過ごせますようにと」

 

「私は皆が健康で過ごせるようにって」

 

「萩村は?」

 

 

 津田が流れで私に聞いてきたけど、私は答える代わりに最高の笑みを見せた。

 

「聞きたい?」

 

「いや、別にいいや……」

 

「そういえばシノちゃん、初夢って見た?」

 

 

 七条先輩が空気が重くなったのを察したのか、話題を変えた。

 

「見たぞ! ……アレ? ど忘れしてしまった……」

 

「ありますね、そういうの」

 

 

 津田が同意して、会長は嬉しそうに続けた。

 

「ここまでは出ているんだが」

 

 

 会長の手がお腹付近から下へと降りていく……普通は喉らへんに手を置くんじゃないのかしらね……

 

「それは何処から出る予定なんだい?」

 

「もちろんし……」

 

「「うわぁー!!」」

 

 

 周りに他の人が居るのにも関わらず、会長は変な事を言いそうになった。なので私と津田が二人掛かりで会長を抑え、そして人気の少ない場所へと移動した。

 

「公の場で何を言うつもりだったんですか、貴女は!」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

 砂利道にも関わらず、会長は津田に正座を命じられ座っている。新年早々大変な目に遭ったのは、果して会長なのだろうか? それとも津田なのだろうか? 少なくとも私は津田だと思ってる。

 

「シノちゃん、砂利って刺激的じゃない?」

 

「ちょっと痛いがそれが良い!」

 

「少しは反省しろ! アンタそれでも生徒会長か!!」

 

 

 津田が我慢出来ずに拳骨を振り下ろした。まさか新年一発目の拳骨が元日に炸裂するとは思って無かったわね……津田、今年も私の代わりにツッコミ頑張ってね。




トッキーは如何しようかな……

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